重曹は食べられる?食用と掃除用、ベーキングパウダーとの違いや使い方

重曹やベーキングパウダーの写真
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「重曹って食べられるの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。実は、食用の重曹なら安心して食べられるんです。この記事では、掃除用との違いやベーキングパウダーとの使い分け、料理やお菓子作りでの活用法から胃もたれ対策としての飲み方まで、重曹を食べる際の気になる点を詳しく解説。安全な選び方や注意点も分かりますよ。

目次

1. 重曹は本当に食べられる?

「あら、重曹ってキッチンやお風呂のお掃除に使うものじゃないの?食べても平気なの?」なんて、思わず首をかしげてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、重曹には安心して口にできるものと、そうでないものがあるんですよ。この最初の章では、まずその大きな疑問にしっかりお答えします。

1.1 そもそも重曹ってなに?私たちの暮らしの味方

重曹は、ふっくらとしたパンケーキを焼くときや、お野菜のアク抜き、そしてもちろん家中のお掃除にと、私たちの暮らしの様々な場面で大活躍してくれる、あの白い粉末のことです。正式な名前は「炭酸水素ナトリウム」といいます。なんだかちょっぴり難しそうに聞こえますが、実は海水や温泉水の中にも含まれている、とても身近な天然物質なんですよ。

その使い勝手の良さから「魔法の粉」なんて呼ばれることもあるくらい、頼りになる存在です。スーパーマーケットやドラッグストアなどで、手軽に手に入るのも嬉しいポイントですね。

1.2 「食べられる重曹」と「お掃除用の重曹」は別物なの?

はい、その通りなんです!ここが一番大切なところ。重曹には、大きく分けて「食用」の重曹と、「お掃除用(工業用など)」の重曹の2つのタイプがあります。見た目はそっくりな白い粉末でも、作られ方や含まれているものが違うんです。

私たちが料理やお菓子作りに使ったり、飲んだりする場合は、必ず「食用」と書かれた重曹を選ぶようにしましょう。なぜなら、食用の重曹は、国が定めた食品添加物の基準をクリアしていて、純度が高く、安全性がしっかり確認されているからです。

一方、お掃除用の重曹は、食用ほどの厳しい基準で作られているわけではありません。そのため、体に影響を与える可能性のある不純物が含まれていることも考えられます。ですから、お掃除用の重曹を間違って口にしてしまうのは、絶対に避けなければいけません。パッケージの表示をよーく確認して、使い分けることが大切ですよ。

次の章では、この「食用」と「お掃除用」の重曹が具体的にどう違うのか、もっと詳しく見ていきますので、そちらもぜひ参考にしてくださいね。

2. 重曹とは 掃除用と食用の違いを解説

「重曹」と聞くと、キッチン周りやお風呂掃除で大活躍する、あの白い粉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実はこの重曹、私たちの暮らしのさまざまな場面で役立つ便利な素材なのですが、一言で「重曹」といっても、いくつかの種類があることをご存知でしたか?ここでは、まず重曹そのものについて、そして特に気になる「食用」と「掃除用」の違いについて、詳しく見ていきましょう。

2.1 重曹の主成分 炭酸水素ナトリウムについて

重曹の正式な化学名は「炭酸水素ナトリウム(たんさんすいそナトリウム)」といいます。化学式では NaHCO₃ と表され、私たちの体内や自然界にも存在する、比較的安全な物質です。水に溶かすと弱いアルカリ性を示す性質があり、この性質が油汚れを落としたり、酸性の臭いを中和したりするのに役立つのです。

日本では「重炭酸曹達(じゅうたんさんソーダ)」、略して「重曹」と呼ばれるのが一般的ですが、英語圏では「ベーキングソーダ」という名前でもおなじみですね。このベーキングソーダという名前からもわかるように、お菓子作りのふくらし粉としても使われることがあります。

2.2 食用重曹と掃除用重曹 純度と安全性の違い

さて、ここが一番気になるポイントかもしれません。スーパーやドラッグストアに行くと、「食用」と書かれた重曹と、「掃除用」や「洗浄用」と書かれた重曹が並んでいることがあります。見た目はどちらも同じ白い粉末ですが、この二つには明確な違いがあるのです。

一番大きな違いは、純度と製造過程における品質管理の基準です。

種類特徴主な用途法的区分・管理基準
食用重曹純度が高く、不純物が少ない。料理やお菓子作り、野菜のアク抜きなど、口に入るもの。食品衛生法に基づいて製造された「食品添加物」。厳しい品質管理と安全基準が設けられています。
掃除用重曹食用に比べて純度が低い場合があり、製造過程での管理基準も異なります。キッチンやお風呂の掃除、洗濯、消臭など、口に入らないもの。雑貨扱い、または家庭用品品質表示法などに基づく表示。食品としての安全性は保証されていません。

食用重曹は、私たちが安心して口にできるよう、食品衛生法という法律で定められた厳しい基準をクリアして製造されています。一方、掃除用の重曹は、あくまで掃除や洗浄を目的としているため、食用ほどの厳格な純度や安全基準は求められていません。そのため、掃除用の重曹には、製造過程で除去しきれなかった不純物が含まれていたり、洗浄効果を高めるための添加物が加えられていたりする可能性があります。

ですから、お料理やお菓子作りに重曹を使いたい場合は、必ず「食用」または「食品添加物」と表示のあるものを選ぶようにしてください。見た目が同じだからといって、掃除用の重曹を食用に使うのは絶対に避けましょう。

2.3 工業用や薬用重曹との違い

重曹には、食用のほかにも「工業用」や「薬用」といった区分があります。これらも、それぞれ用途や品質基準が異なります。

種類主な用途特徴・注意点
工業用重曹ガラス製造、排煙脱硫、皮革のなめし、消火剤など、工業分野で幅広く利用されます。大量生産され、コストが重視される場合があります。食用とは純度や不純物の許容範囲が大きく異なり、口にすることは絶対にできません。
薬用重曹日本薬局方という医薬品の規格基準書に基づいて製造される医薬品です。胃酸を中和する制酸剤や、うがい薬などに使われます。純度は非常に高いですが、医薬品ですので、医師や薬剤師の指示のもとで使用するものです。自己判断で食用として使うのは避けましょう。

このように、重曹と一口に言っても、その品質や安全性は用途によって大きく異なります。私たちが「食べる」ことを考える際には、必ず「食用」と表示された、安全性が確認されている製品を選ぶことが何よりも大切です。

3. 食用重曹は安全に食べることができるのか

「重曹って、お掃除に使うものじゃないの?食べても大丈夫なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、重曹にはいくつかの種類があり、「食用」として販売されているものなら、適切に使えば安全に食べることができます。ここでは、食用重曹の安全性や、食べる際の注意点について詳しく見ていきましょう。

3.1 食用グレードの重曹なら安心して食べられる

スーパーの製菓材料コーナーなどで見かける「食用」と表示された重曹は、食品添加物として国が定めた基準をクリアしたものです。主成分である炭酸水素ナトリウムの純度が非常に高く、製造過程での管理も厳格に行われています。そのため、料理やお菓子作りに安心して使うことができます。

パッケージに「食品添加物」や「食用」といった記載があるか、成分表示に「炭酸水素ナトリウム」と書かれているかを確認しましょう。掃除用や工業用の重曹は、純度が低かったり、食用に適さない不純物が含まれていたりする可能性があるため、絶対に食用として使わないでください

3.2 重曹を食べる際の注意点と適切な摂取量

食用グレードの重曹であっても、食べる際にはいくつかの大切な注意点があり、摂取量を守ることが重要です。体への影響を考え、以下のポイントに気をつけましょう。

  • 少量から試す:初めて食べる場合や、久しぶりに食べる場合は、ごく少量から試して、体調に変化がないか確認しましょう。
  • 空腹時を避ける:空腹時に重曹を摂取すると、胃酸と反応してガスが発生しやすくなり、胃に負担をかけることがあります。食後や食事中に摂るのがおすすめです。
  • 持病がある方は医師に相談:特に、腎臓病、心臓病、高血圧などで治療中の方や、塩分(ナトリウム)摂取制限を受けている方は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。重曹はナトリウム化合物なので、摂取により病状に影響を与える可能性があります。
  • 妊娠中・授乳中の方:妊娠中や授乳中の方も、摂取前に医師に相談することをおすすめします。
  • 薬との飲み合わせ:服用中の薬がある場合、重曹が薬の吸収や効果に影響を与えることがあります。医師や薬剤師に確認しましょう。
  • 継続的な大量摂取は避ける:日常的に大量の重曹を摂取し続けることは推奨されません。あくまで料理の風味付けや、一時的な体調管理の補助として考えましょう。

適切な摂取量については、1日に小さじ1杯(約3~5g)程度までを目安とし、これを数回に分けて摂取するのが一般的です。ただし、これはあくまで目安であり、個人の体質や健康状態によって異なります。料理に使う場合は、レシピに記載された量を守りましょう。

3.3 重曹の過剰摂取による副作用や危険性とは

食用重曹も、一度に大量に摂取したり、長期間にわたって過剰に摂り続けたりすると、体にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。どのような副作用や危険性があるのか、具体的に見ていきましょう。

副作用・危険性の種類主な症状特に注意が必要なケース
消化器系の不調吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、胃の膨満感、げっぷ一度に大量摂取した場合、胃腸が弱い方
ナトリウムの過剰摂取による影響むくみ、血圧の上昇、頭痛、めまい高血圧の方、腎臓病の方、心臓病の方、塩分制限のある方
アルカローシス(血液がアルカリ性に傾く状態)頭痛、吐き気、手足のしびれ、筋肉のけいれん、呼吸が浅くなる、精神的な興奮状態長期間・大量に摂取した場合、腎機能が低下している方
電解質バランスの乱れ体内のカリウム濃度低下などによる脱力感、不整脈長期間・大量に摂取した場合

これらの症状は、重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムを過剰に摂取することで引き起こされます。特に、腎臓の機能が低下している方や、高齢者の方は副作用が出やすいため、より慎重な判断が必要です。もし、重曹を摂取した後に体調が悪くなった場合は、すぐに摂取を中止し、医療機関を受診するようにしてください。

重曹は、上手に使えば私たちの生活に役立つものですが、「食品」として口にする以上、その特性や注意点をよく理解しておくことが大切ですね。

4. 食用重曹の食べ方と具体的な使い方レシピ

食用グレードの重曹は、私たちの食生活の様々な場面で活躍してくれる頼もしい存在です。お料理やお菓子作りをワンランクアップさせたり、ちょっとした飲み物として活用したりと、その使い道は実に多彩。ここでは、食用重曹を毎日の食卓に上手に取り入れるための具体的な方法や、知っておくと便利なレシピをご紹介します。必ず食品用の重曹を使用し、適切な量を守って、重曹の持つパワーを美味しく安全に活用しましょう。

4.1 料理やお菓子作りに重曹を活用する方法

食用重曹は、お料理やお菓子作りの隠れた名脇役。ほんの少し加えるだけで、仕上がりが格段に良くなることがあります。いつものレシピにプラスして、驚きの変化を体験してみませんか?

4.1.1 ふくらし粉としてパンやケーキに重曹を使う

パンやケーキ、クッキーなどのお菓子を作る際に、重曹は生地をふっくらと膨らませる役割を果たします。これは、重曹が加熱されたり、酸性の材料と混ざったりすることで炭酸ガスを発生させるためです。この炭酸ガスが生地の中に気泡を作り、きめ細かい軽い食感を生み出すのです。

ただし、重曹だけを使うと、独特の苦味やえぐみが出たり、焼き上がりの色が黄色っぽくなったりすることがあります。これを防ぐためには、ヨーグルト、牛乳、お酢、レモン汁、ココアパウダー、チョコレートといった酸性の材料と一緒に使うのがポイントです。酸性の材料が重曹のアルカリ性を中和し、風味を良くしてくれます。また、重曹を使った生地は混ぜすぎるとガスが抜けやすいため、さっくりと混ぜ合わせるようにしましょう。使用量はレシピによって異なりますが、一般的には小麦粉100gに対して小さじ1/4~1/2程度が目安です。入れすぎには注意してくださいね。

例えば、どら焼きやマフィン、一部のクッキーなど、少し素朴でしっとりとした仕上がりにしたいお菓子に重曹はよく使われます。

4.1.2 野菜のアク抜きや色を鮮やかに保つ重曹の使い方

山菜やタケノコなど、アクの強い野菜の下ごしらえにも重曹が役立ちます。アクの成分を中和し、えぐみや渋みを和らげて食べやすくしてくれるのです。また、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜を茹でる際に、ほんの少量の重曹を加えると、葉緑素(クロロフィル)が安定し、鮮やかな緑色を保つことができます。お料理の見た目がぐっと美しくなりますよ。

野菜のアク抜きや色出しに重曹を使う際の目安は以下の通りです。

用途野菜の例水1リットルに対する重曹の目安使い方とポイント
アク抜きワラビ、ゼンマイなどの山菜小さじ1~2杯一晩水に浸けるか、短い時間茹でてから水にさらします。重曹を使った後はよく洗い流すことが大切です。
アク抜きタケノコ小さじ1杯程度米ぬかがない場合の代用として、茹でる際に加えます。茹で上がったら水にさらしてください。
色出しほうれん草、ブロッコリー、枝豆などひとつまみ(小さじ1/8程度)茹でるお湯に加えます。入れすぎると野菜が柔らかくなりすぎたり、ビタミンCが失われたりすることがあるので、ごく少量に留めましょう。

特に山菜のアク抜きでは、重曹を使うことで調理時間が短縮できる場合もあります。ただし、種類や状態によって適切な量や時間が異なるため、様子を見ながら調整してください。

4.1.3 肉や魚を柔らかくする下ごしらえに重曹を

鶏むね肉や硬めのお肉、イカなどの魚介類を調理する際に、重曹は食材を驚くほど柔らかくする効果があります。重曹のアルカリ性がタンパク質に作用し、組織を緩めることで保水性が高まり、しっとりジューシーな仕上がりになるのです。

使い方はとても簡単。例えば鶏むね肉なら、フォークで数カ所刺した後、重曹を少量(鶏むね肉1枚に対し小さじ1/2~1程度)をまぶし、軽く揉み込んで15~30分ほど置きます。その後、調理前に必ず重曹を水でよく洗い流すことが重要です。洗い流さないと、重曹特有の苦味やぬめりが残ってしまいます。また、重曹水(水1カップに対し重曹小さじ1程度)に30分~1時間ほど漬け込む方法もあります。この場合も、調理前にはしっかりと水で洗い流してくださいね。

このひと手間で、パサつきがちな鶏むね肉も、驚くほどしっとり柔らかく仕上がります。牛肉や豚肉の硬い部位にも応用できますので、ぜひお試しください。

4.2 飲み物として重曹を食べる方法

食用重曹は、水に溶かして飲むという方法でも利用されることがあります。手軽に試せる一方で、いくつかの注意点もありますので、正しい知識を持って活用しましょう。

4.2.1 重曹水の作り方と飲む際のポイント

重曹水は、文字通り食用重曹を水に溶かしたものです。基本的な作り方はとてもシンプルです。

材料分量
食用重曹小さじ1/4~1/2杯程度(約1~2g)
水(常温またはぬるま湯)100ml~200ml程度

上記の材料をコップに入れ、よくかき混ぜて重曹を完全に溶かしてから飲みます。冷たい水よりも常温やぬるま湯の方が溶けやすいです。重曹の独特な塩味や風味が気になる場合は、レモン汁やリンゴ酢を数滴加えたり、少量のハチミツで甘みをつけたりすると飲みやすくなります。

飲む際のポイントとしては、

  • 必ず食用グレードの重曹を使用すること。
  • 少量から試してみること。
  • 空腹時を避け、食後30分~1時間後など、胃にある程度食べ物が入っている状態で飲むのがおすすめです。
  • 1日の摂取量の上限(一般的に5g程度までと言われますが、体質や健康状態によります)を守り、継続的な大量摂取は避けること。
  • 高血圧の方や塩分摂取を制限されている方、腎臓に疾患のある方、妊娠中・授乳中の方は、飲む前に必ず医師に相談してください。

重曹水は、あくまで補助的なものとして考え、体調に異変を感じたらすぐに中止し、医療機関を受診しましょう。

4.2.2 胃もたれや胸焼け対策としての重曹の飲み方

食べ過ぎや飲み過ぎによる一時的な胃もたれや胸焼けの際に、重曹水が役立つことがあります。これは、重曹(炭酸水素ナトリウム)が胃酸を中和する働きがあるためです。胃酸が出過ぎて胸がムカムカするときに飲むと、症状が和らぐのを感じるかもしれません。

この目的で飲む場合も、上記の重曹水の作り方と同様で、小さじ1/4~1/2杯程度の食用重曹を100ml~200mlの水に溶かしてゆっくりと飲みます。効果は比較的速やかに現れることが多いですが、これはあくまで一時的な対症療法です。症状が頻繁に起こる場合や、改善しない場合は、自己判断せずに消化器内科などの専門医に相談することが大切です。慢性的な胃の不調には、適切な診断と治療が必要になります。

また、制酸剤として重曹を常用すると、かえって胃酸の分泌を促してしまう「リバウンド現象」が起きる可能性も指摘されています。常用は避け、症状が辛い時の一時的な対処として留めておくのが賢明です。

5. 重曹とベーキングパウダーの違い

お菓子作りなどでよく耳にする重曹とベーキングパウダー。どちらも生地をふっくらさせるために使われますが、実は性質や得意なことが少し違うんですよ。ここでは、その違いを詳しく見ていきましょう。「どっちを使えばいいの?」と迷ったときの参考にしてくださいね。

5.1 主成分の違い 重曹とベーキングパウダー

まず、一番大きな違いは「何からできているか」という主成分です。それぞれの成分を知ることで、なぜ仕上がりに違いが出るのかが見えてきますよ。

種類主成分特徴
重曹(食用)炭酸水素ナトリウムアルカリ性の物質です。水分と熱が加わることで炭酸ガスを発生させ、生地を膨らませます。単一の化合物である点が特徴です。
ベーキングパウダー炭酸水素ナトリウム、酸性剤(酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、グルコノデルタラクトンなど)、遮断剤(コーンスターチ、小麦粉など)重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムに、ガス発生を助ける酸性剤と、保存中に湿気などで反応が進んでしまわないようにする遮断剤(分散剤とも呼ばれます)がバランス良く配合されています。複数の成分からなる混合物です。

このように、重曹は「炭酸水素ナトリウム」という一つの物質であるのに対し、ベーキングパウダーは「炭酸水素ナトリウム」に加えて、ガスを効率よく発生させるための「酸性剤」や、品質を保つための「遮断剤」が混ぜ合わされているという点が大きな違いです。

ベーキングパウダーに含まれる酸性剤は、水分を加えたときと加熱したときの二段階でガスが発生するように調整されているものが多く、これにより、きめ細かく安定して生地を膨らませる工夫がされています。例えば、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)が含まれている製品もありますが、アルミニウムフリーを謳った製品も増えていますね。

5.2 用途と仕上がりの違い どちらを選ぶべきか

主成分が違うということは、もちろん得意なことや仕上がりにも違いが出てきます。どんなお菓子を作りたいかによって、上手に使い分けたいですね。

5.2.1 重曹が得意なことと仕上がり

重曹はアルカリ性なので、生地を横方向に広げる力が強く、焼き色が濃く、香ばしく仕上がる傾向があります。どら焼きの皮や、一部のクッキー、昔ながらのマフィンなど、少ししっとりとした食感や独特の風味、しっかりとした焼き色を活かしたいお菓子に向いています。

ただし、レシピにヨーグルトやココアパウダー、お酢、レモン汁といった酸性の材料が含まれていない場合、重曹特有の苦味やえぐみを感じやすくなることがあります。また、生地が黄色っぽく仕上がるのも特徴の一つです。この黄色みは、小麦粉に含まれるフラボノイド色素がアルカリ性に反応して起こる現象です。

5.2.2 ベーキングパウダーが得意なことと仕上がり

一方、ベーキングパウダーは、生地を縦方向にふっくらと膨らませる力が強く、きめ細かい軽い仕上がりになります。スポンジケーキやパウンドケーキ、マドレーヌ、スコーンなど、ふんわりとした食感や均一な膨らみを求めるお菓子に適しています。

酸性剤があらかじめ配合されているため、重曹のような苦味が出にくく、素材の風味を邪魔しにくいのがメリットです。焼き色も比較的白っぽく、または薄く仕上がります。

5.2.3 選び方のポイント

どちらを使うかは、作りたいお菓子の種類や、求める食感、風味によって使い分けるのがおすすめです。

  • どら焼きやまんじゅう、一部のクッキーなど、特有の風味や濃い焼き色、横への広がりを活かしたい場合:重曹が向いています。
  • スポンジケーキやシフォンケーキ、マフィンなど、きめ細かくふっくらと、縦に膨らませたい場合:ベーキングパウダーが適しています。
  • レシピに酸性の材料(ヨーグルト、フルーツピューレ、チョコレートなど)が多く含まれている場合は、重曹を使っても苦味が出にくく、ベーキングパウダーに近い感覚で使えることもあります。

基本的にはレシピの指示に従うのが一番ですが、それぞれの特性を理解しておくと、お菓子作りの幅がぐっと広がりますね。

5.3 重曹とベーキングパウダーは代用できるのか

「ベーキングパウダーを切らしてしまった!重曹で代用できるかしら?」「逆に、重曹がないときはベーキングパウダーでも大丈夫?」そんなふうに困った経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。結論からお伝えすると、条件を整えれば代用は可能ですが、仕上がりに違いが出ることを知っておく必要があります。

5.3.1 ベーキングパウダーを重曹で代用する場合

ベーキングパウダーの代わりに重曹を使う場合は、いくつかの注意点があります。まず、重曹の量はベーキングパウダーのレシピ量の1/2から1/3程度に減らします。そして、レモン汁やお酢、ヨーグルトなどの酸性の液体を少量加えることが大切です。これは、ベーキングパウダーに含まれている酸性剤の役割を補うためです。

例えば、ベーキングパウダー小さじ1の代わりとして、重曹小さじ1/3に、レモン汁小さじ1/2程度を加えるのが一つの目安ですが、これはあくまで目安。加える酸の種類や量によって生地のpHが変わり、風味や膨らみ方が影響を受けるため、調整が少し難しいかもしれません。重曹特有の苦味やえぐみが出やすくなる可能性も考慮しましょう。特に繊細な風味のケーキなどには、あまりおすすめできません。

5.3.2 重曹をベーキングパウダーで代用する場合

重曹の代わりにベーキングパウダーを使う場合は、重曹のレシピ量の2倍から3倍の量のベーキングパウダーを使用します。なぜなら、ベーキングパウダーには重曹(炭酸水素ナトリウム)の他に酸性剤や遮断剤が含まれているため、同じ膨らませる効果を得るにはより多くの量が必要になるのです。

ただし、ベーキングパウダーには酸性剤が含まれているため、仕上がりの風味や焼き色が、重曹だけを使った場合とは異なります。例えば、どら焼きのように重曹特有の風味や濃い焼き色、しっとり感を期待するお菓子の場合、ベーキングパウダーで代用すると、あっさりとした軽い仕上がりになり、期待通りの結果にならないことがあります。

5.3.3 代用する際の心構え

代用はあくまで「間に合わせ」の手段と考え、できる限りレシピで指定された材料を使うのが、お菓子作りを成功させるための近道です。特に、初めて作るレシピや、繊細な仕上がりを求めるお菓子の場合は、代用は避けた方が無難でしょう。

もし代用する場合は、少量で一度試作してみて、風味や膨らみ具合を確認しながら調整することをおすすめします。お菓子作りの経験を重ねる中で、少しずつコツがつかめてくるかもしれませんね。

6. 重曹を食べるメリットとデメリット

食用重曹は、私たちの食生活に上手に取り入れることで、さまざまな嬉しい効果をもたらしてくれることがあります。一方で、使い方を間違えると体に良くない影響が出る可能性も。ここでは、重曹を食べることで期待できるメリットと、知っておきたいデメリットや注意点について、詳しく見ていきましょう。

6.1 食用重曹を食べることで期待できる効果

食用グレードの重曹を適量、適切に摂取することで、いくつかの体に良い効果が期待できます。毎日の生活にちょっとした工夫として取り入れてみるのはいかがでしょうか。

6.1.1 胃の不快感を和らげる効果

重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムは、胃酸を中和する働きがあります。そのため、食べ過ぎや飲み過ぎによる胃もたれ、胸焼け、げっぷなどの不快な症状を感じたときに、少量摂取することで症状が和らぐことがあります。昔から、胃薬の成分としても利用されてきたんですよ。

6.1.2 疲労回復をサポートする可能性

運動などで体が疲れると、体内に乳酸という疲労物質が溜まりやすくなります。重曹には、この乳酸を中和し、エネルギー代謝をスムーズにするのを助けることで、疲労回復をサポートする可能性があると言われています。ただし、これについてはまだ研究段階の部分もあり、効果を保証するものではありませんので、あくまで「期待できる可能性」として捉えておくと良いでしょう。

6.1.3 お料理をおいしくする効果

重曹は、お料理の下ごしらえや調理にも大活躍します。少量加えるだけで、いつものお料理がワンランクアップするかもしれません。

用途期待できる効果
お菓子作り(パンケーキ、マフィンなど)加熱すると炭酸ガスを発生させ、生地をふっくらと膨らませます
山菜や野菜のアク抜きえぐみや苦味を和らげ、色鮮やかに仕上げるのに役立ちます。
お肉・お魚の下ごしらえタンパク質を分解する作用があり、お肉やお魚を柔らかくし、臭みを抑える効果も期待できます。

このように、重曹は食べるだけでなく、調理の過程でも私たちの食卓を豊かにしてくれる存在なのです。

6.2 知っておきたい重曹を食べるデメリットと注意点

体に良い面もある重曹ですが、摂取方法や量には注意が必要です。誤った使い方をすると、かえって体調を崩してしまうことも。安心して重曹と付き合うために、デメリットや注意点をしっかり理解しておきましょう。

6.2.1 過剰摂取による体への影響

重曹の最も注意すべき点は、過剰摂取です。主成分の炭酸水素ナトリウムはナトリウム化合物の一種なので、摂りすぎると塩分(ナトリウム)の過剰摂取につながります。また、胃酸を中和しすぎることで、かえって消化不良を起こしたり、体のアルカリ度が高くなりすぎる「アルカローシス」という状態を引き起こす可能性もあります。

症状・リスク原因・説明
高血圧、むくみナトリウムの過剰摂取によるもの。特に高血圧の方は注意が必要です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人女性の食塩相当量の目標量は1日6.5g未満とされています。 (日本人の食事摂取基準(2020年版))
吐き気、頭痛、筋肉のけいれん(アルカローシス)体のpHバランスがアルカリ性に傾きすぎることによる症状。
消化不良、胃の不快感胃酸が過度に中和されることで、食べ物の消化がうまくいかなくなることがあります。

これらの症状は、あくまで過剰に摂取した場合に起こりうるものです。適量を守ることが大切ですね。

6.2.2 摂取するタイミングや量の注意

重曹を食用として摂取する際は、空腹時を避け、ごく少量から試すようにしましょう。一度にたくさん摂取するのではなく、1日に小さじ半分程度までを目安にし、水やお湯に溶かして飲む場合も、薄めに作るのがポイントです。体質に合わないと感じたら、すぐに使用を中止してください。

6.2.3 持病がある方や薬を服用中の方への注意

腎臓病や心臓病、高血圧などの持病がある方、塩分摂取制限をされている方、また、何らかの薬を服用中の方は、重曹を食用として摂取する前に、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。薬の効果に影響を与えたり、病状を悪化させたりする可能性があるため、自己判断での摂取は避けましょう。

重曹は上手に使えば便利なものですが、体に入れるものだからこそ、正しい知識を持って安全に活用したいですね。

7. 食用重曹の選び方とおすすめの購入場所

食用として重曹を使うなら、まず「食べても大丈夫な重曹」を選ぶことが何よりも大切です。スーパーやドラッグストア、インターネット通販など、購入できる場所はいくつかありますが、どこで買うにしても注意したいポイントがあります。ここでは、安心して使える食用重曹の見分け方と、それぞれの購入場所の特徴について詳しくご紹介しますね。

7.1 安全な食用重曹の選び方 食品添加物マークを確認

食用の重曹を選ぶ際に、最も重要なのは、製品が「食用」または「食品添加物」として販売されているかを確認することです。お掃除用や工業用の重曹は、食用としての安全基準を満たしていない場合があり、口にするには適さない不純物が含まれている可能性も考えられます。体に入れるものですから、必ず安全性が確認されたものを選びましょう。

お店で重曹を手に取ったら、まずはパッケージの表示をじっくりと見てください。「食品添加物」という表示があるか、あるいは「食用グレード」「食用」とはっきり書かれているかをチェックしましょう。日本の食品衛生法では、食品添加物として使用される物質には規格基準が定められており、この基準をクリアしたものだけが食用として流通しています。

成分表示も大切な確認ポイントです。食用の重曹は、主成分である炭酸水素ナトリウムの純度が非常に高い(通常99%以上)のが特徴です。この純度が低いものは、食用には向きませんので注意が必要です。

7.2 スーパーやドラッグストア 通販での購入ポイント

食用重曹は、私たちの身近なお店や便利なインターネット通販で購入することができます。それぞれの場所で購入する際のポイントや、どんな点に注目すれば良いかを見ていきましょう。

7.2.1 スーパーマーケットでの購入

多くのスーパーマーケットでは、お菓子作りの材料が並ぶ製菓コーナーや、お塩やお砂糖といった調味料が置かれている棚で食用重曹を見つけることができます。「タンサン」という名前で小さな袋や箱に入って売られていることも多いですね。スーパーで購入するメリットは、実際に商品を手に取って、パッケージの表示をご自身の目で直接確認できる点です。少量から試してみたいという方にも、手軽なサイズが見つかりやすいでしょう。

7.2.2 ドラッグストアでの購入

ドラッグストアでも、食用として販売されている重曹を扱っていることがあります。胃腸薬や健康食品などが置かれているコーナーの近くに陳列されている場合もありますので、探してみてください。こちらも、購入前には必ずパッケージをよく見て、「食用」や「食品添加物」といった表示があるかしっかりと確認しましょう。もし薬剤師さんや登録販売者さんがお店にいれば、商品の場所などを尋ねてみるのも良いかもしれませんね。

7.2.3 インターネット通販での購入

インターネット通販の最大の魅力は、さまざまなメーカーの食用重曹を手軽に比較検討でき、大容量のものや特定のブランド品も見つけやすい点です。家にいながらじっくり選べるのも嬉しいポイントですね。ただし、実物のパッケージを直接見ることができないため、商品説明や購入者のレビューをしっかりと読むことがより一層大切になります。「食用」「食品添加物」といった記載があることを必ず確認し、信頼できるショップを選びましょう。口コミは参考になりますが、最終的にはご自身で安全性を確認することが重要です。不明な点があれば、購入前にショップに問い合わせてみるのも一つの方法ですよ。

食用重曹をどこで購入するにしても、以下の点を心に留めておくと、より安心して選ぶことができるでしょう。

  • 用途と必要な量: お料理やお菓子作りに少量だけ使いたいのか、それとも重曹水として日常的に飲みたいのかなど、ご自身の使い方や頻度を考えて、適切な容量のものを選びましょう。
  • 価格の比較: メーカーや容量、販売店によって価格は異なります。いくつかの商品を比較検討してみるのも上手なお買い物のコツです。
  • 信頼性の確認: 特にインターネット通販を利用する場合は、販売元の情報やこれまでの実績、利用者の評価などを確認し、信頼できるお店から購入するようにしましょう。国産メーカーの製品なども選択肢の一つとして考えてみると良いでしょう。

食用重曹を選ぶ上で最も大切なのは、繰り返しになりますが、パッケージの表示をしっかりと確認し、安全な「食用」のものを選ぶことです。このポイントを押さえて、安心して使える重曹を見つけて、毎日の食生活に上手に取り入れてみてくださいね。

8. まとめ

重曹は、お掃除だけでなく実はお料理にも使える、とっても便利なものだとお分かりいただけたでしょうか。一番大切なのは、必ず「食用」と書かれた安全なものを選ぶことです。パンをふっくらさせたり、お野菜のアク抜きに使ったり、胃の調子が優れない時に少し飲むこともできます。ただし、摂りすぎには注意し、ベーキングパウダーとの違いも理解して上手に使い分けましょう。この記事を参考に、重曹を毎日の暮らしに楽しく役立てていただけたら嬉しいです。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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