夏の贈り物、お中元。いつ贈るのが良いのか、毎年少し迷いますよね。この記事を読めば、お中元の一般的な時期から、北海道、沖縄など地域ごとの違い、万が一遅れた場合の対処法まで、贈る時期に関する疑問がすっきり解消します。お中元は日頃の感謝を伝える大切な習慣。正しい知識を身につけ、心を込めて夏のこころ遣いを届けられるよう、選び方やマナーも併せてご紹介します。
1. お中元とは 感謝の気持ちを伝える夏の贈り物
「お中元」という言葉を耳にすると、夏の訪れとともに、日頃お世話になっているあの方の顔が思い浮かぶ、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。お中元は、感謝の気持ちを込めて贈る、日本の美しい夏の習慣です。ここでは、お中元の由来や意味、そしてよく比較されるお歳暮との違いについて、わかりやすくお伝えしますね。

1.1 お中元の由来と意味
お中元の「中元」とは、もともと中国の道教の行事に由来しています。道教では、旧暦の1月15日を「上元(じょうげん)」、7月15日を「中元(ちゅうげん)」、10月15日を「下元(かげん)」とし、これらを合わせて「三元(さんげん)」と呼び、それぞれ神様を祀るお祭りが行われていました。このうち、中元は、人々の罪を償う贖罪(しょくざい)の日とされていたそうです。
この中国の「中元」の風習が日本に伝わると、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、つまりお盆の行事と結びつきました。お盆には、ご先祖様や亡くなった方々を供養するために、親族や近所の人々がお供え物を持ち寄る習慣がありましたね。これが時代とともに少しずつ形を変え、日頃からお世話になっている方々へ感謝の気持ちを込めて品物を贈る習慣へと発展していったのが、現在のお中元なのです。
ですから、お中元には、上半期の感謝の気持ちと、暑い夏を健やかにお過ごしくださいという相手の健康を気遣う思いが込められています。単なる贈り物ではなく、相手を思う心を伝える大切な機会なのですね。
1.2 お歳暮との違い
お中元と並んで、感謝を伝える日本の習慣として「お歳暮(おせいぼ)」があります。どちらも大切な方への贈り物ですが、贈る時期や込められた意味合いに違いがあります。その違いを知っておくと、より心を込めて贈ることができるでしょう。
主な違いを下の表にまとめてみました。
項目 | お中元 | お歳暮 |
---|---|---|
贈る時期 | 主に7月初旬から7月15日頃まで(地域によって異なります) | 主に12月初旬から12月20日頃まで(地域によって異なります) |
意味合い | 半年間の感謝の気持ちと、相手の健康を気遣う気持ちを伝えます。「暑い夏を元気に乗り切ってくださいね」という思いやりも込められています。 | 一年間の感謝の気持ちを伝え、「来年もどうぞよろしくお願いします」という挨拶の意味合いも含まれます。年の瀬のご挨拶として贈られます。 |
由来に関連するもの | 道教の「中元」、仏教の「盂蘭盆会」 | 年の暮れに先祖の霊を祭る「御霊祭り(みたままつり)」のお供え物を、年の瀬に本家や近所の人に配った習慣が起源の一つとされています。 |
このように、お中元とお歳暮は、感謝の気持ちを伝えるという点では共通していますが、贈るタイミングと、そこに込められる細やかな意味合いに違いがあるのですね。どちらも日本の美しい習慣として、相手への感謝と敬意を込めて贈りたいものです。
2. お中元はいつ贈る?「地域別」の贈る時期を解説
お中元は、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝える大切な夏の習慣ですね。でも、「いつ贈るのが正しいの?」と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、お中元を贈る時期は、一般的とされる期間がありつつも、お住まいの地域によって少しずつ違いがあるのです。ここでは、お中元を贈るのにふさわしい時期について、詳しくご案内いたします。
2.1 一般的なお中元の時期 7月初旬から7月15日頃まで
全国的に最も一般的とされているお中元の時期は、7月初旬から7月15日頃までです。これは、お盆の時期と関連していると言われています。もともと、お盆に先祖の霊を迎える準備として、お供え物をする習慣があり、それがお世話になった方への贈り物へと変化していったという説があります。特に東日本ではこの期間に贈ることが多いようです。
ただし、最近では配送の都合なども考慮し、6月下旬頃から準備を始め、早めに贈る方も増えてきています。大切なのは、相手の方に失礼なく、感謝の気持ちが伝わるタイミングでお届けすることですね。
2.2 地域によって異なるお中元の時期
先ほどお伝えした7月初旬から7月15日頃というのは、あくまで一般的な目安です。実は、日本各地でお中元を贈る時期には特色があり、大きく分けると「新暦の7月15日まで」「月遅れの8月15日まで」「旧暦の7月15日」といった考え方に基づいています。お相手がお住まいの地域に合わせて贈るのが、より丁寧な心遣いと言えるでしょう。主な地域の時期を下にまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
地域 | お中元を贈る時期の目安 | 備考 |
---|---|---|
北海道 | 7月中旬から8月15日頃まで | 比較的ゆっくりとした期間です。 |
東北地方 | 7月初旬から7月15日頃まで | 関東地方と同じ時期が一般的です。 |
関東地方 | 7月初旬から7月15日頃まで | 最も一般的な時期とされています。 |
北陸地方 | 地域により異なり、7月初旬から7月15日頃まで、または7月15日から8月15日頃まで | 金沢など都市部では7月15日まで、その他の地域では8月15日までとする場合があるなど、地域内で違いが見られます。迷った場合は、7月15日頃までに贈るか、相手の方に確認すると安心です。 |
東海地方 | 7月中旬から8月15日頃まで | 「月遅れ盆」の習慣がある地域が多いです。 |
関西地方 | 7月中旬から8月15日頃まで | こちらも「月遅れ盆」の地域が中心です。 |
中国地方 | 7月中旬から8月15日頃まで | 関西地方などと同様の傾向です。 |
四国地方 | 7月中旬から8月15日頃まで | こちらも「月遅れ盆」の習慣が見られます。 |
九州地方 | 8月1日頃から8月15日頃まで | 他の地域よりやや遅めの時期が一般的です。 |
沖縄 | 旧暦の7月13日から7月15日頃まで(新暦では8月中旬から9月初旬頃) | 現在も旧暦でお盆を行う風習が色濃く残っています。そのため、お中元も旧盆の時期に合わせて贈ります。毎年日付が変わるため、事前に確認が必要です。 |
このように、地域によってお中元の時期には幅があります。もしお相手の地域がはっきりしない場合や、どちらの時期に合わせるか迷う場合は、7月15日頃までに届くように手配するのが無難と言えるでしょう。早めに贈る分には失礼にあたることは少ないですが、あまりにも早すぎるとお中元としての意味合いが薄れてしまう可能性もあるため、6月下旬以降を目安にすると良いですね。
2.2.1 北海道のお中元 いつ贈る
北海道では、お中元の時期は7月中旬から8月15日頃までとされています。本州の多くの地域よりも少しゆっくりとした期間設定ですね。お盆の時期も地域によって新暦盆と月遅れ盆が混在しているため、この期間であれば概ね問題ないとされています。
2.2.2 東北地方のお中元 いつ贈る
東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)のお中元は、7月初旬から7月15日頃までに贈るのが一般的です。関東地方と同じ時期と考えて良いでしょう。
2.2.3 関東地方のお中元 いつ贈る
関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)では、7月初旬から7月15日頃までがお中元の時期です。この期間に贈るのが最も標準的とされています。
2.2.4 北陸地方のお中元 いつ贈る
北陸地方(新潟県、富山県、石川県、福井県)は、お中元の時期に少し特徴があります。地域によって異なり、7月初旬から7月15日頃までとする地域と、7月15日から8月15日頃までとする地域(主に月遅れ盆の習慣がある地域)があります。例えば、石川県金沢市などでは7月15日までが一般的ですが、同じ県内でも地域によっては8月15日までとする場合も見られます。迷った場合は、7月15日頃までにお届けするか、可能であれば先方に確認するのが安心です。
2.2.5 東海地方のお中元 いつ贈る
東海地方(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)では、7月中旬から8月15日頃までがお中元の時期とされています。これは、お盆を月遅れの8月に行う地域が多いためです。
2.2.6 関西地方のお中元 いつ贈る
関西地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)も、東海地方と同様に7月中旬から8月15日頃までにお中元を贈るのが一般的です。こちらも月遅れ盆の習慣に合わせた時期となっています。
2.2.7 中国地方のお中元 いつ贈る
中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)のお中元の時期は、7月中旬から8月15日頃までとされています。関西地方などと同様の傾向ですね。
2.2.8 四国地方のお中元 いつ贈る
四国地方(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)でも、お中元は7月中旬から8月15日頃までに贈るのが一般的です。月遅れ盆の習慣がある地域が多いことが理由です。
2.2.9 九州地方のお中元 いつ贈る
九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)のお中元は、他の多くの地域よりも少し遅く、8月1日頃から8月15日頃までが一般的です。お盆の時期に合わせて贈る習慣が根付いています。
2.2.10 沖縄のお中元 いつ贈る 旧暦も考慮
沖縄県では、現在でも旧暦に基づいて行事を行う風習が色濃く残っています。そのため、お中元も旧暦の7月13日から7月15日の「旧盆」の時期に合わせて贈ります。新暦に直すと、毎年日付が異なり、だいたい8月中旬から9月初旬頃にあたります。沖縄の方へお中元を贈る場合は、その年の旧盆の時期を事前に確認することが大切です。インターネットで「沖縄 旧盆 〇〇年(西暦)」などと検索すると、該当年月の旧盆期間を調べることができますよ。
2.3 お中元の時期を過ぎてしまったら?暑中見舞いや残暑見舞いとして贈る
うっかりしてお中元の時期を過ぎてしまった…そんな時でも大丈夫です。時期に合わせて表書きを変えれば、感謝の気持ちを伝えることができますよ。お中元の時期を過ぎてしまった場合は、「暑中御見舞(暑中見舞い)」や「残暑御見舞(残暑見舞い)」として贈りましょう。
2.3.1 暑中見舞い いつからいつまで
暑中見舞いは、夏の暑さが厳しい時期に相手の健康を気遣う贈り物です。贈る時期は、二十四節気の「小暑(しょうしょ)」(7月7日頃)から「立秋(りっしゅう)」(8月7日頃)の前日までとされています。一般的には、梅雨明け後から立秋の前日までに贈るのが目安と考えると分かりやすいでしょう。お中元の時期を過ぎてしまった場合、関東など7月15日頃までがお中元とされる地域では、7月16日頃から立秋の前日までが暑中見舞いの期間となります。
目上の方へ贈る場合は「暑中御伺(しょちゅうおうかがい)」と書くのがより丁寧です。
2.3.2 残暑見舞い いつからいつまで
残暑見舞いは、立秋を過ぎてもなお暑さが残る時期に送るものです。時期としては、立秋(8月7日頃)から「処暑(しょしょ)」(8月23日頃)の頃まで、遅くとも8月末までに贈るのが一般的です。暦の上では秋になっても、まだまだ暑い日が続きますから、相手の体を気遣う気持ちを込めて贈りましょう。 お中元の時期が8月15日頃までの地域で、その時期を過ぎてしまった場合や、暑中見舞いの時期も逃してしまった場合に用います。
こちらも、目上の方へ贈る場合は「残暑御伺(ざんしょおうかがい)」とすると良いでしょう。あまり遅くなると季節感がずれてしまうため、9月に入る前にはお届けしたいものですね。
3. 喜ばれるお中元の選び方と相場
お中元は、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝える大切な機会です。せっかく贈るなら、相手に心から喜んでもらえる品物を選びたいものですよね。ここでは、お中元の相場や、相手に合わせた選び方のポイント、そして人気のあるギフトの例をご紹介します。あなたの真心を届けるお手伝いができれば幸いです。
3.1 お中元の相場は相手との関係性で考える
お中元の品物を選ぶ際、まず気になるのが予算ではないでしょうか。一般的なお中元の相場は3,000円から5,000円程度とされていますが、これはあくまで目安です。贈る相手との関係性によって、適切な金額は変わってきます。
例えば、会社の上司や特にお世話になった方へは5,000円から10,000円程度のものを選ぶこともありますし、親しい友人や同僚であれば3,000円程度のものが一般的です。あまりに高価なものはかえって相手に気を遣わせてしまうこともあるため、お互いに負担にならない範囲で、感謝の気持ちが伝わる品物を選ぶことが大切です。下記の表も参考に、相手との関係性を考慮して予算を考えてみましょう。
贈る相手 | 金額の目安 |
---|---|
会社の上司・取引先 | 5,000円~10,000円程度 |
親戚・両親・義両親 | 3,000円~5,000円程度 |
兄弟・姉妹 | 3,000円~5,000円程度 |
友人・知人 | 3,000円程度 |
特にお世話になった方 | 5,000円~10,000円、場合によってはそれ以上 |
お中元は一度きりではなく、基本的にお付き合いが続く限り毎年贈るものです。無理のない予算で、長く続けられるようにすることもポイントの一つですよ。
3.2 人気のお中元ギフトの例
「何を贈ったら喜ばれるかしら?」と悩んでしまうこともありますよね。ここでは、お中元として人気のある定番ギフトをいくつかご紹介します。相手の顔を思い浮かべながら、ぴったりの品物を見つけてみましょう。
- ハム・ソーセージ・ローストビーフなど加工肉
夏バテ防止にもなり、食卓を豪華にしてくれる加工肉のギフトは、ご家族のいる方にも喜ばれます。保存がきくものが多いのも嬉しいポイントです。 - ビール・お酒
夏の暑い日には、キリッと冷えたビールが嬉しいもの。お酒好きの方には、地ビールやクラフトビール、日本酒や焼酎なども人気です。相手の好みに合わせて選びましょう。 - ジュース・コーヒー・紅茶
お子さんのいるご家庭や、お酒を召し上がらない方には、質の良いジュースやこだわりのコーヒー、紅茶のセットがおすすめです。見た目も華やかなものが多いので、贈り物にぴったりです。 - そうめん・うどん・そばなどの麺類
夏にぴったりの涼やかな麺類は、食欲がないときでもつるっと食べやすく、どなたにも喜ばれる定番ギフトです。有名産地のものや、少し高級なものを選ぶと特別感が出ます。 - 和菓子・洋菓子
クッキーやゼリー、水ようかんなど、日持ちのするお菓子の詰め合わせは、種類も豊富で選びやすいのが魅力です。個包装になっていると、職場などでも分けやすいですね。 - フルーツ
メロンや桃、ぶどうなど、旬のフルーツは見た目も華やかで、季節感を感じられる贈り物です。相手の家族構成や好みを考慮して選びましょう。 - 調味料・食用油
毎日の料理に使える実用的な調味料や食用油のセットも、主婦の方には特に喜ばれる傾向があります。普段自分では買わないような、少し上質なものを選ぶと良いでしょう。 - 洗剤・石鹸などの日用品
消耗品である洗剤や石鹸は、実用的でどなたにも使っていただけるギフトです。香りの良いものや、肌に優しい素材のものなど、こだわりの品を選ぶと喜ばれます。
これらの他にも、最近では地方の特産品や、少し贅沢なグルメギフトなども人気があります。相手のライフスタイルや好みを考えて選ぶと、より一層喜んでいただけるでしょう。
3.3 相手の好みに合わせた選び方のポイント
人気の商品も参考になりますが、やはり一番大切なのは「相手のことを考えて選ぶ」という気持ちです。ここでは、相手の好みや状況に合わせた選び方のポイントをいくつかご紹介します。
- 家族構成を考える
小さなお子さんがいるご家庭なら、みんなで楽しめるお菓子やジュースの詰め合わせ。ご夫婦二人暮らしなら、少し上質で量の少ないものや、夫婦で楽しめるお酒やおつまみなどが良いかもしれません。ご高齢の方がいらっしゃる場合は、柔らかくて食べやすいものや、健康に配慮したものが喜ばれます。 - 健康状態やアレルギーに配慮する
健康を気にされている方には、塩分控えめの食品やオーガニック製品、カロリーオフのスイーツなどがおすすめです。また、アレルギーをお持ちの方がいらっしゃる場合は、事前に確認するか、アレルギー表示をしっかり確認して、安心して召し上がっていただけるものを選びましょう。 - 趣味や嗜好をリサーチする
甘いものが好きな方には話題のスイーツ、お酒が好きな方には珍しい地酒やクラフトビール、コーヒー好きの方にはこだわりの豆など、相手の趣味や好みが分かっていれば、よりパーソナルな贈り物を選ぶことができます。日頃の会話から、さりげなく好みをリサーチしてみるのも良いですね。 - 保存期間や保管場所も考慮する
生ものや冷凍品を贈る場合は、相手が受け取れる日時や、冷蔵庫・冷凍庫のスペースも考慮する必要があります。すぐに消費できない可能性も考えて、なるべく日持ちのするものや、常温で保存できるものを選ぶのも一つの配慮です。 - 迷ったときはカタログギフトも選択肢に
どうしても品物選びに迷ってしまう場合は、相手に好きなものを選んでもらえるカタログギフトも便利です。グルメ専門のものや、雑貨も選べるものなど種類も豊富なので、相手の好みに合いそうなカタログを選ぶと良いでしょう。相手に選ぶ楽しみも贈ることができるのが、カタログギフトの魅力です。
お中元選びは、相手への感謝の気持ちを形にする素敵な機会です。相手の笑顔を思い浮かべながら、心を込めて選んだ品物は、きっと喜んでいただけるはずですよ。もしよろしければ、百貨店のギフト情報をまとめた高島屋オンラインストアのお中元マナーページなども参考に、じっくりと選んでみてくださいね。
4. 知っておきたいお中元の基本マナー
お中元は、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝える大切な夏の贈り物です。せっかくの贈り物ですから、相手に失礼なく、そして喜んでいただけるように、基本的なマナーをしっかり押さえておきたいものですね。ここでは、お中元を贈る際に心を配りたい基本的なマナーについて、わかりやすくご説明します。
4.1 のしの種類と正しい書き方
お中元には「のし紙」をかけるのが一般的です。のし紙の種類や書き方には決まりがありますので、うっかり間違えてしまわないよう、ここで一緒に確認しておきましょう。
4.1.1 水引の選び方
お中元にかけるのし紙の水引は、紅白の蝶結び(花結び)を選びます。蝶結びは、何度でも結び直せることから「何度あっても嬉しいお祝い事」や感謝の気持ちを表す際に用いられます。お中元は、毎年繰り返される季節のご挨拶ですので、この蝶結びが適しています。水引の本数は、一般的に5本か7本のものを選びましょう。
4.1.2 表書きの書き方
のし紙の水引の上段中央には、贈る目的を示す「表書き」を書きます。お中元の場合は「御中元」または「お中元」と書くのが一般的です。もし、お中元の時期を過ぎてしまった場合には、立秋(8月7日頃)までは「暑中御見舞」、立秋以降は「残暑御見舞」として贈ります。表書きは、毛筆や筆ペン、または濃い黒色のサインペンを使って、楷書で丁寧にはっきりと書くのがマナーです。ボールペンや万年筆、薄墨の使用は避けましょう。
4.1.3 名入れの書き方
水引の下段中央には、贈り主の名前をフルネームで書きます。このとき、表書きよりも少し小さめに書くと、全体のバランスが良く見えます。ご夫婦など連名で贈る場合は、右側から夫の氏名、左側に妻の名前のみを書きます。会社名や団体名を記載する場合は、名前の右肩に少し小さめに添えましょう。3名以上の連名になる場合は、代表者の名前を中央に書き、その左側に「他一同」と書くか、全員の名前を格の高い順または五十音順に右から左へ並べて書きます。
4.2 お中元の渡し方 直接手渡す場合と配送する場合
お中元の渡し方には、相手のお宅へ直接持参して手渡しする方法と、デパートやオンラインショップなどから配送する方法があります。どちらの方法を選ぶにしても、相手に気持ちよく受け取ってもらえるよう、それぞれのマナーを押さえておきましょう。
直接手渡しする場合は、風呂敷に品物を包んで持参するのが最も丁寧な方法とされています。紙袋で持参した場合は、相手に渡す際に品物を紙袋から取り出し、相手に品物の正面を向けて両手で差し出すのがマナーです。玄関先でいきなり渡すのではなく、お部屋に通されてから、時候の挨拶とともに「心ばかりの品ですが、どうぞお納めください」「いつもお世話になっております。感謝の気持ちです」といった言葉を添えて渡すと、より丁寧な印象になります。
一方、配送する場合は、品物だけを送りつけるのは少し味気なく、場合によっては失礼にあたることもあります。そのため、品物が届く少し前に送り状(挨拶状)を郵送するか、品物に添え状を同封するのが丁寧なマナーです。送り状や添え状には、日頃の感謝の気持ち、お中元を送った旨、そして相手の健康を気遣う言葉などを記しましょう。最近では、デパートやオンラインショップから直接配送するケースも増えていますが、その場合でもメッセージカードを添えるサービスがあれば利用するなど、ひと言でも感謝の気持ちを伝える工夫をすると喜ばれます。
4.3 お中元をいただいたらお礼状やお返しは必要?
お中元をいただいたら、まず感謝の気持ちを伝えることが何よりも大切です。お礼状やお返しはどのようにすれば良いのでしょうか。
お中元は、本来、目下の人から目上の人へ日頃の感謝を込めて贈るものとされているため、基本的にお返し(返礼品)は不要とされています。しかし、品物を受け取ったら、できるだけ早く、遅くとも3日以内にはお礼状を出すのがマナーです。親しい間柄であれば、まず電話でお礼を伝え、その後改めてお礼状を送るとより丁寧な印象になります。お礼状には、いただいた品物へのお礼だけでなく、相手の健康を気遣う言葉や、近況などを書き添えると良いでしょう。
もし、同僚や友人など対等な立場の方からいただいた場合や、明らかに高価な品物をいただいた場合には、感謝の気持ちとしてお返しをしても差し支えありません。その際は、いただいた品物の半額から同程度の金額を目安に品物を選び、「御礼」や「感謝」といった表書きののし紙をかけて贈ります。お返しを贈る時期は、お中元をいただいてからあまり間を空けないようにしましょう。
4.4 喪中のお中元 どうすればいい?
ご自身や相手の方が喪中の場合、お中元を贈っても良いのか、あるいは受け取っても良いのか、迷うことがありますね。デリケートな問題ですので、基本的な考え方と対応についてご説明します。
お中元は、お祝い事の贈り物ではなく、日頃の感謝の気持ちを表す季節の挨拶です。そのため、基本的にご自身や相手方が喪中であっても、お中元を贈ったり受け取ったりしても問題はないとされています。
ただし、注意したいのは時期です。特に、ご不幸があってから日が浅い忌中(仏式では四十九日、神式では五十日祭が終わるまで)は、お互いに避けるのが一般的です。相手の気持ちを思いやり、この期間は控えるようにしましょう。もし、忌中に重なるようであれば、時期をずらして「暑中御見舞」や「残暑御見舞」として贈るのが良いでしょう。
喪中の方へお中元を贈る際は、のし紙にも配慮が必要です。紅白の水引とのしが付いた華やかなのし紙は避け、白無地の奉書紙や白い短冊を用い、表書きは「御中元」とします。水引もかけないか、かける場合は白黒または双銀の結び切りの水引を使用することもありますが、地域や慣習によって異なる場合があるため、心配な場合は無地のものを選ぶのが無難です。
相手の状況や気持ちを最優先に考え、心配な場合は事前に確認するか、時期をずらして落ち着いた頃に贈るなどの配慮を心がけましょう。
5. まとめ
お中元は、日頃の感謝の気持ちを込めて贈る、日本の美しい習慣ですわね。贈る時期は、7月初旬から15日頃が一般的ですが、北海道や沖縄のように地域によって異なる場合もございますから、お相手の地域を確認することが大切です。もし時期を逃してしまっても、暑中見舞いや残暑見舞いとして心を込めて贈れば、きっと喜んでいただけますわ。大切なのは、マナーを守り、相手を思う気持ち。この記事が、あなたの心遣いを伝えるお役に立てれば幸いです。
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