家の壁や軒下に見慣れない泥の塊を見つけ、これは何かしらと気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは「ドロバチ」という蜂の巣かもしれません。この記事では、幸運のサインとも言われる巣の縁起から、気になる危険性、ご自身でできる安全な駆除方法、そして今後の予防策まで詳しくご紹介します。ドロバチは比較的おとなしい蜂ですが、巣の場所によっては対処も必要です。正しい知識で、あなたの暮らしの不安を和らげましょう。
1. ドロバチの巣とは?特徴的な見た目と作られる場所
ふと、お家の壁や軒下に見慣れない土の塊がくっついているのを見つけて、驚かれたことはありませんか?もしかしたら、それは「ドロバチ」が作った巣かもしれません。ちょっぴりユニークな見た目の巣ですが、まずはどんなものなのか、どこに作られやすいのか、一緒に見ていきましょう。
1.1 泥や土でできたドロバチの巣の見た目
ドロバチの巣は、その名の通り、泥や土を唾液と混ぜ合わせて作られるのが一番の特徴です。まるで小さな陶芸作品のようで、種類によって形はさまざま。よく見られるのは、お酒を入れる徳利(とっくり)や小さな壺に似た、かわいらしい形をしたものです。他にも、細長い筒状のものや、不規則な土の塊に見えるものもあります。

色は、材料となる土によって茶色や灰色などいろいろです。表面はザラザラとしていて、カチカチに固まっています。巣の中は空洞になっていて、ドロバチはそこに麻酔をかけたクモや青虫などを運び込み、卵を産み付けます。孵化した幼虫が、その餌を食べて育つための、大切なお部屋なのですね。
1.2 ドロバチが巣を作りやすい場所は家の壁や軒下
ドロバチは、私たちの日々の暮らしのすぐそばで巣作りをすることが多い蜂です。特に、雨風をしのげる、少し隠れた場所を好んで選びます。子育てのための大切な巣が、雨で壊れたり、天敵に見つかったりしないように、静かで安全な場所を探しているのでしょう。

具体的には、次のような場所で巣が見つかることがあります。
- 軒下や庇(ひさし)の下
- 外壁の凹凸がある部分
- ベランダやバルコニーの天井や隅
- 窓のサッシの隙間
- 雨戸の戸袋の中
- エアコンの室外機の裏や内部
- あまり使わない物置や倉庫の中
普段あまり目を向けないような場所に、いつの間にか作られていることが多いようです。お家の周りを少し点検してみると、思わぬ発見があるかもしれませんね。
1.3 スズメバチやアシナガバチの巣との違い
庭先で蜂の巣を見つけると、危険なスズメバチやアシナガバチの巣ではないかと、ドキッとしてしまいますよね。でも、巣の見た目の違いを知っていれば、慌てずに対処できます。ドロバチの巣と、他の蜂の巣との違いを比べてみましょう。
蜂の種類 | 巣の材料 | 巣の形 | 巣穴の様子 |
---|---|---|---|
ドロバチ | 泥、土 | 徳利型、壺型、筒状、塊状 | 巣の出入り口となる小さな穴が1つか数個ある |
アシナガバチ | 木の皮などの植物繊維 | シャワーヘッドのようなお椀を逆さにした形 | 六角形の巣穴がたくさん下から見える |
スズメバチ | 木の皮などの植物繊維 | 初期はとっくりを逆さにした形。大きくなると縞模様の球状になる | 外側が覆われていて巣穴は見えない。出入り口の穴は1つ |
一番分かりやすい見分け方のポイントは、巣の材料が「土」か「木」かという点です。ゴツゴツとした土の塊であればドロバチの巣、灰色で紙のような質感であればアシナガバチやスズメバチの巣の可能性が高いです。この違いを知っておくだけでも、落ち着いて次の対応を考えることができますね。
2. ドロバチの巣は縁起がいい幸運のサイン?
家の軒下やベランダの壁に、いつの間にか泥でできた小さな塊が…。初めて見つけると「これは何かしら?」と驚いてしまいますよね。実はそれ、ドロバチが作った巣かもしれません。そして、このドロバチの巣は、昔から幸運を運んでくる縁起物として、大切にされてきたという言い伝えがあるのですよ。
蜂の巣と聞くと、少し怖いイメージがあるかもしれませんが、ドロバチの巣にまつわるお話を知ると、少し見方が変わるかもしれません。なんだか心が温かくなるような、古くからの言い伝えを紐解いていきましょう。
2.1 金運上昇や商売繁盛の言い伝え
日本各地には、ドロバチの巣にまつわる喜ばしい言い伝えが数多く残されています。その中でも特に有名なのが、金運や商売に関するものです。まるで、小さな蜂が私たちに幸せを運んできてくれるかのようですね。

具体的にどのような言い伝えがあるのか、いくつか見てみましょう。
言い伝えの種類 | 内容 |
---|---|
金運上昇 | ドロバチが巣の中に蜜や花粉を蓄えるように、その家にもお金が貯まると言われています。中には、宝くじが当たったという話もあるようです。 |
商売繁盛 | 蜂がせっせと巣に餌を運び込む様子が、お店にお客さんがたくさん集まる姿と重なることから、商売をされているお家では特に喜ばれます。 |
子孫繁栄 | 巣は、ドロバチが子どもを産み育てるための大切な場所です。一つの巣にたくさんの卵を産むことから、子宝に恵まれ、子孫が繁栄する象徴とされています。 |
家内安全 | 蜂は、雨風が当たらず、天敵に襲われにくい安全な場所を選んで巣を作ります。そのため、ドロバチが巣を作った家は「安全で住みやすい場所」である証とされ、家族が安心して暮らせると考えられてきました。 |
2.2 なぜドロバチの巣が縁起物とされるのか
では、どうしてドロバチの巣は、これほどまでに縁起の良いものとして扱われてきたのでしょうか。その背景には、昔の人々が蜂の習性や姿に、自分たちの暮らしの願いを重ね合わせていた様子がうかがえます。
理由として、主に次の3つが考えられています。
- 蜂が「安全な場所」を選ぶから
ドロバチは、巣作りをする場所をとても慎重に選びます。雨風が直接当たらず、外敵からも見つかりにくい、いわば「一等地」を探し出す名人なのです。そんな蜂がわざわざ選んでくれたということは、蜂が「このお家は安全で心地よいですよ」とお墨付きをくれたようなもの。昔の人は、そのことを大変喜び、家の繁栄につながると考えたのですね。これは、「ツバメが巣をかける家は栄える」という言い伝えとよく似ています。 - 蜂の「働き者」な姿から
ドロバチは、一粒ずつ泥を運び、何度も往復して少しずつ巣を大きくしていきます。また、幼虫の餌となる虫を狩って巣の中に運び込むなど、休むことなく働き続けます。その勤勉な姿が、コツコツと財を築く様子や、商売熱心な姿と重なり、金運や商売繁盛の象徴とされるようになりました。 - 巣の材料である「土」から
ドロバチの巣は、その名の通り「泥」や「土」から作られています。土は、古くから命を育む大地そのものであり、暮らしの基盤です。また、土地は財産でもあります。その土を使って作られた巣が家にあるということは、富や安定、豊かさをもたらしてくれると考えられていたようです。
このように、ドロバチの巣にまつわる言い伝えは、自然と共に暮らしてきた人々の、穏やかで豊かな暮らしへの願いが込められた、素敵な風習なのですね。
3. ドロバチの危険性は?刺される可能性と毒性について
「縁起物」と聞くと、なんだか嬉しい気持ちになりますけれど、蜂であることに変わりはありませんものね。「もし刺されたらどうしよう…」と、少し心配になるお気持ち、よくわかります。ここでは、ドロバチの危険性や、万が一刺されてしまったときの正しい対処法について、丁寧にご紹介しますね。
3.1 ドロバチの性格は基本的におとなしい
まず知っておいていただきたいのは、ドロバチはスズメバチやアシナガバチに比べて、とてもおとなしい性格だということです。彼女たちは集団で巣を守る習性がなく、一匹で黙々と巣作りと狩りをする、いわば「職人」のような蜂。そのため、巣に少し近づいたくらいで、いきなり襲いかかってくることはほとんどありません。

ただし、いくらおとなしいとは言っても、蜂であることには変わりありません。巣を直接壊そうとしたり、手で掴もうとしたりすれば、自分の身を守るために刺してくることがあります。こちらから何もしなければ、穏やかに過ごしてくれる隣人、というくらいの気持ちでいると良いかもしれませんね。
3.2 ドロバチの針に毒はある?刺された場合の対処法
ドロバチの針には、残念ながら毒があります。ただ、その毒性はスズメバチなどと比べると弱いとされています。刺されると、チクッとした強い痛みの後、患部が赤く腫れたり、かゆみが出たりするのが一般的な症状です。
最も注意したいのは、蜂の毒によるアレルギー反応「アナフィラキシーショック」です。これは、体質によっては命に関わることもある、とても怖い症状。以前に他の蜂に刺されたことがある方は、特に注意が必要です。万が一刺されてしまった場合は、慌てずに落ち着いて対処しましょう。
症状 | やるべきこと |
---|---|
痛み・腫れ・かゆみ(局所的な症状) | 1. 安全な場所へ移動する まずは蜂がいない安全な場所に静かに離れます。 2. 針を抜く もし皮膚に針が残っていたら、毛抜きや爪でつままずに、クレジットカードのような硬いもので横にスライドさせるようにして払い抜きましょう。 3. 毒を絞り出し、洗い流す 傷口の周りを指でつまんで毒を絞り出しながら、きれいな水でよく洗い流します。口で吸い出すのは絶対にやめましょう。 4. 冷やす 濡れたタオルや保冷剤で患部を冷やすと、痛みと腫れが和らぎます。 5. 薬を塗る 抗ヒスタミン成分やステロイド成分が含まれた市販の軟膏を塗ります。 |
息苦しさ・めまい・吐き気・じんましん(全身の症状) | これらの症状はアナフィラキシーショックの可能性があります。一刻を争うため、ためらわずに救急車を呼んでください。すぐに横になり、足を少し高くして救急隊の到着を待ちましょう。 症状が軽くても、心配な場合は皮膚科やアレルギー科を受診することをおすすめします。 |
3.3 ドロバチの巣を放置するリスク
おとなしい蜂なら、巣をそのままにしておいても良いのでは?と思われるかもしれませんね。確かに、すぐに大きな危険があるわけではありません。ですが、いくつか知っておきたいリスクもあります。
- 外壁の汚れや劣化
泥でできた巣は、雨風によって崩れることがあります。その際、泥が外壁を伝って汚れてしまったり、長期間放置することで壁の素材を傷めてしまったりする可能性があります。 - 他の虫を呼び寄せる可能性
ドロバチの巣の中には、幼虫の餌となる青虫やクモが詰められています。この餌を狙って、巣に寄生する小さなハチやハエなどが集まってくることがあります。 - 勘違いによるトラブル
ご家族や訪ねてきた方が、ドロバチの巣を危険なスズメバチの巣と勘違いして、慌てて刺激してしまうかもしれません。特に小さなお子様やペットがいるご家庭では、思わぬ事故につながる可能性も考えておきたいところです。
ドロバチ自体は温厚でも、巣があることで二次的な問題が起こる可能性があることは、心に留めておくと良いでしょう。こうしたリスクを踏まえた上で、巣をどうするかを判断することが大切になります。
4. ドロバチの巣は駆除すべき?判断基準を解説
軒下やベランダに見慣れない泥の塊を見つけたら、「これはもしかして蜂の巣?」と少し不安になりますよね。それがドロバチの巣だった場合、縁起物という話もある一方で、やはり蜂がいるのは心配なもの。ここでは、ドロバチの巣を駆除すべきか、それともそっと見守るべきか、ご自身の状況に合わせた判断のヒントをお伝えします。
ドロバチは基本的におとなしい性格ですが、ご家庭の状況によっては対処が必要な場合もあります。ご自身の安心を一番に考えて、どうするのが良いか一緒に考えてみましょう。
4.1 巣を駆除した方が良いケース
ドロバチの巣が生活に影響を与える場所にある場合や、ご家族に不安がある場合は、安全を優先して駆除を検討するのがおすすめです。具体的には、次のようなケースが考えられます。
駆除を検討した方が良い状況 | 具体的な理由 |
---|---|
玄関やベランダ、窓の近くなど、人が頻繁に通る場所にある | 洗濯物を干したり、出入りしたりする際に、知らず知らずのうちに巣を刺激してしまう可能性があります。蜂を驚かせてしまうと、防衛のために刺される危険性もゼロではありません。 |
小さなお子様やペットがいるご家庭 | 好奇心旺盛なお子様やペットが、巣に興味を持って触ってしまうことも考えられます。万が一のことを考えると、ご家族の安全を最優先に考えるのが良いでしょう。 |
ご家族に蜂アレルギーの方がいる、または蜂がとても苦手な方がいる | アレルギー体質の方にとっては、蜂に刺されることは深刻な事態につながりかねません。また、蜂がいるというだけで心理的なストレスを感じてしまう場合も、無理せず駆除を選ぶのが心穏やかに過ごすための選択です。 |
巣の数が多い、または活発に蜂が出入りしている | 巣が複数あったり、蜂がひっきりなしに出入りしていたりする場合は、蜂の活動が活発な証拠です。蜂の数が多ければ、それだけ遭遇する機会も増えるため、駆除を検討する一つの目安になります。 |
これらの状況に当てはまる場合は、ご自身の安全のためにも、次の章でご紹介する安全な駆除方法を参考に対処を考えてみてくださいね。
4.2 巣を放置しても問題ないケース
一方で、ドロバチの巣を見つけても、必ずしもすぐに駆除しなければならないわけではありません。ドロバチは植物の害虫であるガの幼虫などを狩ってくれる「益虫」としての一面も持っています。自然との共存と捉え、そっと見守るという選択肢もあります。
次のようなケースでは、そのままにしておいても問題ないことが多いでしょう。
放置しても問題ないことが多い状況 | 具体的な理由 |
---|---|
人がめったに近づかない場所にある | 普段使わない物置の奥や、手の届かない軒下の高い場所など、生活動線から外れた場所にあれば、巣を刺激してしまう可能性は非常に低いです。 |
秋以降に見つけた巣で、蜂の出入りがない | ドロバチの巣は一年限りで使われることが多く、秋には役目を終えて空っぽになっていることがほとんどです。蜂の姿が見えなければ、それはもう使われていない古い巣かもしれません。 |
巣の存在が気にならず、蜂を刺激する心配がない | ドロバチの習性を理解し、いたずらに近づいたりしなければ、危険性はほとんどありません。無理に刺激しない限りは、お庭の小さな住人として穏やかに見守ることも一つの素敵な選択肢です。 |
もし巣をそのままにしておく場合でも、時々遠くから様子を観察し、蜂の活動が活発になっていないか、巣が大きくなっていないかなどを気にかけておくと、より安心ですね。
5. 安全なドロバチの巣の駆除方法
ドロバチはおとなしい蜂とはいえ、玄関先やベランダなど、人の出入りが多い場所に巣ができてしまうと、やはり気になってしまいますよね。ここでは、ご自身で駆除する場合の手順と、専門の業者さんにお願いする場合の費用の目安について、わかりやすくご紹介します。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。
5.1 自分でドロバチの巣を駆除する手順
もしご自身で駆除に挑戦してみる場合は、なによりも安全を第一に考えて、正しい準備と手順で行うことが大切です。少しでも怖いと感じたり、巣が手の届かない高い場所にある場合は、決して無理をせず専門の業者さんに相談しましょう。
5.1.1 準備するもの 防護服と殺虫スプレー
まずは、蜂から体を守るための道具と、駆除に使う薬剤をしっかりと準備します。万全の準備が、心のお守りにもなりますよ。
分類 | 準備するもの | ポイント |
---|---|---|
服装 | 防護服(なければ厚手の長袖・長ズボン)、帽子、長靴、手袋(ゴム手袋や皮手袋など)、首に巻くタオル | 蜂は黒い色を攻撃する習性があるため、全身を白っぽい服装で統一するのがおすすめです。肌が露出しないように、隙間なく体を覆いましょう。 |
顔の保護 | ゴーグル(メガネでも可)、マスク | 薬剤が顔にかかるのを防ぎます。蜂が顔の周りを飛ぶこともあるので、しっかりと守りましょう。 |
駆除道具 | 蜂専用の殺虫スプレー(ピレスロイド系成分配合のもの) | 噴射距離が長いジェットタイプを選ぶと、巣から離れた安全な場所からスプレーできます。予備も含めて2本あると安心です。 |
後片付け道具 | 長い棒、ほうき、ちりとり、ゴミ袋 | 駆除した後の巣を安全に処理するために使います。 |
その他 | 懐中電灯(赤いセロハンを貼ったもの) | 夜間に作業する場合に使います。蜂は光に集まる習性がありますが、赤い光は認識しにくいと言われています。 |
5.1.2 駆除に適した時間帯と天候
駆除作業は、蜂の活動が落ち着いている時間帯を狙って行うのが成功の鍵です。焦らず、最適なタイミングを見計らいましょう。
最も適しているのは、蜂が巣に戻って活動が鈍くなる日没後2〜3時間経った夜間です。この時間帯なら、巣にいる蜂をまとめて駆除できる可能性が高まります。また、風が強い日は殺虫スプレーが流されてしまい、うまく巣に当たらなかったり、自分にかかってしまったりする危険があるため避けましょう。穏やかな天候の日を選んでくださいね。
5.1.3 巣の撤去と戻り蜂対策
準備が整い、時間帯もよければ、いよいよ駆除作業に入ります。落ち着いて、一つひとつの手順を丁寧に行いましょう。
- 風上から静かに近づく: 巣から2〜3mほどの距離まで、蜂を刺激しないようにゆっくりと近づきます。
- 殺虫スプレーを噴射する: 巣の出入り口をめがけて、20〜30秒ほどたっぷりとスプレーを噴射し続けます。蜂が巣から出てきても、慌てずに噴射を続けましょう。
- 様子を見る: 巣から蜂の羽音が聞こえなくなったら、少し時間を置いて様子を見ます。
- 巣を撤去する: 長い棒などを使って、巣を根本からそっと落とします。落ちた巣は、直接手で触らずにほうきとちりとりで集め、ゴミ袋に入れて口をしっかりと縛って処分してください。
- 戻り蜂対策をする: 巣があった場所に、再度殺虫スプレーを吹きかけておきましょう。こうすることで、駆除の際に巣を離れていた蜂(戻り蜂)が、同じ場所に再び巣を作るのを防ぐことができます。駆除後1週間ほどは蜂が周りを飛んでいることがありますが、巣がないとわかると次第にいなくなります。
5.2 蜂の駆除業者に依頼する場合の費用相場
「自分でやるのはやっぱり不安」「巣が大きくなってしまった」「高い場所にあって手が届かない」そんな時は、迷わずプロの駆除業者さんにお願いするのが一番です。安全かつ確実に、そしてきれいに後始末までしてくれますよ。
蜂の巣駆除の費用は、巣の大きさや場所、蜂の種類によって変わってきますが、ドロバチの巣の場合、おおよそ8,000円から30,000円程度が一般的な相場です。正確な料金を知るためにも、まずは複数の業者さんから見積もりを取ることをおすすめします。
項目 | 費用相場の目安 | 備考 |
---|---|---|
基本料金 | 8,000円~15,000円 | 巣が1つの場合の基本的な作業費です。 |
高所作業費 | +3,000円~10,000円 | はしごや高所作業車が必要な場合に加算されます。 |
出張費 | 無料~5,000円 | 業者さんの所在地からの距離によって変動します。 |
薬剤費など | 基本料金に含まれることが多い | 特殊な薬剤を使用する場合などは別途かかることもあります。 |
業者さんを選ぶ際は、料金だけでなく、対応の丁寧さや作業内容の説明がしっかりしているか、再発した場合の保証はあるかなども確認すると、より安心して任せられますね。また、お住まいの自治体によっては、蜂の巣駆除に関する相談窓口を設けていたり、防護服の貸し出しを行っていたりする場合もありますので、一度問い合わせてみるのも良いでしょう。
6. ドロバチに巣を作らせないための予防策
縁起が良いと言われても、家の壁や軒下に蜂の巣ができてしまうのは、やはり少し心配なものですよね。一度巣を駆除しても、ドロバチにとってそこが心地よい場所であれば、また同じ季節に巣を作りにやってくるかもしれません。そうなる前に、ドロバチが「ここは巣作りに向かないな」と思ってくれるような環境を、あらかじめ整えておきましょう。ここでは、ご家庭で手軽にできる予防策をいくつかご紹介しますね。
6.1 蜂が嫌がるスプレーを散布する
ドロバチをはじめとする蜂の仲間は、特定の匂いを嫌う性質があります。その性質を利用して、巣を作られそうな場所に前もってスプレーをしておくのが、とても効果的なんですよ。
6.1.1 市販の蜂専用スプレーを定期的に
もっとも手軽で効果が期待できるのが、市販されている蜂専用の殺虫・予防スプレーです。ドラッグストアやホームセンターなどで手に入ります。「蜂よけ」「巣作り予防」といった記載のある製品を選びましょう。
予防策を始めるのに最適な時期は、女王蜂が単独で巣作りを始める春先、4月から5月にかけてです。この時期に、以前巣を作られた場所や、軒下、ベランダ、玄関の庇(ひさし)、エアコンの室外機の周りなど、雨風がしのげる場所にスプレーしておきましょう。製品によって効果の持続期間は異なりますが、2週間から1ヶ月ほどのものが多いようです。効果を持続させるためには、定期的に散布するのがおすすめです。
6.1.2 自然の香りでやさしく虫よけ
殺虫成分を使うのに抵抗がある方や、小さなお子様やペットがいるご家庭では、天然由来の成分を使った手作りスプレーを試してみてはいかがでしょうか。ハッカ油や木酢液(もくさくえき)の香りは、蜂が嫌うことで知られています。
作り方はとても簡単ですので、ぜひ試してみてくださいね。
種類 | 準備するもの | 作り方と使い方 |
---|---|---|
ハッカ油スプレー | ハッカ油:10~20滴 無水エタノール:10ml 精製水(または水道水):90ml スプレーボトル | スプレーボトルに無水エタノールとハッカ油を入れてよく混ぜ、そこに精製水を加えてさらに混ぜ合わせます。網戸や玄関、蜂が巣を作りそうな場所に吹きかけてください。香りが消えたら再度スプレーしましょう。 |
木酢液スプレー | 木酢液 水 スプレーボトル | 木酢液と水を1:1の割合で薄めてスプレーボトルに入れます。独特の燻製のような香りがあり、蜂だけでなく他の害虫よけにも効果が期待できます。ただし、香りが強いので、ご近所への配慮も忘れずに。 |
手作りスプレーは、市販品に比べて効果の持続時間が短いので、こまめにスプレーするのがポイントです。また、壁の材質によってはシミになる可能性もございますので、まずは目立たない場所で試してからお使いくださいね。
6.2 物理的に巣作りを防ぐ方法
スプレーでの対策とあわせて、ドロバチが巣を作ること自体を難しくする方法も効果的です。少しの手間で、ぐっと巣を作られにくくなりますよ。
6.2.1 防虫ネットやパテで隙間をなくす
ドロバチは、雨風をしのげる少しの隙間を見つけて巣を作ります。特に、換気口や通気口、壁のひび割れなどは格好の巣作りスポットになってしまいます。
こうした場所には、目の細かい防虫ネットを被せたり、外壁用のパテで隙間を埋めたりしておきましょう。ホームセンターなどで手軽に購入できる材料で対策できます。蜂が巣作りを始める前の、春のうちに済ませておくと安心ですね。
6.2.2 こまめな見回りで巣作りを初期段階で防ぐ
春になり暖かくなってきたら、お庭のお手入れのついでに、家の周りをぐるりと見回る習慣をつけてみませんか。特に、去年巣が作られた場所の近くは念入りにチェックしましょう。
ドロバチの巣は、一日で完成するわけではありません。作り始めの小さな泥の塊のうちに発見できれば、比較的安全に取り除くことも可能です。もし巣が大きくなり始めていたり、蜂が活発に活動していたりするようでしたら、無理をせず、前の章でご紹介した安全な駆除方法を参考にしてくださいね。
7. まとめ
家の軒下などにドロバチの巣を見つけると、少し驚いてしまいますよね。古くから幸運のサインともいわれる縁起の良い一面もありますが、生活する場所によっては心配なこともあるでしょう。ドロバチは比較的おとなしい蜂ですが、毒を持つため油断は禁物です。巣を駆除するかどうかは、作られた場所やご家族の状況を考えて判断することが大切。この記事を参考に、ご自身に合った方法で落ち着いて対処してみてくださいね。暮らしの中の小さな不安が解消され、心穏やかな毎日を送る一助となれば幸いです。
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