「大晦日」とは?意味と過ごし方や食べ物、やってはいけないことも解説

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一年の終わりを告げる、12月31日の「大晦日」。この日は単なる最終日ではなく、古い年の厄を清め、新しい年の神様である「年神様」を晴れやかにお迎えするための、大切な準備の日です。この記事では、大晦日の本来の意味や由来、伝統的な過ごし方から食べ物のいわれ、気をつけたいタブーまでを丁寧に解説します。心豊かに新年を迎えるためのヒントが、きっと見つかりますよ。

目次

1. 大晦日とは そもそもどんな日?

一年の終わりを告げる、12月31日の「大晦日(おおみそか)」。なんだか少し特別な響きがありますよね。慌ただしい毎日から少しだけ心を落ち着けて、過ぎゆく年に思いを馳せ、新しい年への希望を胸に抱く。そんな静かで温かい時間ではないでしょうか。大晦日は、単にカレンダーの最後の日というだけではなく、古くからの日本の風習に根ざした、とても大切な意味を持つ一日なのです。まずは、その言葉の由来や意味から、ゆっくりと紐解いていきましょう。

1.1 大晦日の意味と由来を解説

「大晦日」という言葉の意味を知るには、まず「晦日(みそか)」について理解するのが近道です。

もともと「晦日」は、月の最終日を指す言葉でした。昔使われていた太陰暦(旧暦)では、月の満ち欠けを基準にひと月を数えていたため、毎月30日が最終日となることが多かったことから「三十日(みそか)」と呼ばれるようになったと言われています。また、月の最終日は月が隠れる日であることから「月隠り(つきごもり)」が転じて「つごもり」とも呼ばれていました。

そして、一年の締めくくりとなる12月の晦日は、一年で最も大切な最後の晦日であることから「大」という字をつけて「大晦日(おおみそか)」と呼ぶようになったのです。

言葉意味
晦日(みそか・つごもり)各月の最終日のこと。
大晦日(おおみそか)一年の最後の晦日、つまり12月の末日のこと。

では、なぜ大晦日がこれほど大切にされてきたのでしょうか。それは、新しい年の福をもたらす「年神様(としがみさま)」をお迎えするための、神聖な準備の日だったからです。昔の人々は、大晦日の日没とともに新しい年が始まると考えていました。そのため、年神様を気持ちよくお迎えできるよう、家を清め、ごちそうを用意して、一晩中寝ずに待つという風習があったのです。この「年籠り(としごもり)」という習慣が、現代の私たちの過ごし方にも繋がっています。(参考:神社本庁

1.2 大晦日はいつ?12月31日を指す言葉

現代の私たちにとって、大晦日は12月31日を指します。これは、明治時代に太陽暦(新暦)が採用され、一年の最後の日が12月31日に定められたことによるものです。

カレンダーの上では一年の最終日ですが、昔からの風習を思うと、単なる終わりではなく「新しい始まりへの準備の日」と捉えることができますね。今年一年の出来事を振り返り、感謝の気持ちとともに穏やかに過ごす。そして、晴れやかな心で新年を迎える。大晦日は、そんな心豊かな時間を与えてくれる、私たち日本人にとって特別な一日なのです。

2. 大晦日の伝統的な過ごし方

一年の終わりを告げる大晦日。日本では古くから、新しい年を清らかな気持ちで迎えるための様々な習わしが大切にされてきました。慌ただしい一日ではありますが、一つひとつの行事に込められた意味を知ると、より一層感慨深い時間を過ごせるのではないでしょうか。ここでは、昔ながらの日本の大晦日の過ごし方をご紹介します。

2.1 一年の汚れを落とす大掃除

大晦日といえば、多くの方が思い浮かべるのが大掃除ですね。これは単に家をきれいにするだけでなく、一年の間にたまった厄や穢れを払い、清浄な空間に年神様(としがみさま)をお迎えするための、大切な神事の一つとされています。

もともとは「煤払い(すすはらい)」と呼ばれ、平安時代の宮中行事が起源とされています。かつては12月13日に行われるのが一般的で、この日を「正月事始め」として、本格的なお正月の準備を開始していました。現代では年末の忙しさから大晦日近くに行うご家庭が多いですが、年神様を気持ちよくお迎えするという心は、今も昔も変わりません。隅々まで完璧に、と気負わずに、家族で分担しながら感謝を込めて掃除をしてみてはいかがでしょうか。

大掃除の由来ともされる「煤払い」は、単なる掃除ではなく、神社の「大祓(おおはらえ)」のように、知らず知らずのうちに積もった罪や穢れを祓い清める意味合いも持っています。詳しくは神社本庁のウェブサイトでも解説されていますので、ご興味のある方はご覧ください。

2.2 縁起を担ぐ年越しそばを食べる

大晦日の夜にいただく年越しそばも、欠かすことのできない風習です。細く長く伸びるそばにちなんで「長寿」を願うのは有名ですが、その他にも様々な願いが込められています。

例えば、そばは切れやすいことから「一年の厄災を断ち切る」という意味や、金銀細工師が散らばった金粉を集めるのにそば粉を使ったことから「金運が上がる」といった縁起担ぎもあります。家族で温かいおそばをすすりながら、過ぎゆく年に思いを馳せ、新しい年の幸せを願う。そんなひとときが、日本の大晦日の食卓を彩ってきました。

2.3 除夜の鐘を聞きに行く

ゴーン、ゴーンと、大晦日の夜に鳴り響く除夜の鐘の音。この音色を聞くと、いよいよ年が明けるのだと実感が湧いてきますね。除夜の鐘は、全国各地のお寺で、大晦日の深夜0時を挟んで108回鳴らされます。

この108という数字は、人間が持つとされる煩悩の数を表しています。鐘の音一つひとつに、自身の心の迷いや苦しみである煩悩を打ち払い、清らかな心で新年を迎えるという願いが込められているのです。静寂な夜に響き渡る厳かな鐘の音に耳を澄ませば、自然と心が洗われるような気持ちになるでしょう。お近くのお寺へ足を運んでみるのも、特別な年越しの体験になりますよ。

2.4 年神様を迎えるお正月の準備

大掃除を終えたら、いよいよ年神様をお迎えするための最終準備に取り掛かります。お正月の飾り付けやお供え物の用意など、新年を晴れやかに祝うための大切な支度です。

2.4.1 おせち料理の準備

おせち料理は、五穀豊穣や家族の安全と健康、子孫繁栄といった様々な願いが込められた縁起物の料理です。もともとは、新年にお迎えする年神様へのお供え物であり、そのお下がりを家族でいただくことで神様の力を授かる’mark>という意味合いがありました。

また、お正月にはかまどの神様に休んでいただくため、日持ちのするおせち料理を大晦日までに作っておく、という習わしもあります。最近では素敵なおせちを購入される方も増えましたが、得意な一品だけでも手作りしてみると、お正月を迎える気持ちがより一層深まりそうですね。

2.4.2 神棚や仏壇の掃除

家の中でも特に神聖な場所である神棚や仏壇は、神様やご先祖様への一年間の感謝を込めて、一年で最も丁寧に掃除をしたい場所です。大掃除の際に、きれいな布巾で埃を払い、清々しい状態にしておきましょう。

そして、新しい年神様をお迎えするために、神棚のお札を新しいものに取り替え、お米やお酒、塩、水といったお供え物も新しくします。仏壇にも、感謝の気持ちを込めてお花やお供え物をし、ご先祖様に一年の報告と新年のご挨拶をしたいですね。

2.5 二年参り 初詣に出かける

「二年参り(にねんまいり)」という言葉を聞いたことはありますか?これは、大晦日の夜から元日の朝にかけて、2年にまたがって神社仏閣へお参りすることを指します。旧年中に一度お参りして一年の感謝を伝え、年が明けてから改めて新年のご挨拶をするという、とても丁寧なお参りの仕方です。

過ぎゆく年への感謝と、新しい年への願いを神様や仏様に伝える大切な時間として、今も多くの地域で行われています。初詣との違いを下の表にまとめました。

二年参り初詣
お参りの時期大晦日の夜から元日の早朝にかけて元日から松の内(一般的に1月7日頃)まで
主な目的旧年への感謝と、新年の無病息災などの祈願新年の無病息災や家内安全などの祈願

深夜の澄んだ空気の中、静かにお参りする二年参りは、初詣の賑わいとはまた違った趣があります。一年の締めくくりと始まりを神聖な場所で迎えるのも、心に残る素敵な過ごし方です。

3. 現代版 大晦日の過ごし方アイデア

昔ながらの過ごし方も素敵ですが、時代とともに大晦日の楽しみ方も新しく、そして自由になってきました。伝統にとらわれず、ご自身の心がおどるような過ごし方を見つけるのも、また良いものです。ここでは、現代ならではの大晦日の過ごし方のアイデアをいくつかご紹介します。一年を締めくくる特別な一日を、あなたらしいスタイルで彩ってみませんか。

3.1 テレビ番組を見て家族で過ごす

やはり、大晦日の夜の定番といえば、暖かいお部屋でテレビを見ながら家族と過ごす時間ではないでしょうか。こたつにみかんを用意して、おそばを食べながら談笑する…そんな何気ないひとときが、心に残る思い出になりますよね。

大晦日の風物詩である「NHK紅白歌合戦」を見ながら一年を振り返り、好きな歌手の登場に胸を躍らせるのも楽しいものです。番組の終わりが近づくと、新しい年がすぐそこまで来ていることを実感します。そして、年越しの瞬間は、厳かな雰囲気の「ゆく年くる年」で静かに迎えるのもまた、日本の大晦日らしい過ごし方です。

3.2 カウントダウンイベントに参加する

少しアクティブに、そして華やかに一年を締めくくりたい方には、各地で開催されるカウントダウンイベントへの参加がおすすめです。大勢の人たちと一緒に新年を迎える高揚感は、イベントならではの醍醐味。友人やパートナーと出かければ、忘れられない思い出になることでしょう。

有名なテーマパークでは、特別なショーやライブ、年越しの瞬間を彩る豪華な花火が打ち上げられます。また、都市部の展望台やホテルなどでも、夜景を楽しみながら新年を祝うイベントが企画されています。非日常の空間で迎える新年は、きっと格別な気持ちにさせてくれますよ。

場所のタイプ特徴楽しみ方
テーマパーク特別な営業時間で、ライブやショーが開催されることが多いです。アトラクションを楽しみながら、盛大な花火と共に新年を迎えます。
展望台・高層ビル美しい夜景を一望でき、ロマンチックな雰囲気を味わえます。音楽イベントや乾杯のサービスと共に、きらめく街並みを見下ろしながら新年を祝います。
ライブ会場好きなアーティストと一緒に年を越せる、ファンにはたまらないイベントです。会場全体の一体感を感じながら、音楽と共に熱く新年を迎えます。

3.3 友人とのパーティーやオンライン忘年会

気の置けない友人たちと集まって、わいわいと過ごす大晦日も素敵ですね。それぞれがお気に入りの料理やお酒を持ち寄るポットラックパーティーなら、準備も負担にならず、色々な味を楽しめます。一年のできごとを語り合ったり、思い出の映画を観たりしながら過ごす時間は、何よりの贅沢です。

また、最近ではオンラインで繋がる忘年会や年越し会も人気です。遠くに住んでいてなかなか会えない友人とも、画面越しに顔を合わせながら一緒に新年を迎えられるのが大きな魅力。同じ食べ物や飲み物を用意して乾杯すれば、離れていても一体感が生まれますよ。

3.4 旅行先で特別な年越しを体験する

一年間頑張った自分へのご褒美として、旅行先でゆったりと大晦日を過ごすのはいかがでしょうか。温泉旅館に泊まって、日頃の疲れを癒しながら新年を迎えるのは、まさに至福のひととき。旅館によっては、年越しそばやおせち料理、甘酒の振る舞いなど、お正月らしいおもてなしを用意しているところもあります。

また、シティホテルが企画する年越しプランも魅力的です。豪華なディナーやカウントダウンパーティー、初日の出を拝むイベントなど、ホテルならではの洗練されたサービスで、何もしない贅沢を味わいながら、優雅に新年を迎えることができます。いつもとは違う場所で過ごす大晦日は、新しい一年の始まりをより新鮮な気持ちでスタートさせてくれることでしょう。

4. 大晦日の食べ物 年越しそばを食べる意味

大晦日の食卓といえば、多くの方が「年越しそば」を思い浮かべるのではないでしょうか。一年の締めくくりにいただく温かいおそばは、心も体もほっと温めてくれますよね。でも、どうして大晦日にそばを食べる習慣が根付いたのでしょう。そこには、新しい年を幸せに迎えるための、古くからの素敵な願いが込められていました。ここでは、年越しそばにまつわる意味や由来、そして地域ごとのユニークな年越しの食文化について、ゆっくりと紐解いていきます。

4.1 年越しそばに込められた願いと由来

年越しそばを食べる習慣は、江戸時代に庶民の間に定着したといわれています。その由来には諸説ありますが、どれも新しい年への希望に満ちたものばかり。代表的なものをいくつかご紹介しますね。

長寿延命の願い
そばは他の麺類と比べて細く長いことから、「細く長く、健やかに生きられますように」という長寿への願いが込められています。家族みんなの健康と長生きを祈りながらいただく、縁起の良い一杯です。

一年の厄を断ち切る
そばは切れやすい性質を持っているため、「今年一年の苦労や災厄、悪い縁をすっぱりと断ち切って、新しい年を迎える」という意味もあります。過ぎた年の厄をすべてリセットし、清々しい気持ちで新年をスタートさせるための、大切な儀式ともいえるでしょう。

金運上昇の願い
昔、金銀の細工師たちが、飛び散った金粉や銀粉を集めるためにそば粉を練った団子を使っていたという話から、「そばは金を集める」とされ、金運を呼ぶ縁起物と考えられるようになりました。新年は少しでも豊かに過ごしたい、という願いが込められているのですね。

健康への祈り
そばの実は、古くから健康によいとされてきました。また、そばは風雨にさらされても、太陽を浴びるとすぐに立ち直る丈夫な植物です。その生命力にあやかり、新しく迎える年も健康でいられるようにと願って食べられるようになったともいわれています。

これらの由来は、農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理」でも紹介されており、古くから日本人の暮らしに根付いてきた食文化であることがうかがえます。

4.2 年越しそばはいつ食べるのが正しい?

「年越しそばって、いつ食べるのが一番良いのかしら?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、これには厳密な決まりはありません。ご家庭の過ごし方に合わせて、大晦日のうちにいただけば大丈夫ですよ。

一般的には、夕食として家族団らんでゆっくりと味わうご家庭が多いようです。また、除夜の鐘を聞きながら、まさに年が改まる瞬間にいただくという方もいらっしゃいます。

ただし、一つだけ気をつけたいのが、年をまたいで食べることや、元旦になってから食べることです。これは「厄災を断ち切る」という縁起が担げず、新年に苦労や厄を持ち越してしまうと考えられているためです。せっかくの縁起物ですから、ぜひ大晦日のうちに美味しくいただいて、気持ちよく新年を迎えたいものですね。

4.3 地域によって違う年越しの食べ物

大晦日の食文化は、年越しそばだけではありません。日本各地には、その土地ならではのユニークな年越しの食べ物があるのをご存知でしたか?あなたの故郷や、お住まいの地域ではいかがでしょうか。

ここでは、代表的な地域の年越し料理をいくつかご紹介します。

地域年越しの食べ物特徴・由来など
香川県年越しうどん「うどん県」として知られる香川では、そばよりもうどんが親しまれています。「太く長く生きられるように」と、うどんで縁起を担ぎます。
北海道・東北地方の一部年越し寿司・カニ大晦日に家族でご馳走を囲む習慣があり、お寿司やカニ、お刺身などを豪華にいただくご家庭が多いようです。
沖縄県沖縄そば豚の三枚肉(ラフテー)などがのった沖縄そばを、年越しに食べるのが一般的です。日本の「年越しそば」文化が地域流にアレンジされています。
福井県越前そば大根おろしをたっぷりとのせた「おろしそば」が有名で、年越しにもこのスタイルでいただくことが多いです。さっぱりとした味わいが特徴です。
新潟県の一部(へぎそば)へぎそば「へぎ」と呼ばれる器に盛り付けられた、布海苔(ふのり)をつなぎに使った独特のそばです。つるりとした喉ごしで、年越しの特別な一杯として楽しまれています。

このように、地域によって様々な食文化があるのはとても興味深いですね。旅先でその土地ならではの年越しを体験してみるのも、素敵な思い出になりそうです。

5. 【注意】大晦日にやってはいけないこと

新しい年を晴れやかな気持ちで迎えるために、古くから「大晦日には避けた方が良い」とされていることがあります。これらは単なる迷信ではなく、年神様を敬い、新年を大切に思う先人たちの知恵や願いが込められています。ここでは、心穏やかな年越しのために知っておきたい、いくつかの風習をご紹介しますね。

5.1 元旦まで持ち越したくない大掃除

新年をきれいな家で迎えるための大掃除ですが、実は大晦日に行うのはあまり良くないとされています。なぜなら、大晦日には歳神様(年神様)が家を訪れると考えられており、その日に慌ただしく掃除をすると、せっかく来てくださった神様を掃き出してしまう(追い出してしまう)ことになるからです。

大掃除は「煤払い(すすはらい)」という神事でもあります。一年の汚れを払い、家を清めて年神様をお迎えする準備ですので、できれば12月28日まで、遅くとも30日までには終わらせておくのが理想的です。もし大晦日にどうしても気になる汚れを見つけても、大掛かりな掃除は避け、さっと拭き取る程度にとどめておくと良いでしょう。

5.2 一夜飾りはNG お正月飾りを飾るタイミング

しめ縄や鏡餅といったお正月飾り。これを大晦日の12月31日に飾ることを「一夜飾り(いちやかざり)」と呼び、古くから避けられてきました。

その理由は主に二つあります。一つは、葬儀の準備が一日で執り行われることを連想させるため、縁起が悪いとされていること。もう一つは、年の瀬も押し迫った大晦日に慌てて飾るのは、年神様に対して誠意に欠ける失礼な行為だと考えられているためです。神様をお迎えする準備は、心に余裕を持って丁寧に行いたいものですね。

お正月飾りを飾るのに最適なタイミングは、以下の通りです。

日付縁起理由
12月28日◎(最も良い)「八」が末広がりで縁起が良いとされるため。
12月29日×(避ける)「九」が「苦」を連想させ、縁起が悪いとされるため。
12月30日○(良い)キリの良い数字で、特に問題ないとされています。
12月31日×(避ける)「一夜飾り」となり、神様に対して失礼にあたるため。

年神様を気持ちよくお迎えするためにも、お正月飾りはぜひ28日か30日に飾ってみてくださいね。

5.3 火の神様や水の神様に関するタブー

私たちの暮らしに欠かせない火と水。昔の人々は、その神様にもお正月休みがあると考えていました。

かまど(台所)には火の神様である「荒神様(こうじんさま)」がいるとされ、大晦日から元旦にかけては火を使い、煮炊きをすることを避ける風習があります。これは、一年中働き続けてくれる火の神様に休んでいただくため、そして毎日家事を担う女性にもお正月くらいはゆっくり休んでほしい、という優しい思いやりから生まれた知恵です。日持ちのするおせち料理を準備するのも、この風習と深く関わっているのですよ。

また、元旦に洗濯などの水仕事をするのも避けた方が良いとされています。新しい年の福を水で洗い流してしまう、と考えられているからです。大晦日の夜のうちに、できるだけ家事を済ませておくと、元旦の朝をより清々しく、ゆったりとした気持ちで迎えられそうですね。

6. 大晦日に関する豆知識

大晦日にまつわるお話は、知っているとより一層この日を感慨深く過ごせるかもしれませんね。ここでは、よく耳にするけれど詳しくは知らない、そんな豆知識をいくつかご紹介します。

6.1 除夜の鐘はなぜ108回鳴らすの?

大晦日の夜、どこからともなく聞こえてくるゴーン、ゴーンという厳かな鐘の音。この「除夜の鐘」が108回鳴らされるのは、とても有名なお話ですよね。では、なぜ108回なのでしょうか。

最も広く知られている説は、108という数字が、私たち人間が持つ「煩悩(ぼんのう)」の数を表しているというものです。煩悩とは、仏教の教えで、人の心をかき乱し、悩ませ苦しませる欲望や怒り、ねたみといった心の働きを指します。除夜の鐘を一つ鳴らすたびに、この煩悩が一つずつ取り除かれ、清らかな心で新年を迎えられるようにという願いが込められているのです。

多くのお寺では、107回を旧年のうちに鳴らし、最後の1回を新年が明けてから鳴らします。これは、旧年の煩悩をすべて祓い、新しい一年が煩悩に惑わされることのない年になるように、という祈りの表れなのですよ。

この「煩悩説」のほかにも、108という数字の由来にはいくつかの説があります。

  • 四苦八苦(しくはっく)説:人が生きていく上で経験するさまざまな苦しみを表す仏教用語「四苦八苦」から来ているという説です。「4×9=36」と「8×9=72」を足すと108になることから、これらの苦しみを取り払うために108回鐘を鳴らすといわれています。
  • 一年間を表す説:一年を表す数字を足し合わせたもの、という説もあります。月の数(12)、二十四節気(24)、七十二候(72)をすべて足すと、12+24+72=108となります。過ぎゆく一年に感謝し、新しい年が良い年になるようにとの願いが込められているのかもしれませんね。

どの説が本当、というわけではありませんが、いずれも一年の終わりと始まりにふさわしい、奥深い意味が込められています。鐘の音に耳を澄ませながら、静かに一年を振り返るのも素敵な過ごし方ですね。

6.2 大晦日と晦日の違いとは

「大晦日(おおみそか)」とよく似た言葉に、「晦日(みそか/つごもり)」があります。この二つの言葉、実は意味が少し違うことをご存知でしたか?違いを知ると、言葉の成り立ちの面白さに気づかされます。

簡単に言うと、「晦日」は毎月の末日、「大晦日」は一年で最後の末日である12月31日だけを指す特別な言葉なのです。

「晦日(みそか)」は、もともと「三十日」と書かれていました。昔の暦では月の満ち欠けを基準にしていたため、月の最終日は30日であることが多かったのです。また、「晦日(つごもり)」は「月隠り(つきごもり)」が変化した言葉で、月の最終日には月が隠れて見えなくなることから、そう呼ばれるようになりました。

そして、「大晦日」の「大」は、「最後」「一番大きい」といった特別な意味を持つ接頭語です。一年の締めくくりである最も重要な晦日ということで、「大」をつけて「大晦日」と呼ぶようになったのですね。

言葉読み方意味
晦日みそか、つごもり毎月の最終日(末日)のこと。
大晦日おおみそか一年の最後の晦日、つまり12月31日のこと。

普段何気なく使っている言葉にも、先人たちの暮らしや自然観が息づいていると思うと、なんだか趣深く感じられますね。

7. まとめ

大晦日は、過ぎゆく一年に感謝し、新たな気持ちで年神様をお迎えするための大切な節目です。一年の汚れを落とす大掃除や、厄を断ち切る願いが込められた年越しそば、108の煩悩を払う除夜の鐘など、一つひとつの習わしには深い意味があります。伝統を大切にしながらも、ご自身の心に寄り添う過ごし方で、穏やかな年の瀬をお迎えください。あなたらしい素敵な一日が、素晴らしい新年へと繋がりますように。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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