松の内とは?いつまで?意味や過ごし方、関東と関西の違い

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新しい年が始まり、「松の内」という言葉を耳にする機会も多いですが、いつまでを指すのか、関東と関西でなぜ期間が違うのか、迷うことはありませんか。この記事では、松の内の意味や由来、地域ごとの期間の違い、そして新年の挨拶や初詣といった過ごし方まで、一つひとつ丁寧に解説します。松の内とは年神様をお迎えする大切な期間。一般的に関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。

目次

1. 松の内とは そもそもどんな意味を持つ言葉?

新しい年が明けると、あちらこちらで耳にする「松の内」。お正月の期間を指す言葉だとは知っていても、その詳しい意味までは意外と知らない方も多いのではないでしょうか。実はこの「松の内」、私たちの暮らしに根付いた、とても大切な意味を持つ期間なのですよ。ここでは、松の内の本来の意味やその由来を、ゆっくりと紐解いていきましょう。

1.1 年神様がいらっしゃる期間のこと

松の内とは、ひと言でいうと「お正月に各家庭へいらっしゃる『年神様(としがみさま)』をお迎えし、おもてなしする期間」のことです。年神様は「歳神様」や「お正月様」とも呼ばれ、新しい年の幸せや家族の健康、そして五穀豊穣をもたらしてくれる、とても縁起の良い神様なんですよ。

では、なぜ「松」という言葉が使われるのでしょうか。それは、お正月に飾る「門松」が大きく関係しています。門松やしめ縄、鏡餅といった正月飾りは、年神様が迷わずに家を訪れてくださるための大切な目印(依り代)です。この「門松を飾っておく期間」であることから、「松の内」と呼ばれるようになったと言われています。つまり松の内は、年神様が我が家に滞在してくださる、神聖で喜ばしい期間なのです。

1.2 松の内の由来と歴史

「松」が正月の象徴となったのには、古くからの言い伝えが関係しています。松は一年中青々とした葉を茂らせる常緑樹であることから、生命力や不老長寿の象徴とされ、神様が宿る神聖な木だと考えられてきました。「神を待つ(松)」という語呂合わせもあるほどです。

このような松を飾る風習は、平安時代に貴族の間で行われていた「小松引き(こまつびき)」という行事が始まりとされています。これは、新年の初めの子の日に野山へ出かけ、小さな松の木を引き抜いて持ち帰り、長寿を願うという雅な遊びでした。この風習が時代とともに変化し、室町時代には家の門に松を飾る「門松」の習慣が生まれ、江戸時代になると、庶民の間にも広く定着していったのです。昔の人々が、新しい年の幸せを心から願っていた様子が目に浮かぶようですね。

2. 松の内はいつまで?関東と関西で異なる期間を解説

「お正月の飾りって、いつ片付けたらいいのかしら?」と、毎年少し迷ってしまうことはありませんか。実は、お正月の年神様がいらっしゃる期間「松の内」は、地域によって長さが違うんです。特に、関東と関西では大きく異なります。

ご自身の地域はいつまでが松の内なのか、この機会にぜひ知っておきましょう。そうすれば、新年の挨拶や正月飾りをしまうタイミングに迷わなくなりますよ。

2.1 関東の松の内は1月7日まで

関東地方を中心とした多くの地域では、松の内は1月7日までとされています。1月7日は、無病息災を願って七草がゆをいただく日としてもおなじみですね。この日をもって松の内が明け、お正月に一区切りがつく、と考えるのが一般的です。

門松やしめ縄といったお正月飾りも、この1月7日の朝に下げることが多いようです。

2.2 関西の松の内は1月15日まで

一方、関西地方では松の内を1月15日までとするのが古くからの習わしです。1月15日は「小正月(こしょうがつ)」と呼ばれ、豊作を祈る行事などが行われる大切な日。この日までを松の内として、ゆっくりとお正月気分を味わう文化が根付いています。

もともとは、全国的に1月15日までが松の内だったと言われています。では、なぜ関東では期間が短くなったのでしょうか。

2.3 なぜ関東と関西で松の内の期間が違うのか

関東と関西で松の内の期間が異なるようになったのは、江戸時代までさかのぼります。きっかけは、江戸幕府が出したお触れだったという説が有力です。

江戸幕府三代将軍・徳川家光が亡くなったのが4月20日でした。そのため、月命日である20日に鏡開きを行うことを避けるようになり、幕府は鏡開きの日にちを1月11日に早めるよう定めたのです。

この変更に伴い、「お正月の祝い事も早く済ませるように」という流れが生まれ、江戸を中心とした関東地方で、松の内が1月7日までに短縮されていったと言われています。

一方で、幕府の影響が比較的少なかった関西地方やその他の地域では、古くからの習わしである「1月15日(小正月)まで」という松の内の期間がそのまま残ったのですね。

2.4 あなたの地域はどっち?全国の主な松の内期間一覧

関東は7日まで、関西は15日まで、というのが大きな流れですが、全国を見渡すと他の期間を松の内としている地域もあります。お住まいの地域がどちらにあたるか、下の表で確認してみましょう。

ただし、同じ県内でも地域や家庭によって習慣が異なる場合もありますので、あくまで目安として参考にしてくださいね。

期間主な地域
1月7日まで北海道、東北地方、関東地方、甲信越地方、東海地方、中国地方、四国地方、九州地方など、全国の多くの地域
1月15日まで関西地方(大阪府・京都府・兵庫県など)、滋賀県、三重県伊賀地方、石川県能登地方、鳥取県、島根県など

このように見ると、関西を中心とした西日本の一部に1月15日までの文化が色濃く残っていることがわかります。もしご自身の地域の習慣がわからない場合は、地元の神社に問い合わせてみたり、ご近所の年長者の方に尋ねてみたりするのも良い方法ですよ。

3. 松の内の代表的な過ごし方

年神様がいらっしゃる松の内は、一年の始まりを寿ぎ、幸せを願う大切な期間です。昔ながらの風習を楽しみながら、晴れやかな気持ちで新年を過ごしてみませんか?ここでは、松の内の代表的な過ごし方をご紹介します。

3.1 新年の挨拶「あけましておめでとう」を交わす

新しい年を迎えて交わす「あけましておめでとうございます」という挨拶。実はこの言葉は、年神様をお迎えしている松の内の間に使うのが習わしとされています。松の内を過ぎたら、少し表現を変えるのが一般的です。

この挨拶は、年神様への感謝と、新年を無事に迎えられた喜びを分かち合うためのもの。ですから、年神様がいらっしゃる松の内の間に交わすのが、本来の意味合いに沿った丁寧な形なのです。

もし、お相手が喪中の場合は「おめでとう」という言葉は避け、「本年もどうぞよろしくお願いいたします」といった挨拶にすると、相手への心遣いが伝わりますね。

3.2 年賀状のやり取りをする

新年の挨拶状である年賀状も、松の内に届くように送るのがマナーです。理想は元旦に届くことですが、もし少し遅れてしまっても、松の内の期間中であれば問題ありません。

関東にお住まいの方へは1月7日までに、関西など1月15日までを松の内とする地域の方へは15日までに届くように心がけましょう。年賀状は、松の内の間に新年のご挨拶としてお相手に届ける大切な便りなのです。

もし松の内を過ぎてしまいそうな場合は、「年賀状」としてではなく「寒中見舞い」として出すのが一般的です。その際は、年賀はがきではなく通常のはがきを使うようにしましょう。

3.3 初詣に行く

一年の感謝を捧げ、新しい年の無病息災や幸せを祈願する初詣。多くの方が元日から三が日の間に訪れますが、実は松の内の期間中に参拝するのが良いとされています。

これは、家にいらしている年神様が、松の内の間は神社やお寺にも滞在されていると考えられているためです。この期間にお参りすることで、より多くのご利益をいただけると言われていますよ。

人混みが少し苦手な方は、三が日を避けて、平日にゆっくりと近くの氏神様へお参りするのも素敵な過ごし方ですね。澄んだ空気の中、心静かにお参りすれば、きっと気持ちも新たになることでしょう。

3.4 七草がゆを食べる

1月7日は「人日(じんじつ)の節句」といい、七草がゆをいただく日です。関東では、ちょうど松の内が終わる日でもありますね。

七草がゆには、早春に芽吹く七草の生命力をいただくことで、一年を病気なく元気に過ごせるようにという願いが込められています。また、おせち料理やお酒などで少し疲れた胃腸を休ませる、昔ながらの知恵でもあります。

春の七草は、以下の7種類です。

  • セリ
  • ナズナ
  • ゴギョウ(御形)
  • ハコベラ(繁縷)
  • ホトケノザ(仏の座)
  • スズナ(蕪)
  • スズシロ(大根)

スーパーなどでもセットで手軽に購入できますから、ぜひこの日の朝食に取り入れて、体を内側からやさしく整えてみてはいかがでしょうか。

4. 松の内が終わったらすること

楽しかったお正月気分も、松の内が終わると少しずつ日常へと戻っていきます。年神様をお見送りし、清々しい気持ちで一年を始めるために、松の内が明けたらやっておきたい大切なことがあります。ここでは、お正月の締めくくりとして行うべき2つのことを、わかりやすくご紹介しますね。

4.1 正月飾りを片付けるタイミング

松の内は年神様が家に滞在してくださる期間。ですから、松の内が終わるということは、年神様がお帰りになる時が来たということです。門松やしめ縄、鏡餅といったお正月飾りは、年神様をお迎えするための大切な目印であり、滞在中の居場所でもあります。役目を終えた飾りは、感謝の気持ちを込めて片付け、年神様をきちんとお見送りしましょう。

お正月飾りを片付けるのは、松の内が明けた日、つまり関東では1月8日、関西では1月15日の翌日である16日に片付けるのが一般的です。七草がゆをいただいた翌日に片付ける、と覚えておくと分かりやすいかもしれませんね。もしうっかり片付け忘れてしまっても、慌てなくて大丈夫。後ほどご紹介する「どんど焼き」の日に合わせて片付けるという考え方もありますよ。

4.1.1 外した正月飾りはどんど焼きへ

外したお正月飾りは、ゴミとして処分するのではなく、神社やお寺で行われる「どんど焼き」に持って行くのが昔からの習わしです。どんど焼きは「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれる火祭りの行事で、一般的に小正月の1月15日前後に行われます。

門松やしめ縄、書初めなどを高く積み上げて燃やし、その炎と共に年神様を天にお見送りします。この火にあたったり、焼いたお餅を食べたりすると、一年を無病息災で過ごせるといわれています。立ち上る煙とパチパチと音を立てる炎を見上げながら、新年の幸せを願うのも素敵な時間ですね。

もし、近所でどんど焼きが行われていなかったり、都合が合わなかったりする場合は、神社に設置されている「古札納所(こさつおさめしょ)」にお納めしましょう。それも難しい場合は、ご家庭で清めてから処分することもできます。その際は、お塩で清めたお飾りを白い紙に包み、他のゴミとは別の袋に入れて、感謝の気持ちを込めて手放すことが大切です

4.2 松の内以降の挨拶は寒中見舞い

「あけましておめでとうございます」という新年の挨拶は、年神様がいらっしゃる松の内の期間に使う言葉です。そのため、松の内が明けてからは使わないのがマナーとされています。

では、松の内を過ぎてから新年のご挨拶をしたい場合はどうすれば良いのでしょうか。その際に使うのが「寒中見舞い」です。松の内を過ぎたら、新年の挨拶は「寒中お見舞い申し上げます」に切り替わります

寒中見舞いは、こんな時に出すと良いでしょう。

  • 年賀状を出しそびれてしまった方へのご挨拶として
  • 喪中の方へ、年賀状の代わりのご挨拶として
  • ご自身が喪中で年賀状をいただいてしまった際の返礼として
  • 松の内を過ぎてから年賀状をいただいた際の返信として

寒中見舞いを出す期間は、松の内が明けてから立春(2月4日頃)までです。こちらも関東と関西で始まる時期が異なりますので、お住まいの地域に合わせて準備しましょう。

地域寒中見舞いを出す期間
関東など1月8日ごろ ~ 2月4日ごろ(立春の前日まで)
関西など1月16日ごろ ~ 2月4日ごろ(立春の前日まで)

寒中見舞いには、厳しい寒さが続く中、相手の健康を気遣う言葉を添えるのが基本です。年賀状をいただいたお礼や、ご自身の近況などを綴って、心温まるお便りを届けてみてはいかがでしょうか。

5. まとめ

松の内は、年神様をお迎えする大切な期間です。関東では1月7日まで、関西では15日までと地域で違いがあるのは、江戸時代の幕府のお触れが関東を中心に広まったという歴史的な背景があったのですね。この期間を目安に新年のご挨拶や初詣を済ませ、松が明けたら正月飾りを片付け、挨拶も寒中見舞いへと切り替わります。古くから伝わる日本の習慣を暮らしに取り入れ、清々しい気持ちで一年を始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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