グレゴリオ暦とは?ユリウス暦・西暦・太陽暦との違いは?日本ではいつから導入?

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私たちが当たり前に使っているカレンダー、実は「グレゴリオ暦」という名前があるのをご存知ですか?この記事では、現在世界標準のグレゴリオ暦と、その元になったユリウス暦との違いを、やさしく紐解いていきます。なぜ暦を変える必要があったのか、その鍵は「閏年」の計算が生むわずかなズレにありました。西暦との関係や日本での導入時期もご紹介。暦の歴史を知ると、日々の暮らしが少し味わい深くなるかもしれません。

目次

1. グレゴリオ暦とは 現在の世界標準となっている暦

今日の日付を確認したり、大切な人の誕生日を祝ったり、旅行の計画を立てたり。私たちの暮らしに欠かせないカレンダーですが、このカレンダーが「グレゴリオ暦」という名前だということは、ご存知でしたか?少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は今、世界中の多くの国で標準的に使われている、私たちにとって最も身近な暦のことなのです。この章では、そんなグレゴリオ暦の基本について、やさしく紐解いていきましょう。

1.1 私たちが毎日使っている「西暦」のこと

「グレゴリオ暦」と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、これは私たちが普段「西暦」と呼んでいるものと、ほぼ同じものと考えて差し支えありません。「今年は西暦2024年」と言うように、グレゴリオ暦はイエス・キリストが生まれたとされる年を基準に数えられています。世界中で共通の時間を認識できるのは、このグレゴリオ暦が広く普及しているおかげなのですね。

1.2 なぜ「グレゴリオ」暦?名前の由来

この暦の名前は、16世紀のローマ教皇「グレゴリウス13世」に由来します。彼がこの暦を制定したことから、その名が付けられました。

では、なぜ新しい暦を作る必要があったのでしょうか。それは、当時使われていた「ユリウス暦」という暦が、長い年月をかけて少しずつ実際の季節とズレてきてしまったからです。例えば、春の訪れを告げる「春分の日」が、暦の上ではどんどん早まってしまう、といった問題が起きていました。そこでグレゴリウス13世は、このズレを修正し、より正確な新しい暦としてグレゴリオ暦を1582年に導入したのです。

1.3 グレゴリオ暦の主な特徴

グレゴリオ暦がどのような暦なのか、その特徴を簡単にまとめてみました。一番のポイントは、1年の長さをより精密に地球の公転周期(地球が太陽の周りを一周する時間)に近づけた点にあります。

項目内容
基準太陽の動き(太陽暦)
1年の日数通常は365日
閏年(うるうどし)4年に1度、2月29日を加えて366日とする。
ただし、より正確にするための特別なルールがある。(※このルールがユリウス暦との大きな違いです)
目的実際の季節(太陽の動き)と暦のズレを、極めて小さくすること。

このように、グレゴリオ暦は天体の動きに非常に忠実で、高い精度を誇る暦です。だからこそ、400年以上経った今でも世界標準として使われ続けているのですね。次の章では、このグレゴリオ暦が生まれるきっかけとなった「ユリウス暦」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

2. グレゴリオ暦の基礎となったユリウス暦とは

今、私たちが当たり前のように使っている「グレゴリオ暦」。実はこの暦には、お手本となった「ユリウス暦」という古い暦がありました。グレゴリオ暦をより深く知るために、まずはその基礎となったユリウス暦について、少し時間をさかのぼって見ていきましょう。

2.1 古代ローマの英雄、ユリウス・カエサルが制定

ユリウス暦が生まれたのは、はるか昔の古代ローマ時代。その名の通り、古代ローマの英雄ユリウス・カエサル(英語読みではジュリアス・シーザー)が制定した暦なのです。

彼が登場する前のローマで使われていた暦(ローマ暦)は、月の満ち欠けをもとにしていたため、実際の季節と少しずつずれてしまうという悩みを抱えていました。春のお祭りが夏に行われるようなこともあったそうです。そこでカエサルは、当時先進的だったエジプトの暦を参考に、太陽の動きに基づいた新しい暦を作ることを決意します。こうして紀元前45年に導入されたのが「ユリウス暦」でした。

2.2 ユリウス暦のシンプルなルール「4年に1度の閏年」

ユリウス暦の仕組みは、とてもシンプルで画期的なものでした。地球が太陽の周りを一周する時間を約365.25日と計算し、1年の長さを365日とし、4年に一度だけ1日多い「閏年(うるうどし)」を設けるというルールです。この分かりやすいルールのおかげで、それまでの暦に比べて季節とのずれがぐっと少なくなりました。

ユリウス暦の主な特徴を、下の表にまとめてみました。

項目内容
制定者ユリウス・カエサル
使われ始めた年紀元前45年
1年の平均日数365.25日
閏年のルール原則として4年に1度、閏年を置く

2.3 1500年以上も使われた歴史的な暦

ユリウス・カエサルによって定められたユリウス暦は、その使いやすさからローマ帝国で広く採用され、その後ヨーロッパ全土へと広がっていきました。そして、実に1500年以上にわたって、ヨーロッパの標準的な暦として使われ続けたのです。長い間、人々の暮らしや歴史の営みを支えてきた、とても大切な暦だったのですね。

しかし、このユリウス暦も完璧ではありませんでした。実は、1年を「365.25日」とする計算には、ほんのわずかな誤差があったのです。その小さなずれが、長い年月をかけて積み重なり、のちに「グレゴリオ暦」へと改暦されるきっかけとなっていくのです。

3. グレゴリオ暦とユリウス暦の決定的な違いを比較

「グレゴリオ暦」と「ユリウス暦」、名前は少し似ていますが、実は私たちの生活に深く関わる、とても大切な違いがあるんですよ。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、ポイントさえわかれば「なるほど!」と思えるはず。一体どこが違うのか、一緒に見ていきましょう。

3.1 閏年の計算ルールが異なる

二つの暦の最も大きな違いは、「閏年(うるうどし)」をどのように計算するか、というルールにあります。4年に一度やってくる閏年ですが、実はその決め方が少しだけ違うのです。

ユリウス暦のルールはとてもシンプルでした。一方で、グレゴリオ暦は、そのシンプルなルールにほんの少しだけ特別な条件を加えて、より正確な暦を目指しました。下の表で見比べてみると、その違いがよくわかりますよ。

暦の種類閏年のルール
ユリウス暦原則として、4で割り切れる年をすべて閏年とします。
グレゴリオ暦4で割り切れる年を閏年とします。(ユリウス暦と同じ) ただし、100で割り切れる年は平年(閏年ではない年)とします。 さらに例外として、100で割り切れて、なおかつ400でも割り切れる年は閏年とします。

このルールのおかげで、例えば西暦1900年は100で割り切れるので平年でしたが、西暦2000年は400でも割り切れるため、特別な閏年となりました。この細かい調整によって、グレゴリオ暦は地球が太陽の周りをまわる実際の時間と、ほとんどズレがなくなったというわけです。

3.2 なぜユリウス暦からグレゴリオ暦への改暦が必要だったのか

では、どうしてわざわざ暦のルールを変える必要があったのでしょうか。それは、ユリウス暦を長く使い続けるうちに、暦の上での日付と、実際の季節との間に少しずつズレが生じてしまったからです。

ユリウス暦の「4年に1度」というシンプルなルールでは、1年の平均日数が実際の太陽の動きに基づく1年(約365.2422日)よりも、わずかに(約11分ほど)長くなってしまいます。たった11分と思うかもしれませんが、この小さなズレも積もり積もれば大きなものになります。およそ128年で1日、16世紀頃にはそのズレは10日にも達していました。

このズレが特に問題となったのが、キリスト教における「復活祭」の日取りです。復活祭は「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、暦の上の春分の日が実際の季節とずれてしまうと、この大切なお祭りの日を正しく決められなくなってしまいます。

この事態を解決するために立ち上がったのが、当時のローマ教皇グレゴリウス13世でした。彼は天文学者たちに命じて、より精密な暦を作らせました。そうして誕生したのが、彼の名前にちなんだ「グレゴリオ暦」なのです。暦と季節のズレという長年の悩みを解決するための、大きな改革だったのですね。

4. グレゴリオ暦と西暦・太陽暦の関係性を解説

さて、ここまでグレゴリオ暦とユリウス暦について見てきましたが、「西暦」や「太陽暦」といった言葉もよく耳にしますよね。なんだか似たような言葉がたくさんあって、少しややこしく感じられるかもしれません。でも大丈夫、一つひとつ見ていくと、それぞれの関係がすっきりと見えてきますよ。ここでは、これらの言葉のつながりを、やさしく解きほぐしていきましょう。

4.1 太陽の動きを基準にする太陽暦

まず、一番大きな分類である「太陽暦(たいようれき)」についてお話ししますね。これはその名の通り、地球が太陽の周りをぐるっと一周する時間(約365.24日)を1年とする暦のことです。

春の訪れや夏の盛り、実りの秋といった季節の巡りは、まさにお日様の動きそのもの。この季節の移り変わりと暦がずれないように作られているのが太陽暦の大きな特徴です。私たちがこれまで見てきたグレゴリオ暦も、その前のユリウス暦も、この「太陽暦」という大きな家族の一員なんですよ。

ちなみに、暦には月の満ち欠けを基準にした「太陰暦(たいいんれき)」というものもあります。日本の旧暦のように、太陽と月の両方の動きを取り入れた「太陰太陽暦」という暦も使われていました。太陽暦は、季節を大切にする暮らしに寄り添った暦といえるかもしれませんね。

4.2 西暦とグレゴリオ暦は同じもの?

「西暦2024年」のように、私たちが普段何気なく使っている「西暦」。これはグレゴリオ暦と同じものなのでしょうか?答えを先に言うと、「現在、私たちが使っている西暦は、グレゴリオ暦というルールで計算されています」となります。

実は、「西暦」と「グレゴリオ暦」は、それぞれ指している役割が少し違うのです。

  • 西暦:イエス・キリストが生まれたとされる年を「1年」として数え始める「年の数え方(紀年法)」のこと。
  • グレゴリオ暦:1年を365日とし、4年に1度の閏年などで調整する「カレンダーの仕組み(暦法)」のこと。

つまり、「西暦」は「いつから数え始めるか」というスタート地点の話で、「グレゴリオ暦」は「1年をどう計算するか」というルールの話、というわけなのですね。この関係を、表で整理してみましょう。

名称意味合い基準となるもの
西暦年の数え方(紀年法)イエス・キリストが生まれたとされる年
グレゴリオ暦カレンダーの仕組み(暦法)地球が太陽の周りを回る周期

ですから、「西暦2024年」というのは、「キリストが生まれてから2024年目」という年の数え方(西暦)を、「グレゴリオ暦」というカレンダーのルールに当てはめて過ごしている、ということになります。もともと西暦はユリウス暦と一緒に使われていましたが、より正確なグレゴリオ暦が登場したことで、今では「西暦といえばグレゴリオ暦」という組み合わせが世界標準となっているのですよ。

5. 日本ではいつからグレゴリオ暦が導入された?

さて、世界標準となっているグレゴリオ暦ですが、私たち日本人にとってはいつから身近なものになったのでしょうか。実は、日本でグレゴリオ暦が使われるようになったのは、それほど昔のことではありません。今から約150年前の明治時代に入ってからのことなのです。

それまでの日本では、月の満ち欠けを基準にした独自の暦が使われていました。しかし、欧米の文化が次々と入ってきた明治時代、「海外と手紙や貿易のやりとりをするのに、日付が違うと不便だわ」という声が高まります。そこで、日本も世界と歩調を合わせるために、大きな決断をすることになったのです。

5.1 明治時代の改暦で採用

グレゴリオ暦の採用が決定されたのは、明治5年(1872年)のことでした。明治政府は「太政官布告第337号」という法令を出し、暦を新しいものに切り替えることを国民に知らせました。

この改暦は、とても急なものでした。なんと、明治5年12月2日の翌日が、いきなり「明治6年1月1日」となったのです。12月はたった2日間で終わり、約1ヶ月もの日がごっそりと無くなってしまいました。当時の人々は「お給料はどうなるの?」「お祭りの日は?」と、さぞかし驚き、戸惑ったことでしょう。

この大胆な改暦を後押しした一人に、一万円札の顔でもおなじみの福沢諭吉がいます。彼は『改暦弁』という本を書き、「新しい暦は合理的で分かりやすいですよ」と、その利点を人々に丁寧に説いて回ったといわれています。文明開化の波に乗り、日本が近代国家として歩み出すための、大きな一歩だったのですね。

5.2 旧暦(太陰太陽暦)から新暦(グレゴリオ暦)へ

明治時代に改暦されるまで、日本では「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」、いわゆる「旧暦」が使われていました。これは、月の満ち欠けを基本としながら、太陽の動き(季節)とのズレを調整する、自然のリズムに寄り添った暦でした。

新しく採用されたグレゴリオ暦(新暦)と、それまでの旧暦には、どのような違いがあるのでしょうか。下の表で比べてみましょう。

比較項目旧暦(太陰太陽暦)新暦(グレゴリオ暦)
暦の基準月の満ち欠けを主とし、太陽の動きで調整太陽の動き
1年の長さ通常は約354日(閏月のある年は約384日)365日(閏年は366日)
ズレの調整方法約3年に1度「閏月(うるうづき)」という1ヶ月を加えて調整4年に1度「閏日(うるうび)」という1日を加えて調整(例外あり)

旧暦では、季節のズレを調整するために「閏月」という特別な月が挿入されました。そのため、1年が13ヶ月になる年もあったのです。農業が中心だった時代には、月の満ち欠けや季節の移ろいを肌で感じられる旧暦が、暮らしのリズムに合っていたのかもしれませんね。

今ではすっかり新暦での生活が当たり前になりましたが、お盆や七夕といった伝統行事、あるいは六曜(大安や仏滅など)といった形で、今でも私たちの暮らしの中に旧暦の名残が息づいています。昔の暦に思いを馳せてみると、日々の暮らしがまた少し違って見えてくるかもしれませんね。

6. 今でもユリウス暦は使われている?

世界中で当たり前のように使われているグレゴリオ暦ですが、実は今でも、特定の場面ではユリウス暦が大切に使い続けられているんですよ。なんだか不思議な感じがしますよね。一体どのような場所で、ユリウス暦は今も現役なのでしょうか。

6.1 一部の正教会で宗教暦として現役

ユリウス暦が今も大切に使われている代表的な場所が、ロシア正教会やギリシャ正教会といった、東方教会の一部です。これらの教会では、日々の生活ではグレゴリオ暦を使いながらも、クリスマスや復活祭といった大切な宗教行事を、伝統的なユリウス暦に基づいてお祝いしています。

長い歴史と伝統を重んじる教会にとって、暦は単なる日付の計算方法ではなく、信仰と深く結びついた大切な文化なのですね。そのため、ローマ・カトリック教会がグレゴリオ暦を導入した後も、昔ながらのユリウス暦を使い続けているのです。

6.1.1 クリスマスや復活祭の日付が違う理由

「海外のニュースで、クリスマスを1月にお祝いしている様子を見たことがある」という方もいらっしゃるかもしれません。これも、ユリウス暦とグレゴリオ暦の日付のズレが理由です。

現在、ユリウス暦はグレゴリオ暦よりも13日遅れています。そのため、ユリウス暦の12月25日のクリスマスは、グレゴリオ暦では1月7日にあたるのです。同じキリスト教でも、宗派によってお祝いする日が違うのは、こうした暦の違いが背景にあるのですね。

クリスマスだけでなく、キリスト教で最も重要とされる復活祭(イースター)も、ユリウス暦を基準に計算されるため、カトリックやプロテスタントの教会とは日程が異なることがほとんどです。

祝祭日グレゴリオ暦(カトリック・プロテスタントなど)ユリウス暦(一部の正教会)に基づく日付
クリスマス12月25日1月7日(ユリウス暦の12月25日)
復活祭(イースター)3月〜4月頃(春分後の最初の満月の次の日曜日)4月〜5月頃(独自の計算方法で算出)

6.2 歴史や天文学の世界でも

宗教の世界だけでなく、歴史や天文学といった学問の分野でも、ユリウス暦が使われることがあります。

例えば、グレゴリオ暦が導入される前の歴史的な出来事を正確に記録したり、当時の日付を調べたりする際には、ユリウス暦が用いられます。また、天文学の世界では、日数をシンプルに数えるための「ユリウス通日」という特別な数え方があり、日々の観測記録などに活用されています。私たちの暮らしから遠い世界のようですが、昔の暦も形を変えて、現代の学問を支えているのですね。

7. まとめ

毎日当たり前のように使っているカレンダー、グレゴリオ暦。これは、かつて使われていたユリウス暦の「季節とのズレ」を正すために生まれました。閏年のルールをより精密にすることで、太陽の動きと暦を一致させたのですね。日本では明治時代に旧暦から切り替わり、私たちの暮らしに定着しました。普段意識することのない暦ですが、その背景にある長い歴史に思いを馳せると、一日一日が少し違って見えてくるかもしれませんね。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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