サラダ油はなぜサラダ?由来や他の食用油との違い、代用品について解説

サラダ油の画像

「サラダ油」の「サラダ」って、どういう意味かしら?と疑問に思ったことはありませんか。この記事を読めば、その名前の由来はもちろん、サラダ油の詳しい特徴や他の油との違い、もしもの時の代用品までスッキリと分かります。実は、生でサラダにかけても美味しく食べられるように低温でも固まりにくく精製された、日本生まれの油だから「サラダ油」と名付けられたのですよ。毎日の食卓に役立つ油の知識を深めてみませんか。

目次

1. サラダ油の「サラダ」ってどういう意味?気になる名前の由来を解説

キッチンに当たり前のようにあるサラダ油ですが、「どうしてサラダという名前がついているのかしら?」と、ふと疑問に思われたことはありませんか。毎日のお料理に欠かせない存在でありながら、その名前の由来は意外と知られていないかもしれませんね。実は、この「サラダ」という言葉には、日本の食文化の歩みと、油の品質へのこだわりが深く関わっているのです。この章では、そんなサラダ油の名前の秘密を一緒に紐解いていきましょう。

1.1 サラダ油が日本で生まれた背景

サラダ油は、実は日本で開発された食用油だということをご存知でしたか。明治時代から大正時代にかけて、日本でも少しずつ西洋の食文化が広まり始め、それに伴って生野菜を食べる習慣も取り入れられるようになりました。当時の日本で主に使われていた植物油は、ごま油や菜種油など、加熱調理を前提としたものが多く、そのまま生で食べるのには風味が強すぎたり、低温で固まりやすかったりといった課題があったのです。

そんな中、「生野菜をもっとおいしく、手軽に楽しむための油が欲しい」という声に応える形で、新しいタイプの油の開発が進められました。これが、現在のサラダ油の原型となっていったのですね。

1.2 「サラダ」と名付けられた本当の理由とは

では、なぜその新しい油に「サラダ」という名前が冠されたのでしょうか。それは、「サラダなどの生食用途にそのまま使えるほど、低温環境でも固まったり白く濁ったりしにくく、かつ風味にクセがないように高度に精製された高品質な油」であることを、分かりやすく示すためでした。

昔ながらの製法で作られた植物油は、冬場や冷蔵庫のような低い温度の場所に置くと、成分の一部が固まって白く濁ってしまうことがありました。ドレッシングやマヨネーズなど、冷たい状態で使うことが多いサラダ料理にとって、油が濁ってしまうのは見た目も口当たりも良くありませんよね。そこで、低い温度でも液状を保ち、さらさらとした透明な状態を維持できることが、新しい油には求められました。

この「生で、そして冷やしてもおいしく使える」という画期的な特徴を、当時モダンでおしゃれなイメージもあった生野菜料理の代表格、「サラダ」という言葉で表現したのです。ですから、単に「サラダにかけるからサラダ油」という直接的な意味合いだけでなく、「サラダ料理に安心して使えるほど、精製度が高く、低温特性に優れた油ですよ」という品質保証のような意味合いが込められていたのですね。この高い精製技術こそが、サラダ油を特別な存在にしたのです。

1.3 日本におけるサラダ油の歴史と普及

日本で初めて「サラダ油」という名称の製品が登場したのは、1924年(大正13年)のこと。日清製油(現在の株式会社J-オイルミルズの前身の一つや、日清オイリオグループ株式会社などがその流れを汲みます)が製造・販売を開始したのが最初期のものと言われています。当初はまだ高級品でしたが、食生活の洋風化が進むにつれて、サラダ油は次第に日本の家庭にも浸透していきました。

特に第二次世界大戦後、食生活の改善や栄養状態の向上が重視されるようになると、洋食メニューはますます身近なものとなり、それに伴ってサラダ油の需要も大きく伸びていきました。そして、1957年(昭和32年)には、日本農林規格(JAS規格)の中に「サラダ油」の明確な基準が設けられます。このJAS規格によって、一定の品質基準(低温で濁らないこと、精製度が高いことなど)をクリアした油だけが「サラダ油」と名乗れるようになり、消費者も安心して選べるようになりました。この規格化は、サラダ油が広く信頼を得て、日本の食卓に定着する上で非常に大きな役割を果たしたと言えるでしょう。(参考:農林水産省 JAS規格

今では、炒め物、揚げ物、そして手作りドレッシングやマヨネーズなど、和洋中どんなお料理にも幅広く活躍するサラダ油。その親しみやすい名前には、日本の食卓を豊かにしてきた歴史と、より良いものを求める人々の知恵と工夫が詰まっているのですね。

2. そもそもサラダ油とはどんな油?その定義と特徴

普段なにげなく使っているサラダ油ですが、一体どんな油なのでしょうか。ここでは、サラダ油の基本的な定義や、その特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。知っているようで意外と知らない、サラダ油の基本を押さえておくと、お料理の幅も広がるかもしれませんね。

2.1 JAS規格で定められるサラダ油の定義

「サラダ油」という名前は、実は日本農林規格(JAS規格)によって厳しく定められています。どんな油でも「サラダ油」と名乗れるわけではないのですね。具体的には、精製された植物油のうち、低温(0℃)の環境に5.5時間置いても清澄で濁らないという厳しい基準をクリアしたものだけが、JAS規格上の「サラダ油」として認められます。この基準があるからこそ、冷蔵庫でドレッシングが固まってしまう、なんてことを防げるのですね。

このJAS規格についてもっと詳しく知りたい方は、一般社団法人 日本植物油協会のウェブサイトで詳しい情報をご覧いただけます。
一般社団法人 日本植物油協会 食用植物油とJAS規格

2.2 サラダ油に使われる主な植物原料

サラダ油は、特定の種類の植物から採れる油を指すのではなく、JAS規格の基準を満たした精製植物油の総称です。そのため、様々な植物が原料として使われています。よく使われるのは、大豆、なたね(キャノーラ)、とうもろこし、綿実(めんじつ)、ひまわりの種、ごま、べに花(サフラワー)、米ぬかなどです。これらのうち1種類、または2種類以上をブレンドして作られることが多いんですよ。お店でサラダ油を選ぶとき、原材料表示を見てみるのも面白いかもしれませんね。

主な植物原料特徴の例
大豆油うま味とコクがあり、酸化しにくいのが特徴です。
なたね油(キャノーラ油)クセが少なく、比較的あっさりとした風味です。
とうもろこし油香ばしい風味があり、揚げ物などに使うとカラッと仕上がります。
綿実油上品な風味で、加熱しても安定性が高いのが特徴です。
ひまわり油クセがなく、ビタミンEを多く含むものもあります。
米油軽い風味で、酸化しにくく、栄養価が高いと注目されています。

※上記は一般的な特徴であり、製品によって異なる場合があります。

2.3 サラダ油の製造方法 精製が生み出す特徴

サラダ油が「サラダ」にも使えるのは、その製造方法に秘密があります。サラダ油は、原料となる植物から油を搾った後、高度な精製工程を経て作られます。この精製工程には、脱酸(遊離脂肪酸を取り除く)、脱色(色素を取り除く)、脱臭(におい成分を取り除く)、そして冬場でも固まりにくくするための脱ロウ(ロウ分を取り除く)などがあります。

こうした丁寧な精製によって、サラダ油はクセがなく、低温でも固まりにくい、そして加熱したときにも比較的安定しているという、使いやすい特徴を持つようになるのです。この特徴こそが、ドレッシングのような生食から、炒め物、揚げ物まで、幅広い料理に活用できる理由なのですね。

2.4 無味無臭?サラダ油の風味や色の特徴

高度に精製されているサラダ油は、基本的に無味無臭に近いと言われています。そのため、お料理に使う際に、素材そのものの風味を邪魔することがありません。例えば、繊細な味わいの和え物や、手作りドレッシングなどでは、この特徴がとても活きてきますね。

色も、精製によって淡い黄色からほとんど無色透明に近くなっています。ですから、料理の仕上がりの色合いに大きく影響することも少ないでしょう。ただ、「無味無臭」とはいっても、原料の種類や精製度合いによっては、ほんのりとした風味を感じることもあります。ご家庭で使っているサラダ油の風味を、一度意識して確かめてみるのも良いかもしれませんね。

3. 他の食用油とサラダ油はどう違う?種類別に徹底比較

私たちのキッチンには、サラダ油以外にもいろいろな種類の油がありますよね。それぞれどんな特徴があって、サラダ油とはどこが違うのでしょうか。ここでは、よく使われる食用油とサラダ油を比べて、それぞれの個性と上手な使い分けのヒントを見つけていきましょう。

3.1 キャノーラ油(なたね油)とサラダ油の違い

キャノーラ油は、アブラナ科の植物である「なたね」の種子から作られる油です。「キャノーラ」という名前は、カナダで品種改良された特定のなたねの品種を指すことが多いんですよ。サラダ油は複数の植物原料をブレンドすることが一般的ですが、キャノーラ油として販売されているものは、主になたね油100%の製品です。

風味については、精製度が高いものはサラダ油と同じようにクセが少なく淡白で、色も薄い黄色をしています。そのため、サラダ油と同じように揚げ物や炒め物、ドレッシングなど、幅広いお料理に使いやすいのが特徴です。栄養面では、私たちの体に必要な脂肪酸の一つであるオレイン酸を比較的多く含み、健康維持に役立つとされるα-リノレン酸も含まれています。日本農林規格(JAS規格)では、「なたね油」としての基準が定められています。

3.2 大豆油とサラダ油の違い

大豆油は、その名の通り「大豆」を原料として搾油される油です。実は、サラダ油の原料として最もよく使われる植物油の一つが、この大豆油なんです。ですから、大豆油100%の商品もあれば、大豆油を主原料に他の油とブレンドされたものが「サラダ油」として売られていることもあります。

精製された大豆油は、比較的クセがなく、サラダ油と同様に無味無臭に近いですが、製品によっては大豆特有のうまみやコクをわずかに感じることもあります。必須脂肪酸であるリノール酸を豊富に含んでいるのが特徴で、加熱料理からドレッシングまで幅広く活用できます。こちらも「大豆油」としてJAS規格が定められています。

3.3 ごま油とサラダ油の違い

ごま油は、「ごま」の種子から作られる油で、何といってもその独特で香ばしい風味が最大の魅力ですよね。サラダ油が無味無臭で素材の味を活かすのに対し、ごま油は料理に豊かな香りとコクを加えてくれます。

ごま油には、ごまを焙煎してから搾るタイプと、焙煎せずに生搾りするタイプがあります。焙煎タイプは色が濃く香りも強いですが、非焙煎タイプ(「太白ごま油」などと呼ばれます)は色が薄く、ごまの風味は穏やかで上品です。中華料理や韓国料理、和え物の風味付けには欠かせませんし、炒め油として使うと食欲をそそる香りが立ちます。ごま特有の成分であるセサミンやビタミンEも含まれています。「ごま油」にもJAS規格があります。

3.4 オリーブオイルとサラダ油の違い

オリーブオイルは、地中海沿岸などで栽培される「オリーブ」の果実を搾って作られる油です。特に「エクストラバージンオリーブオイル」は、化学的な処理をせず、オリーブの実を搾ったままのフレッシュな風味が特徴です。フルーティーな香りや、品種によってはピリッとした心地よい辛みがあり、サラダ油の無味無臭とは対照的ですね。

サラダ油のように精製された「ピュアオリーブオイル」(単に「オリーブオイル」と表示されることもあります)という種類もあり、こちらは香りが穏やかで加熱調理に向いています。オリーブオイルは、主成分であるオレイン酸のほか、ポリフェノールなどの健康成分も含まれているのが嬉しいポイント。ドレッシングやマリネに使うのはもちろん、パンにつけたり、パスタや炒め物に使ったりと、洋風料理を中心に幅広く活躍します。「オリーブ油及びオリーブポマス油」としてJAS規格が定められています。

3.5 米油(こめ油)とサラダ油の違い

米油は、お米を精米する際に出る「米ぬか」から作られる、私たち日本人には馴染み深い油です。風味にクセがなく、ほんのりとした甘みや香ばしさを感じる方もいらっしゃいます。加熱に強く、酸化しにくいという性質があるため、揚げ物がカラッと仕上がると人気があります。

また、素材の味を邪魔せず引き立てるので、炒め物やドレッシング、お菓子作りなど、サラダ油と同じようにどんな料理にも使いやすいのが魅力です。米ぬか特有の栄養成分であるγ-オリザノールやトコトリエノール(ビタミンEの一種)を含んでいるのも特徴です。「こめ油」としてJAS規格が設けられています。

3.6 結局サラダ油を選ぶメリットとデメリットは

ここまで色々な油と比べてきましたが、結局のところ、サラダ油を選ぶことにはどんな良い点と、少し気をつけたい点があるのでしょうか。まとめてみましょう。

3.6.1 サラダ油の嬉しいポイント(メリット)

  • 価格が比較的お手頃で、どこのお店でも手に入りやすいこと。毎日の料理に気兼ねなく使えますね。
  • 無味無臭なので、どんなお料理にも合わせやすく、素材本来の味を邪魔しないこと。和洋中、お菓子作りまで、本当に万能です。
  • JAS規格に基づいて作られているため、品質が安定していて安心感があること。
  • 低温でも固まりにくい性質(JAS規格の要件の一つ)があるので、ドレッシングやマヨネーズ作りにも適していること。

3.6.2 サラダ油を選ぶ際に少し考えておきたいこと(デメリット)

  • ごま油やオリーブオイルのように、油そのものの風味や香りを楽しみたいお料理にはあまり向いていません
  • 複数の植物油をブレンドして作られることが多いため、どの油が主原料なのか、どんな割合で入っているのかが分かりにくい場合もあります(商品の原材料表示で確認できます)。
  • 高度に精製されているため、原料植物に含まれるビタミンEなどの微量な栄養成分は、圧搾法で作られた未精製の油に比べると少なくなる傾向があります。

それぞれの油の特徴を知って、お料理や目的に合わせて上手に使い分けられると、食卓がもっと豊かになりそうですね。もしご興味があれば、食用植物油の日本農林規格(農林水産省)もご覧になってみてください。

4. サラダ油がない!そんな時の代用油と選び方のポイント

「あら、サラダ油を切らしちゃったわ!」なんてこと、ありませんか?お料理の途中で気づくと、本当に困ってしまいますよね。でも、ご安心ください。サラダ油がなくても、ご家庭にある他の油で上手に代用できるんですよ。ここでは、お料理の種類やお好みに合わせて、どんな油を選べば良いのか、そのポイントをわかりやすくご紹介します。ぴったりの代用油を見つけて、お料理をもっと楽しみましょう

4.1 加熱料理でサラダ油の代わりに使える油

炒め物や揚げ物など、火を通すお料理にサラダ油は欠かせませんね。代用する油を選ぶときは、煙が出にくい「発煙点」が高い油を選ぶのがポイントです。煙が出てしまうと、お部屋に匂いがこもったり、油が劣化して風味が悪くなったりすることもあるんですよ。

4.1.1 揚げ物におすすめのサラダ油代用油

からりと美味しい揚げ物を作るには、高温に強く、素材の風味を邪魔しない油が理想的です。サラダ油の代わりに揚げ物で使える油と、その特徴を見ていきましょう。

油の種類特徴揚げ物でのポイント
米油(こめ油)軽い風味でクセがありません。酸化しにくく、揚げ物がカラッと仕上がります。ビタミンEも含まれています。揚げ物が油っぽくなりにくく、冷めても美味しいと人気です。胸やけしにくいと感じる方もいらっしゃるようです。
なたね油(キャノーラ油)比較的お求めやすく、手に入りやすい油です。クセが少なく、どんなお料理にも使いやすいのが魅力です。日常使いしやすく、揚げ物もあっさり仕上がります
コーン油香ばしい風味があり、高温に強い性質を持っています。カラッと揚がるのが特徴です。フライドポテトや鶏の唐揚げなど、香ばしさをプラスしたい揚げ物にもよく合います。
大豆油うま味とコクがある油です。酸化しやすい性質があるので、開封後は早めに使い切るのがおすすめです。揚げ物にも使えますが、他の油とブレンドされたサラダ油の原料として使われることが多いです。単体で使う場合は、風味を確かめてからお使いください。

これらの油は、サラダ油と同じように揚げ物にお使いいただけます。油の量をしっかり確保し、適切な温度で揚げることが、美味しく仕上げるコツですよ。

4.1.2 炒め物におすすめのサラダ油代用油

毎日のおかず作りに欠かせない炒め物。サラダ油の代わりには、比較的どんな油でも使いやすいですが、風味や仕上がりに少し違いが出ますので、お好みで選んでみてくださいね。

油の種類特徴炒め物でのポイント
米油(こめ油)クセがなく、素材の味を引き立てます。炒め物が油っぽくなりにくいのも嬉しいですね。どんな食材とも相性が良く、あっさりとした仕上がりになります。
なたね油(キャノーラ油)クセが少なく万能です。手頃な価格も魅力で、普段使いにぴったりです。日常の炒め物に幅広く使えます
オリーブオイル(ピュアタイプ)フルーティーな香りが特徴で、加熱にも比較的強いです。洋風の炒め物やパスタなどに使うと風味豊かに仕上がります。香りの穏やかなピュアオリーブオイルがおすすめです。
ごま油香ばしい風味が特徴です。中華料理や韓国料理など、風味を活かしたいお料理によく使われます。風味付けとして最後に少量加えるのがおすすめです。炒め油としてたっぷり使う場合は、他のクセのない油と混ぜると香りが強すぎず、バランスが良くなります。

炒め物では、使う油によって料理全体の風味が変わるのも楽しいですね。色々試してお好みの味を見つけてみてください。

4.2 非加熱料理でサラダ油の代わりに使える油

ドレッシングを手作りしたり、和え物に少し油を加えたり。そんな非加熱で油を使う場面では、風味や口当たりが良いものを選ぶのがおすすめです。サラダ油はクセがないのが特徴ですが、代用品によっては料理に新しい風味をプラスできますよ。

油の種類特徴非加熱料理でのポイント
オリーブオイル(エクストラバージン)フルーティーな香りや、ものによってはピリッとしたスパイシーな風味も楽しめます。サラダのドレッシングやカルパッチョに最適です。パンにつけても美味しいですね。
ごま油香ばしい香りが食欲をそそります。和え物やナムル、冷奴の風味付けに少量使うと、ぐっと本格的な味わいになります。
アマニ油・えごま油α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)が豊富に含まれています。独特の風味があるものも。加熱に弱い性質があります。健康を意識する方に人気です。ドレッシングに混ぜたり、出来上がったお料理に少量かけたりして使います。
米油(こめ油)クセがなく、さらりとしていて素材の味を邪魔しません。手作りマヨネーズや、風味をつけたくないドレッシングのベースにも向いています。

特にアマニ油やえごま油は酸化しやすく、加熱に向かないものが多いので、製品の表示をよく確認して、適切に使いましょう

4.3 お菓子作りでサラダ油の代わりに使える油

ケーキやクッキーなど、お菓子作りにサラダ油を使うレシピも多いですよね。サラダ油はクセがないので、お菓子の風味を邪魔しないのが利点です。代用するなら、同じように風味にクセが少ない植物油がおすすめです。

  • 米油(こめ油):軽い風味で、しっとり仕上がります。焼き菓子にも使いやすいですよ。
  • なたね油(キャノーラ油):クセがなく、手頃な価格でお菓子作りにも気軽に使えます。
  • 太白ごま油:ごま油特有の色と香りを抑えたもので、製菓用としても人気があります。上品な風味に仕上がります。
  • グレープシードオイル:こちらもクセがなく、サラッとしていてお菓子作りに向いています。ぶどうの種から作られる油です。

また、レシピによっては溶かしバターや溶かしマーガリンで代用できることもあります。バターを使うと風味豊かに、マーガリンは比較的あっさり仕上がりますが、油の種類が変わると風味や食感が変わることもありますので、その変化も楽しんでみてくださいね。代用する際は、基本的にサラダ油と同じ分量で置き換えられますが、油の種類によっては調整が必要な場合もありますので、様子を見ながらお作りください。

4.4 サラダ油の代用品を選ぶ際の注意点

サラダ油の代わりに他の油を使う際には、いくつか心に留めておきたいポイントがあります。これらを押さえておけば、代用油を上手に選んで、お料理をより美味しく、安心して楽しめますよ。

  1. 風味や香りの強さを確認する オリーブオイルやごま油のように香りが特徴的な油は、料理の風味を大きく変えることがあります。作りたいお料理に合わせて、香りが合うかどうかを考えましょう。特に和食など繊細な味付けのお料理には、クセの少ない米油やなたね油などが無難です。
  2. 加熱する料理か、非加熱の料理か 揚げ物や炒め物など高温で加熱するお料理には、煙が出にくい「発煙点」の高い油を選びましょう。アマニ油やえごま油など、一部の油は加熱に非常に弱いため、ドレッシングなど非加熱で使うのが基本です。お使いになる油の性質を確かめてくださいね。
  3. 油の酸化しやすさを考慮する 油は光や熱、空気に触れると酸化が進み、風味が落ちたり、体に良くない影響が出たりすることがあります。特に酸化しやすい油(例えば、アマニ油、えごま油など)は、開封後の保存方法や使用期限に注意し、早めに使い切るようにしましょう。多くの植物油は、冷暗所での保存が推奨されています。
  4. アレルギーの有無を確認する 特定の植物油に対してアレルギーをお持ちの場合は、代用する油の原材料を必ず確認してください。例えば、大豆アレルギーの方は大豆油を避ける、ごまアレルギーの方はごま油を避けるなど、ご自身やご家族の体質に合わせて注意が必要です。
  5. 作りたい料理との相性を考える 代用油を選ぶ一番のコツは、やはり「作りたいお料理に合うかどうか」です。例えば、イタリアンにはオリーブオイル、中華風ならごま油を少し加えるなど、お料理のジャンルと油の風味を合わせると、より美味しく仕上がりますよ。

これらのポイントを参考に、ご家庭にある油を上手に活用してみてくださいね。ちょっとした工夫で、いつものお料理が新しい味わいになるかもしれません

5. サラダ油に関するよくある疑問Q&A

毎日のお料理に欠かせないサラダ油ですが、使っているうちに「これってどうなんだろう?」と疑問に思うこともありますよね。ここでは、サラダ油に関するよくあるご質問にお答えします。安心してサラダ油をお使いいただくためのヒントになれば嬉しいです。

5.1 サラダ油は体に悪いという話は本当?

「サラダ油は体に良くない」というお話を耳にすると、少し心配になってしまいますよね。確かに、サラダ油の主な成分であるリノール酸(オメガ6系脂肪酸)は、現代の食生活では摂りすぎてしまう傾向があると言われています。摂りすぎると体内の脂肪酸バランスが崩れ、アレルギー症状を悪化させたり、炎症を引き起こしやすくしたりする可能性が指摘されることもあります。また、製造過程でごく微量のトランス脂肪酸が生成されることも、心配される理由の一つかもしれません。

しかし、サラダ油そのものが一方的に「体に悪い」と決めつけるのは早計です。サラダ油はビタミンEや必須脂肪酸を含み、私たちの体に必要なエネルギー源でもあります。大切なのは、どんな食品も「適量」を心がけ、バランスの取れた食事をすることです。サラダ油は加熱に強く、揚げ物や炒め物など、様々なお料理に使いやすいというメリットもあります。

もしご心配な場合は、オリーブオイルや米油など、他の種類の油と上手に使い分けたり、お料理に使う量を少し加減してみたりするのも良い方法です。健康に関する情報については、信頼できる情報源を参考にすることも大切ですね。例えば、農林水産省のウェブサイトでは、トランス脂肪酸に関する詳しい情報が提供されています。

参考:農林水産省「トランス脂肪酸に関するQ&A」

ご自身の食生活全体を見直し、バランスを考えながら上手にサラダ油とお付き合いいただければと思います。

5.2 サラダ油の正しい保存方法と期間

サラダ油をおいしく、そして安全にお使いいただくためには、保存方法がとても大切です。ちょっとしたことに気をつけるだけで、油の品質を長持ちさせることができますよ。

未開封の場合:

サラダ油の容器には賞味期限が記載されています。一般的に、製造日から1年~1年半程度が目安です。保存する場所は、直射日光が当たらず、涼しくて湿気の少ない場所を選びましょう。キッチンの戸棚の奥などが適しています。ガスコンロのそばなど、温度が高くなりやすい場所は避けてくださいね。

開封後の場合:

一度開封すると、サラダ油は空気に触れることで少しずつ酸化が進みやすくなります。そのため、キャップをしっかりと閉めて、未開封の時と同じように光が当たらず、温度変化の少ない涼しい場所で保存しましょう。冷蔵庫での保存は、低温で油が白く濁ったり固まったりすることがありますが、室温に戻せば元通りになり、品質自体に大きな問題はありません。ただ、頻繁な出し入れによる温度変化は油の劣化を早める可能性もあるため、基本的には常温の冷暗所での保存がおすすめです。

油の保存で特に気をつけたいポイントを、理由と一緒にまとめてみました。

保存のポイントなぜ大切なの?
光を避ける(遮光性のある容器も◎)光は油の酸化を早める大きな原因です。
高温を避ける熱によって油の劣化が進んでしまいます。コンロの近くや窓際などは避けましょう。
空気に触れさせないキャップをしっかり閉めることで、空気中の酸素による酸化をできるだけ防ぎます。
水気を入れない容器の中に水分が入ると、油が傷んだり、加熱時に油はねの原因になったりします。

これらの点に注意して、サラダ油の風味や品質をできるだけ保ちながら、おいしく使い切りましょう。

5.3 開封後のサラダ油の賞味期限はどのくらい?

開封したサラダ油、「いつまでに使えばいいのかしら?」と、使い切りの目安が気になることもありますよね。

一般的に、開封後のサラダ油は、1~2ヶ月程度を目安に使い切ることが推奨されています。これは、開封することで空気に触れ、酸化が進みやすくなるためです。酸化が進むと、油の風味が落ちたり、色が濃くなったり、体に良くない物質が生成されたりすることがあります。

「大家族ではないから、そんなに早く使い切れないわ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。そのような場合は、最初から小さめのボトルに入ったサラダ油を選ぶのも、いつも新鮮な状態で使い切るための良い工夫です。最近は様々なサイズの油が売られていますので、ご家庭での使用量に合わせて選んでみてください。

もし、「この油、まだ使えるかしら?」と迷ったときには、使う前に以下の点を確認してみましょう。

  • 色がおかしくないか:いつもより色が濃くなっていたり、黒っぽく濁っていたりしませんか?
  • 嫌なにおいがしないか:油特有の新鮮な香りでなく、古くなった油のような嫌なにおい(「酸化臭」や「戻り臭」などと呼ばれます)がしませんか?
  • 粘りが出ていないか:なんだかドロッとして、いつもより粘り気が強くなっていませんか?
  • 加熱したときの様子はどうか:少量加熱してみて、不快な煙がたくさん出たり、泡がなかなか消えなかったりしませんか?(カニ泡と呼ばれる細かい泡が消えにくい状態は劣化のサインです)

これらのサインが一つでも見られたら、残念ですがその油の使用は控えた方が安心です。もったいないと感じるかもしれませんが、健康のためにも新しい油を使いましょう。

正しい保存方法を守り、開封後の使用目安を意識することで、いつでもおいしく安全にお料理を楽しんでくださいね。

6. まとめ

サラダ油の「サラダ」という名前の謎は解けましたでしょうか。日本で生まれた、生野菜にも合うように低温でも固まりにくく精製された油だからこそ、この名前が付けられたのですね。キャノーラ油やオリーブオイルなど他の油との違い、そして代用品についても触れてきました。それぞれの油の特徴を理解し、日々の調理に活かすことで、食卓はより豊かで楽しいものになるでしょう。正しい知識を持って、サラダ油と上手に付き合っていきたいものですね。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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