お部屋の印象を左右するフローリング。いつの間にかできた黒ずみは、見て見ぬふりをできない悩みの種ですよね。その黒ずみの正体は、湿気によるカビや皮脂汚れ、ワックスの劣化など様々です。この記事では、黒ずみの原因に合わせた正しい落とし方から、賃貸の退去費用への影響、日頃の予防策まで丁寧に解説します。原因を知って的確にお手入れすれば、ご家庭でもすっきりきれいな床を取り戻せますよ。
1. まずは確認 フローリングの黒ずみの正体とは?5つの原因
いつの間にか床にできてしまった、気になる黒いシミ。フローリングの黒ずみは、お部屋全体を少し暗い印象に見せてしまうこともありますよね。力まかせにゴシゴシこする前に、まずはその黒ずみが何なのか、正体を探ってみませんか?実は、黒ずみの原因はひとつではありません。原因に合わせたお手入れをすることが、フローリングを傷めずにきれいにするための大切な第一歩になるんですよ。
ここでは、フローリングの黒ずみとして考えられる、主な5つの原因をご紹介します。ご自宅の黒ずみがどれに当てはまるか、一緒に見ていきましょう。
原因 | 黒ずみの特徴 | 発生しやすい場所の例 |
---|---|---|
湿気や水分によるカビ | 黒や緑の点々としたシミ状の汚れ | 窓際、家具の裏、カーペットの下 |
皮脂汚れや油汚れ | 広範囲にわたる黒ずみ、ベタつきを伴うことも | キッチン、ダイニング、素足でよく歩く場所 |
結露や水漏れ | 水分が染み込んだような黒いシミ | 窓のサッシ周辺、観葉植物の鉢の下 |
古いワックスの劣化 | 床全体がなんとなく黒ずんで見える、ムラがある | 人の出入りが多い場所、直射日光が当たる場所 |
フローリングの傷 | 傷に沿って線状に黒くなっている | 家具を移動させた跡、物を落とした場所 |
1.1 原因1 湿気や水分によるカビの発生

日本の住まいで特に気をつけたいのが、湿気が原因で発生するカビです。黒い点々としたシミのような汚れを見つけたら、それはカビかもしれません。特に、梅雨の時期や空気がこもりやすいお部屋では注意が必要です。窓際や壁際、普段あまり動かさない家具の裏、敷きっぱなしのカーペットや布団の下などは、湿気がたまりやすくカビの温床になりがちです。カビは見た目が良くないだけでなく、アレルギーの原因になることもあるため、早めに対処したいものですね。
1.2 原因2 皮脂汚れや油汚れの蓄積

リビングや廊下など、私たちが毎日歩く場所がなんとなく黒ずんで見える…。その正体は、足の裏から出る皮脂や、キッチンから飛散した油汚れがほとんどです。素足で歩くことの多い夏場は特に、皮脂がフローリングに付着しやすくなります。これらの油分を含んだ汚れは、空気中のホコリやチリを吸着し、時間とともに酸化して黒く頑固な汚れへと変化してしまうのです。ベタつきを感じる黒ずみは、この皮脂や油汚れが原因である可能性が高いでしょう。
1.3 原因3 窓の結露や観葉植物からの水漏れ

見落としがちですが、水分が長時間フローリングに付着することも黒ずみの原因になります。例えば、冬場に発生する窓の結露。サッシからあふれた水分が床に垂れて、気づかないうちにシミになってしまうことがあります。また、暮らしに彩りを添えてくれる観葉植物も、水やりの際に受け皿から水がこぼれてしまうと、フローリングの継ぎ目から水分が染み込み、木材自体が変色して黒ずんでしまうケースも。一度染み込んでしまった水分による黒ずみは、落とすのが難しい場合もあるため、日頃から注意が必要です。
1.4 原因4 古いワックスの劣化や汚れの付着

フローリングを保護するために塗られているワックスも、時間が経つにつれて劣化していきます。古いワックスは、人の歩行による摩擦などで少しずつ剥がれていくのですが、その過程で表面に細かな傷がつき、汚れが付着しやすくなるのです。さらに、劣化したワックス自体が酸化して黒ずんだり、汚れを抱き込んだまま固まってしまったりすることで、床全体がくすんだような暗い印象になってしまいます。表面を拭いただけではきれいにならない黒ずみは、ワックス層の問題かもしれません。
1.5 原因5 フローリングの傷に入り込んだ汚れ
椅子を引いたり、家具を移動させたり、うっかり物を落としてしまったり…。日々の暮らしの中で、フローリングにはどうしても細かな傷がついてしまいます。フローリングの表面には通常、保護するためのコーティングが施されていますが、傷によってそのコーティングが剥がれると、むき出しになった木材の凹凸に汚れや水分が入り込みやすくなります。その溝に溜まった汚れが、黒い線のような黒ずみとして目立ってしまうのです。傷が深くなるほど汚れも落としにくくなるため、早めのケアが大切になります。
2. 【原因別】フローリングの黒ずみの落とし方と掃除手順
気になる黒ずみの正体がわかったら、さっそくお掃除に取り掛かりましょう。原因によってお手入れの方法が少しずつ異なりますので、ご自宅のフローリングの状態に合わせて、最適な方法を選んでみてくださいね。お掃除を始める前には、必ず部屋の隅など目立たない場所で試して、フローリングに影響がないか確認することを忘れないようにしましょう。
2.1 カビが原因の黒ずみの落とし方
ポツポツとした黒い点や、じわっと広がった黒ずみは、カビが原因かもしれません。カビは見た目だけでなく、健康にも影響を及ぼすことがあるため、早めに対処するのがおすすめです。カビの除去には、殺菌効果のあるエタノールが役立ちますよ。
2.1.1 エタノールを使った掃除方法
薬局などで手軽に購入できる消毒用エタノールを使って、カビを根本から取り除いていきましょう。作業中は、アレルギーなどを防ぐためにもマスクやゴム手袋を着けると安心です。
準備するもの | ポイント |
---|---|
消毒用エタノール | 濃度70〜80%のものが殺菌効果が高いとされています。 |
乾いたきれいな布や雑巾 | 2枚用意しましょう。マイクロファイバークロスもおすすめです。 |
ゴム手袋・マスク | 肌や喉を守るために着用しましょう。 |
【お掃除の手順】
- 窓を開けて、お部屋の空気をしっかり入れ替えましょう。
- 乾いた布に消毒用エタノールを吹きかけ、湿らせます。フローリングに直接スプレーすると、シミや変色の原因になることがあるので注意してくださいね。
- エタノールを湿らせた布で、黒ずみが気になる部分を優しくポンポンと叩くように拭き取ります。ゴシゴシ擦るとフローリングを傷つけてしまう可能性があります。
- カビが取れたら、もう1枚のきれいな乾いた布で、残ったエタノールをしっかりと拭き取って完了です。
この方法は、フローリングの表面に発生した比較的軽いカビに有効です。ただし、無垢材などの塗装されていないフローリングは、シミになる可能性があるため使用を避けた方が良いでしょう。
2.2 皮脂や油汚れが原因の黒ずみの落とし方
素足で歩くことの多いリビングや、油が飛び散りやすいキッチン周りの床は、皮脂や油汚れが蓄積して黒ずんでしまいがち。こうした酸性の汚れには、中性洗剤やアルカリ性の洗浄剤を使ったお掃除が効果的です。
2.2.1 中性洗剤を使った基本的な掃除方法
まずは、フローリングへの負担が少ない中性洗剤を使った方法から試してみましょう。食器洗い用の洗剤で手軽にできる、基本のお手入れです。
【準備するもの】
- 台所用中性洗剤
- ぬるま湯を入れたバケツ
- 雑巾2枚
【お掃除の手順】
- バケツに入れたぬるま湯に、中性洗剤を2〜3滴垂らしてよく混ぜ合わせます。
- 雑巾を1枚ひたし、水が滴らないよう、固く、固く絞ります。これが一番大切なポイントです。
- 固く絞った雑巾で、フローリングの木目に沿って優しく黒ずみを拭き取っていきます。
- 汚れが落ちたら、きれいな水にひたして固く絞ったもう1枚の雑巾で、洗剤成分が残らないようにしっかりと水拭きをします。
- 最後に、乾いた布で水分を完全に拭き取ったらおしまいです。水分が残っていると、新たな黒ずみや床の傷みの原因になってしまいます。
2.2.2 アルカリ電解水やセスキ炭酸ソーダも有効
中性洗剤で落ちない頑固な皮脂汚れには、アルカリ性の性質を持つアルカリ電解水やセスキ炭酸ソーダを使ってみるのも一つの手です。酸性の汚れを中和して、すっきりと落としてくれます。
アルカリ電解水はスプレーボトルに入ったものが市販されており、二度拭き不要な製品も多くて便利です。セスキ炭酸ソーダは、水500mlに対して小さじ1杯程度を溶かして「セスキ水」を作り、スプレーボトルに入れて使います。
使い方はどちらも簡単で、黒ずみに直接吹きかけるか、布にスプレーしてから汚れを拭き取り、最後に乾拭きするだけです。
ただし、アルカリ性の洗浄剤は洗浄力が強い分、ワックスを剥がしてしまったり、フローリング材を傷めて変色させたりする可能性があります。ご使用の前には、必ず目立たない場所で試してから、自己責任の上で行うようにしてくださいね。
2.3 ワックスの劣化が原因の黒ずみの落とし方
長年お手入れをしてきたフローリングのワックスが古くなり、汚れを抱え込んで黒ずんでしまうこともあります。この場合は、思い切って古いワックスを一度剥がし、新しく塗り直すことで、まるで新築のような輝きを取り戻すことができますよ。
2.3.1 ワックス剥離剤を使った掃除方法
古いワックスを剥がすには、専用の「ワックス剥離剤」を使います。少し手間のかかる作業になりますが、やり遂げた後の床を見ると、きっと嬉しい気持ちになるはずです。
準備するもの | ポイント |
---|---|
フローリング用ワックス剥離剤 | ご自宅の床材に合ったものを選びましょう。 |
ゴム手袋、マスク、保護メガネ | 薬剤から身体を保護するために必ず着用します。 |
スポンジやプラスチック製のヘラ | 古いワックスをこすり落とすために使います。 |
雑巾(複数枚) | 薬剤の拭き取りや水拭き、乾拭きに使います。 |
【お掃除の手順】
- 窓を全開にして換気をし、作業スペースにある家具などを移動させます。
- ワックス剥離剤の製品に記載されている使用方法をよく読んで、床に均一に塗ります。
- 説明書に書かれた時間だけ放置し、薬剤が古いワックスに浸透するのを待ちます。
- 時間が経ったら、スポンジやヘラを使って、浮き上がった古いワックスを優しくこすり落とします。
- 剥がしたワックスと薬剤を雑巾で拭き取った後、きれいな水で固く絞った雑巾で何度も水拭きをし、薬剤が床に残らないようにします。
- 最後に乾いた布で水分を完全に拭き取り、床が完全に乾くまで待ちます。
- 床が乾いたら、新しいフローリングワックスをムラなく塗って仕上げます。
ワックスの剥離作業は、時間と体力が必要な大掛かりな作業です。もしご自身で行うのが難しいと感じたら、無理をせず専門の業者さんにお願いするのも良い選択肢ですよ。
3. フローリングの黒ずみ掃除でやってはいけない注意点
気になる黒ずみを目の前にすると、「なんとかして落としたい」という気持ちから、つい強力な洗剤や道具に手が伸びてしまうかもしれませんね。でも、ちょっと待ってください。フローリングは私たちが思うよりも繊細な素材です。良かれと思ってしたお掃除が、かえって大切な床を傷つけてしまうこともあるのですよ。ここでは、そんな失敗をしないための大切な注意点を3つ、ご紹介します。
3.1 メラミンスポンジの使いすぎに注意
水だけで汚れが落ちることで人気のメラミンスポンジは、とても便利なお掃除グッズですよね。しかし、フローリングの黒ずみ落としに使うのは少し注意が必要です。メラミンスポンジは、硬い樹脂を細かく発泡させて作られており、まるで目の細かい研磨剤のように汚れを「削り取って」きれいにしています。
そのため、フローリングに使うと、汚れだけでなく表面を保護しているワックスやコーティングまで一緒に削り取ってしまうのです。ワックスが剥がれると、その部分だけツヤがなくなってしまったり、保護膜がなくなったことでかえって汚れや水分が染み込みやすくなったりする原因にもなりかねません。どうしても使いたい場合は、目立たない場所で試してから、ごく軽い力で優しくこする程度に留めておきましょう。
3.2 塩素系漂白剤や重曹ペーストの使用は避ける
カビの黒ずみにはカビ取り剤、油汚れには重曹、とお掃除の定番として活躍するアイテムたちですが、これらもフローリングへの使用は避けた方が安心です。フローリングの素材によっては、深刻なダメージを与えてしまう可能性があります。
特に注意したいものとその理由を、下の表にまとめてみました。
避けるべきもの | フローリングへの影響 |
---|---|
塩素系漂白剤(キッチンハイター、カビキラーなど) | 強力な漂白作用があるため、フローリングの色が抜けてしまい、まだら模様のように変色してしまう恐れがあります。木材そのものを傷めてしまうこともあります。 |
重曹(特にペースト状での使用) | 重曹はアルカリ性の性質を持っています。フローリングのワックスは酸性に弱いものが多く、アルカリ性の重曹を使うとワックスが剥がれてしまう原因になります。また、粒子が研磨剤の役割を果たし、表面に細かい傷をつけてしまうことも考えられます。 |
フローリング掃除の基本は、あくまでもフローリング用の洗剤か、薄めた中性洗剤を使うことだと覚えておいてくださいね。
3.3 水分を長時間放置しない
洗剤を使ったお掃除でも、水拭きだけの場合でも、フローリングに水分が残ったままになるのは禁物です。フローリングは木材でできているため、水分にとても弱い性質を持っています。
濡れたまま放置してしまうと、フローリングの板と板の隙間から水分が染み込んでしまい、板の反りや膨張、シミの原因になります。また、湿った状態が続くことで、新たなカビが発生する温床にもなりかねません。お掃除の際は、水拭きをしたら必ずセットで乾いたきれいな布で乾拭きをし、しっかりと水分を取り除くことを心がけましょう。これは、普段の生活で水をこぼしてしまった時も同じですよ。すぐに拭き取ることが、きれいな床を長持ちさせる秘訣です。
4. 賃貸のフローリングの黒ずみは退去費用がかかる?
賃貸のお部屋、大切に使っていてもフローリングの黒ずみが気になってしまうこと、ありますよね。「もしかして、退去するときに修理代を請求されてしまうのでは…」と、心配に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えしますと、フローリングの黒ずみで退去費用がかかるかどうかは、その黒ずみの原因が「経年劣化」によるものか、「善管注意義務違反」にあたるかによって決まります。少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、ここでは暮らしの場面を思い浮かべながら、わかりやすくご説明しますね。
この判断の基準については、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも詳しく示されています。
4.1 経年劣化と判断されるケース
「経年劣化」とは、どなたが住んでいても、普通に暮らしていく中で自然にできてしまう汚れや傷のことを指します。時間の経過とともに少しずつ傷んでしまうのは、ある意味仕方のないことですよね。このような経年劣化による黒ずみや傷の修繕費用は、大家さん(貸主)が負担するのが一般的です。そのため、入居者(借主)が退去費用を請求されることは基本的にありません。
具体的には、以下のようなケースが経年劣化と判断されやすいです。
- 家具を置いていた場所のわずかなへこみ
- 日光が当たる場所のフローリングの色あせ(日焼け)
- 日常生活でついてしまう、ごく細かなすり傷
- ワックスが自然に古くなって、色がくすんだり剥がれたりしている状態
これらは、お部屋を丁寧に扱っていても避けられない変化ですので、過度に心配なさらなくても大丈夫ですよ。
4.2 善管注意義務違反と判断されるケース
一方、「善管注意義務違反(ぜんかんちゅういぎむいはん)」と判断されると、退去費用の支払いが必要になることがあります。これは、「借りているお部屋を、自分のものと同じように注意して大切に扱う義務」を怠った、と見なされるケースです。
つまり、入居者ご自身のうっかりや、普段のお手入れ不足が原因でできてしまった黒ずみやシミがこれにあたります。このような場合は、お部屋を元に戻すための「原状回復費用」として、修繕費を請求される可能性が高くなります。
具体的にどのようなケースが当てはまるのか、下の表で確認してみましょう。
経年劣化(大家さん負担) | 善管注意義務違反(入居者負担) | |
---|---|---|
カビ・シミ | 建物の構造的な問題による結露で発生したカビ | 結露を放置したことで発生したカビやシミ |
水濡れ | – | 飲み物や食べ物をこぼした跡を放置してできたシミ・黒ずみ |
観葉植物 | – | 植木鉢からの水漏れを放置してできた床の変色や輪ジミ |
油汚れ | – | キッチン周りの油汚れの掃除を怠り、こびりついた黒ずみ |
その他 | 家具の設置跡や日焼け | ペットがつけた傷や汚れ、おしっこによるシミ |
このように、普段のちょっとした心がけで防げるはずの汚れや傷は、ご自身の責任と判断されやすい、と覚えておくとよいかもしれませんね。
4.3 退去前に大家さんや管理会社に相談しよう
もし、ご自身で掃除を試みても落ちない黒ずみを見つけたら、どうすればよいのでしょうか。そんなときは、退去時までそのままにせず、気づいた時点で一度、大家さんや管理会社に連絡してみることをおすすめします。
早めに相談することには、いくつかの利点があります。
- トラブルの予防: 事前に状況を伝えておくことで、退去時の「言った・言わない」といったトラブルを防ぎやすくなります。
- 適切な対処法の確認: フローリングの種類によっては、自己判断での掃除が悪化の原因になることも。大家さん側で補修方法を指定している場合や、適切な掃除方法を教えてもらえる可能性があります。
- 保険適用の可能性: 例えば、上の階からの水漏れが原因であるなど、ご自身の責任ではない場合もあります。また、ご自身が加入している火災保険(借家人賠償責任保険)が使えるケースもあるかもしれません。
大切なのは、ご自身で判断して修理業者を呼んだり、強力な薬剤で無理に汚れを落とそうとしたりしないことです。まずは正直に状況を報告し、指示を仰ぐのが、円満な解決への一番の近道ですよ。
5. 日頃からできるフローリングの黒ずみ予防対策
一度できてしまった黒ずみを落とすのは、少し骨が折れる作業ですよね。だからこそ、日々の暮らしの中でちょっとした工夫を取り入れて、黒ずみができにくい環境を整えることが大切です。お気に入りの空間を美しく保つための、簡単な予防策をいくつかご紹介しますね。
5.1 こまめな掃除と乾拭きを徹底する
フローリングの黒ずみを防ぐ基本は、なんといっても毎日のこまめな掃除です。黒ずみの原因となるホコリや髪の毛、皮脂汚れ、食べこぼしなどを長時間放置しないことが、きれいな床を保つ一番の近道。普段はフローリングワイパーのドライシートでさっと拭くだけでも十分ですよ。
週に一度くらいは、固く絞った雑巾で水拭きをすると、皮脂汚れなどがすっきりと落ちます。このとき、とても大切なのが水拭きの後に必ず乾いた布で乾拭きをすること。フローリングに水分が残っていると、カビや傷みの原因になってしまいます。ほんのひと手間ですが、この乾拭きがフローリングを長持ちさせる秘訣です。
5.2 湿気がこもらないように定期的に換気する
ジメジメとした湿気は、黒ずみの原因であるカビの大好物。特に梅雨の時期や冬場の結露しやすい季節は注意が必要です。お部屋の空気をこまめに入れ替えて、湿気を外に逃がしてあげましょう。
一日に数回、5分から10分程度で構いませんので、お部屋の窓を2か所以上開けて空気の通り道を作ってあげてください。心地よい風がお部屋を通り抜けるだけで、カビの発生をぐっと抑えられます。雨の日でも、少しだけ窓を開けたり、換気扇やエアコンの除湿機能を上手に使ったりして、湿気がこもらないように工夫してみてくださいね。
5.3 キッチンマットやラグを敷く
汚れやすい場所には、あらかじめマットやラグを敷いておくのも賢い方法です。フローリングを直接汚すのを防ぐだけでなく、お部屋の素敵なアクセントにもなりますよ。特に黒ずみができやすい場所ごとにおすすめの対策をご紹介します。
場所 | 黒ずみの主な原因 | おすすめの対策アイテム |
---|---|---|
キッチン | 油はね、水はね、調味料の液だれ | キッチンマット |
ダイニングテーブルの下 | 食べこぼし、飲みこぼし | ラグやダイニングマット |
窓際 | 結露による水分、雨の吹き込み | 吸水性の高いマットやタオル |
観葉植物の周り | 水やり時の水漏れ、受け皿からの湿気 | プランタートレイや小さなマット |
ただし、マットやラグを敷きっぱなしにすると、かえって湿気がこもってしまうことも。定期的にお洗濯したり、めくって床を乾かしたりすることも忘れないようにしましょう。
5.4 定期的なワックスがけでフローリングを保護
フローリングのワックスは、床の表面に見えない膜を作り、傷や汚れから守ってくれる大切な役割を担っています。ワックスはフローリングにとって、お肌の保湿クリームのようなもの。定期的に塗り重ねることで、美しいツヤを保ち、黒ずみの原因となる汚れが直接木材に染み込むのを防いでくれます。
ワックスがけの頻度は、お住まいの環境にもよりますが、半年に一度から一年に一度が目安です。大掃除のタイミングなど、ご自身の暮らしのサイクルに合わせて計画してみてはいかがでしょうか。
ただし、最近ではワックスが不要なフローリングも増えています。ご自宅のフローリングの種類がわからない場合は、取扱説明書を確認したり、管理会社や大家さんに問い合わせたりしてみましょう。間違ったお手入れはかえって床を傷める原因になりますので、注意してくださいね。
6. どうしても黒ずみが落ちない場合の最終手段
いろいろな方法を試してみても、フローリングの黒ずみがどうしてもきれいにならない…。そんな時は、無理に自分で解決しようとせず、別の方法を考えてみるのも一つの手です。長年蓄積された汚れや、フローリング材そのものの劣化が原因の場合、ご家庭での掃除には限界があることも。ここでは、そんな時のための2つの最終手段をご紹介します。思い切ってプロの力を借りるのも、暮らしを快適にするための素敵な選択肢ですよ。
6.1 プロのハウスクリーニング業者に依頼する
まず検討したいのが、お掃除の専門家であるハウスクリーニング業者に依頼することです。プロは、汚れの種類やフローリングの材質を見極め、それに合った専用の洗剤や機材を使って作業してくれます。専門の知識と道具で、自分では落とせなかった頑固な黒ずみも、驚くほどきれいになる可能性が高いでしょう。時間や手間をかけずに、フローリングの美しさを取り戻したい方におすすめの方法です。
6.1.1 ハウスクリーニングの費用相場
費用は、部屋の広さや汚れの度合い、依頼する作業内容によって変わってきます。一般的なフローリング洗浄とワックスがけの料金の目安を、下の表にまとめてみました。
作業内容 | 広さの目安 | 費用相場 |
---|---|---|
フローリング洗浄・ワックスがけ | 10畳まで | 10,000円~18,000円 |
フローリング洗浄・ワックスがけ | 20畳まで | 18,000円~30,000円 |
ワックス剥離・洗浄・ワックスがけ | 10畳まで | 20,000円~40,000円 |
古いワックスが劣化して黒ずみの原因になっている場合は、一度ワックスを剥がす「剥離(はくり)作業」が必要になるため、料金が少し高くなる傾向にあります。正確な料金を知るためには、業者に見積もりを依頼しましょう。
6.1.2 信頼できる業者の選び方
どの業者に頼めば良いか迷ってしまいますよね。そんな時は、次の3つのポイントを参考に選んでみてください。
- 実績や口コミを確認する:業者のホームページで、過去の作業事例やお客様の声を見てみましょう。実際に利用した人の感想は、とても参考になります。
- 料金体系が明確か:作業内容ごとの料金がはっきりと示されているか、追加料金が発生するケースなども事前に確認できると安心です。
- 見積もり時の対応が丁寧か:できれば複数の業者から見積もりを取って、料金やサービス内容を比較検討することをおすすめします。その際のスタッフの方の対応が親切で、質問にもきちんと答えてくれるかどうかも大切な判断材料になりますね。
6.2 フローリングの部分補修や張り替えを検討する
黒ずみの原因が、汚れの蓄積だけでなく、フローリング表面の塗装が剥がれたり、深い傷がついたりしていることによる劣化の場合、クリーニングだけでは解決が難しいことも。傷や劣化が深刻な場合は、掃除よりも補修や張り替えが根本的な解決につながります。特に持ち家にお住まいで、これからも長く快適に過ごしたいとお考えなら、リフォームとして検討するのも良いでしょう。
6.2.1 部分補修と全面張り替えの費用と特徴
補修や張り替えには、主に「部分補修(リペア)」と「全面張り替え」の2つの方法があります。それぞれの特徴と費用の目安は以下の通りです。
方法 | 特徴 | 費用相場(6畳の場合) |
---|---|---|
部分補修(リペア) | 傷や剥がれなど、問題のある箇所だけをピンポイントで修復する方法。費用を抑えられ、工期も短いのが魅力です。 | 1箇所あたり10,000円~50,000円 |
全面張り替え | 部屋全体のフローリングを新しくする方法。費用は高くなりますが、床材から一新できるため、お部屋の雰囲気もがらりと変わります。 | 80,000円~200,000円 |
※費用はフローリングの材質や施工方法によって大きく変動します。
最近では、DIYで使える補修キットなども市販されていますが、きれいに仕上げるには技術が必要です。慣れていないと、かえって傷を目立たせてしまう可能性も。まずはリフォーム会社や工務店といった専門家に相談し、お部屋の状態に合った最適な方法を提案してもらうのが安心ですね。
7. まとめ
ふと気づくと現れるフローリングの黒ずみ。その正体はカビや皮脂汚れ、古いワックスなど様々です。大切なのは、まず原因をきちんと見極め、それに合ったやさしい方法でお手入れしてあげること。無理にこすると、かえってお住まいを傷つけてしまうこともあります。日頃から少しだけ気にかけてあげることで、黒ずみは防げます。どうしても落ちない頑固な汚れは、プロに相談するのも一つの手。すっきりと美しい床で、これからも心地よい毎日を過ごしませんか。
コメント