「建国記念の日」とは?意味や由来、建国記念日との違い

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毎年なにげなく迎える祝日「建国記念の日」。その意味や、「建国記念日」との違いをはっきりと説明できる方は意外と少ないかもしれません。この記事では、なぜ名前に「の」が入るのかという理由から、その由来となった日本の歴史までを、わかりやすく紐解いていきます。実は「の」の一文字には、建国された日自体が神話にもとづく、という日本の歴史的背景が深く関わっているのです。祝日の意味を知り、日本の文化に思いを馳せる一日にしてみませんか。

目次

1. 建国記念の日とはいつ?基本的な意味を解説

2月になるとカレンダーに記されている祝日、「建国記念の日」。毎年何気なくお休みとして過ごしている方も多いかもしれませんが、この日がどのような意味を持つ日なのか、ご存じでしょうか。まずは、建国記念の日がいつなのか、そして法律で定められた基本的な意味について、やさしく紐解いていきましょう。

1.1 建国記念の日は毎年2月11日の祝日

「建国記念の日」は、毎年2月11日と日付が定められている国民の祝日です。月曜日などに移動する「ハッピーマンデー制度」の対象ではないため、毎年同じ日に巡ってきます。

近年では、成人の日や海の日など、特定の日付から月曜日に移動する祝日も増えましたが、建国記念の日のように日付が固定されている祝日もいくつかあります。改めて確認してみると、新しい発見があるかもしれませんね。

祝日名日付
建国記念の日2月11日
天皇誕生日2月23日
昭和の日4月29日
憲法記念日5月3日
文化の日11月3日
勤労感謝の日11月23日

1.2 法律で定められた「建国をしのび国を愛する心を養う」日

建国記念の日は、単なるお休みの日というだけではありません。「国民の祝日に関する法律」という法律によって、その意味がきちんと定められています。

法律によると、建国記念の日は「建国をしのび、国を愛する心を養う」日とされています。少し言葉が難しいかもしれませんが、これは「日本の国が始まったとされる日を思い起こし、自分たちの国を大切に思う気持ちを育てましょう」という意味が込められているのですね。

この祝日は、日本の成り立ちに思いを馳せ、先人たちの努力に感謝し、これからの日本の未来を考えるきっかけを与えてくれる、とても大切な一日なのです。(参考:国民の祝日に関する法律

2. 「建国記念の日」と「建国記念日」の明確な違い

ふと、カレンダーを見て「建国記念の日」と「建国記念日」、この二つの言葉に違いはあるのかしら?と思ったことはありませんか。実は、たった一文字「の」が入るか入らないかで、その意味合いは大きく変わってくるのです。ここでは、その興味深い違いと背景について、わかりやすく紐解いていきましょう。

2.1 なぜ「の」が入るのか その理由と歴史的背景

結論からお伝えしますと、「建国記念日」は国が始まった「特定の日」を指すのに対し、「建国記念の日」は建国されたという「出来事そのものをお祝いする日」というニュアンスを持っています。この違いは、祝日を定める法律が作られる際の、深い議論の歴史から生まれました。

日本の祝日である2月11日は、「建国された日」そのものを指すのではなく、建国されたという出来事を記念し、国を愛する心を育むための日、とされています。そのため、間に「の」を入れて、少し柔らかな表現になっているのですね。この違いを、下の表で比べてみるとより分かりやすいかもしれません。

名称意味合い
建国記念建国されたという出来事や事実を記念する日日本の「建国記念の日」
建国記念日歴史的に建国された日付が明確な日アメリカの独立記念日など

この名称が決まるまでには、長い時間をかけた話し合いがありました。最終的に「建国記念日」ではなく「建国記念の日」と定められたのは、建国を祝う心を大切にしながらも、その日付の歴史的な正確さについては様々な意見があることを受け入れた、日本らしい知恵の表れと言えるかもしれませんね。
より詳しい法律の内容については、内閣府のウェブサイトでも解説されています。
「国民の祝日」について – 内閣府

2.2 建国された日が特定されていない日本の事情

では、なぜ日本では「この日です」と明確に建国された日を定めるのが難しいのでしょうか。それは、日本の建国の由来が、歴史的な記録というよりも、神話の世界に根ざしているからです。

「建国記念の日」である2月11日は、日本の初代天皇とされる神武天皇が即位された日と伝えられています。しかし、これは日本最古の歴史書である『日本書紀』に記された記述をもとに計算された日付。神話にもとづく日付であるため、歴史的な事実として「この日に建国された」と断定することが難しい、という事情があるのです。

例えば、アメリカの独立記念日のように「独立宣言に署名した日」といった、誰もが認める歴史的な出来事がある国とは少し事情が異なります。神話とともに国の成り立ちを語り継いできた、日本の歴史の奥深さが、この「の」一文字に込められているのかもしれませんね。

3. 建国記念の日の由来と歴史をわかりやすく解説

毎年なにげなく迎えている「建国記念の日」。この祝日には、日本の成り立ちに関わる長い歴史と、人々の様々な想いが込められています。少し複雑に感じるかもしれませんが、その道のりを紐解いていくと、今の私たちがこの日を祝う意味がより深く感じられるかもしれません。ここでは、建国記念の日のもとになったお話から、祝日として定められるまでの歴史を、わかりやすくご紹介しますね。

3.1 由来は初代天皇 神武天皇の即位日

建国記念の日の日付である2月11日。この日付の由来は、日本の初代天皇とされる神武(じんむ)天皇が即位された日にさかのぼります。神武天皇は、日本神話に登場する伝説上の人物です。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の子孫とされ、九州から東へ向かい、大和の橿原(かしはら)の地で初代天皇として即位したと伝えられています。

もちろん、これは神話の世界のお話であり、歴史的な事実として証明されているわけではありません。しかし、この「国の始まり」とされる出来事が、建国記念の日のルーツとなっているのですね。

3.1.1 日本最古の歴史書「日本書紀」の記述

では、なぜ神武天皇の即位日が「2月11日」とされているのでしょうか。その根拠は、奈良時代に完成した日本最古の正史(国が編纂した歴史書)である『日本書紀』にあります。

『日本書紀』には、神武天皇が即位した日を「辛酉(かのととり)の年の春正月、庚辰(かのえたつ)の朔(ついたち)」と記されています。この記述をもとに、明治時代の人々が西洋の暦であるグレゴリオ暦に換算したところ、紀元前660年の2月11日にあたる、と計算されたのです。この計算結果が、現在の建国記念の日の日付の直接的な根拠となっています。

3.2 戦前の祝日「紀元節」との関係

「建国記念の日」という名前を聞くと、戦前にあった「紀元節(きげんせつ)」という祝日を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。この二つには、深いつながりがあります。今の建国記念の日を理解するためには、紀元節の歴史を知ることが欠かせません。

3.2.1 明治時代に制定された紀元節

明治時代に入り、日本が近代的な国づくりを進める中で、国民の心を一つにまとめる象徴が必要とされました。そこで明治政府は、先ほどの『日本書紀』の記述に基づき、神武天皇が即位したとされる日を日本の紀元(始まり)の日と定め、1873年(明治6年)に「紀元節」という祝日を制定しました。

紀元節は、天皇を中心とした国家の永続性を祝い、国民としての意識を高めるための大切な日とされ、全国の神社で盛大なお祭りが行われたり、学校では儀式が行われたりしていました。

3.2.2 戦後にGHQの意向で廃止された経緯

しかし、第二次世界大戦で日本が敗戦を迎えると、状況は一変します。日本を占領統治したGHQ(連合国軍総司令部)は、紀元節が神話に基づいており、戦前の国家神道や軍国主義と強く結びついていると考えました。そして、民主的な国家を再建する上で、こうした考え方はふさわしくないという判断から、1948年(昭和23年)に紀元節は廃止されることとなったのです。

3.3 「建国記念の日」として復活するまでの道のり

紀元節が廃止された後も、日本の建国を祝う日を設けたいという声は多くの国民から上がり続けました。しかし、「紀元節」という名前やその成り立ちへの反対意見も根強く、国会での議論は長い間続きました。

「建国を祝う日は必要だ」という賛成意見と、「特定の日を建国の日と定めるのは、科学的・歴史的根拠に欠ける」という反対意見が対立したのです。この長い議論の末、ついに1966年(昭和41年)に「建国記念の日」を定める法律が成立し、翌1967年(昭和42年)から2月11日は再び国民の祝日となりました。この歴史的な道のりを、簡単な年表で振り返ってみましょう。

出来事
1873年(明治6年)神武天皇の即位日とされる2月11日を「紀元節」として祝日に制定。
1948年(昭和23年)GHQの意向により、紀元節が廃止される。
1966年(昭和41年)長い議論を経て、「建国記念の日」を定める法律が成立・公布される。
1967年(昭和42年)最初の「建国記念の日」が施行される。

このように、建国記念の日は、神話の時代から現代に至るまで、様々な時代の考え方や出来事を乗り越えてきた、とても感慨深い祝日なのです。より詳しい祝日の概要については、内閣府の「国民の祝日について」のページも参考になりますよ。

4. 建国記念の日の一般的な過ごし方

「建国記念の日」は祝日ですが、どのように過ごせばよいのか、少し考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。この日は、日本の成り立ちに思いを馳せ、静かに過ごしたり、お祝いの行事に参加したりと、さまざまな過ごし方があります。ご自身やご家族に合った過ごし方を見つけるヒントをご紹介します。

4.1 家庭で日本の歴史や文化について話す機会に

建国記念の日は、ご家庭でゆっくりと日本の歴史や文化に触れる絶好の機会です。普段は忙しくてなかなか話せないようなテーマも、祝日だからこそ、ゆったりとした気持ちで語り合えるのではないでしょうか。例えば、食卓を囲みながら、日本の神話や昔話をお子さんやお孫さんに聞かせてあげたり、地図を広げて初代天皇とされる神武天皇ゆかりの地を親子で探してみたりするのも楽しい時間になりそうです。この日をきっかけに、私たちの国の成り立ちについて、家族で考えてみるのも素敵な過ごし方ですね。

4.1.1 子供に建国記念の日を説明するときのポイント

もし、お子さんやお孫さんから「建国記念の日ってなあに?」と尋ねられたら、どのように答えますか?少し難しいテーマですが、分かりやすく伝えるためのポイントをいくつかまとめてみました。

ポイント説明のしかた(例)
簡単な言葉で伝える「日本という国ができたことをお祝いする、日本のお誕生日みたいな日だよ」と伝えてみましょう。
由来を物語として話す「昔々、日本の最初の天皇さまが即位された日なんだって。そのお祝いの日がもとになっているんだよ」と、神話を少しだけ紹介するのも良いでしょう。
祝日の意味を添える『これからも日本が素敵な国でありますように』とみんなで願う日でもあるんだよ」と、法律で定められた「国を愛する心を養う」という部分を優しく伝えます。
国旗を掲げる意味を教える祝日に国旗を掲げているお家を見かけたら、「あのお家のようにお祝いの気持ちを表しているんだよ」と教えてあげるのも、良い学びの機会になります。

大切なのは、難しい歴史をすべて教えることではなく、子どもたちが自分の国に興味を持つきっかけを作ってあげることです。ぜひ、やさしい言葉で伝えてみてくださいね。

4.2 全国各地で開催される奉祝行事やイベント

少し特別な一日を過ごしたい方には、各地で行われるお祝いの行事に参加してみるのも素敵です。建国記念の日には、日本の誕生を祝うさまざまな催しが全国で開催されています。

4.2.1 東京都 明治神宮の奉祝パレード

明治神宮

中でも特に有名なのが、東京の明治神宮周辺で行われる奉祝行事です。毎年、奉祝パレードが表参道周辺を練り歩き、華やかな雰囲気に包まれます。各大学のブラスバンドによる演奏や、威勢の良いお神輿などが登場し、沿道は多くの見物客で賑わいます。日本の建国をお祝いする熱気を肌で感じられる、年に一度の特別なイベントです。詳しい情報は公式サイトで確認できます。

4.2.2 各地の神社で斎行される建国祭

また、全国の多くの神社では、建国を祝う「建国祭(けんこくさい)」や、戦前の祝日名にちなんだ「紀元祭(きげんさい)」というお祭りが執り行われます。特に、初代天皇である神武天皇をお祀りする奈良県の橿原神宮や、皇室の祖先神とされる天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする三重県の伊勢神宮など、皇室にゆかりの深い神社では、厳かな雰囲気の中で祭典が斎行されます。お住まいの地域の神社でも、静かにお祝いの神事が行われているかもしれません。足を運んで、国の安寧を祈るひとときを過ごすのも、心穏やかな休日の過ごし方ではないでしょうか。

5. 世界の建国記念日との比較

日本の「建国記念の日」は、神話にもとづく少し特別な日。では、世界の国々では、建国の記念日をどのようにお祝いしているのでしょうか。海外に目を向けてみると、その国ならではの歴史や文化が見えてきて、とても興味深いですよ。ここでは、代表的な国の記念日と、日本の「建国記念の日」との違いをのぞいてみましょう。

5.1 アメリカの独立記念日

アメリカの建国記念日は、毎年7月4日。「独立記念日(Independence Day)」として知られています。これは、1776年7月4日に、イギリスからの独立を宣言した「アメリカ独立宣言」が公布されたことに由来します。歴史の教科書でもおなじみですね。

この日は、アメリカ全土が星条旗の赤・白・青の3色に染まり、国を挙げて盛大にお祝いムードに包まれます。各地でパレードやコンサートが開かれ、夜には大きな花火が打ち上げられます。家族や友人とバーベキューを楽しむのが定番の過ごし方で、まさに国の一大イベントとして国民に親しまれている祝日です。

5.2 フランスの革命記念日

フランスでは、毎年7月14日が建国に関する記念日です。日本では「パリ祭」という名前で親しまれていますね。正式には「Fête nationale(国民祭典)」と呼ばれています。

この日付は、1789年7月14日に起こった「バスティーユ牢獄襲撃」がきっかけとなったフランス革命を記念するものです。この革命によって、絶対王政が倒され、「自由・平等・博愛」を掲げる近代フランスの礎が築かれました。当日は、パリのシャンゼリゼ通りでヨーロッパ最大級といわれる軍事パレードが行われるほか、エッフェル塔を彩る花火は圧巻の美しさです。

5.3 日付が明確な海外の建国記念日と日本の違い

ここまで見てきたように、アメリカやフランスの記念日は、「独立宣言」や「革命」といった、歴史上の日付がはっきりとした出来事に基づいています。一方で、日本の「建国記念の日」は、日本最古の歴史書『日本書紀』に記された、初代・神武天皇が即位されたとされる日にもとづいています。これは、史実として確定された日付ではなく、神話や伝承にもとづくものであるという点が大きな違いです。

この違いが、「建国記念日」ではなく「の」が入る「建国記念の日」という名称の理由のひとつにもなっています。それぞれの国の記念日の由来を比べてみると、その国の成り立ちや大切にしている価値観が垣間見えてきますね。

記念日の名称日付由来の性質
日本建国記念の日2月11日神話・伝承(初代天皇の即位日)
アメリカ独立記念日7月4日歴史的史実(独立宣言の公布)
フランス革命記念日(パリ祭)7月14日歴史的史実(フランス革命の発端)

このように、他国と比較することで、日本の「建国記念の日」が持つ、歴史や神話を大切にする文化的な背景がより一層際立って感じられるのではないでしょうか。単に休日として過ごすだけでなく、こうした背景に少し思いを馳せてみるのも、豊かな時間の過ごし方かもしれませんね。

6. まとめ

「建国記念の日」について、その意味や歴史、いかがでしたでしょうか。毎年2月11日のこの祝日は、建国された日が歴史的に明確でないため「の」が入り、「建国された事実をしのぶ日」とされています。その由来は日本最古の歴史書『日本書紀』に記された初代・神武天皇の即位日に遡ります。何気なく過ごしていた祝日も、背景を知ると少し違って見えますね。この機会に日本の歴史や文化に思いを馳せ、心穏やかな一日をお過ごしください。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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