甘くて愛らしい姿のいちご。当たり前のように果物だと思っていませんか?実は、いちごは農林水産省の分類では「野菜」とされているのです。この記事では、なぜ野菜とされるのか、生産現場での定義と私たちの食生活での分け方の違いをわかりやすく解説します。スイカやメロンなど、他の気になる食べ物の分類もご紹介。日々の食卓がもっと楽しくなる豆知識に、あなたも触れてみませんか。
1. 結論から解説 いちごは「野菜」であり「果物」でもある
甘くて美味しいいちご。ケーキやパフェの主役としておなじみですが、「実は野菜なのよ」と聞いて、驚いたことはありませんか?長年、果物だと思っていたのに…と、少し戸惑ってしまいますよね。
実は、いちごは「野菜」であり、同時に「果物」でもあるというのが、この疑問への答えになります。なんだか不思議な感じがしますが、これはどのような立場で見るかによって、いちごの分類が変わってくるからなんです。まずは、この少しややこしい関係をすっきり整理してみましょう。
1.1 農林水産省の分類ではいちごは野菜
国の機関である農林水産省では、作物の育て方や特徴によって植物を分類しています。その専門的な分け方によると、いちごは「野菜」として扱われています。
これは、いちごが木ではなく、一年草という草になる植物(草本性植物)だからです。農林水産省が発表する作物統計調査でも、いちごはきゅうりやトマトなどと同じ「野菜」の仲間として集計されているんですよ。
1.2 スーパーでは果物として売られる理由
一方で、私たちが普段お買い物をするスーパーや八百屋さんでは、いちごはメロンやスイカと並んで「果物」のコーナーで売られていることがほとんどです。これは、私たちの食生活の中での役割に基づいた、とても分かりやすい分け方です。
いちごは、食事のおかずというより、デザートとしてそのまま食べることが多く、その甘さから「果物」として広く親しまれているためです。このように、生産の現場での分類と、私たちの暮らしの中での分類には違いがあるのですね。
この違いを分かりやすく表にまとめてみました。
分類の視点 | いちごの分類 | 主な理由 |
---|---|---|
生産の現場(農林水産省など) | 野菜 | 草になる植物(草本性)だから |
消費の現場(スーパーなど) | 果物 | デザートとして食べられることが多いから |
このように、いちごは二つの顔を持っている、と考えると楽しくなってきませんか。次の章では、どうしてこのような分け方がされるのか、その定義についてもう少し詳しく見ていきましょう。
2. いちごが野菜に分類されるのはなぜ?定義を詳しく解説
「いちごは野菜」と聞くと、なんだか不思議な気持ちになりますよね。あの甘くて愛らしい姿からは、どうしても果物を思い浮かべてしまいます。実は、いちごが野菜か果物かという疑問は、どのような視点で分類するかによって答えが変わるのです。ここでは、その分類の「ものさし」について、少し詳しくのぞいてみましょう。
主に、作物を育てるときの「生産現場での分け方」と、私たちが食べるときの「食生活での分け方」の2つの視点があります。この違いを知ると、「なるほど!」と納得できるはずですよ。
2.1 生産現場での分け方(園芸学上の分類)
まずは、農家さんが作物を育てるときの専門的な分け方を見ていきましょう。これは「園芸学(えんげいがく)」という学問に基づいた分類で、農林水産省でもこの考え方を採用しています。ポイントは、「木」になる実か、「草」になる実かという点です。
2.1.1 木になる実が「果樹(果物)」
一度植えると何年にもわたって収穫できる、りんごやみかん、ぶどうのような「木」に実るものを「果樹(かじゅ)」と呼びます。私たちが普段「果物」として親しんでいるものの多くが、この果樹にあたります。
2.1.2 草になる実が「野菜(果実的野菜)」
一方、いちごは木ではなく、地面に近い場所で育つ「草」になる実です。専門的には「草本性(そうほんせい)」の植物と呼ばれます。畑で毎年苗を植え付けて育てる姿を思い浮かべると、分かりやすいかもしれませんね。
このように、草になる植物の実は「野菜」に分類されます。特に、いちごやスイカ、メロンのように果物として食べられる野菜は、「果実的野菜(かじつてきやさい)」という特別なグループで呼ばれています。トマトやきゅうり、なすなども、この果実的野菜の仲間なのですよ。
2.2 食生活での分け方(消費上の分類)
次に、私たちの暮らしに身近な、スーパーの売り場や食卓での分け方を見てみましょう。こちらはとてもシンプルです。
一般的に、デザートや間食として甘さを楽しむものを「果物」、食事のおかずやサラダとして調理されることが多いものを「野菜」として扱っています。いちごはケーキの飾り付けや食後のデザートとして食べることがほとんどですから、この分け方では堂々と「果物」の仲間入りというわけです。
このように、いちごは育て方や植物の性質で見ると「野菜」に、食べ方や食文化で見ると「果物」に分類されます。どちらの言い分も正しいのですね。
分類の視点 | いちごの分類 | 分類のポイント | 同じ分類の仲間 |
---|---|---|---|
生産現場(園芸学) | 野菜(果実的野菜) | 一年草や多年草といった「草」に実るため。 | スイカ、メロン、トマト、きゅうり |
食生活(消費) | 果物 | 主にデザートとして食べられるため。 | りんご、みかん、バナナ、ぶどう |
この違いについて、農林水産省のウェブサイトでも詳しく解説されていますので、気になる方はぜひご覧になってみてくださいね。(参考:農林水産省「野菜と果物の違いについて」)
3. これはどっち?気になる食べ物を野菜か果物か判定
いちごが野菜の仲間だと知って、驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。実は私たちの食卓には、ほかにも「これは果物?それとも野菜?」と首をかしげてしまうような食べ物がたくさんあるんですよ。ここでは、そんな気になる食べ物たちがどちらに分類されるのか、一緒に見ていきましょう。
3.1 実は野菜に分類されるもの
まずは、普段くだもの売り場で見かけるのに、分類上は「野菜」の仲間になるものをご紹介します。夏の食卓を彩る、あのみずみずしい食べ物も、実は野菜なのです。
3.1.1 スイカ

夏の風物詩ともいえるスイカ。冷たくて甘いので、すっかり果物だと思っていませんか?でも、スイカは畑のつるになる「草」の仲間なので、分類上は「野菜」なんです。前の章でお話しした「果実的野菜」の代表例ですね。きゅうりやカボチャと同じウリ科の植物だと聞くと、なるほどと納得できるかもしれません。
3.1.2 メロン
高級な贈答品としてもおなじみのメロン。あの芳醇な香りと甘さから、誰もが果物の王様のように感じてしまいますよね。ですが、メロンもスイカと同じウリ科の植物。畑でつるを伸ばして育つ「草」になる実なので、こちらも「野菜」に分類されます。メロンがかぼちゃの仲間だなんて、ちょっと面白いですよね。
3.2 果物に分類されるもの
では逆に、野菜か果物か迷いがちだけれど、はっきりと「果物」に分類されるものも見てみましょう。
3.2.1 いちじく

独特の食感と上品な甘さが魅力のいちじく。漢字では「無花果」と書きますが、私たちが食べている部分は花にあたる部分なんですよ。そんないちじくは、しっかりと「木」になる実なので、分類上は迷うことなく「果物(果樹)」です。お庭にいちじくの木があるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
3.2.2 バナナ
毎日のおやつや朝食に欠かせないバナナ。これは少し面白い存在です。バナナの木のように見えるものは、実は木ではなく、とても背の高い「草」(多年草)なのです。そのため、植物の分類では野菜に近いのですが、一度実をつけたら枯れてしまう一年草の野菜とは違い、何年も繰り返し実をつけるため「果樹」として扱われ、一般的には「果物」とされています。
3.2.3 パイナップル
南国のイメージが強いパイナップルも、バナナと似ています。パイナップルは木になるのではなく、地面から生えているような草の真ん中から育ちます。こちらも植物としては「草」の仲間ですが、何年も収穫できるため果樹として扱われ、お店でも「果物」として販売されています。
ここでご紹介した食べ物の分類を、一度整理してみましょう。
品目 | 分類 | 簡単な理由 |
---|---|---|
スイカ | 野菜(果実的野菜) | つる性の草になる実だから |
メロン | 野菜(果実的野菜) | つる性の草になる実だから |
いちじく | 果物(果樹) | 木になる実だから |
バナナ | 果物 | 草になる実だが、何年も収穫できるため果樹として扱われるから |
パイナップル | 果物 | 草になる実だが、何年も収穫できるため果樹として扱われるから |
こうして見ると、普段のイメージとは違う分類のものもあって興味深いですね。次の章では、こうした分類がなぜ大切なのか、少しだけ掘り下げてみたいと思います。
4. まとめ
いちごが野菜か果物か、という可愛らしい疑問。その答えは、見る立場によって変わる、というのが正解でした。農林水産省の分類では、草になるいちごはスイカやメロンと同じ「野菜」に分類されます。一方で、お店ではデザートとして親しまれているため「果物」として扱われているのですね。こうした背景を知ると、普段何気なく口にしている食べ物への愛着が、より一層深まるような気がしませんか。日々の食卓が、ほんの少し楽しくなる豆知識のご紹介でした。
コメント