ゆたかな老後を送るために、お金はいくらくらい必要なのでしょうか。ニュースで耳にした「老後2000万円問題」という言葉に、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。老後に必要な資金は、実は画一的な正解があるわけではなく、ご自身が望む暮らし方や家族のかたちによって大きく変わります。だからこそ、誰かの基準に合わせるのではなく、ご自身の状況に合った目標額を知ることが何よりも大切です。この記事では、あなたの世帯に本当に必要な老後資金額を簡単な3ステップで計算する方法から、夫婦・独身別の具体的な目安、そして新NISAやiDeCoなどを活用した今から始められる賢い備え方まで、わかりやすく丁寧にご紹介します。この記事を読み終える頃には、お金の不安が具体的な安心へと変わり、あなたらしい未来を描くための、はじめの一歩をそっと後押しできるはずです。
1. 老後資金は結局いくら必要?2000万円問題の現在地
「老後の生活には、いったいいくらかかるのかしら…」と考え始めると、漠然とした不安を感じてしまう方も多いかもしれませんね。テレビや雑誌で「老後2000万円問題」という言葉を耳にして、心配になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずはこの問題の基本から、ご一緒に見ていきましょう。

1.1 そもそも「老後2000万円問題」とは?
「老後2000万円問題」とは、2019年に金融庁の審議会が公表した報告書がきっかけで、広く知られるようになりました。 この報告書では、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」というモデルケースで、年金などの収入だけでは生活費が足りず、老後30年間で約2,000万円の貯蓄を取り崩す必要があるという試算が示されたのです。
具体的には、当時のデータで高齢夫婦の収入から支出を差し引くと、毎月約5.5万円の赤字になる計算でした。 この毎月の不足分を30年間(360ヶ月)補うために、5.5万円×360ヶ月=1,980万円、つまり約2,000万円が必要になる、というわけです。 ただし、これはあくまでひとつのモデルケースから計算された平均値です。ご家庭の状況やどんな暮らしをしたいかによって必要な金額は変わってきますので、「誰もが2,000万円を用意しなくてはならない」というわけではありませんよ。
1.2 最新データから見る老後のリアルな収支
では、現在のシニア世代の家計はどのようになっているのでしょうか。総務省が発表している最新の「家計調査報告」から、実際の収入と支出の状況をのぞいてみましょう。ご自身の暮らしと比べながら見ていただくと、よりイメージが湧きやすいかもしれません。
1.2.1 老後の平均的な支出額
2023年のデータによると、65歳以上の無職世帯の1ヶ月あたりの平均的な支出は以下のようになっています。
| 項目 | 夫婦のみの世帯 | 単身世帯 |
|---|---|---|
| 消費支出(生活費) | 256,521円 | 149,286円 |
| -食料 | 76,352円 | 42,085円 |
| -住居 | 16,432円 | 12,693円 |
| -光熱・水道 | 21,919円 | 14,490円 |
| -家具・家事用品 | 12,265円 | 6,596円 |
| -被服及び履物 | 5,590円 | 3,385円 |
| -保健医療 | 18,383円 | 8,640円 |
| -交通・通信 | 27,768円 | 14,935円 |
| -教養娯楽 | 25,377円 | 15,507円 |
| -その他消費支出 | 52,433円 | 30,956円 |
| 非消費支出(税・社会保険料) | 30,356円 | 12,647円 |
| 支出合計 | 286,877円 | 161,933円 |
出典: 総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
1.2.2 老後の平均的な収入額
次に、同じ世帯の収入を見てみましょう。収入のほとんどは、国から受け取る公的年金などの社会保障給付で占められています。
| 項目 | 夫婦のみの世帯 | 単身世帯 |
|---|---|---|
| 実収入 | 252,818円 | 134,116円 |
| うち社会保障給付 | 225,182円 | 121,629円 |
出典: 総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
このデータを見ると、夫婦世帯では毎月約3.4万円、単身世帯では毎月約2.8万円の赤字が出ていることがわかります。 このように、現在の高齢者世帯でも、年金収入だけで生活費のすべてをまかなうのは少し難しい状況のようです。だからこそ、ご自身の状況に合わせて、早めに準備を始めておくことが安心につながるのですね。
2. 【簡単】あなたの世帯に必要な老後資金の計算方法
「老後資金は〇〇万円必要」と耳にしても、本当に自分にも当てはまるのか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。家族構成や暮らしへの考え方は人それぞれ。だからこそ、ご自身の状況に合わせて計算してみることが何よりも大切です。ここでは、誰でも簡単にできる3つのステップで、あなたに必要な老後資金の目安を計算する方法をご紹介します。難しく考えずに、まずは一緒に試してみましょう。

2.1 ステップ1 老後の生活費(支出)をシミュレーションする
最初のステップは、老後の暮らしで「出ていくお金」がどれくらいになるかを想像してみることです。現在の家計簿を参考に、退職後の生活を思い描きながら、毎月の支出を項目ごとに書き出してみましょう。下の表を参考に、ご自身の金額を入れてみてくださいね。
| 支出項目 | 現在の月額 | 老後の予想月額 | メモ |
|---|---|---|---|
| 食費 | 外食が減る?それとも健康志向で上がる? | ||
| 住居費 | 住宅ローンは完済している?リフォームの予定は? | ||
| 水道光熱費 | 在宅時間が増えると少し上がるかもしれません。 | ||
| 通信費 | スマホのプラン見直しも検討しましょう。 | ||
| 保険料 | 生命保険や医療保険の見直しは済んでいますか? | ||
| 医療費 | 年齢とともに増える可能性を考えておきましょう。 | ||
| 趣味・娯楽費 | 旅行や習い事など、楽しみたいことを書き出しましょう。 | ||
| 交際費 | お孫さんへのお祝いなどもここに含めます。 | ||
| その他雑費 | 衣類や日用品など、その他のこまごまとした出費です。 | ||
| 合計 |
「ゆとりある生活」を送りたい場合は、この合計額に、旅行や趣味にかかる特別な費用を上乗せして考えてみましょう。
2.2 ステップ2 老後の収入(年金・退職金)を把握する
次に見るべきは、「入ってくるお金」です。老後の収入の大きな柱となるのは、「公的年金」と「退職金」の2つ。それぞれ、いくらくらい受け取れそうか確認していきましょう。
2.2.1 公的年金の受給額は「ねんきん定期便」で確認
毎年お誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」というハガキを手元に用意しましょう。 50歳以上の方の場合、表面に将来受け取れる年金の見込み額が記載されています。 「老齢年金の種類と見込額(年額)」という欄の金額が、65歳から受け取れる1年あたりの年金額の目安です。 もっと詳しく知りたい、繰り上げ・繰り下げ受給を試算したいという方は、日本年金機構の「ねんきんネット」を活用すると、いつでも最新の情報を確認でき、より詳細なシミュレーションが可能です。
2.2.2 退職金や企業年金の有無と金額を確認
退職金制度は、会社によって内容が大きく異なります。 まずは、お勤め先の「就業規則」や「退職金規程」を確認してみましょう。 人事部や総務部に直接問い合わせてみるのが最も確実な方法です。また、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している場合は、現在の資産額や運用状況もあわせて確認しておくと安心です。
2.3 ステップ3 不足額を計算して目標金額を設定する
支出と収入の目安がわかったら、いよいよ最終ステップです。下の式に当てはめて、老後資金がどれくらい必要になるのかを計算してみましょう。
(老後の年間支出額 - 老後の年間収入額) × 老後の年数 = 不足額(目標金額)
例えば、65歳で退職し、95歳までの30年間を老後期間と設定して計算します。もし計算結果が大きな金額になっても、決して落ち込む必要はありません。これはあくまで現時点での目安です。今から少しずつ準備を始めれば、きっと大丈夫。この目標金額を道しるべに、次の章でご紹介する具体的な準備方法を一緒に見ていきましょう。
3. 【世帯別】老後資金はいくら必要か夫婦・独身の目安を紹介
自分らしいセカンドライフを送るためには、一体どれくらいの資金があれば安心できるのでしょうか。ここでは、ご夫婦二人世帯と、おひとりさま世帯、それぞれのケースで必要な老後資金の目安をご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、これからの暮らしを思い描いてみてくださいね。
3.1 夫婦世帯で必要な老後資金の目安

まずは、ご夫婦で暮らす場合の目安を見ていきましょう。基本的な生活から、少し贅沢を楽しむ生活まで、2つのパターンで考えてみました。
3.1.1 最低限の生活を送る場合
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人が老後の最低限の日常生活を送るために必要と考える費用は、月額で平均23.9万円という結果が出ています。 これは、特別な贅沢はせず、日々の暮らしを穏やかに過ごすための金額といえるでしょう。
例えば、65歳から30年間暮らすと仮定すると、総額で約8,604万円(23.9万円×12ヶ月×30年)が必要になります。この金額を、主に公的年金でまかなっていくことになります。もし年金収入だけでは少し足りない場合は、その不足分を貯蓄などで補う必要があります。
3.1.2 ゆとりある生活を送る場合
せっかくの老後ですもの、たまには旅行に出かけたり、趣味を思いきり楽しんだりしたいですよね。同調査では、ゆとりある老後生活を送るための費用は、月額で平均39.1万円という結果も出ています。 最低限の生活費に、プラス約15.2万円の上乗せです。
この「ゆとり」の使い道として最も多かったのは、「旅行やレジャー」、次いで「日常生活費の充実」「趣味や教養」でした。 パートナーとの素敵な思い出を増やしたり、自分の好きなことに時間を使ったりと、暮らしに彩りを添えるための費用と考えると、夢が広がりますね。
ゆとりある生活を30年続けるとすると、総額で約1億4,076万円(39.1万円×12ヶ月×30年)が必要です。公的年金の収入額にもよりますが、多くの場合、年金だけではこの金額をまかなうのは難しく、計画的な資産準備が大切になってきます。
3.2 独身(おひとりさま)で必要な老後資金の目安
次におひとりさまの場合です。ご自身のペースで自由に暮らせるのが魅力ですが、お金のことも自分一人で考えていく必要があります。こちらも2つのパターンで見ていきましょう。
3.2.1 最低限の生活を送る場合
総務省の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出(生活費)は月平均で約14.3万円です。 これに税金や社会保険料などを加味すると、毎月16万円前後がひとつの目安となりそうです。
この金額で30年間暮らすと仮定すると、総額で約5,760万円(16万円×12ヶ月×30年)が必要となります。ご自身の年金受給見込額を確認し、不足がないか一度計算してみると安心です。
3.2.2 ゆとりある生活を送る場合
おひとりさまがゆとりある生活を送る場合、明確な公的データは多くありませんが、夫婦世帯の「ゆとりの上乗せ額」を参考にしてみましょう。夫婦で約15万円の上乗せでしたので、その6〜7割程度、つまり月々8万円~10万円ほどをプラスで考えるとイメージしやすいかもしれません。
最低限の生活費16万円に9万円を上乗せすると、月々25万円。友人との旅行や食事、新しい習い事など、アクティブに毎日を楽しむ姿が目に浮かびますね。この場合、30年間の総額は約9,000万円(25万円×12ヶ月×30年)となります。年金収入との差額を、早いうちからコツコツと準備していくことが、自分らしい豊かな老後につながります。
| 夫婦のみの世帯 | 単身世帯 | |
|---|---|---|
| 消費支出(生活費) | 約25.7万円 | 約14.9万円 |
| 非消費支出(税・社会保険料) | 約3.2万円 | 約1.2万円 |
| 支出 合計 | 約28.9万円 | 約16.1万円 |
※総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2024年」などのデータを基に簡略化して作成
4. 今からでも間に合う老後資金の効率的な備え方5選
「老後のためにお金を準備しなくちゃ」と思ってはいても、何から始めたらいいのか迷ってしまいますよね。でも、大丈夫。あなたの暮らしに合った方法がきっと見つかります。ここでは、今からでも始められる、老後資金の備え方を5つご紹介します。ひとつずつ見ていきながら、ご自身にぴったりの方法を探してみましょう。
4.1 備え方1 財形貯蓄や先取り貯蓄を始める
まずご紹介するのは、給与から自動的に貯蓄分が天引きされる「財形貯蓄」や「先取り貯蓄」です。 この方法の素敵なところは、一度手続きをすれば、あとは意識しなくても自然とお金が貯まっていくこと。 毎月のお給料が入ると、使う前に決まった額が貯蓄用の口座に移されるので、「今月も使いすぎてしまった…」なんて後悔することもありません。 お勤め先に財形貯蓄制度があるか、ぜひ確認してみてくださいね。 もし制度がなくても、銀行の自動積立定期預金などを利用すれば、同じように先取り貯蓄が始められますよ。
4.2 備え方2 新NISA(つみたて投資枠)を活用する
次にご紹介するのは、2024年から新しくなった「NISA」という制度です。特に、コツコツと長期的な資産づくりを目指す方には「つみたて投資枠」がぴったり。 これは、投資で得られた利益に税金がかからない、とてもお得な制度なんです。 少額からでも始められるので、投資が初めての方でも安心してチャレンジできます。 将来のために、お金にも少し働いてもらう、そんなイメージで始めてみてはいかがでしょうか。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間の投資上限額 | 120万円 |
| 生涯の非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠と合わせて) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 投資できる商品 | 金融庁が定めた基準を満たす、長期の積立・分散投資に適した投資信託など |
詳しくは、金融庁のNISA特設ウェブサイトで分かりやすく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
4.3 備え方3 iDeCo(個人型確定拠出年金)で節税しながら積み立てる
「iDeCo(イデコ)」は、ご自身で掛金を積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。 iDeCoの一番の魅力は、なんといっても掛金が全額所得控除の対象になるなど、税金の面で大きなメリットがあること。 毎年の所得税や住民税を軽くしながら、将来のための資産を育てることができます。 ただし、原則として60歳になるまで引き出すことはできないので、その点は心に留めておきましょう。 老後の自分への仕送りのような気持ちで、コツコツ続けていくのがおすすめです。
4.4 備え方4 個人年金保険を検討する
公的年金だけでは少し心もとない、と感じる方には「個人年金保険」という選択肢もあります。 これは、民間の保険会社が提供している商品で、契約時に決めた年齢まで保険料を払い込むと、将来、一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れる仕組みです。 将来受け取れる金額が決まっているタイプを選べば、老後の生活設計が立てやすくなるという安心感があります。 ただし、途中で解約すると元本割れしてしまう可能性もあるため、無理のない範囲で計画的に利用することが大切です。
4.5 備え方5 60歳以降も働き収入を得る
資産を「貯める」「増やす」ことと合わせて考えたいのが、「長く働く」という選択肢です。60歳や65歳を過ぎても、ご自身のペースで仕事を続けることで、安定した収入を得られるだけでなく、社会とのつながりや日々の張り合いを持つことにも繋がります。 厚生年金に加入して働けば、将来受け取る年金額を増やすこともできます。 新しい仕事に挑戦したり、これまでの経験を活かしたりと、働き方もさまざま。 健康を維持しながら、いきいきとした毎日を送るためにも、自分らしい働き方を探してみてはいかがでしょうか。
5. 【年代別】老後資金の準備でやるべきこと
老後のための準備は、いつから始めても早すぎるということはありません。ここでは、年代ごとに意識したいポイントをご紹介します。ご自身のライフステージに合わせて、できることから始めてみましょう。
5.1 20代・30代は長期的な視点で資産形成をスタート
「老後なんてまだまだ先のこと」と感じるかもしれませんが、実は20代・30代こそ資産形成を始める絶好のタイミングです。なぜなら、若さという最大の武器、「時間」を味方につけられるからです。 長い時間をかけてコツコツと資産を育てることで、「複利」の効果を最大限に活かせます。複利とは、運用で得た利益を元本に加えて再び運用することで、雪だるま式に資産が増えていく仕組みのことです。
たとえば、毎月少額からでも「新NISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった税金の優遇制度を活用して積立投資を始めるのがおすすめです。 これらの制度は、将来のために備えながら、税金の負担を軽くできる嬉しい仕組みです。 まだ収入がそれほど多くない時期かもしれませんが、月々5,000円や1万円といった無理のない範囲で始めることが、将来の自分を助ける大きな一歩になります。
5.2 40代は家計の見直しと入金力の強化を
40代は、お仕事でのキャリアアップなどで収入が増える一方で、お子さんの教育費や住宅ローンなど、人生の中でも特に支出が多くなる時期です。 だからこそ、一度立ち止まって家計全体を見直し、資産形成に回すお金(入金力)を強化することが大切になります。
まずは、家計簿アプリなどを活用して、毎月の収入と支出を「見える化」してみましょう。 どこに無駄が隠れているかを見つけることで、効率的に支出を減らせます。特に、効果が大きいのが固定費の見直しです。
| 見直しの項目 | 具体的なアクション例 |
|---|---|
| 通信費 | スマートフォンの料金プランを、ご自身の使い方に合ったより安いものへ変更する。 |
| 保険料 | 加入している生命保険や医療保険の保障内容が、現在のライフステージに合っているかを確認し、不要な保障は解約や減額を検討する。 |
| 住居費 | 住宅ローンの借り換えを検討し、金利負担を軽減する。 |
家計に余裕が生まれたら、その分を新NISAやiDeCoなどでの積立額の増額に回しましょう。 40代からのスタートでも、決して遅くはありません。着実に準備を進めることで、安心して老後を迎えることができます。
5.3 50代は退職後を見据えた守りの運用へシフト
50代は、いよいよ定年退職が視野に入ってくる年代です。これまでのように資産を「増やす」ことだけを考えるのではなく、築き上げた資産を「守りながら、どう使っていくか」という「出口戦略」を意識した運用へシフトしていくことが重要になります。 退職金や年金の見込み額も具体的になる時期なので、それらを踏まえて、老後の生活にあといくら必要なのかをより正確に把握しましょう。
資産運用においては、大きなリターンを狙うよりも、リスクを抑えた安定的な運用を心がけることが大切です。例えば、これまで株式中心で積極的に運用してきた方も、安定した値動きが期待できる債券の割合を増やすなど、資産の組み合わせを見直してみましょう。 また、万が一の相場急落に備えて、すぐに使える生活防衛資金として、生活費の1〜2年分程度は現金で確保しておくと安心です。
iDeCoで積み立てた資産も60歳から受け取れるようになりますが、受け取り方(一時金か年金か)によって税金の計算が変わるため、ご自身にとって最も有利な方法を事前に調べておくことをおすすめします。 慌てずに、そして賢く資産を活用していくための準備を始めるのが50代です。
6. まとめ
老後のお金のこと、考えると少し不安な気持ちになってしまうかもしれませんね。話題になった「2000万円」という数字はあくまで一つの目安であり、本当に大切なのは、ご自身がこれからどのような暮らしを送りたいかを思い描き、それに合わせて必要な金額をきちんと把握することです。
まずはこの記事でご紹介した計算方法を参考に、ご自身の世帯にいくら必要なのかを確かめてみましょう。ゴールが見えれば、あとは計画を立てるだけ。新NISAやiDeCoといった国の制度は、これからの資産づくりを力強く後押ししてくれます。何歳からでも、今日がこれからの人生で一番若い日。あなたに合った方法で、少しずつ準備を始めてみませんか。
お金の不安が和らぐと、心にもゆとりが生まれるはず。これからの毎日を、もっと心豊かに、あなたらしく楽しむために。この記事が、その素敵な一歩を踏み出すきっかけとなれば嬉しく思います。


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