三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春へと向かう3月。ひな祭りや卒業式など、大切な行事が続く季節ですね。この記事では、そんな3月の気候の特徴から、旬の味覚、咲き誇る花々、手紙に添えたい季語まで、3月といえば思い浮かぶ情報を一覧でご紹介します。季節の移ろいを暮らしに取り入れて、心華やぐひとときを過ごすためのヒントがきっと見つかるはずです。
1. 3月の特徴と気候
長く厳しい冬の寒さが和らぎ、やわらかな日差しに春の訪れを感じる3月。卒業や異動など、別れと出会いが交差するこの季節は、どこか切なくも希望に満ちた空気が流れます。ここでは、そんな3月の気候の特徴や、毎日を心地よく過ごすための服装選びのヒントをお届けします。
1.1 春の訪れを感じる季節
3月になると、冷たく張り詰めていた空気がふわりと緩み、日差しの暖かさに心がほっとする日が増えてきますね。暦の上では「啓蟄(けいちつ)」を迎え、冬ごもりしていた虫たちが土の中から顔を出す頃。私たち人間も、なんだか外に出かけたくなったり、新しいことを始めたくなったりと、心が自然と浮き立つのを感じるのではないでしょうか。
散歩道では、梅や桃の花が咲き誇り、足元にはつくしやふきのとうが芽吹いているかもしれません。風の中にふと感じる、甘くやさしい花の香りや土の匂いも、春がすぐそこまで来ていることを教えてくれます。五感で春の兆しを感じながら、季節の移ろいをゆっくりと味わうのも、この時期ならではの楽しみ方です。
1.2 三寒四温で寒暖差が激しい時期
心躍る春の訪れとは裏腹に、3月の気候はとても気まぐれ。「三寒四温(さんかんしおん)」という言葉があるように、暖かい日が数日続いたかと思うと、また冬のような寒さが戻ってくることも珍しくありません。春一番が吹いた後に、思いがけない雪が降る「春の雪」や「名残雪」も、3月の風物詩のひとつです。
また、この時期は一日の中でも気温差が大きくなります。朝晩はコートが必要なくらい冷え込むのに、日中は上着を脱ぎたくなるほど暖かくなることも。こうした急な気温の変化は、自律神経のバランスを崩しやすく、知らず知らずのうちに体に負担をかけてしまうことがあります。どうぞ無理をなさらず、ご自身の体をいたわりながらお過ごしくださいね。
1.3 3月の服装選びのポイント
「今日は何を着ていこうかしら?」と、毎朝クローゼットの前で悩んでしまうのがこの季節。そんな3月の服装選びの鍵は、ずばり「重ね着」です。着脱しやすい服装で、こまめに体温調節することを心がけましょう。
ライナー(裏地)が取り外せるトレンチコートやスプリングコートは、まさにこの時期にぴったりの一枚。日中は暖かくても、日が暮れると肌寒くなるため、ストールやカーディガンを一枚バッグに忍ばせておくと安心です。ウール素材の冬物コートは少し重たく感じるかもしれませんが、インナーを薄手のニットやブラウスに変えるだけで、春らしい軽やかな装いになりますよ。
気温に合わせた服装の目安を、下の表にまとめてみました。お出かけの際の参考にしてみてください。
最高気温の目安 | 服装の例 |
---|---|
16℃~20℃ | 日中は長袖シャツやブラウス一枚で快適に過ごせます。朝晩の冷え込みに備えて、カーディガンやジャケットなど軽めのアウターがあると安心です。 |
12℃~15℃ | 薄手のニットやスウェットがちょうど良い気候です。トレンチコートやジャケットを羽織ると、温度調節がしやすくなります。 |
11℃以下 | まだ冬の寒さが残る日です。厚手のセーターに、ライナー付きのコートや冬物コートを合わせるなど、しっかりとした防寒対策を心がけましょう。 |
また、「首」「手首」「足首」の3つの首を冷やさないようにすると、体感温度がぐっと上がります。スカーフを巻いたり、手袋をしたり、厚手の靴下を履いたりするだけで、寒さが和らぎますので、ぜひ試してみてくださいね。花粉が気になる方は、表面がツルツルした素材のアウターを選ぶと、花粉が付きにくく、家に入る前に払い落としやすいのでおすすめです。
2. 3月といえばこの国民的行事とイベント
3月は、寒さの中にも春の気配が感じられ、心が少し浮き立つような季節ですね。別れと出会いが交差するこの時期には、古くから伝わる大切な行事や、家族の節目を祝うイベントがたくさんあります。ここでは、3月を彩る国民的な行事やイベントを一つひとつ丁寧にご紹介します。
2.1 ひな祭り(桃の節句)

3月3日は、女の子の健やかな成長と幸せを願う「ひな祭り」です。桃の花が美しく咲き誇る頃に行われることから「桃の節句」とも呼ばれ、春の訪れを告げる華やかな行事として親しまれています。ご家庭によっては、お孫さんやお子さんのために、ひな人形を飾る準備で賑わう頃かもしれませんね。

2.1.1 ひな人形を飾る意味と由来
ひな人形を飾る風習には、とても深い意味が込められています。その起源は、人の形をした紙の人形(形代)に自分の災いや穢れを移し、川に流して厄払いをする「流し雛」にあると言われています。これに、平安時代の貴族の女の子たちの間で流行したお人形遊び「ひいな遊び」が結びつき、江戸時代には現在のような豪華なひな人形を飾る文化として定着しました。ひな人形は、単なる飾り物ではなく、女の子の厄を代わりに引き受けてくれるお守りのような存在なのです。
2.1.2 ひな祭りの行事食
ひな祭りには、食卓を彩る特別な料理をいただく楽しみもあります。それぞれの料理には、子どもの幸せを願う親の愛情がたっぷり詰まっています。
- ちらし寿司:えび(長寿)やれんこん(見通しが良い)など、縁起の良い具材がたくさん入っています。
- はまぐりのお吸い物:はまぐりの貝殻は、対の貝殻でなければぴったりと合わないことから、夫婦和合の象徴とされています。将来、素敵な伴侶に巡り会えるようにとの願いが込められています。
- ひし餅:桃色(魔除け)、白(清浄・純粋)、緑(健康・長寿)の3色で、女の子の健やかな成長を願う気持ちを表しています。
- ひなあられ:ひし餅を砕いて作られたという説もあり、1年を通じて幸せでいられるようにとの願いが込められています。
こうした行事食を囲みながら、家族で女の子の成長をお祝いする時間は、何にも代えがたい宝物ですね。
2.2 ホワイトデー

3月14日は「ホワイトデー」です。2月のバレンタインデーに心のこもった贈り物をもらった方が、感謝の気持ちを込めてお返しをする日として、すっかりおなじみになりました。この習慣は日本で始まったと言われており、今ではアジアの国々にも広がっています。お菓子によって「キャンディーはあなたが好き」「クッキーは友達のまま」といった意味があるとも言われますが、何よりも大切なのは、相手を思う感謝の気持ちを伝えること-mark>。心のこもったお返しを選んで、素敵な一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

2.3 卒業式と卒園式

3月は、多くの学校で卒業式や卒園式が行われる、別れの季節でもあります。お子さんやお孫さんの晴れ姿に、これまでの成長を思い返して胸がいっぱいになる方も多いことでしょう。制服の胸につけたコサージュや、仲間たちと歌う「仰げば尊し」。一つひとつの光景が、忘れられない思い出として心に刻まれます。寂しさと希望が入り混じる、人生の新たな門出を祝う大切な節目ですね。
2.4 春のお彼岸

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、春のお彼岸は本格的な春の訪れを感じさせてくれる時期です。ご先祖様を敬い、亡くなった大切な人を偲ぶ、私たち日本人にとって古くから続く美しい風習です。
2.4.1 お彼岸の期間はいつからいつまで?
お彼岸の期間は、「春分の日」を中日(ちゅうにち)として、その前後3日間を合わせた合計7日間と定められています。例えば2025年の春のお彼岸は、3月17日(彼岸入り)から3月23日(彼岸明け)までとなります。この期間には、お墓参りに行き、お墓をきれいに掃除して、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えるのが一般的です。
2.4.2 ぼたもちを食べる風習
お彼岸のお供え物といえば「ぼたもち」ですね。春のお彼岸に食べるものを「ぼたもち」、秋のお彼岸に食べるものを「おはぎ」と呼び分けるのは、春に咲く牡丹(ぼたん)の花と、秋に咲く萩(はぎ)の花に由来しています。昔から、小豆の赤い色には魔除けや邪気を払う力があると信じられてきました。ご先祖様への感謝と供養の気持ちを込めて、手作りのぼたもちをお供えするのも、丁寧な暮らしの楽しみ方のひとつです。
2.5 春分の日

3月20日か21日頃にある「春分の日」は、国民の祝日です。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日として法律で定められており(内閣府「国民の祝日について」参照)、天文学的には太陽が春分点を通過する日を指します。この日は、昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に本格的な春が訪れるとされています。厳しい冬を乗り越えた草木が芽吹き始める様子に、生命の力強さを感じる一日です。

2.6 3月にあるその他の記念日
3月には、上でご紹介した行事以外にも、暮らしを楽しくするユニークな記念日がたくさんあります。話の種に、いくつか知っておくのも面白いかもしれませんね。
日付 | 記念日 | 由来など |
---|---|---|
3月3日 | 耳の日 | 「み(3)み(3)」の語呂合わせ。 |
3月8日 | 国際女性デー(ミモザの日) | 女性の権利と世界平和を目指す日。イタリアでは男性が女性に感謝を込めてミモザの花を贈る習慣があります。 |
3月9日 | ありがとうの日(サンキューの日) | 「サン(3)キュー(9)」の語呂合わせ。大切な人に感謝を伝える日です。 |
3月10日 | サボテンの日 | 「サ(3)ボテン(10)」の語呂合わせから。 |
3月19日 | ミュージックの日 | 「ミュー(3)ジック(19)」の語呂合わせ。音楽の楽しさを伝える日です。 |
3. 3月ならではの春の風物詩
3月は、年度の節目ということもあり、どこかそわそわとした空気が流れる月。行事やイベントとは少し違う、この時期ならではの街の景色や人々の様子もまた、春の訪れを感じさせてくれる大切な風物詩です。ここでは、そんな3月らしい光景をいくつかご紹介します。
3.1 新生活の準備と引越しシーズン
3月になると、街なかで引越しのトラックを見かける機会がぐっと増えませんか。卒業や入学、就職、転勤など、多くの人にとって人生の節目となる出来事が重なるこの時期は、まさに引越しシーズン真っ只中です。
アパートやマンションの前には、新しい家具や家電が運び込まれ、希望に胸をふくらませる若い方の姿も。期待と少しの不安を抱えながら、新しい暮らしの準備をする人々の様子は、見ているこちらまで新鮮な気持ちにさせてくれます。お子さんやお孫さんの新生活を応援するために、一緒にお部屋を探したり、荷造りを手伝ったりと、大忙しのご家庭も多いかもしれませんね。新しい季節の始まりを告げる、活気あふれる光景です。
3.2 年度末と確定申告
お仕事をされている方にとって、3月は「年度末」。1年間の締めくくりとなる大切な時期です。街全体がどこか慌ただしい雰囲気に包まれ、誰もが少しだけ足早になっているように感じられるのも、この季節ならではかもしれません。
そして、個人にとっては「確定申告」の時期でもあります。少し面倒に感じられるかもしれませんが、1年間の医療費がたくさんかかった場合や、ふるさと納税をされた場合など、手続きをすることで払い過ぎた税金が戻ってくることもあります。暮らしに関わる大切な手続きですので、忘れずに済ませておきたいですね。
項目 | 内容 |
---|---|
申告期間 | 原則として、毎年2月16日から3月15日まで |
申告方法 | 税務署へ直接提出、郵送、e-Tax(電子申告)など |
ポイント | 近年はスマートフォンからでも申告できるe-Taxが便利です。詳しい情報は公式サイトで確認しましょう。 |
最新の情報やご自身の状況に合わせた手続きについては、国税庁のウェブサイトをご確認ください。
国税庁 確定申告特集
3.3 春の選抜高等学校野球大会(センバツ)
春の訪れとともに球音が響き渡るのが、「春の甲子園」として親しまれている選抜高等学校野球大会、通称「センバツ」です。3月下旬に兵庫県の阪神甲子園球場で開幕し、高校球児たちの熱い戦いが繰り広げられます。
厳しい冬の練習を乗り越えてきた選手たちが、白球を追いかけるひたむきな姿は、毎年多くの人々に感動と勇気を与えてくれます。夏の選手権大会のにぎやかさとはひと味違う、どこか爽やかで清々しい雰囲気が春のセンバツの魅力です。お茶を片手にテレビの前で、地元の高校や応援したいチームに声援を送るのも、この時期ならではの心温まる楽しみ方のひとつではないでしょうか。
大会の日程や出場校などの詳細は、公式サイトでご覧になれます。
公益財団法人日本高等学校野球連盟
4. 3月に旬を迎える食べ物・食材一覧
厳しい寒さが和らぎ、草木が芽吹き始める3月は、食卓にも春の息吹が届く季節です。冬の間に大地でじっくりと栄養を蓄えた野菜や、春の訪れを告げる魚介類など、この時期ならではの味覚がたくさんあります。旬の食材は、味が濃く栄養価も高いのが特徴で、私たちの心と体にやさしく染み渡ります。いつものお料理に旬の食材を一つ加えるだけで、食卓がぱっと華やぎ、季節の移ろいを感じられますよ。ここでは、3月にぜひ味わっていただきたい、とっておきの食材をご紹介します。

4.1 3月が旬の野菜
春野菜には、独特のほろ苦さや甘み、そしてみずみずしさがあります。冬の間に体に溜め込んだものをすっきりとさせてくれるような、デトックス効果が期待できるともいわれています。生命力あふれる春野菜を、毎日の食卓に取り入れてみませんか。
4.1.1 菜の花

鮮やかな黄色い花が春の訪れを感じさせる菜の花は、味覚だけでなく視覚でも私たちを楽しませてくれます。特有のほろ苦さは、一度知ると癖になる大人の味わい。ビタミンCやβ-カロテン、鉄分などが豊富で、季節の変わり目の体調管理にも役立ちます。さっと茹でておひたしや辛子和えにするのが定番ですが、パスタや炒め物にしても彩りが良く、春らしい一皿になりますよ。
4.1.2 たけのこ

春の味覚の王様といえば、やはり「たけのこ」ではないでしょうか。土の中から顔を出す力強い姿は、まさに春の生命力の象徴です。掘りたてのたけのこは、えぐみが少なく、シャキシャキとした心地よい歯ごたえと豊かな風味がたまりません。少し手間はかかりますが、丁寧にアク抜きをして作る若竹煮やたけのこご飯は、この季節だけの特別なごちそうです。春の香りを存分に楽しんでくださいね。
4.1.3 春キャベツ

「新キャベツ」とも呼ばれる春キャベツは、冬のキャベツに比べて葉がやわらかく、巻きがふんわりとしているのが特徴です。みずみずしくて甘みが強いので、ぜひ生で味わってみてください。ざく切りにして塩昆布と和えるだけでも、立派な一品になります。もちろん、スープやポトフのようにさっと火を通すお料理にもぴったり。やさしい甘みが、お料理全体をまろやかにしてくれます。
4.1.4 新玉ねぎ

春に出回る新玉ねぎは、収穫後に乾燥させずに出荷されるため、水分が豊富でみずみずしいのが魅力です。通常の玉ねぎよりも辛みが少なく、甘みが強いので、薄くスライスしてサラダにするのがおすすめです。血液をサラサラにする効果が期待できるといわれる栄養素も、生で食べることで効率よく摂ることができます。丸ごとスープにしたり、オーブンで焼いたりすると、とろりとした食感と驚くほどの甘さを楽しめますよ。
野菜 | 特徴とおすすめの食べ方 |
---|---|
菜の花 | ほろ苦さが特徴。おひたしや和え物、パスタに。 |
たけのこ | シャキシャキの食感と豊かな風味。炊き込みご飯や煮物に。 |
春キャベツ | やわらかく甘みが強い。まずはサラダなど生で味わうのがおすすめ。 |
新玉ねぎ | みずみずしく辛みが少ない。オニオンスライスや丸ごとスープに。 |
4.2 3月が旬の果物
春は、甘酸っぱくてジューシーな果物も旬を迎えます。食後のデザートやおやつの時間に、春色のフルーツを取り入れて、心華やぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
4.2.1 いちご

可愛らしい見た目と甘い香りで、子どもから大人まで大人気のいちご。実は、本来の旬は春なのです。ハウス栽培のおかげで冬から楽しめますが、春の日差しを浴びて育った露地栽培のいちごは、甘みと酸味のバランスが絶妙で、格別のおいしさです。「あまおう」や「とちおとめ」など、さまざまな品種を食べ比べてみるのも楽しいですね。ビタミンCが豊富で、美容と健康の強い味方になってくれるのも嬉しいポイントです。
4.2.2 デコポンなどの柑橘類

「デコポン(不知火)」をはじめ、「はっさく」や「いよかん」など、多くの柑橘類が3月に旬の盛りを迎えます。ぽこっとした見た目が愛らしいデコポンは、糖度が高く酸味が少ないため、とても食べやすいのが特徴です。爽やかな香りは、気分をリフレッシュさせてくれます。薄皮もやわらかいので、そのまま手でむいて手軽にいただけるのも魅力ですね。ビタミン補給に、ぜひどうぞ。
果物 | 特徴とおすすめの食べ方 |
---|---|
いちご | 甘みと酸味のバランスが良い。そのままはもちろん、ケーキやジャムにも。 |
デコポンなどの柑橘類 | 甘みが強く爽やかな香り。手でむいてそのまま食べるのが一番。 |
4.3 3月が旬の魚介類
春の海からも、おいしい便りが届きます。ひな祭りなどの行事食に欠かせないものや、春の訪れを告げる風物詩として親しまれている魚介類をご紹介します。
4.3.1 鰆(さわら)

その名前に「春」という漢字が使われていることからもわかるように、鰆は春を代表する魚です。関西地方では特に春に珍重され、産卵のために沿岸に近づくこの時期の鰆は、脂が乗りつつも上品でさっぱりとした味わいが楽しめます。身がやわらかく、クセがないため、塩焼きや照り焼き、西京焼きなど、さまざまな調理法でおいしくいただけます。
4.3.2 蛤(はまぐり)

3月3日のひな祭りに欠かせないのが、蛤のお吸い物です。蛤の貝殻は、対になっているもの以外とはぴったりと合わないことから、「夫婦円満」や「良縁」を象徴する縁起物とされてきました。ふっくらとした身から出る濃厚なうまみは、お吸い物を格別の味わいにしてくれます。酒蒸しやバター焼きにしても、そのおいしさを存分に堪能できますよ。
4.3.3 蛍烏賊(ホタルイカ)

富山湾の神秘的な光景でも知られる蛍烏賊は、春の訪れを告げる小さな珍味です。小さくてもワタの濃厚なうまみとコクがあり、プリっとした食感がたまりません。新鮮なものは、さっと茹でて酢味噌で和えるのが定番の食べ方。他にも、パスタの具材にしたり、炊き込みご飯にしたりと、アイデア次第で楽しめます。春の夜に、日本酒と共にゆっくりと味わいたい逸品ですね。
旬の食材について、より詳しく知りたい方は、農林水産省のウェブサイトも参考になります。
こどもそうだん:農林水産省
魚介類 | 特徴とおすすめの食べ方 |
---|---|
鰆(さわら) | 上品でさっぱりとした白身魚。塩焼き、照り焼き、西京焼きに。 |
蛤(はまぐり) | ひな祭りの縁起物。濃厚なうまみがお吸い物や酒蒸しに最適。 |
蛍烏賊(ホタルイカ) | ワタの濃厚なうまみが特徴。酢味噌和えやパスタ、炊き込みご飯に。 |
5. 3月に見頃を迎える美しい花
寒さの中にも、ふと柔らかな日差しを感じる日が増える3月。この季節は、色とりどりの花たちが次々と顔を出し、春の訪れを告げてくれます。重いコートを脱いで、近所をお散歩するだけでも、心ときめく美しい花々に出会えるかもしれませんね。ここでは、3月にぜひ楽しみたい代表的な花をご紹介します。

5.1 桃の花

3月3日の「ひな祭り」が「桃の節句」とも呼ばれるように、桃の花は3月を象徴する花の一つです。古くから邪気を払う力があると信じられており、女の子の健やかな成長を願って飾られてきました。桜によく似ていますが、桃の花は花びらの先が尖っていて、枝に2輪ずつ寄り添うように咲くのが特徴。愛らしいピンク色の花々が、春のお祝いムードを一層盛り上げてくれますね。
花言葉は「チャーミング」「気立ての良さ」「天下無敵」など。その可憐な見た目と、邪気を払うとされる力強さの両方を表しているようです。
5.2 菜の花

あたたかな春の光を浴びて、一面に広がる黄色い絨毯。そんな心躍る風景を見せてくれるのが菜の花です。アブラナ科の黄色い花の総称で、観賞用だけでなく、旬の食材としても私たちの食卓を彩ってくれます。川沿いの土手や畑に咲き誇る菜の花畑を訪れれば、その明るい黄色と独特の甘い香りに包まれて、心からリフレッシュできるでしょう。
花言葉は「快活」「明るさ」。見ているだけで元気をもらえる、春にぴったりの花ですね。
5.3 桜(早咲きの種類)

「お花見」と聞くと4月のソメイヨシノを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は3月には一足早く春の訪れを告げてくれる桜たちが主役を迎えます。まだ少し肌寒い中で咲き誇る姿は、力強い生命力を感じさせてくれますよ。代表的な早咲きの桜には、次のような種類があります。
桜の種類 | 主な見頃 | 特徴 |
---|---|---|
河津桜(かわづざくら) | 2月上旬~3月上旬 | ソメイヨシノより濃いピンク色が特徴。約1ヶ月と長い期間楽しめるのも魅力です。 |
寒緋桜(かんひざくら) | 2月中旬~3月中旬 | 釣鐘状の下向きに咲く、濃い緋色が印象的。沖縄では桜の開花といえばこの花を指します。 |
大寒桜(おおかんざくら) | 3月中旬 | 淡い紅色の一重咲き。ソメイヨシノより少し早く、春の訪れを知らせてくれます。 |
満開のソメイヨシノを待つ間の、この時期ならではの桜を探しにお散歩するのも、素敵な春の楽しみ方ではないでしょうか。
5.4 チューリップ

赤、白、黄色、ピンク…と、色とりどりの花を咲かせるチューリップは、春の花壇の主役ですね。すっと伸びた茎の先に咲く、コロンとした可愛らしいフォルムは、誰からも愛される春のシンボルです。公園の花壇はもちろん、ご自宅のプランターでも育てやすく、私たちに春の喜びを身近に感じさせてくれます。
チューリップは色によって花言葉が違うのも面白いところ。「愛の告白」(赤)、「思いやり」(ピンク)、「正直」(白)など、贈る相手を想って色を選ぶのも楽しい時間になりそうです。
5.5 ミモザ

近年、特に人気が高まっているのがミモザです。ふわふわとした綿毛のような、鮮やかな黄色い小花が集まって咲く姿は、見ているだけで心が弾みます。その明るく可憐な様子から、リースやスワッグ(壁飾り)の材料としても大変人気があります。
また、3月8日は「国際女性デー」であり、イタリアでは男性が女性に感謝を込めてミモザを贈る習慣があることから「ミモザの日」としても知られています。大切な友人や家族へ、感謝の気持ちを込めてミモザを贈ってみるのも素敵ですね。花言葉は「感謝」「友情」「優雅」など。春の柔らかな日差しのような、優しい気持ちを届けてくれる花です。
6. 手紙や挨拶で使える3月の季語
寒さの中にも、ふとした瞬間に春の気配が感じられる3月。弥生(やよい)という美しい和風月名が表すように、草木がいよいよ芽吹く季節です。大切な方へのお便りや、日々の挨拶に季節の言葉を添えてみてはいかがでしょうか。季節の移ろいを短い言葉で表現した季語は、手紙や挨拶に添えるだけで、ぐっと趣が深まります。ここでは、そんな3月にぴったりの季語を、例文とともにご紹介します。

6.1 時候に関する3月の季語
少しずつ暖かくなる日差しや、まだ肌寒い風など、冬から春へと移りゆく繊細な季節の変化を表す言葉です。手紙の書き出しである「時候の挨拶」に使うと、季節感あふれる素敵な印象になりますよ。
季語 | 読み方 | 意味と使い方 |
---|---|---|
春浅し | はるあさし | 春になったばかりで、まだ冬の名残が感じられる頃合いを指します。3月上旬に使うのがおすすめです。 (例文)春浅しの候、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。 |
啓蟄 | けいちつ | 二十四節気の一つで、冬ごもりしていた虫たちが土の中から出てくる頃(3月5日頃)。本格的な春の訪れを感じさせます。 (例文)啓蟄を過ぎ、日差しに春の力が感じられるようになりました。 |
春寒 | しゅんかん / はるさむ | 春になったのに、冬のように寒いこと。暖かくなった後のぶり返す寒さを指します。 (例文)春寒の折、どうぞご自愛くださいませ。 |
春分 | しゅんぶん | 二十四節気の一つで、昼と夜の長さがほぼ同じになる日(3月20日頃)。この日を境に、本格的な春がやってきます。 (例文)春分のみぎり、庭の草花も色とりどりに咲き始めました。 |
麗か | うららか | 空が晴れ渡り、日差しがやわらかく、のどかな春の様子を表す言葉です。3月下旬から4月にかけて使えます。 (例文)春うららかな好季節、お健やかにお過ごしのことと存じます。 |
6.2 生活や行事に関する3月の季語
3月に行われる行事や、この時期ならではの暮らしの様子も季語として使われます。共通の思い出や体験が目に浮かぶような言葉は、相手との距離をそっと縮めてくれるでしょう。
季語 | 読み方 | 意味と使い方 |
---|---|---|
雛祭り | ひなまつり | 3月3日の桃の節句のこと。女の子の健やかな成長を願う華やかな行事です。 (例文)雛祭りの灯りが、街にも春を告げているようです。 |
卒業 | そつぎょう | 学校を卒業すること。別れの寂しさと、新しい門出への希望が入り混じる季節の言葉です。 (例文)卒業式の季節となり、若者たちの希望に満ちた笑顔が眩しく感じられます。 |
東風 | こち | 春先に吹く、東からのやさしい風のこと。春の訪れを告げる風とされています。 (例文)心地よい東風に吹かれ、散歩に出かけたくなる陽気となりました。 |
彼岸 | ひがん | 春分の日を中日とした前後3日間、合計7日間のこと。ご先祖様を供養する期間です。 (例文)お彼岸に入り、ようやく寒さも和らいでまいりました。 |
6.3 動物や植物に関する3月の季語
春の訪れとともに、動植物たちも活発に動き始めます。道端の小さな草花や、空を舞う鳥の姿に季節を見つけるのも、暮らしの素敵な楽しみ方ですね。
季語 | 読み方 | 意味と使い方 |
---|---|---|
蝶 | ちょう | 春の季語として使われる蝶。特にその年初めて見る蝶は「初蝶(はつちょう)」といいます。 (例文)ひらひらと舞う蝶の姿に、春の訪れを感じるこの頃です。 |
燕 | つばめ | 春になると南から渡ってくる、なじみ深い鳥。春の訪れの象徴です。 (例文)軒先を燕がかすめる季節となりました。 |
桃の花 | もものはな | 雛祭りの頃に見頃を迎える、愛らしいピンク色の花。春の華やかさを象徴します。 (例文)桃の花が咲き誇り、心も華やぐ季節となりました。 |
木蓮 | もくれん | 春の青空に映える、白や紫の大きな花。上品で優雅な印象を与えます。 (例文)淡雪のように儚げな木蓮の花が、青空に映える頃となりました。 |
たんぽぽ | たんぽぽ | 道端や野原でよく見かける、黄色いかれんな花。身近な春のしるしです。 (例文)足もとに咲くたんぽぽに、心が和む毎日です。 |
7. まとめ
3月は、三寒四温の言葉通り寒さと暖かさが入り混じりながら、確かな春の訪れを感じさせてくれる月です。ひな祭りやお彼岸といった古くからの行事、そして卒業という別れと門出の季節でもありますね。旬を迎える菜の花やいちご、美しい桃の花などが、日々の暮らしに優しい彩りを添えてくれます。季節の恵みを味わい、移ろいゆく景色を楽しみながら、心豊かなひと月を過ごしてみませんか。
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