「お月見どろぼう」とは?いつ・どこでやってる?意味や由来も

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「お月見どろぼう」という、ちょっぴり不思議な響きの風習をご存知ですか?「日本版ハロウィン」とも呼ばれ、子どもたちがお菓子をもらって歩く、心温まる伝統行事です。この記事を読めば、お月見どろぼうの意味や由来、2024年はいつ・どこで行われるのか、そして参加する際のルールやマナーまで、そのすべてがわかります。豊作への感謝と子どもの健やかな成長を願う、この素敵な風習の魅力にふれてみませんか。

目次

1. お月見どろぼうとは 日本版ハロウィンとも呼ばれる風習

「お月見どろぼう」、なんだか少しドキドキするような、かわいらしい響きの言葉ですね。これは、主に東海地方や関東地方の一部に今も残る、中秋の名月(十五夜)の夜に行われる伝統的な風習のことです。まるで日本版ハロウィンともいえる、子どもたちが主役の楽しいイベントなんですよ。

最近では耳にする機会が減ってしまったかもしれませんが、地域の人々の温かい交流が感じられる、とても素敵な行事です。この章では、まず「お月見どろぼう」がどのようなものなのか、その魅力をご紹介しますね。

1.1 子どもがお月見のお供え物を盗んでも良いとされる伝統行事

お月見どろぼうは、その名の通り、子どもたちがお月見のお供え物を「どろぼう」してもよい、とされているユニークな風習です。十五夜の夜、それぞれの家では縁側や庭先など、子どもたちが取りやすい場所にお月見団子やお菓子、果物などをお供えします。

子どもたちは竿のような長い棒を持って、近所の家々を巡り歩きます。そして、お供え物を見つけると、その棒を使って上手に引っかけて「盗んで」いくのです。もちろん、本当にこっそり盗むわけではありません。家の人は子どもたちが来るのを見守り、たくさん持っていかれることを喜びます。まるで、地域全体で子どもたちの成長を見守るような、温かい空気に包まれた行事なのです。

1.2 お月見どろぼうとハロウィンの違い

子どもたちがお菓子をもらってまわる様子から「日本版ハロウィン」と呼ばれることもありますが、その由来や内容には違いがあります。どちらも子どもにとっては待ち遠しいイベントですが、比べてみると面白い発見がありますよ。

子どもたちがお菓子をもらって歩く、という点ではそっくりですが、お月見どろぼうは豊作への感謝、ハロウィンは悪霊を追い払うという、根本的な意味合いが異なります。それぞれの文化に根ざした、大切な伝統行事なのですね。

項目お月見どろぼうハロウィン
由来豊作を祈る・感謝する農耕儀礼古代ケルト民族の秋の収穫祭・悪霊払いの儀式
目的お供え物を捧げ、月の神様(月の使者である子ども)と収穫の喜びを分かち合う仮装して悪霊を驚かせ、追い払う
合言葉「お月見くださーい」「お団子ちょうだい」など(地域による)/特にない場合も「トリック・オア・トリート!(お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!)」
服装普段着魔女やおばけなどの仮装

2. お月見どろぼうの由来と意味

「どろぼう」と聞くと、少しドキッとしてしまいますよね。でも、お月見どろぼうは、昔の人々のあたたかい想いが込められた、とても縁起の良い風習なのです。その背景には、秋の収穫への感謝と、子どもたちへの優しいまなざしがありました。一体どのような由来があるのか、一緒に見ていきましょう。

2.1 豊作を祈願する農耕儀礼が起源

お月見どろぼうのルーツは、古くから日本で行われてきた「収穫祭」にあります。そもそもお月見は、一年で最も美しいとされる中秋の名月を愛でると同時に、お米や里芋などの収穫物に感謝を捧げる大切な行事でした。

人々は、すすきを飾り、採れたての作物やお団子を月にお供えして、その年の豊作を感謝し、翌年の豊穣を祈ったのです。この大切なお供え物を、子どもたちがこっそり「盗んで」いく。一見すると罰当たりな行為に思えますが、実はこれが「月の神様がお供え物を受け取ってくださった証」と考えられていました。

お供え物がなくなることは、神様が人々の感謝を受け入れ、満足してくれたしるし。だからこそ、お供え物を盗まれた家は「縁起が良い」「来年も豊作になる」と、むしろ喜んだのです。畑から作物を盗む本物の泥棒は困りますが、この日ばかりは「どろぼう」を大歓迎していたなんて、昔の人々のユーモアと自然への敬意が感じられますね。

2.2 子どもは月の使者と考えられていた

では、なぜその大切な役目を「子ども」が担っていたのでしょうか。それには、子どもたちを神聖な存在とみなす、日本古来の信仰が深く関わっています。

昔の日本では、子どもは神様からの授かりものであり、神様の使い、とりわけ「月の使者」だと考えられていました。そのため、神聖な存在である子どもたちがお供え物を持っていくことは、月の神様ご自身が供物を受け取りに来てくださったのと同じことだと捉えられていたのです。

子どもたちがたくさんお供え物を持っていけばいくほど、神様が喜んでくださった証拠。家々の大人たちは「うちのお供え物も、どうぞ持っていっておくれ」と、目を細めながら子どもたちが来るのを心待ちにしていたのでしょう。この風習は、収穫の喜びを地域全体で分かち合い、子どもたちの健やかな成長を願う、心温まるコミュニケーションの場でもあったのですね。

3. お月見どろぼうはいつ行われる?2025年の開催日

「お月見どろぼう」、なんだかワクワクする響きですよね。子どもたちが主役のこの楽しい行事、いったいいつ行われるのか気になりませんか?開催日は、秋の夜空に美しく輝くお月様を眺める「お月見」の日と深く関わっています。年に一度、あるいは二度の特別な夜について、詳しく見ていきましょう。

3.1 基本は中秋の名月(十五夜)の夜

お月見どろぼうが最も盛んに行われるのは、「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」、いわゆる「十五夜(じゅうごや)」の夜です。中秋の名月とは、昔の暦(旧暦)の8月15日に見える月のことで、一年で最も空が澄みわたり、月が美しく見える日とされてきました。この日に、作物の収穫に感謝してお団子やススキなどをお供えし、そのお下がりを「月の使者」である子どもたちがいただいていく、というのがこの風習の習わしです。

さて、気になる2025年の日付ですが、今年の中秋の名月(十五夜)は10月6日(月)です。この日の夜、もしご近所でこの風習が残っていれば、子どもたちのかわいらしい「どろぼう」たちがやってくるかもしれませんね。

3.2 地域によっては十三夜にも開催

実は、お月見は十五夜だけではないことをご存知でしたか?十五夜から約1か月後、旧暦の9月13日の夜を「十三夜(じゅうさんや)」と呼び、こちらも美しい月を愛でる日本古来の風習があります。この時期に収穫される栗や豆をお供えすることから、「栗名月」や「豆名月」という風流な呼び名もあるんですよ。

そして、一部の地域では、この十三夜にもお月見どろぼうが行われます。昔は、十五夜だけお月見をして十三夜を見ないのは「片見月(かたみづき)」といって、縁起が良くないとされていたとか。せっかくなら両方楽しみたいものですね。

2025年の十三夜は11月2日(日)となります。お住まいの地域ではどちらの日に行われるのか、あるいは両方行われるのか、ご近所の方とお話ししてみるのも、交流のきっかけになって素敵ですね。

2024年のお月見の日は、以下の通りです。カレンダーに印をつけて、秋の夜長を楽しんでみてはいかがでしょうか。

お月見の種類2025年の開催日別名など
中秋の名月(十五夜)2025年10月6日(木)芋名月
十三夜2025年11月2日(日)後の月、栗名月、豆名月

4. お月見どろぼうはどこでやってる?開催地域を紹介

聞いているだけでなんだかワクワクしてくる「お月見どろぼう」。実はこの風習、日本全国どこでも行われているわけではなく、特定の地域に今もなお受け継がれている、ちょっぴり珍しい行事なんです。まるで宝探しみたいで、なんだか素敵ですよね。もしかしたら、あなたのお住まいの地域や、昔住んでいた場所でも行われていたかもしれません。ここでは、お月見どろぼうが現在も行われている代表的な地域をいくつかご紹介します。

4.1 愛知県名古屋市やその周辺地域

お月見どろぼうの風習が特に盛んに残っているのが、愛知県の名古屋市やその周辺地域です。特に名古屋市昭和区や瑞穂区、千種区などの一部や、日進市、尾張旭市、長久手市といった郊外の地域では、今でも秋の風物詩として親しまれています。このあたりでは、子ども会や自治会が主体となってイベントとして開催されることもあり、地域全体で子どもたちの成長を見守る、あたたかい雰囲気に包まれます。縁側にたくさんのお菓子が並び、子どもたちの元気な声が響き渡る光景は、見ているだけで心が和みますね。

4.2 千葉県市原市や木更津市など

関東地方では、千葉県の市原市や木更津市といった房総半島の一部で、お月見どろぼうの風習が見られます。愛知県のように広範囲ではありませんが、昔ながらの慣習を大切にする地域で、ひっそりと受け継がれています。都心から少し足を延ばした場所に、こんな微笑ましい行事が残っているなんて、なんだか嬉しい気持ちになりませんか?地域の掲示板でお知らせが出たり、口コミで子どもたちに伝わったりと、地域に根ざしたコミュニケーションが今も生きている証かもしれません。

4.3 三重県や静岡県の一部でも見られる風習

東海地方に広く見られるこの風習は、愛知県だけでなく、三重県や静岡県の一部地域でもその名残を見つけることができます。例えば、三重県の伊賀地方や、静岡県の浜松市周辺などで、今もこの行事を行う家庭があるようです。ただ、これらの地域では、地域全体のイベントというよりは、各家庭やごく限られた範囲で、昔からの慣わしとして続けられていることが多いようです。地域によって「お月見ください」「お月見ちょうだい」など、子どもたちのかけ声が少しずつ違うのも面白いところ。それぞれの土地で、大切に育まれてきた文化を感じますね。

このように、お月見どろぼうは限られた地域に残る貴重な風習です。代表的な地域をまとめましたので、ご覧ください。

地域主な市町村特徴
愛知県名古屋市(昭和区・瑞穂区など)、日進市、尾張旭市、長久手市など比較的広範囲で盛んに行われており、地域イベントとして定着している場合も多い。
千葉県市原市、木更津市など房総半島の一部地域で、昔ながらの風習として静かに受け継がれている。
三重県・静岡県伊賀地方、浜松市の一部など点在しており、各家庭やごく一部のコミュニティで続けられていることが多い。

もし、お近くでこのような風習を見かけたら、それはとても幸運なことかもしれません。子どもたちの可愛らしい「どろぼう」を、あたたかい目で見守ってあげたいものですね。

5. お月見どろぼうのやり方とルール

「お月見どろぼう」と聞くと、なんだかワクワクしますね。この風習を絶やさずに、みんなが笑顔で楽しめるように、昔から受け継がれてきたちょっとしたお約束があります。お菓子をお供えする側も、いただきに回るお子さんたちも、お互いに気持ちよく過ごすための準備とルールを、ここで一緒に見ていきましょう。

5.1 お供えする側(家)の準備と飾り方

お子さんたちを迎える準備は、それ自体が楽しいひととき。今か今かと待つ時間も、この行事の醍醐味のひとつです。かわいい「どろぼう」さんたちのために、心を込めて準備をしてみませんか。

5.1.1 縁側や庭先にお菓子や果物を置く

お供え物は、お子さんたちの目に留まりやすく、安全に取れる場所に置いてあげましょう。昔ながらの縁側はもちろん、玄関先や門の近く、お庭に置いた小さなテーブルの上などがおすすめです。ススキやお月見団子と一緒に飾ると、ぐっと風情が増しますね。

お菓子は、大皿にまとめて置くよりも、お子さんたちが一つずつ取りやすいようにカゴに入れたり、小分けにして並べておいたりすると親切です。また、「お月見どろぼうさん、どうぞ」といったメッセージを書いた紙を添えておくと、お子さんたちも安心して声をかけやすくなりますよ

5.1.2 おすすめのお供え物

お子さんたちが喜ぶのは、やはり個包装になったお菓子です。衛生的で分けやすく、持ち帰りやすいのが嬉しいポイント。チョコレートやクッキー、キャンディー、スナック菓子など、いろいろな種類を少しずつ用意すると、選ぶ楽しみも増えそうです。

もちろん、お月見らしく季節の果物(柿やぶどうなど)や、小さなお団子、栗きんとんなども素敵ですね。量は、来てくれるお子さんの人数を想像しながら、一人あたり1〜2個を目安に準備するとよいでしょう。

5.2 参加する側(子ども)のルールとマナー

「どろぼう」という名前がついていますが、これはあくまでも楽しい風習です。地域の大人たちとの心温まる交流の機会ですから、かわいい訪問者として、しっかりマナーを守って参加しましょうね。お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんも、ぜひ一緒にお子さんたちを見守ってあげてください。

5.2.1 持ち物とあいさつの言葉

夜道を歩くので、安全のための準備は大切です。忘れ物がないか、出発前に確認しましょう。

持ち物ポイント
お菓子を入れる袋たくさん歩くので、両手が空くリュックやポシェットが便利です。
懐中電灯足元を優しく照らし、安全に歩くために用意しましょう。
虫よけスプレー秋の夜はまだ蚊がいることも。お出かけ前にスプレーしておくと安心ですね。

おうちに着いたら、元気よくあいさつをしましょう。「お月見どろぼうでーす!」「お団子くださーい!」といった合言葉が一般的です。お菓子をいただいたら、「ありがとうございます!」という感謝の気持ちを伝えるのを忘れずに。このやりとりが、地域のつながりを育んでいきます。

5.2.2 どろぼうして良い時間と注意点

お月見どろぼうは、日が暮れてあたりが暗くなる頃から始まります。地域によって異なりますが、だいたい夜の8時頃までにはおうちに帰りましょう。遅い時間に訪問するのは迷惑になってしまうので、気をつけてくださいね。

楽しく安全に参加するために、いくつか大切なお約束があります。

  • 必ず保護者の方と一緒に回りましょう。お子さんだけで行動するのは危険です。
  • 「お月見どろぼうどうぞ」といった貼り紙や飾り付けがないおうちには、勝手に入ってはいけません。
  • 一度お菓子をいただいたおうちには、何度も行かないのがマナーです。
  • お供え物は、後に来るお友達の分も考えて、欲張らずに少しだけいただきましょう。ひとつかふたつ、いただくのが目安です。
  • 夜道ではしゃいで大きな声を出したり、走り回ったりすると、ご近所の迷惑になります。静かに歩きましょう。
  • 交通ルールをしっかり守り、車が来ていないかよく確認してくださいね。

これらの小さな心配りが、みんなが「お月見どろぼう」という素敵な文化を来年も楽しむことにつながります。秋の夜長、美しい月を眺めながら、思い出に残るひとときをお過ごしください。

6. まとめ

お月見どろぼうは、中秋の名月の夜に子どもたちがお供え物をもらって歩く、どこか懐かしい日本の伝統行事です。その背景には、作物の実りへの感謝と、子どもは「月の使者」で盗まれることは縁起が良いという、古くからの優しい願いが込められているのですね。日本版ハロウィンとも呼ばれますが、地域の人々との温かい交流が今も大切に受け継がれています。この秋は、縁側にそっとお菓子を置いて、子どもたちの訪れを心待ちにしてみるのも素敵なひとときになりそうですね。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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