毎年2月14日は、心ときめくバレンタインデー。大切な人にチョコレートを贈った、懐かしい思い出のある方も多いのではないでしょうか。この記事では、バレンタインデーの少し切ない起源や、日本でチョコレートを贈る文化が定着した理由を紐解きます。その始まりはローマ時代の聖職者の物語にあり、日本の習慣は製菓会社のキャンペーンがきっかけでした。世界の祝い方や最近の楽しみ方を知り、今年のバレンタインをより深く味わってみませんか。
1. バレンタインデーとは毎年2月14日の愛の日

街が華やかなチョコレートで彩られる2月。いくつになっても、なんだか心がときめく季節ですね。バレンタインデーは、毎年2月14日に、大切な人へ愛や感謝の気持ちを伝える日として、世界中で親しまれています。
日本では「女性が好きな男性へチョコレートを贈って想いを伝える日」というイメージが強いかもしれません。若い頃、ドキドキしながらチョコレートを渡した甘酸っぱい思い出をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、世界に目を向けると、バレンタインデーの過ごし方は実にさまざま。恋人やパートナーはもちろん、家族や友人へ日頃の感謝を込めてプレゼントを贈り合う、心温まる一日なのです。
この記事では、そんなバレンタインデーの基本について、改めてひもといていきます。知っているようで意外と知らない、バレンタインデーの魅力に触れてみましょう。
1.1 世界共通の「愛と感謝を伝える日」
バレンタインデーの起源はローマ帝国時代にさかのぼりますが、現代では宗教的な意味合いは薄れ、世界中の多くの国で「愛の日」として定着しています。その主役は、なんといっても恋人たちです。
欧米では、男性から女性へ愛を伝えるのが一般的で、チョコレートだけでなく、メッセージカードや美しい花束、ジュエリーなどを贈る習慣があります。二人でロマンチックなディナーを楽しむなど、特別な一日を過ごすのが定番です。
また、恋人に限りません。家族や友人、お世話になっている方々へ「いつもありがとう」という感謝の気持ちを伝える日でもあります。カードを交換したり、ささやかな贈り物をしたりと、人と人との繋がりを再確認する、素敵な機会とされています。
1.2 日本で育まれた独自のバレンタイン文化
一方で、女性から男性へチョコレートを贈るというスタイルは、実は日本で独自に育まれた文化です。海外から伝わったバレンタインデーが、日本の製菓会社のキャンペーンなどをきっかけに、現在の形へと発展していきました。
かつては「愛の告白」という少し勇気のいるイベントでしたが、今ではその楽しみ方も大きく広がっています。恋愛成就を願う「本命チョコ」だけでなく、職場の同僚や友人への感謝を示す「義理チョコ」、女友達と交換して楽しむ「友チョコ」、そして一年がんばった自分自身をいたわる「ご褒美チョコ」など、贈る相手や目的に合わせて、誰もが気軽に楽しめるイベントへと変化しています。
大切な誰かを想う気持ち、日頃の感謝を伝える気持ち。形は変わっても、その温かい心は今も昔も変わりません。今年のバレンタインデーは、あなたらしい形で楽しんでみてはいかがでしょうか。
2. バレンタインデーの起源と切ない由来
今ではすっかり華やかなイベントとして親しまれているバレンタインデーですが、その始まりには、愛のために立ち上がった一人の聖職者の、ちょっぴり切ない物語があるのですよ。さかのぼること、はるか昔のローマ帝国時代のお話です。
2.1 ローマ帝国時代の聖ウァレンティヌス
バレンタインデーの起源は、3世紀のローマ帝国にさかのぼります。当時の皇帝クラウディウス2世は、兵士たちが故郷に愛する人を残していると士気が下がるという考えから、兵士たちの結婚を固く禁じていました。
愛する人と結ばれたいと願う兵士たちを不憫に思ったキリスト教の司祭、ウァレンティヌス(英語読みでバレンタイン)は、皇帝の命令に背いて、秘密で兵士たちの結婚式を執り行っていたのです。しかし、その行いはやがて皇帝の耳に入り、ウァレンティヌスは捕らえられ、処刑されてしまいました。
この、愛を貫こうとする恋人たちのために、自らの命を捧げた聖ウァレンティヌスの行動が、バレンタインデーの由来とされています。愛の守護聖人として、今もなお語り継がれているのですね。
2.2 2月14日になった理由
では、なぜ2月14日がバレンタインデーになったのでしょうか。これにはいくつかの説があり、はっきりとはわかっていませんが、代表的なものを二つご紹介します。
一つは、先ほどお話しした聖ウァレンティヌスが処刑された命日が2月14日だったという説です。愛のために殉教した彼を偲び、この日を記念日としたのですね。
もう一つは、古代ローマで行われていたお祭りに由来するという説です。
説の名称 | 内容 |
---|---|
聖ウァレンティヌスの命日説 | 皇帝の命令に背き恋人たちを助けた聖ウァレンティヌスが、西暦269年2月14日に処刑されたため、その日を記念日としたという説。 |
ルペルカリア祭説 | 古代ローマで豊穣を祈願し、毎年2月15日に行われていた「ルペルカリア祭」が起源とする説。このお祭りでは、女性が名前を書いた札を桶に入れ、男性が引いた札の女性と祭りの期間を一緒に過ごすという風習がありました。この異教の祭りをキリスト教の行事に変えるため、前日の14日を聖ウァレンティヌスの日としたと考えられています。 |
どちらの説が真実かは定かではありませんが、どちらも愛に満ちたロマンチックな物語が背景にあります。バレンタインデーの由来を知ると、チョコレートを贈る手にも、いつもより少し特別な気持ちがこもりそうですね。
3. 日本のバレンタインデーはいつから始まった?

今ではすっかりおなじみのバレンタインデーですが、日本にこの文化が伝わった当初は、今とは少し様子が違っていたようです。欧米の習慣が、どのようにして日本らしい独自のイベントへと姿を変えていったのか、その道のりを一緒にたどってみましょう。
日本でバレンタインデーが紹介され始めたのは、戦後まもない頃。海外の文化が少しずつ暮らしの中に入り込んできた時代でした。しかし、すぐには人々の間に広まらず、「女性から男性へチョコレートを贈って愛を伝える日」という日本ならではのスタイルが生まれるまでには、もう少し時間が必要でした。
3.1 女性からチョコを贈る文化の定着
バレンタインデーといえば、女性が勇気を出してチョコレートを贈る、という甘酸っぱいイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。この素敵な習慣は、実はあるきっかけから日本全国へと広まっていったのです。
3.1.1 製菓会社のキャンペーンがきっかけ
日本のバレンタインデーの歴史を語る上で欠かせないのが、製菓会社による巧みなキャンペーンです。その先駆けの一つとして知られているのが、1958年のこと。チョコレートメーカーのメリーチョコレートカムパニーが、都内の百貨店でバレンタインセールを行いました。当初はなかなか注目されませんでしたが、翌年から「女性から男性へ、一年に一度、愛の告白を」というメッセージを打ち出したことで、少しずつ人々の心をつかんでいったと言われています。(出典:メリーチョコレートカムパニー公式サイト)
また、森永製菓なども新聞広告などを通じてバレンタインデーにチョコレートを贈る文化を後押しし、1970年代には、「好きな人にチョコレートを贈る日」として、若い女性を中心にバレンタインデーがすっかり定着しました。このように、企業の働きかけがきっかけとなり、日本独自のバレンタイン文化が花開いていったのですね。
3.2 多様化する近年のバレンタインギフト
かつては「愛の告白」という一大イベントだったバレンタインデーも、時代とともにその姿を少しずつ変えてきました。今では、恋愛だけでなく、感謝や友情、そして自分へのいたわりなど、さまざまな想いを伝える日として、より自由に楽しまれるようになっています。ここでは、現代のバレンタインデーを彩る、いろいろなチョコレートの種類をご紹介します。
種類 | 贈る相手 | 込める気持ち・目的 |
---|---|---|
本命チョコ | 恋人、配偶者、好きな人 | 心からの愛情を伝えるための特別な贈り物。手作りに挑戦したり、高級なブランドを選んだりすることも。 |
義理チョコ | 職場の同僚・上司、お世話になっている方 | 日頃の感謝の気持ちを伝えるためのチョコレート。相手に気を遣わせない、気軽なものが選ばれることが多いです。 |
友チョコ | 友人 | 「いつもありがとう」という友情の証として交換します。見た目も可愛らしい、おそろいのチョコレートを選ぶのも楽しい時間です。 |
ご褒美チョコ | 自分自身 | 毎日がんばっている自分へのプレゼント。普段はなかなか手が出ない特別な一粒を、ゆっくりと味わうのは、何よりの贅沢かもしれません。 |
ファミチョコ | 家族(夫、子ども、両親など) | 一番身近な大切な人へ、愛情や感謝を伝えるためのチョコレート。家族みんなで一緒に味わうのも素敵ですね。 |
3.2.1 本命チョコ 好きな人へ
大切なパートナーや、心に秘めた想いを寄せる方へ贈る「本命チョコ」。一年で一番、心がときめく贈り物かもしれません。相手の好みを考えながらじっくり選んだり、心を込めて手作りしたり。その時間そのものが、かけがえのない思い出になります。
3.2.2 義理チョコ 感謝を伝える
職場の同僚や上司など、日頃お世話になっている方へ「いつもありがとうございます」という気持ちを伝えるのが「義理チョコ」です。最近では「感謝チョコ」とも呼ばれ、性別を問わず贈られることも増えてきました。相手に負担を感じさせない、さりげない心遣いが喜ばれます。
3.2.3 友チョコ 友達との交換
仲の良いお友達と贈り合う「友チョコ」。可愛らしくラッピングされたチョコレートを交換し合ったり、一緒に手作りを楽しんだりするのは、学生時代を思い出すような楽しいひとときです。友情を確かめ合う、温かいコミュニケーションの一つですね。
3.2.4 ご褒美チョコ 自分へのプレゼント
近年、特に楽しむ方が増えているのが、自分自身への「ご褒美チョコ」です。家事や仕事、日々の暮らしをがんばる自分をいたわるために、少し贅沢なチョコレートを選んでみませんか。美しいショコラを眺め、豊かな香りと味わいに満たされる時間は、心に潤いを与えてくれるはずです。
3.2.5 ファミチョコ 家族へ
夫や子ども、両親など、大切な家族へ贈る「ファミチョコ」。照れくさくて普段はなかなか言えない「ありがとう」の気持ちを、チョコレートに託して伝えてみるのも素敵です。家族団らんの時間に、みんなで美味しいチョコレートを囲むのも良いですね。
4. 世界ではどう祝う?各国のバレンタインデー
日本のバレンタインデーは、女性から男性へチョコレートを贈るという少し特別な文化が根付いていますね。では、世界の国々ではこの日をどのように過ごしているのでしょうか。国によってさまざまなお祝いの形があるようです。一緒に見ていきましょう。
4.1 アメリカ 男性から女性へ愛を伝える日
アメリカのバレンタインデーは、男性から女性へ、愛や感謝を伝えるのが一般的です。恋人や夫婦はもちろんのこと、家族や友人、お世話になっている先生など、大切な人へ「Happy Valentine’s Day!」の言葉とともにカードやプレゼントを贈ります。
贈り物として人気なのは、真っ赤なバラの花束やチョコレート、ジュエリーなど。特にグリーティングカードを交換する文化が根強く、カードに心のこもったメッセージを書いて伝え合います。恋人同士は、少し特別なレストランでディナーを楽しむなど、ロマンチックな一日を過ごすことが多いようです。
4.2 フランス 恋人たちがロマンチックに過ごす日
「愛の国」フランスでは、バレンタインデーは「Fête des amoureux(恋人たちのお祭り)」と呼ばれ、恋人たちが主役の日とされています。この日は、男性から女性へ愛を伝えるのがならわしです。
プレゼントの定番は、チョコレートよりも真っ赤なバラの花束。そのほか、香水やアクセサリー、おしゃれなランジェリーなどを贈る方もいるのだとか。二人きりでロマンチックなディナーを楽しんだり、小旅行に出かけたりと、愛を深めるための特別な時間を過ごします。
4.3 イタリア 恋人たちのための祝日
イタリアでもバレンタインデーは「La Festa Degli Innamorati(恋人たちの日)」と呼ばれ、フランスと同じように恋人同士で過ごすのが一般的です。男性が愛する女性へプレゼントを贈り、情熱的に愛を伝えます。
プレゼントには、やはり真っ赤なバラが欠かせません。また、ヘーゼルナッツ入りのチョコレート「Baci(バーチ)」も定番の贈り物として親しまれています。「Baci」はイタリア語で「キス」を意味し、包み紙には愛の言葉が書かれている、とてもロマンチックなチョコレートです。
4.4 韓国 バレンタインデーのあとも記念日が続く
お隣の国、韓国のバレンタインデーは日本とよく似ていて、女性が好きな男性へチョコレートを贈る日として定着しています。ただ、日本よりも豪華なプレゼントを添えることが多いようです。
韓国のバレンタインで特徴的なのは、バレンタインデーの後にも記念日が続くことです。3月14日の「ホワイトデー」に男性から女性へお返しをするのは日本と同じですが、さらに4月14日には、恋人がいない人たちが集う「ブラックデー」というユニークな記念日があります。
記念日 | 日付 | 主な内容 |
---|---|---|
バレンタインデー | 2月14日 | 女性から男性へチョコレートなどを贈る |
ホワイトデー | 3月14日 | 男性から女性へお返しのプレゼントを贈る |
ブラックデー | 4月14日 | 恋人がいない人が黒い服を着てジャージャー麺を食べる |
ブラックデーには、黒い服を着た独身の男女が、黒いソースのかかった「ジャージャー麺(チャジャンミョン)」を食べるのだとか。少し寂しい日のようにも思えますが、同じ境遇の人たちで集まって楽しむ、ユーモアあふれる文化なのですね。
5. バレンタインデーとは何か よくある疑問を解決

バレンタインデーの由来や楽しみ方がわかってくると、ふと「なぜ?」と気になる疑問も出てきますよね。ここでは、バレンタインデーにまつわる素朴な疑問にお答えします。長年の謎が、すっきり解決するかもしれませんよ。
5.1 なぜチョコレートを贈るのが定番になったの?
バレンタインデーにチョコレートを贈る素敵な習慣。実はこれ、海外から伝わったものではなく、日本で独自に育まれた文化なのです。その背景には、日本の製菓会社による巧みな広告戦略がありました。
1950年代、神戸のチョコレート会社「モロゾフ」がバレンタインデーに「愛する人にチョコレートを贈りましょう」と呼びかけたのが始まりの一つと言われています。また、1958年には「メリーチョコレートカムパニー」が都内の百貨店でバレンタインセールを行い、これが大きな注目を集めました。当初はなかなか定着しませんでしたが、各社が根気強くキャンペーンを続けた結果、1970年代には「女性から男性へ、愛の告白としてチョコレートを贈る」というスタイルがすっかりおなじみになったのです。
甘くて少しほろ苦いチョコレートは、ドキドキする恋心を表すのにぴったりの贈り物。当時の女性たちの心を掴み、今日まで続く一大イベントへと発展していったのですね。詳しくは、日本チョコレート・ココア協会のウェブサイトでも紹介されています。
5.2 ホワイトデーは日本発祥の文化?
はい、その通りです。バレンタインデーのお返しをする「ホワイトデー」は、日本で生まれた独自の文化なんですよ。海外では、バレンタインデーに男女がお互いにプレゼントを贈り合うのが一般的なので、お返し専門の日はほとんどありません。
この習慣は1970年代後半、「バレンタインデーにいただいた贈り物にお返しをしよう」という気運から生まれました。福岡の老舗菓子店「石村萬盛堂」が、バレンタインデーのお返しにマシュマロを贈る「マシュマロデー」を考案したのが始まりという説や、全国飴菓子工業協同組合がキャンディーの販売促進のために始めたという説など、いくつかの由来が語られています。
その後、「ホワイト」という言葉の持つ清潔感や純粋なイメージから「ホワイトデー」という名称が広まり、マシュマロやキャンディーだけでなく、クッキーなど白いお菓子を中心にお返しをする日として定着しました。今では韓国や台湾など、一部のアジア諸国にもこの素敵な文化が伝わっています。
ちなみに、お返しのお菓子にはそれぞれ意味が込められている、という話を聞いたことはありませんか?代表的なものをいくつかご紹介しますね。
お菓子の種類 | 込められた意味(一説) |
---|---|
マシュマロ | 「あなたの愛を、わたしのやさしさで包んでお返しします」 (昔は「あなたが嫌い」という逆の意味で使われることもありました) |
クッキー | 「これからも良いお友達でいましょう」 |
キャンディー | 「わたしもあなたが好きです」 |
マカロン | 「あなたは特別な人です」 |
これらは俗説の一つとも言われていますが、贈りものを選ぶ際のちょっとした楽しみとして、参考にしてみるのも素敵かもしれませんね。
6. まとめ
バレンタインデーの起源は、ローマ時代の聖職者、聖ウァレンティヌスの愛に満ちた物語にありました。日本では製菓会社の巧みなキャンペーンをきっかけに、女性から男性へチョコレートを贈る独自の文化として定着しました。今では本命や義理だけでなく、友チョコや自分へのご褒美など、その楽しみ方はより自由で多彩になっています。あなたらしい素敵な形で、大切な人や自分自身に、日頃の想いを伝えてみてはいかがでしょうか。
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