鏡開きは、お正月に年神様をお迎えするために飾った鏡餅を下げていただくことで、その力を分けてもらい、一年間の無病息災を願う大切な日本の伝統行事です。この記事では、鏡開きはいつ行うのが正しいのか、地域による日付の違いやその理由、武家社会に由来する歴史、そして縁起を担いで包丁を使わない割り方のコツまで、丁寧に解説します。定番のおしるこから、あっと驚くアレンジレシピもご紹介しますので、なんとなく毎年行っていたという方も、今年はその意味を深く知り、心豊かに鏡開きを行ってみませんか。この記事を読めば、鏡開きに関するあらゆる疑問がすっきりと晴れるはずです。
1. 鏡開きとは そもそもどんな行事か
新しい年が明けて少し経った頃、お正月に飾っていた鏡餅をいただく「鏡開き」。子どもの頃、家族みんなでお餅を食べた懐かしい記憶がよみがえる方もいらっしゃるかもしれませんね。鏡開きは、単にお餅を食べるだけではなく、日本の古くからの願いが込められた、とても素敵な伝統行事なのですよ。
ここでは、鏡開きがどのような行事なのか、その心温まる意味合いをひもといていきましょう。
1.1 お正月に飾った鏡餅を下げて食べる日本の伝統文化
鏡開きとは、お正月の間、年神様(としがみさま)へお供えしていた鏡餅を下げて、家族みんなでいただく日本の伝統的な行事です。
年神様は、私たちに新しい年の幸せや実りをもたらすために、元旦に各家庭へやってくるといわれています。その年神様が滞在する間の「依り代(よりしろ)」、つまり居場所となるのが鏡餅です。大切にお供えした鏡餅を、お正月の期間が終わったあとに感謝の気持ちを込めてお下がりとしていただくのが、鏡開きのならわしなのです。
神様にお供えしたものをいただくことで、その力を分けてもらい、神様との結びつきを強くすると考えられてきました。なんだか、とてもありがたい気持ちになりますね。
1.2 年神様の力をいただき無病息災を願う意味
鏡餅は、ただのお餅ではありません。年神様の魂が宿っている、とても神聖なものとされています。そのため、鏡開きでいただくお餅には、年神様の力が宿っていると考えられているのです。
その力を宿したお餅を家族で分け合って食べることで、年神様から新しい生命力をいただき、その年一年の無病息災や家内安全を願う、というのが鏡開きの最も大切な意味合いです。昔の人々は、こうして神様の力をいただくことで、厳しい冬を乗り越え、新しい春を元気に迎えようとしていたのかもしれませんね。
鏡開きに込められた、主な願いをまとめてみました。
| 行事 | 込められた主な願い |
|---|---|
| 鏡開き | 一年の無病息災、家内安全、五穀豊穣 |
家族の健康と幸せを願う気持ちは、今も昔も変わりません。鏡開きは、そんな温かい祈りが込められた、暮らしの中の大切な節目といえるでしょう。
2. 鏡開きはいつやるのが正解?地域による日付の違い
お正月に飾った鏡餅、いつ下げて食べようかしら、と迷ったことはありませんか?実は「鏡開き」の日は、地域によって少しずつ違いがあるのです。ご家庭の行事として楽しむものですから、厳密な決まりがあるわけではありませんが、一般的な日付やその背景を知っておくと、より一層、日本の文化に親しみが湧いてきますよ。

2.1 一般的な鏡開きの日付は1月11日
現在、全国的に最も広く行われている鏡開きの日は「1月11日」です。かつては1月20日に行われていましたが、江戸時代の徳川幕府三代将軍・家光が4月20日に亡くなったことから、月命日である20日を避けるようになり、武家の「蔵開き」と同じ1月11日に行う習慣が江戸の町で定着したと言われています。この風習がやがて全国に広まっていきました。
もし、いつ行うか迷ったら、1月11日を目安にされると良いでしょう。お正月気分も少し落ち着いた頃、家族みんなで鏡餅をいただくのは、素敵な時間になりそうですね。
2.2 関西地方などでは1月15日や20日に行うことも
関東地方では1月11日が一般的ですが、関西地方では小正月である「1月15日」に鏡開きを行うご家庭が多く見られます。また、京都の一部の神社仏閣では、三が日を過ぎた1月4日に行うなど、地域に根差した様々な慣習が今も大切に受け継がれています。
さらに、昔ながらの風習を守り「二十日正月(はつかしょうがつ)」である1月20日に行う地域もあります。このように、日付にはいくつかのパターンがあるのですね。主な地域の日付を下の表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
| 日付 | 主な地域 | 背景など |
|---|---|---|
| 1月11日 | 関東・東北・九州など全国の多くの地域 | 江戸時代の武家社会の風習「蔵開き」に由来すると言われています。 |
| 1月15日 | 関西地方(大阪・京都・兵庫など) | 松の内が15日までとされる地域が多く、その翌日以降に行われます。 |
| 1月20日 | 関西地方の一部など | 「二十日正月」といって、この日を正月最後の締めくくりとする風習にちなんでいます。 |
| 1月4日 | 京都府の一部の神社仏閣など | 独自の伝統や慣習に基づいています。 |
お住まいの地域や、ご実家ではいつ行っていたかしら、と思い出してみるのも楽しいかもしれません。ご家族やご近所の方と、地域の風習についてお話しするきっかけにもなりそうですね。
2.3 松の内との関係で日付が決まる
鏡開きの日にちが地域によって異なるのは、お正月の「松の内(まつのうち)」の期間が関係しています。松の内とは、お正月に年神様(としがみさま)が家に滞在してくださる期間のこと。門松やしめ縄などの正月飾りを飾っておく期間を指します。
鏡開きは、年神様をお見送りしたあとに行う行事のため、松の内が終わってから鏡餅を下げます。この松の内の期間が、関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされることが多く、その違いが鏡開きの日の違いにつながっているのです。年神様がいらっしゃる松の内の間は鏡餅をお供えしておき、神様がお帰りになった後に、そのお餅をいただくことで力を授けてもらう、というわけですね。なんともありがたい風習です。
3. 鏡開きの由来と歴史
お正月の風物詩である鏡開き。この素敵な習慣がいつ、どのようにして始まったのか、その歴史を少しだけ紐解いてみませんか?実は、そのルーツは力強い武士たちの時代の風習にあるんですよ。
3.1 武家社会の「具足開き」が起源
鏡開きの始まりは、さかのぼること室町時代。武家社会で行われていた「具足開き(ぐそくびらき)」という行事が元になったといわれています。具足とは、武士が戦で身に着けていた鎧や兜のこと。新しい年が明けると、お正月の間、具足にお供えしていたお餅を下げ、家族や家臣たちと分け合って食べたそうです。
この風習が特に広まったのは、江戸時代に入ってからです。天下を統一した徳川家康が、大きな戦の前にこの具足開きを行い、見事に勝利を収めたことから、武運の長久や一族の繁栄を願う縁起の良い行事として武家の間に定着しました。そして、平和な時代が続くなかで、この習慣が次第に一般の庶民にも広まっていき、現在の鏡開きのかたちになったといわれています。
3.2 「切る」を避けた縁起の良い言葉「開く」
ところで、鏡餅を「割る」や「切る」ではなく、なぜ「開く」と呼ぶのでしょうか。これにも、武家社会ならではの理由が隠されています。
武士にとって「切る」という言葉は、自らの腹を切る「切腹」を連想させるため、大変縁起が悪いものでした。そのため、おめでたいお正月に刃物を使うことは避けられ、包丁で切るのではなく、手や木槌で割るのが習わしとなったのです。
そして、「割る」という言葉も縁起が良くないため、代わりに末広がりを意味する「開く」という言葉が使われるようになりました。「開く」には「運を開く」という願いも込められており、新しい年の始まりにぴったりの、希望に満ちた言葉ですね。
| 避ける言葉 | 使われる言葉 | 理由 |
|---|---|---|
| 切る | 開く | 「切腹」を連想させ、縁起が悪いため。 |
| 割る | 「割れる」も縁起が良くないとされたため。 |
このように、鏡開きの一つひとつの風習には、先人たちの平和や幸せを願うあたたかい気持ちが込められているのです。その歴史を知ると、鏡開きがより一層、感慨深いものに感じられますね。
4. 失敗しない鏡開きの正しいやり方と手順
年神様がいらっしゃったお正月の間、その居場所となっていた鏡餅。いよいよ鏡開きでいただくとなると、なんだか身が引き締まる思いがしますね。でも、いざ鏡餅を前にすると「どうやって割ったらいいのかしら?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。特に、最近の鏡餅は真空パックに入っていて、開けてみるとカチカチに固くなっていることも少なくありません。ここでは、初めての方でも安心してできる、鏡開きの正しいやり方と手順を丁寧にご紹介します。縁起の良い行事ですから、心を込めて行いましょう。
4.1 準備するもの 木槌や手など
鏡開きをスムーズに進めるために、あらかじめ必要なものを揃えておくと安心です。ご家庭にあるもので代用できるものも多いので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
| 道具 | 役割とポイント |
|---|---|
| 木槌(きづち) | 鏡餅を割るための主役です。なければ金槌でも代用できますが、その際は清潔な布やタオルで先端を何重かに包み、お餅に直接金属が当たらないようにしましょう。 |
| 新聞紙やビニールシート | 床やテーブルの上が汚れないように、下に敷いて使います。お餅の破片が飛び散っても、これがあれば後片付けがぐっと楽になりますよ。 |
| 軍手 | 固いお餅を扱う際に、手を保護するためにあると便利です。滑り止めがついているものだと、より安全に作業できます。 |
| 清潔な布巾やキッチンペーパー | お餅を包んだり、割った後の粉を拭き取ったりするのに使います。 |
| 保存容器や袋 | 割ったお餅を保存するためのものです。すぐに食べきれない分は、カビが生えないように密閉できるものがおすすめです。 |
4.2 包丁はNG?鏡餅の割り方の注意点
鏡開きで最も大切な注意点が、刃物を使わないことです。鏡餅は、年神様へのお供え物であり、神様の力が宿っていると考えられています。その神聖なお餅に包丁などの刃物を入れることは、武家社会の「切腹」を連想させ、縁起が悪いとされてきました。
そのため、鏡餅は「切る」や「割る」とは言わず、末広がりを意味する「開く」という縁起の良い言葉を使います。これは、新しい年の門出を祝う「門出を開く」という意味にもつながっています。ですから、鏡開きでは手や木槌を使って、お餅を「開いて」いきましょう。
4.3 固い鏡餅を上手に割るコツ
カチカチに乾燥してしまった鏡餅を、力任せに叩くのは大変ですし、ケガの心配もありますよね。ここでは、固いお餅を上手に、そして安全に開くためのコツをいくつかご紹介します。
- お餅を少し柔らかくする
あまりにも固くて歯が立たない場合は、無理せず少しだけお餅を柔らかくしてあげましょう。- 水に浸す方法
大きめのボウルや鍋にお餅を入れ、ひたひたになるくらいの水を注ぎます。半日から一日ほど浸しておくと、表面が少し柔らかくなり、木槌で割りやすくなります。ただし、長時間浸しすぎるとカビの原因になることもあるので、様子を見ながら行ってくださいね。 - 電子レンジで温める方法
耐熱皿にお餅をのせ、電子レンジで少しだけ加熱する方法も手軽です。温めすぎるとお餅が溶けてしまうので、500W~600Wで20~30秒ずつ、様子を見ながら加熱してください。ほんのり温かくなる程度で大丈夫です。
- 水に浸す方法
- ひび割れを狙って叩く
お餅の表面をよく見ると、乾燥によるひび割れが見つかることがあります。そのひび割れに沿って木槌を当てると、少ない力でもきれいに割れやすくなります。中心を狙うよりも、まずは側面やひびの部分から優しく叩いていくのがポイントです。 - 少しずつ小さくしていく
一度で食べやすい大きさにしようとせず、まずは二つか三つに大きく割ることを目指しましょう。ある程度の大きさになったら、あとは手でポキポキと折るように小さくしていくことができます。焦らず、少しずつ進めていくのが上手に開くための秘訣ですよ。
これらの方法を試せば、きっと固い鏡餅も上手に開くことができるはずです。家族みんなで協力しながら行うのも、楽しいひとときになりそうですね。
5. 鏡餅の美味しい食べ方 おすすめレシピを紹介
鏡開きで下げたお餅には、年神様の力が宿っているとされています。そんな縁起の良いお餅、せっかくなら最後まで美味しくいただきたいものですよね。ここでは、定番の食べ方から、ちょっと意外なアレンジレシピまで、鏡餅を余すことなく楽しむためのアイデアをご紹介します。固くなってしまったお餅も、工夫次第で絶品料理に生まれ変わりますよ。
5.1 定番のおしるこやお雑煮
鏡開きの食べ方と聞いて、多くの方が思い浮かべるのが「おしるこ」や「お雑煮」ではないでしょうか。年の初めにいただく伝統の味は、心も体も温めてくれます。
5.1.1 心もほっこり温まる「おしるこ」

甘く煮た小豆とお餅の組み合わせは、まさに冬の幸せの味。小豆からコトコト煮込む本格的な作り方も素敵ですが、市販のゆで小豆やあんこを使えば、もっと手軽に楽しめます。焼いたお餅の香ばしさが、やさしい甘さの汁と絡み合い、たまらない美味しさです。塩昆布や箸休めの漬物を添えれば、甘さがより引き立ち、本格的な味わいになりますよ。
5.1.2 お正月の締めくくりにいただく「お雑煮」
お正月に食べたばかり、と思うかもしれませんが、鏡開きのお餅で作るお雑煮はまた格別です。お正月に残っただしや具材を活用するのも良いですね。すまし仕立てや白味噌仕立て、あんこ餅を入れる地域など、お雑煮はまさに日本の食文化の多様性を映す鏡のような存在。ご家庭に伝わる味を再現するのはもちろん、いつもとは違う地方のレシピに挑戦してみるのも、新しい発見があって楽しいひとときになります。
5.2 おやつにぴったりなかき餅や揚げ餅
甘いものだけでなく、しょっぱいおやつも恋しくなりますよね。少し手間をかければ、昔ながらの素朴で美味しいおやつが楽しめます。お子さんやお孫さんと一緒に作るのもおすすめです。
5.2.1 カリカリ食感が楽しい「かき餅(あられ)」
固くなった鏡餅は、自家製かき餅にぴったりの材料です。作り方はとてもシンプル。
- 固いお餅を木槌などで細かく砕くか、少し水に浸して柔らかくしてから薄切りにします。
- 切ったお餅を、重ならないようにざるなどに広げ、カラカラになるまで数日間天日干しします。(室内でも乾燥します)
- しっかり乾燥したら、油で揚げるか、フライパンやオーブントースターで焼きます。
- 熱いうちに塩や醤油、青のり、きな粉など、お好みの味をまぶせば完成です。
自分で作った揚げたてのかき餅の美味しさは格別で、ついつい手が伸びてしまいますよ。
5.2.2 手軽で美味しい「揚げ餅」
かき餅のように乾燥させる時間がない、という方には揚げ餅がおすすめです。適当な大きさに割ったお餅を、低温の油でじっくりと揚げるだけ。外はカリッと、中はもっちりとした食感が楽しめます。大根おろしと醤油でさっぱりといただく「からみ餅」や、砂糖醤油を絡めた甘じょっぱい味付けも人気です。
5.3 洋風アレンジで最後まで美味しく
「和風の食べ方は一通り試したわ」という方には、洋風のアレンジはいかがでしょうか。お餅は意外にもチーズやバター、トマトソースといった洋風の味付けとも相性抜群。マンネリになりがちな鏡餅の食べ方の幅がぐっと広がります。
ここでは、手軽に試せる人気の洋風アレンジをいくつかご紹介します。
| アレンジ名 | 作り方のポイント | おすすめの具材・味付け |
|---|---|---|
| お餅ピザ | 薄切りにしたお餅をフライパンに並べ、生地代わりにします。弱火でじっくり焼いてお餅同士をくっつけるのがコツです。 | ピザソース、チーズ、ピーマン、ベーコン、コーンなど |
| お餅グラタン | 小さく切ったお餅を耐熱皿に入れ、ミートソースやホワイトソース、チーズをかけてオーブントースターで焼きます。 | ブロッコリー、鶏肉、きのこ類、シーフードミックスなど |
| お餅のバター醤油焼き | フライパンでバターを熱し、お餅を両面こんがりと焼きます。仕上げに醤油を回しかければ、香ばしい香りが食欲をそそります。 | 刻み海苔、とろけるチーズ、黒胡椒、にんにくスライスなど |
| お餅のベーコン巻き | 細長く切ったお餅にベーコンを巻きつけ、爪楊枝で留めます。フライパンでベーコンがカリッとするまで焼きます。 | 醤油、みりん、砂糖で甘辛く味付けしたり、チーズを挟んだりするのもおすすめです。 |
このように、少し視点を変えるだけで、鏡餅は飽きることなく最後まで美味しくいただけます。年神様からの贈り物を、感謝の気持ちを込めて、さまざまな味わいで楽しんでみてくださいね。
6. 鏡開きに関するよくある質問
年の初めの伝統行事、鏡開き。いざ準備をしようとすると、「あれ、どうだったかしら?」と迷ってしまうこともありますよね。ここでは、鏡開きにまつわる素朴な疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
6.1 鏡餅にカビが生えたらどうする?
楽しみにしていた鏡開き。でも、お餅の表面にうっすらとカビを見つけてがっかり…なんて経験はありませんか?カビが生えてしまっても、すぐに諦めるのはまだ早いかもしれません。対処法を知って、できるだけ美味しくいただきましょう。
まず大切なのは、カビの状態をよく観察することです。カビの種類によっては、体に良くない影響を与えるものもありますので、慎重に判断してくださいね。
| カビの状態 | 対処法 |
|---|---|
| 表面に白い点々としたカビがある | 食べられる可能性が高いです。カビの部分を包丁などで厚めに、多めに削り取ってください。その後、焼いたり加熱したりして食べるのがおすすめです。 |
| 青や黒、赤など色のついたカビがある | 残念ですが、食べるのは諦めましょう。これらのカビは毒素を作り出すことがあり、内部深くまで根を張っている可能性があります。健康を第一に考え、処分するのが賢明です。 |
| 広範囲にカビが広がっている | こちらも食べるのは避けてください。目に見えない部分にもカビの菌糸が広がっていると考えられます。 |
もし削って食べる場合も、少しでも味やにおいにおかしいなと感じたら、無理せず食べるのをやめましょう。最近では、カビが生えにくい真空パックの鏡餅も多くありますので、そういったものを選ぶのも一つの手ですね。
6.2 一人暮らしでも鏡開きはするべき?
「一人暮らしだと、大きなお餅は食べきれないし…」と、鏡開きをためらってしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。結論から言うと、必ずしも行わなければならない、という決まりはありません。
ですが、鏡開きは年神様をお見送りし、そのお力をいただくことで一年間の無病息災を願う、日本の素敵な伝統行事です。形式にこだわりすぎず、ご自身の暮らしに合わせてささやかにでも行ってみてはいかがでしょうか。
最近では、一人暮らしの方にぴったりの小さな鏡餅もたくさんあります。手のひらサイズの可愛らしいものや、プラスチックの容器の中に個包装の切り餅が入っている便利なタイプも人気です。これなら、お椀一杯のおしるこを作るのにもちょうど良いですね。
大切なのは、新しい一年を健やかに過ごせますようにと願う気持ちです。ご自身のペースで、季節の行事を楽しんでみるのは、日々の暮らしに彩りを添えてくれますよ。
6.3 鏡餅はいつから飾るのが良い?
新しい年を迎えるにあたり、鏡餅をいつから飾るのが良いのか、迷うことがありますよね。せっかく飾るなら、縁起の良い日を選びたいものです。飾るのに適した日と、避けた方が良い日を覚えておくと安心ですよ。
一般的に、お正月の準備を始める「正月事始め」の12月13日以降であれば、いつ飾っても良いとされています。その中でも、特に縁起が良いとされる日があります。
| 日付 | 縁起 | 理由 |
|---|---|---|
| 12月28日 | 大変良い | 数字の「八」が末広がりで縁起が良いとされています。この日に飾るのが最もおすすめです。 |
| 12月30日 | 良い | キリの良い数字なので、28日に間に合わなかった場合はこの日に飾ると良いでしょう。 |
| 12月29日 | 避けるべき | 「九」が「苦」を連想させ、「二重苦」につながるため、縁起が悪いとされています。 |
| 12月31日 | 避けるべき | 大晦日に飾ることを「一夜飾り」といい、年神様をお迎えするのに一晩しか用意しないのは失礼にあたるとされています。 |
大掃除を終えて、清々しい気持ちで年神様をお迎えする準備をしたいものですね。遅くとも12月28日、または30日までに飾ることを心がけて、気持ち良く新年を迎えましょう。
7. まとめ
今回は、お正月の締めくくりともいえる「鏡開き」について、その意味や由来、正しいやり方などを詳しくご紹介しました。鏡開きは、年神様が宿られた鏡餅をいただくことで、新しい一年の無病息災を願う、古くから伝わる心豊かな日本の習わしなのですね。
鏡開きの日付が一般的に1月11日とされるのは、神様がいらっしゃる「松の内」が終わるタイミングだから、という理由がありました。刃物を使わず木槌で「開く」のも、武家の風習に由来する縁起を大切にする、日本人らしい細やかな心遣いの表れといえるでしょう。
固くなってしまったお餅も、定番のおしるこから少し目先の変わったアレンジまで、工夫次第で最後まで美味しくいただけます。伝統的な行事も、その意味を知り、今の暮らしに合わせて少しずつ取り入れてみることで、毎日がより味わい深いものになりそうです。
年神様からいただいた力で、この一年が健やかで幸多きものとなりますように。この記事が、あなたの丁寧な暮らしのささやかなヒントになれば嬉しいです。



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