エアコンのガス補充(チャージ)の費用は?料金の相場や補充方法

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「最近、エアコンの冷えが悪い気がする…」そんなお悩みはありませんか。もしかしたら、ガスの補充が必要なサインかもしれません。この記事では、ガス補充の費用相場である1.5万円~3万円の内訳や、ガスが減ってしまう本当の理由を分かりやすく解説します。実は、エアコンのガスは自然に減ることはなく、そのほとんどがガス漏れが原因なのです。業者選びのポイントもご紹介しますので、安心して最適な対処法を見つけましょう。

目次

1. エアコンのガス補充にかかる費用の相場は1.5万円から3万円

「なんだか最近、エアコンの効きがいつもより悪いかしら…」と感じたら、もしかするとエアコン内部のガスが少なくなっているサインかもしれませんね。そんなとき、まず気になるのが「ガスを補充するのに、一体いくらかかるの?」ということではないでしょうか。急な出費は誰しも不安になるものです。ここでは、ガス補充にかかる費用の相場について、分かりやすく丁寧にご説明しますね。

エアコンのガス補充(ガスチャージとも呼ばれます)にかかる費用は、おおよそ15,000円から30,000円が一般的な相場とされています。ただし、これはあくまで目安の金額。お使いのエアコンの種類やガスの量、そしてどこに依頼するかによって料金は少しずつ変わってくるんですよ。

1.1 費用相場に幅があるのはなぜ?

「同じガス補充なのに、どうしてそんなに値段が違うの?」と不思議に思いますよね。費用の幅には、主に次のような理由があります。これを知っておくだけでも、業者さんから見積もりをもらったときに、内容を理解しやすくなりますよ。

1.1.1 1. 使われているガスの種類と補充する量

エアコンを冷やすために使われているガスには、実はいくつか種類があります。最近の省エネタイプのエアコンで主流の「R32」というガスや、少し前の機種で多く使われている「R410A」というガスなど、種類によってガスの単価が異なります。また、どれくらいの量が抜けてしまっているか、つまり補充するガスの量によっても料金は変わってきます。

1.1.2 2. エアコンの設置場所や状況

室外機がベランダの床など、作業しやすい場所に置いてあれば基本料金で済むことがほとんどです。しかし、屋根の上や壁の高いところなど、特別な作業が必要な場所に設置されている場合は、高所作業費などの追加料金がかかることがあります。これは、作業員の方が安全に作業するための大切な費用なのですね。

1.2 基本的な費用の内訳

ガス補充を業者さんにお願いしたとき、提示される見積もりには一般的に次のような項目が含まれています。何にいくらかかるのか、内訳をあらかじめ知っておくと安心ですね。

項目内容費用の目安
基本作業料(技術料)ガスを補充する作業そのものにかかる費用です。専門的な知識と技術が必要です。8,000円~15,000円
ガス代補充するガスの種類と量に応じた材料費です。5,000円~10,000円
出張費作業員の方がご自宅まで来てくれるための費用です。業者さんによっては無料の場合もあります。2,000円~5,000円
点検・診断料ガスが減っている原因(ガス漏れの場所など)を特定するための調査費用です。無料~5,000円

※上記の費用はあくまで一般的な目安です。
特に注意したいのは、ガス漏れが見つかった場合です。その際は、ガスを補充する前に漏れている箇所を修理する必要があり、別途修理費用がかかります。必ず作業を始める前に、総額でいくらになるのか見積もりでしっかり確認するようにしましょう。

2. そもそもエアコンのガスはなぜ補充が必要になるの?

夏の暑い日や冬の寒い日にエアコンの効きが悪いと、「もしかしてガスが足りないのかしら?」と心配になりますよね。すぐにガス補充を考えがちですが、その前に少しだけ知っておいていただきたい大切なことがあります。実は、エアコンのガスはとても特別な存在なのです。

この章では、なぜエアコンのガスが減ってしまうのか、その理由をご説明します。

2.1 エアコンのガスは本来減るものではない

驚かれるかもしれませんが、正常に動いているエアコンのガス(冷媒ガス)は、何年使っても減ることはありません。

エアコンのガスは、車のガソリンのように燃えてなくなったり、使って消費されたりするものではないのです。室内機と室外機をつなぐ密閉されたパイプの中を、まるで血液のようにぐるぐると循環し、お部屋の熱を外に運んだり(冷房)、外の熱をお部屋に運んだり(暖房)する、大切な役割を担っています。

そのため、正しく設置され、どこにも問題がなければ、10年、15年と使い続けてもガスを補充する必要は本来ないのですよ。

2.2 ガスが減る主な原因はガス漏れ

では、なぜ「ガスが減る」という状況が起きてしまうのでしょうか。答えはとてもシンプルで、エアコン本体や配管のどこかから、ガスが漏れ出してしまっているからです。

目には見えない小さな穴や隙間から、大切なガスが少しずつ空気中に逃げてしまっている状態。これが、エアコンの効きが悪くなる本当の原因なのです。ガス漏れが起こる主な原因には、次のようなことが考えられます。

2.2.1 取り付け工事の不備

実は、ガス漏れの最も多い原因の一つが、エアコン設置時の工事にあります。特に、室内機と室外機をつなぐ配管の接続部分の処理が不十分だと、そこからガスが漏れやすくなります。

例えば、配管の接続部分の締め付けが弱かったり、逆に強く締めすぎて部品が変形してしまったり。こうした小さなミスが、後々のガス漏れにつながることがあります。比較的新しいエアコンなのに効きが悪いという場合は、この可能性を考えてみてもよいかもしれませんね。

2.2.2 配管の劣化や損傷

長年使っているエアコンの場合、経年劣化も原因となります。室外機の周りに張り巡らされている配管は、雨風や直射日光、日々の細かな振動に常にさらされています。

そのため、時間とともに金属が腐食したり、振動で目に見えないほどの小さな亀裂が入ったりして、そこからガスが漏れてしまうことがあります。また、お庭の手入れ中に誤って配管に物をぶつけてしまったり、ペットが引っかいてしまったりといった、物理的な損傷が原因になることもあります。

2.2.3 室外機の移動によるトラブル

お部屋の模様替えやリフォームの際に、ご自身で少しだけ室外機を動かした、という経験はありませんか?実は、これもガス漏れの意外な原因になることがあります。

良かれと思って少しずらしただけでも、つながっている配管に無理な力がかかり、接続部分が緩んだり、配管そのものが折れ曲がって傷ついたりすることがあるのです。室外機を動かす必要がある場合は、ご自身で判断せず、専門の業者さんにお願いするのが安心ですね。

3. ガス補充の前に確認!本当にエアコンのガス不足が原因?

「なんだかエアコンの効きが悪いわ…」と感じると、すぐに「ガスがなくなったのかしら?」と考えてしまいますよね。でも、ちょっと待ってください。専門の業者さんを呼ぶ前に、ご自身で簡単に確認できることがあるんです。もしかしたら、ガス不足ではなく、もっと簡単な原因かもしれません。無駄な出費を避けるためにも、まずはご一緒にチェックしてみませんか?

3.1 ガス不足で起こる主な症状チェックリスト

お使いのエアコンに、以下のような症状は出ていませんか?いくつか当てはまるものがあれば、ガス不足の可能性が考えられます。

症状チェック
冷房をつけても、ぬるい風しか出てこない☐ はい / ☐ いいえ
暖房をつけても、部屋がなかなか暖まらない☐ はい / ☐ いいえ
室外機から「カラカラ」「ポコポコ」といった聞き慣れない音がする☐ はい / ☐ いいえ
室外機につながっている細い配管に、霜や氷がたくさん付いている☐ はい / ☐ いいえ
リモコンの設定温度にしても、快適な室温にならない☐ はい / ☐ いいえ
運転を始めて10分以上経っても、室外機のファンが回らない、またはすぐに止まってしまう☐ はい / ☐ いいえ

これらの症状は、エアコン内部のガスが減っているサインかもしれません。特に、室外機の配管に霜が付いている場合は、ガス漏れの可能性が非常に高いと考えられます。

3.2 ガス漏れの簡単な確認方法

チェックリストで気になった方は、もう少し詳しくガス漏れのサインを確認してみましょう。ご自身で安全に確認できる範囲で、室外機の様子を見てみてくださいね。

3.2.1 室外機の配管に霜が付いていないか見る

冷房運転を15分ほど続けた後、室外機につながっている2本の配管のうち、細い方を確認してみてください。この細い配管にびっしりと霜や氷が付いている場合、ガスが漏れている可能性があります。ガスが不足すると配管の温度が異常に下がり、空気中の水分が凍りついてしまうのです。

3.2.2 配管の接続部分が油で汚れていないか見る

エアコンのガスには、機械の動きを滑らかにするためのオイルが少量含まれています。そのため、ガスが漏れると、そのオイルも一緒に滲み出てくることがあります。室外機と配管をつなぐ接続部分をそっと見て、油で濡れていたり、シミになっていたりしないか確認してみましょう。ホコリが付着して黒っぽく汚れている場合も、オイル漏れのサインかもしれません。

※室外機が高所や足場の悪い場所に設置されている場合は、無理に確認せず、専門の業者さんに見てもらうようにしてくださいね。

3.3 ガス不足以外のエアコン不調の原因

「チェックリストには当てはまらないけれど、やっぱり調子が悪い…」という場合、原因は他にあるかもしれません。ガス補充を依頼する前に、以下の点も確認してみましょう。意外と簡単なことで、不調が改善されることもありますよ。

考えられる原因症状と対処法
フィルターのホコリ詰まり症状:風が弱い、効きが悪い、カビ臭いにおいがする。
対処法:エアコンのフィルターをお掃除してみましょう。2週間に一度が目安です。ホコリを取り除くだけで、驚くほど効きが良くなることがあります。
室外機の周りの環境症状:効きが悪い、室外機から大きな音がする、途中で止まる。
対処法:室外機の吹き出し口の前に植木鉢や物を置いていませんか?周りの雑草なども取り除き、風通しを良くしてあげましょう。
リモコンの設定ミスや電池切れ症状:エアコンが動かない、冷えない(暖まらない)。
対処法:運転モードが「送風」や「除湿」になっていないか確認しましょう。意外と見落としがちなポイントです。リモコンの電池が切れている可能性もあります。
ドレンホースの詰まり症状:室内機からポタポタと水が漏れてくる。
対処法:室外にある排水ホース(ドレンホース)の先が、ゴミや泥で詰まっていないか確認しましょう。詰まりを取り除くと水漏れが直ることがあります。

これらの基本的なお手入れを試しても調子が戻らない場合は、いよいよ専門の業者さんへの相談を考えてみましょう。ご自身で原因を切り分けておくことで、業者さんへの説明もスムーズになり、的確な対応をしてもらいやすくなりますよ。

4. 【依頼先別】エアコンのガス補充にかかる費用と料金の内訳

さて、エアコンのガス補充をお願いするとなると、一体どこに頼めば良いのかしら?と迷いますよね。実は、依頼先によって費用やサービスの内容が少しずつ違うんですよ。ここでは、主な依頼先ごとの特徴と費用の目安を、わかりやすくご紹介しますね。ご自身の状況に合った依頼先を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。

4.1 ガス補充の費用内訳を解説

まず、ガス補充の「料金」がどのような項目で成り立っているのか見てみましょう。内訳を知っておくと、業者さんから見積もりをいただいたときにも、内容をしっかり理解できて安心ですよ。一般的に、費用は下の表のような項目で構成されています。

項目内容費用の目安
出張費技術者の方がご自宅まで来てくれるための費用です。3,000円~5,000円
基本作業料・技術料ガス漏れ箇所の特定や、補充作業そのものに対する専門的な技術料です。5,000円~15,000円
冷媒ガス(フロンガス)代補充するガスの種類と量に応じた費用です。ガスの種類(R32、R410Aなど)によって単価が異なります。8,000円~15,000円
その他(部品代など)ガス漏れの原因が配管の亀裂などで、部品交換が必要になった場合にかかる費用です。実費

合計の費用相場は、おおよそ15,000円から30,000円ほどになりますが、ガス漏れの修理も同時に行う場合は、さらに高くなることもあります。また、エアコンに使われているガスの種類によっても料金は変わってきます。最近のエアコンは「R32」というガスが主流ですが、少し前の機種だと「R410A」というガスが使われているなど、種類はさまざま。見積もりの際には、どの費用が含まれているのかをきちんと確認することが大切ですね。

4.2 家電量販店(ヤマダ電機・ケーズデンキなど)の費用

エアコンを購入した、おなじみの家電量販店にお願いするのも一つの手です。いつも利用しているお店だと、なんだか安心感がありますよね。ポイントが使えたり、貯まったりするのも嬉しい点かもしれません。

ただし、実際に作業に来てくれるのは、家電量販店が提携している下請けの業者さんであることがほとんどです。そのため、仲介手数料などが含まれるぶん、費用は少し割高になる傾向があります。

費用は20,000円から40,000円ほどが目安ですが、お店やエアコンの状況によって大きく変わります。まずは購入した店舗の窓口や、ウェブサイトから問い合わせてみるのがおすすめです。

4.3 エアコンメーカー(ダイキン・パナソニックなど)の費用

お使いのエアコンのメーカーに直接お願いする方法もあります。いわば「生みの親」にお任せするようなものなので、これ以上ない安心感がありますね。自社製品に関する知識が豊富で、原因の特定から修理まで、的確に対応してくれることが期待できます。

そのぶん、費用は他の依頼先に比べて最も高くなる傾向にあります。メーカーのブランドという信頼感や、純正部品を使った確実な修理を望む方にとっては、心強い選択肢と言えるでしょう。

費用の目安は30,000円から50,000円ほどを見ておくと良いかもしれません。メーカーによってはウェブサイトで修理料金の概算を調べることもできますので、一度確認してみるのも良いですね。

4.4 エアコン修理専門業者の費用

街の電気屋さんや、インターネットで見つけられるエアコン修理の専門業者に頼む方法もあります。地域に根差した業者さんなら、親身に相談に乗ってくれるかもしれません。専門業者の一番の魅力は、費用を比較的安く抑えられることでしょう。

家電量販店やメーカーを通さないため、中間マージンが発生せず、料金が良心的な場合が多いのです。また、スケジュールが合えば、スピーディーに対応してくれることも期待できます。

費用相場は15,000円から30,000円ほどと、他に比べてお手頃です。ただし、業者さんによって技術力や対応に差があるのも事実。安心して任せられる、信頼できる業者さんをしっかり見極めることが何よりも大切になります。

5. エアコンのガス補充を業者に依頼する流れ

「業者さんにエアコンの修理を頼むのって、なんだか手続きが難しそう…」なんて、少し不安に感じていませんか?でも、ご安心ください。エアコンのガス補充を依頼する流れは、実はとってもシンプルなんですよ。ここでは、問い合わせから作業完了までのステップを、一つひとつ丁寧に解説していきますね。この流れを知っておけば、初めての方でも落ち着いて依頼できますよ。

5.1 問い合わせと見積もり依頼

まずは、気になる業者さんへ連絡をしてみましょう。最近では、電話だけでなく、スマートフォンのウェブサイトにある問い合わせフォームからでも気軽に連絡できるところが増えています。その際に、エアコンのメーカー名、型番(室内機の下側や側面にシールが貼ってあります)、いつ頃からどんな症状が出ているのかを伝えると、その後のやり取りがとてもスムーズに進みます。

症状を伝えたら、まずは修理にかかる費用の見積もりを出してもらいましょう。この時点では、まだ概算の金額になることが多いですが、料金の目安を知ることで、安心して次のステップに進めますね。

5.2 訪問日時の決定

見積もりの内容や電話での対応に納得できたら、次は実際に業者さんに来てもらう日時を決めます。ご自身の都合の良い日と、業者さんの空いている時間をすり合わせて、訪問日を決定しましょう。

特に、夏場の暑い時期や週末は予約が混み合うことがあります。エアコンの不調に気づいたら、なるべく早めに連絡をして、希望の日時を予約するのがおすすめです。これで、ひとまず安心ですね。

5.3 当日の作業内容(真空引きとガスチャージ)

いよいよ作業当日です。専門のスタッフの方がご自宅に来て、エアコンの状態を詳しく調べてくれます。作業時間は、ガス漏れの状況などにもよりますが、おおよそ1時間から2時間程度が目安です。当日はどのような作業が行われるのか、大まかな流れを見ていきましょう。

工程作業内容目的・ポイント
1. ガス漏れ箇所の特定・修理専用の機械や薬剤を使って、どこからガスが漏れているのかを突き止め、その部分を修理します。ガス漏れの原因を直さないと、補充してもまたすぐにガスが抜けてしまいます。根本的な原因を解決するための大切な作業です。
2. 真空引き(しんくうびき)「真空ポンプ」という専用の機械を使って、エアコンの配管の中にある空気や水分をすべて抜き取り、真空の状態にします。配管内に空気や水分が残っていると、エアコンの効きが悪くなったり、故障の原因になったりします。性能を最大限に引き出すための重要な下準備です。
3. ガスチャージ(冷媒充填)エアコンの機種ごとに決められた、適切な量のガスを正確に計りながら補充していきます。ガスは多すぎても少なすぎてもいけません。規定量を守って補充することで、エアコン本来の性能が発揮されます。

「真空引き」など、少し聞き慣れない言葉も出てきますが、これらはすべて、お使いのエアコンがまた元気に動いてくれるようにするための大切な作業。安心してプロの技術にお任せしましょう。

5.4 支払い

すべての作業が無事に終わり、エアコンが涼しい風を出してくれることを確認したら、最後にお支払いです。最近では、現金だけでなく、クレジットカード払いに対応している業者さんも多いので、事前に確認しておくと良いでしょう。

支払いの前には、見積もり通りの金額かどうか、作業報告書の内容と実際に行われた作業に相違がないかを、ご自身の目でしっかりと確認することが大切です。疑問に思う点があれば、その場で遠慮なく質問してくださいね。領収書は必ず受け取り、しばらくの間は大切に保管しておきましょう。作業後の保証についても確認しておくと、万が一の時も安心です。

6. 注意!エアコンのガス補充を自分でやるのは危険で違法?

最近はインターネットや動画サイトで、ご自身でエアコンのガスを補充する方法を紹介しているのを見かけることもありますね。「もしかしたら自分でできるのかしら?」と、費用を抑えるために挑戦してみたくなるお気持ち、よくわかります。ですが、ちょっと待ってください。実は、専門知識のない方がエアコンのガス補充を行うのは、思わぬ事故や法律違反につながる可能性があり、とても危険なのです。ここでは、その理由を一つひとつ、丁寧にご説明しますね。

6.1 DIYのリスクと危険性

エアコンのガス補充は、ただガスを注入するだけの簡単な作業ではありません。ガスの種類や量を間違えたり、作業手順を誤ったりすると、重大な事故につながる恐れがあります。具体的にどのような危険があるのか、見ていきましょう。

危険性の種類具体的な内容
爆発・火災最近のエアコンで使われているガス(R32など)は、可燃性(燃えやすい性質)を持っています。作業中に静電気や火花が起きると、ガスに引火して爆発や火災を引き起こす危険があります。
凍傷・失明エアコンのガスは、低温の液体です。万が一、作業中にガスが直接肌に触れると、重度の凍傷を負うことがあります。特に、目に入ってしまうと失明に至る危険性もあり、大変恐ろしい事故につながりかねません。
エアコンの故障ガスの種類や量を間違えたり、作業中に空気が配管に混入したりすると、エアコンの心臓部である「コンプレッサー」が故障する原因になります。節約するつもりが、かえって高額な修理費用や本体の買い替えが必要になることも少なくありません。
専用工具が必要ガス補充には、真空ポンプやマニホールド、トルクレンチといった、一般のご家庭にはない専門的な工具が必要です。これらを一式揃えるだけでも、業者に依頼する費用より高くなってしまうことがあります。

このように、ご自身での作業は多くのリスクを伴います。大切なご自宅やご自身の安全を守るためにも、DIYでのガス補充は避けるのが賢明です。

6.2 フロン排出抑制法による規制

危険性だけでなく、法律の観点からも注意が必要です。エアコンの冷媒ガスとして使われている「フロン類」は、地球温暖化に大きな影響を与えるため、その取り扱いが「フロン排出抑制法」という法律で厳しく定められています。

この法律により、業務としてエアコンのフロンガスを充塡(補充)したり回収したりするには、専門の資格を持つ「第一種フロン類充塡回収業者」でなければならないと決められています。

個人の方がご自身のエアコンにガスを補充する行為自体を直接罰する条文はありませんが、もし作業に失敗してフロンガスを大気中に漏らしてしまうと、法律違反になる可能性があります。フロンガスをみだりに放出すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることも定められているのです。知らず知らずのうちに法律に触れてしまう恐れがあることを、ぜひ覚えておいてくださいね。

安全面、そして環境や法律の面から考えても、エアコンのガス補充は必ず専門の資格を持ったプロの業者に任せるようにしましょう。それが、結果的に最も安心で確実な方法といえます。

(参考:環境省 フロン排出抑制法

7. 失敗しないエアコンガス補充業者の選び方

エアコンのガス補充は、どこに頼んでも同じというわけではありません。せっかく依頼するなら、信頼できる業者さんにお願いしたいものですよね。ここでは、安心して任せられる業者さんを見つけるための、大切な3つのポイントをご紹介します。ちょっとしたひと手間で、思わぬ出費やトラブルを防ぐことにつながりますよ。

7.1 複数の業者から相見積もりを取る

まずはじめに、いくつかの業者さんから見積もりをもらう「相見積もり」を試してみましょう。1社だけだと、提示された料金が高いのか安いのか、なかなかわからないものです。最低でも2社か3社に問い合わせてみることで、おおよその料金の相場が見えてきますし、それぞれの業者さんの対応の仕方も比べることができます。

電話やインターネットで簡単に見積もりを依頼できるところも多いので、気軽に試してみてくださいね。見積もりをもらったら、ただ金額を比べるだけでなく、下の表のような細かい内訳までしっかり確認することが、納得のいく業者さん選びのコツですよ。

確認項目チェックする内容
料金の内訳基本作業料、出張費、ガス代、技術料など、何にいくらかかるのかが明確に書かれているか。
作業内容ただガスを補充するだけでなく、ガス漏れの原因調査や修理も含まれているか。
保証の有無作業後に同じような不具合が起きた場合、無料で再対応してくれるなどの保証があるか。
追加料金の可能性見積もり金額以外に、当日追加で費用が発生する可能性はあるか。ある場合はどんな時か。

7.2 資格(第一種フロン類充塡回収業者)の有無を確認する

エアコンに使われているガス(フロンガス)は、専門的な知識がないと正しく扱うことができません。そのため、法律によって、資格を持った人でなければガスの補充や回収をしてはいけないと定められています。

その大切な資格が「第一種フロン類充塡回収業者」です。この資格は、都道府県に登録している証明でもあります。資格を持たない業者さんに依頼してしまうと、不適切な作業でエアコンがすぐにまた壊れてしまったり、ガスが環境中に漏れ出してしまったりする恐れも。業者さんのホームページを見たり、電話で問い合わせたりして、この資格を持っているかどうかを必ず確かめておくと、とても安心ですよ。

7.3 追加料金の有無を事前に確認する

見積もりをもらって「この金額なら」と安心していたのに、作業が終わった後で「追加で〇〇円かかります」と言われてしまったら、驚いてしまいますよね。そんな残念な思いをしないために、見積もり以外の追加料金が発生する可能性がないか、事前にしっかりと確認しておきましょう

例えば、室外機が高い場所にあって特別な作業が必要な場合や、駐車スペースがなく有料駐車場を使わなければならない場合などに追加料金がかかることがあります。「追加料金は一切いただきません」と明言している業者さんや、「このような場合には、追加で料金がかかることがあります」と事前に丁寧に説明してくれる業者さんを選ぶのがおすすめです。見積もりを依頼する際に、ひと言添えて聞いておくと良いでしょう。

8. エアコンのガス補充費用を安く抑えるコツ

急な出費となるエアコンのガス補充。少しでも費用を抑えたいと思うのは自然なことですよね。ここでは、ただ安い業者を探すだけでなく、少し視点を変えた賢い節約のヒントを2つご紹介します。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を見つけてみてくださいね。

8.1 ガス補充より修理や買い替えがお得なケースも

「ガスが漏れているなら、補充すれば大丈夫」と考えてしまいがちですが、少し待ってください。お使いのエアコンがどのくらい前のものか、思い出せますか?もし10年以上使っている古いエアコンなら、ガス補充よりも、修理や新しいものへの買い替えの方が長期的にはお得になることがあるんです。

なぜなら、古いエアコンは他の部品も劣化している可能性が高く、ガスを補充してもすぐに別の場所が壊れてしまう心配があるからです。また、最近のエアコンは省エネ性能が格段に向上しているため、毎月の電気代が安くなるという嬉しいおまけも。修理や買い替えの判断に迷ったときは、以下の表を参考にしてみてくださいね。

判断のポイントガス補充がおすすめのケース修理・買い替えを検討したいケース
エアコンの使用年数購入から10年未満購入から10年以上経過している(メーカーの部品保有期間が過ぎている可能性も)
故障の頻度今回が初めての不調これまでにも何度か修理を繰り返している
修理費用ガス補充の費用のみで済みそうガス漏れ箇所の修理などで、合計費用が5万円を超えるなど高額になる
省エネ性能比較的新しいモデルで、電気代に不満はない古いモデルで、最近電気代が気になっている

特に、エアコンの心臓部であるコンプレッサーなどが故障している場合、修理費用は非常に高額になります。業者さんに見積もりを出してもらった際に、ガス補充以外の修理も必要で費用がかさむようなら、新しいエアコンの購入を視野に入れてみるのが賢い選択かもしれません。

8.2 火災保険が適用される場合がある

「エアコンのガス漏れに、火災保険?」と驚かれるかもしれませんね。実は、火災保険に付帯している「破損・汚損損害」の補償が使えるケースがあるのです。これは、火災だけでなく、日常生活でのうっかりした事故による損害をカバーしてくれるものなんです。

8.2.1 保険が適用される可能性のあるケース

ポイントは、ガス漏れの原因が「不測かつ突発的な事故」であることです。例えば、こんなケースが考えられます。

  • 模様替えの際に、家具をぶつけて室外機の配管を傷つけてしまった
  • 子どもが遊んでいて、おもちゃを室外機にぶつけてしまい、破損した
  • ベランダの掃除中に、誤って物を落として配管をへこませてしまった

一方で、経年劣化による自然な故障や、取り付け工事の不備が原因の場合は対象外’mark>となることがほとんどですので、ご注意くださいね。

8.2.2 保険を申請するときの流れ

もし「うちも当てはまるかも」と思ったら、まずは慌てずにご加入の保険会社に連絡してみましょう。一般的な流れは以下の通りです。

  1. 保険証券の確認
    ご自身の火災保険に「破損・汚損損害」の補償が付いているか確認します。
  2. 保険会社へ連絡
    修理を依頼する前に、必ず保険会社に連絡し、保険が適用されるか、どのような書類が必要かを確認しましょう。
  3. 業者へ修理を依頼
    保険会社への提出用に、修理箇所の写真や、詳しい状況を記載した見積書・報告書を作成してもらうよう業者にお願いします。
  4. 保険金の請求
    保険会社から送られてくる書類に必要事項を記入し、業者から受け取った書類と一緒に提出します。

ただし、保険には自己負担額(免責金額)が設定されていることが多く、修理費用がその金額を下回る場合は保険金が支払われません。また、保険を使うと翌年からの保険料が上がってしまう可能性もあります。まずは保険会社の担当の方とよく相談して、利用するかどうかを慎重に決めることをおすすめします。

9. まとめ

エアコンの冷えが悪いと感じる時、もしかしたらガスが減っているサインかもしれませんね。ガス補充の費用は1.5万円から3万円ほどが目安ですが、その原因の多くはガス漏れにあります。ご自身での作業は危険を伴いますから、信頼できる専門の業者さんにお願いするのが一番の安心材料です。いくつかの業者さんからお話を聞いて、納得のいく選択をなさってくださいね。この記事が、夏の涼やかで快適な毎日を取り戻すための一助となれば、何よりもうれしく思います。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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