厳しい寒さが続く1月は、温かい料理が恋しくなる季節ですね。この時期の食材は、寒さに耐えることで甘みや旨みがぐっと増し、栄養をたっぷりと蓄えているのが特徴です。この記事では、1月に旬を迎える野菜・魚・果物をはじめ、美味しい食材の選び方から栄養、日々の献立に役立つ簡単レシピまでをまとめてご紹介します。旬の恵みを食卓に取り入れて、心も体も温まる豊かな冬を過ごしませんか。
1. 1月の旬の食材の特徴 寒さで旨味と栄養が凝縮
厳しい寒さが続く1月。外に出るのが少し億劫になる季節ですが、この時期ならではの素晴らしい恵みがあります。それが、寒さの中でじっくりと育った「旬の食材」です。冬の食材は、なぜこんなにも味わい深く、私たちの心と体を満たしてくれるのでしょうか。その秘密は、厳しい自然環境を生き抜くための、食材自身の力に隠されています。
旬の食材は、一年で最も美味しく、栄養価が高まる時期に収穫されたもの。旬のものをいただくことは、季節の移ろいを感じられるだけでなく、私たちの体にとっても非常に理にかなった食生活なのですよ。
1.1 寒さが引き出す「旨味」と「甘み」の秘密
冬野菜の代表格である大根や白菜、ほうれん草などが、他の季節に比べてぐっと甘みを増すのには、はっきりとした理由があります。それは、野菜たちが寒さで凍ってしまわないように、自らの力で身を守ろうとする働きによるものです。
気温が下がると、野菜は細胞の中の水分が凍るのを防ぐため、蓄えていたデンプンを「糖」に変えます。細胞内の糖分濃度を高めることで、水分が凍りにくくなるため、結果として野菜に豊かな甘みが生まれるのです。これは、厳しい冬を乗り越えるための、野菜たちの小さな知恵といえるかもしれませんね。
一方、魚介類に目を向けてみましょう。冬の海で獲れる「寒ぶり」や「真鱈」などが美味しいのも、やはり寒さが関係しています。水温がぐっと下がる冬の海で生きる魚たちは、越冬や産卵に備えて体に脂肪をたっぷりと蓄えます。この脂が、とろけるような旨みと深いコクを生み出すのです。また、冷たい海水は魚の身をきゅっと引き締め、しっかりとした歯ごたえも楽しませてくれます。
1.2 旬の食材に詰まった「栄養」の力
旬の食材が優れているのは、美味しさだけではありません。最も生育に適した環境で育つため、栄養価も最高潮に達します。冬の旬の食材は、この時期に私たちの体が必要とする栄養素を豊富に含んでいます。
例えば、冬野菜に多く含まれるビタミン類は、空気が乾燥し、風邪を引きやすい季節の強い味方です。体を温める効果が期待できる根菜類や、免疫力をサポートする緑黄色野菜を食卓に取り入れることで、健やかな毎日を過ごす手助けになります。
また、脂がのった冬の魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった良質な脂質が豊富です。これらは健康維持に欠かせない栄養素として知られています。冬の果物に含まれるビタミンCは、お肌の調子を整えたり、体を守る力を高めたりする働きが期待できます。
旬の恵みをいただくことは、季節の楽しみであると同時に、私たちの体を内側から整えてくれる、昔ながらの暮らしの知恵なのですね。農林水産省も、旬の食材は栄養価が高く、味が良いことを伝えています。(参考:aff(あふ)2019年8月号 特集1 食材まるかじり(1))
1月に旬を迎える食材が持つ主な栄養素と働きを、下の表にまとめてみました。お買い物の際の参考にしてみてくださいね。
食材の分類 | 代表的な栄養素 | 期待できる主な働き |
---|---|---|
冬野菜 (大根、白菜、ねぎなど) | ビタミンC、ビタミンA(β-カロテン)、食物繊維、アリシン(ねぎ) | 風邪予防、免疫力の維持、お肌の健康維持、腸内環境を整える、体を温める |
冬の魚介類 (ぶり、たら、牡蠣など) | DHA、EPA、たんぱく質、ビタミンD、タウリン、亜鉛 | 生活習慣病の予防、脳の活性化、骨の健康維持、疲労回復 |
冬の果物 (いちご、みかん、きんかんなど) | ビタミンC、カリウム、葉酸、ヘスペリジン(柑橘類) | 美肌効果、風邪予防、高血圧予防、むくみ改善、血行促進 |
2. 1月に旬を迎える冬野菜
1月の厳しい寒さは、野菜たちにとって甘みと栄養をぎゅっと蓄えるための大切な時間。冷たい空気に触れることで、野菜は凍ってしまわないように細胞内の糖分を増やします。これが、冬野菜が持つ深い甘みと、濃厚な味わいの秘密なのですよ。この時期ならではの美味しさを、ぜひ食卓で楽しんでみてくださいね。
2.1 大根

冬の食卓に欠かせない大根は、1月に最もみずみずしく、甘みが増して美味しくなる代表的な野菜です。煮物やおでん、お漬物など、どんなお料理にもすっと馴染んでくれる、頼もしい存在ですね。
2.1.1 美味しい大根の選び方
新鮮で美味しい大根を選ぶには、いくつかのポイントがあります。お店で手に取るときに、ぜひ確かめてみてください。
- 全体的に白く、ハリとツヤがあるもの
- ずっしりと重みを感じるもの
- ひげ根が少なく、表面がなめらかなもの
- 葉付きの場合は、葉が生き生きとした緑色のもの
2.1.2 大根の栄養とおすすめの食べ方
大根には、でんぷんの消化を助ける酵素「アミラーゼ(ジアスターゼ)」が含まれており、胃腸の働きを優しくサポートしてくれます。また、辛味成分である「イソチオシアネート」には、体の調子を整える働きも期待できますよ。
大根は部位によって味わいが違うので、お料理に合わせて使い分けるのがおすすめです。
- 葉に近い上の部分:甘みが強く、硬さがあるのでサラダや大根おろしに。
- 真ん中の部分:最も甘くて柔らかいので、ふろふき大根やおでんなどの煮物にぴったり。
- 先端に近い下の部分:辛みが強いので、お漬物や炒め物、お味噌汁の具などにすると美味しくいただけます。
葉の部分も、ビタミンやミネラルが豊富なので、捨てずにじゃこと一緒に炒めたり、細かく刻んでご飯に混ぜ込んだりして、余すところなく味わいましょう。
2.2 白菜

お鍋の季節に大活躍する白菜も、1月が旬の真っただ中。霜にあたることで甘みが増し、葉も柔らかくなります。ずっしりと重い白菜を見つけたら、それは水分と美味しさが詰まっている証拠です。
2.2.1 美味しい白菜の選び方
美味しい白菜は、見た目と重さで判断できます。カットされたものと、丸ごと一個の場合で見るべきポイントが少し違いますよ。
- 丸ごとの場合:巻きがしっかりとしていて、持った時にずっしりと重いもの。頭の部分を軽く押してみて、弾力があるものが新鮮です。
- カットされている場合:切り口が白く、みずみずしいもの。葉が隙間なく詰まっているものを選びましょう。
2.2.2 白菜の栄養とおすすめの食べ方
白菜には、風邪の予防にも役立つビタミンCや、体の余分な塩分を排出してくれるカリウムが含まれています。水分が豊富でカロリーも控えめなので、たくさん食べても安心なのが嬉しいですね。
加熱するとカサが減ってたっぷり食べられるので、お鍋はもちろん、豚肉との重ね蒸しやクリーム煮、スープなどがおすすめです。外側の葉は炒め物に、内側の柔らかい葉はサラダや和え物にしても、シャキシャキとした食感を楽しめます。
2.3 ほうれん草

緑黄色野菜の代表格であるほうれん草は、冬の寒さにあたることで「寒締め(かんじめ)」という状態になり、甘みと栄養価が高まります。特にこの時期のほうれん草は、えぐみが少なく、味が濃いのが特徴です。
2.3.1 美味しいほうれん草の選び方
元気で美味しいほうれん草は、葉と根元を見れば一目瞭然です。
- 葉の色が濃い緑色で、葉先までピンとハリがあるもの
- 根元の赤みが鮮やかで、茎がしっかりしているもの
- 葉が肉厚で、根本がふっくらしているもの
2.3.2 ほうれん草の栄養とおすすめの食べ方
ほうれん草は、鉄分やβ-カロテン、ビタミン類がとても豊富。「総合栄養野菜」とも呼ばれるほど、私たちの体を元気にしてくれる栄養素がたくさん詰まっています。特にβ-カロテンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるので、バターやオリーブオイルを使ったソテーは理にかなった調理法です。
定番のおひたしや胡麻和えのほか、卵とじやグラタン、ポタージュスープにしても美味しくいただけます。アク(シュウ酸)が気になる方は、さっと下茹でしてから調理すると、より食べやすくなりますよ。
2.4 ねぎ(長ねぎ)

体を芯から温めてくれるねぎも、冬が一番美味しい季節。特に「下仁田ねぎ」や「深谷ねぎ」といったブランドねぎは、この時期にとろりとした甘みと風味が増し、格別の味わいになります。
2.4.1 美味しいねぎの選び方
美味しいねぎは、白と緑のコントラストと、巻きの強さで選びましょう。
- 白い部分と緑の葉の部分の境目がはっきりしているもの
- 白い部分が長く、巻きがしっかりしていて弾力があるもの
- 表面にツヤがあり、乾燥していないもの
2.4.2 ねぎの栄養とおすすめの食べ方
ねぎ特有のツンとした香りのもとである「アリシン」は、血行を良くして体を温める働きがあると言われています。寒い冬にはぴったりの食材ですね。また、白い部分にはビタミンC、緑の葉の部分にはβ-カロテンやカルシウムが豊富に含まれています。
加熱すると辛みが甘みに変わり、とろりとした食感になるのが冬ねぎの魅力。シンプルに焼いてお醤油をかける「焼きねぎ」は、素材の味を存分に楽しめます。もちろん、お鍋やすき焼き、お味噌汁の具としても大活躍。薬味としてだけでなく、主役として味わってみてください。
2.5 春菊
独特の香りが食欲をそそる春菊。春の菊と書きますが、旬は冬の寒い時期です。お鍋やすき焼きに入れると、その風味が全体をぐっと引き立ててくれますね。
2.5.1 美味しい春菊の選び方
香りが命の春菊は、葉の様子をよく見て選びましょう。
- 葉の緑色が濃く、葉先までみずみずしいもの
- 茎が太すぎず、下の方から葉が密集して生えているもの
- 特有の香りがしっかりと感じられるもの
2.5.2 春菊の栄養とおすすめの食べ方
春菊は「食べる風邪薬」とも言われるほど栄養価が高く、特にβ-カロテンの含有量は野菜の中でもトップクラスです。その他にも、骨の健康に欠かせないビタミンKやカルシウムも豊富に含まれています。
お鍋のイメージが強い春菊ですが、実は生でサラダにしても美味しいのですよ。柔らかい葉先を摘んで、ごま油と塩で和えるだけでも素敵な一品になります。さっと茹でて白和えにしたり、天ぷらにして香りを楽しんだりするのもおすすめです。
2.6 かぶ
真っ白でコロンとした形が愛らしいかぶ。冬のかぶは、きめが細かく、ほんのりとした甘みが特徴です。根の部分だけでなく、葉も美味しくいただける、無駄のない野菜です。
2.6.1 美味しいかぶの選び方
みずみずしいかぶは、肌の美しさと葉の元気さで選びます。
- 根の部分が真っ白で、ツヤとハリがあるもの
- ひび割れや傷がなく、きれいな丸い形をしているもの
- 葉付きの場合は、葉が鮮やかな緑色でシャキッとしているもの
2.6.2 かぶの栄養とおすすめの食べ方
かぶの根には、大根と同じく消化を助ける酵素「アミラーゼ」やビタミンCが含まれています。そして、葉の部分にはβ-カロテンやビタミンC、鉄分、カルシウムが根よりも豊富に含まれているので、ぜひ葉も一緒に調理してくださいね。
根は、ポトフやシチューなどの煮込み料理にすると、とろけるような柔らかさと甘さを楽しめます。薄切りにして塩もみし、浅漬けにするのも簡単で美味しい食べ方です。葉は、細かく刻んで炒め物やふりかけ、お味噌汁の具にするのがおすすめです。
旬の野菜の栄養についてさらに詳しく知りたい方は、農林水産省のウェブサイトも参考になりますよ。
農林水産省「旬の食材を使ったレシピ」
2.7 その他の1月が旬の野菜一覧
これまでご紹介した野菜のほかにも、1月には美味しい旬の野菜がたくさんあります。毎日の食卓に、彩り豊かな冬野菜を取り入れてみませんか。
野菜 | 特徴とおすすめの食べ方 |
---|---|
水菜 | シャキシャキとした食感が魅力。サラダはもちろん、お鍋に入れても美味しいです。 |
小松菜 | アクが少なく、下茹で不要で手軽に使えます。おひたしや炒め物、スムージーにも。 |
ブロッコリー | ビタミンCが豊富。茹でてサラダやシチューに。茎も甘くて美味しいので捨てずに使いましょう。 |
カリフラワー | ほのかな甘みとホクホクした食感。茹でてサラダやピクルス、ポタージュに。 |
ごぼう | 食物繊維が豊富で、独特の風味が魅力。きんぴらごぼうや煮物、炊き込みご飯に。 |
れんこん | シャキシャキ、ホクホクと調理法で食感が変わります。煮物や天ぷら、すりおろしてれんこん餅に。 |
3. 1月に旬を迎える魚介類
厳しい寒さの1月は、魚たちが身を守るためにたっぷりと脂を蓄える季節。そのため、この時期の魚介類は脂がのって、こっくりと濃厚な味わいを楽しめるのが魅力です。身もきゅっと締まり、旨味が凝縮されています。冬の食卓を豊かに彩る、旬の魚介類を味わってみませんか?
3.1 ぶり

冬の魚の代表格といえば、やはり「ぶり」。成長するにつれて名前が変わる出世魚としても知られ、縁起の良い魚としてお祝いの席でも親しまれてきました。特に冬にとれる「寒ぶり」は、丸々と太って脂がのり、とろけるような美味しさが格別です。
3.1.1 新鮮なぶりの見分け方
美味しいぶりを選ぶには、切り身の色とハリに注目しましょう。パックで売られている切り身の場合は、血合いの色が黒ずんでおらず、鮮やかな赤い色をしているものを選んでくださいね。身の部分は、透明感があってピンク色がかっており、ハリとツヤがあるものが新鮮な証拠です。パックの底にドリップと呼ばれる赤い水分が出ていないかも、大切なチェックポイントですよ。
3.1.2 ぶりの栄養とおすすめの調理法
ぶりには、血液をサラサラにする効果が期待されるEPA(エイコサペンタエン酸)や、脳の働きを助けるDHA(ドコサヘキサエン酸)といった良質な脂質が豊富に含まれています。また、骨の健康に欠かせないビタミンDもたっぷり。こっくりとした味わいの「ぶりの照り焼き」や、旬の大根と合わせた「ぶり大根」は冬の定番料理ですね。シンプルに塩焼きにして、大根おろしを添えてさっぱりといただくのもおすすめです。
3.2 たら(真鱈)

「鱈」という漢字が魚へんに雪と書くように、まさに冬が旬の魚です。脂肪が少なく、ふっくらと淡白で上品な味わいが特徴で、お鍋の具材として大活躍します。冬の味覚「白子(しらこ)」がとれるのも、この真鱈です。
3.2.1 新鮮なたらの見分け方
たらの切り身を選ぶときは、身の色に注目しましょう。みずみずしく透明感のある、きれいな白色のものが新鮮です。時間が経つと乳白色から黄色っぽく変色してしまいます。身が崩れておらず、弾力があるものを選びましょう。白子を選ぶ際は、乳白色でぷりっとしたハリとツヤがあるものが良いでしょう。
3.2.2 たらの栄養とおすすめの調理法
たらは高たんぱくで低脂肪な、とてもヘルシーなお魚です。消化も良いため、胃腸が疲れ気味のときにもやさしい食材ですね。体内で作ることができない必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。淡白な味わいなので、和洋中どんな料理にも合いますよ。定番の「たらちり鍋」はもちろん、バターで香ばしく焼く「ムニエル」や、サクサクの「フライ」も子どもから大人まで大人気です。白子は、さっと湯がいてポン酢でいただくのが、とろりとした食感を堪能できる一番のおすすめです。
3.3 あんこう

「西のふぐ、東のあんこう」と称される、冬の味覚の王様。少し個性的な見た目をしていますが、その身はコラーゲンたっぷりでぷるぷるの食感です。淡白ながらも奥深い味わいで、特に肝は「あん肝」と呼ばれ、「海のフォアグラ」と絶賛されるほどの濃厚な珍味です。
3.3.1 新鮮なあんこうの見分け方
スーパーでは、鍋用に捌かれた切り身のパックで売られていることが多いですね。選ぶ際は、身に透明感があり、ほんのりピンク色をしているものが良いでしょう。あん肝は、きれいなオレンジ色で、ハリとツヤがあるものが新鮮です。黒ずんでいたり、崩れていたりするものは避けましょう。
3.3.2 あんこうの栄養とおすすめの調理法
あんこうの身は、水分が多く低カロリー。皮やヒレの部分には、お肌のハリを保つ効果が期待されるコラーゲンが豊富に含まれています。一方、あん肝には、ビタミンAやビタミンD、ビタミンE、そして貧血予防に役立つビタミンB12などがぎゅっと詰まっています。野菜と一緒に煮込む「あんこう鍋」は、あんこうの旨味を余すことなく味わえる最高の食べ方。その他、身を唐揚げにしたり、蒸したあん肝をポン酢でいただいたりするのも格別ですよ。
3.4 牡蠣
「海のミルク」と呼ばれるほど栄養満点な牡蠣。ぷりっとした食感と、口の中に広がるクリーミーで濃厚な旨味は、冬ならではのごちそうです。生食用と加熱用があり、それぞれに合った調理法で楽しむことができます。
3.4.1 新鮮な牡蠣の選び方
殻付きの牡蠣は、殻が固く閉じていて、持ったときにずっしりと重みを感じるものが新鮮です。むき身の場合は、身がふっくらと盛り上がっていて、乳白色で光沢があるものを選びましょう。貝柱が半透明で、ひだの部分が黒くはっきりしているものが良品です。全体が白っぽく、水っぽくなっているものは鮮度が落ちている可能性があるので注意してくださいね。
3.4.2 牡蠣の栄養とおすすめの調理法
牡蠣には、新陳代謝を促し、免疫力を高める働きのある「亜鉛」が非常に多く含まれています。これは、味覚を正常に保つためにも大切な栄養素です。また、エネルギー源となるグリコーゲンや、貧血予防に効果的な鉄分、疲労回復を助けるタウリンも豊富。栄養を効率よく摂りたいですね。新鮮な生牡蠣にレモンをきゅっと絞っていただくのはもちろん、定番の「カキフライ」や、旨味が溶け出した「牡蠣鍋」、炊き込みごはん、グラタンなど、様々な料理でその美味しさを満喫できます。
3.5 その他の1月が旬の魚介類一覧
これまでご紹介した魚介類のほかにも、1月には美味しい旬を迎えるものがたくさんあります。見かけたら、ぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。
魚介類の名前 | 特徴・美味しい食べ方 |
---|---|
ヒラメ | 「寒びらめ」と呼ばれ、身が厚く締まり、旨味が増します。上品な白身は、お刺身や昆布締め、ムニエルにぴったりです。 |
キンメダイ | 冬に最も脂がのり、旬を迎えます。鮮やかな赤い皮と美しい白身が特徴。煮付けにすると、こっくりとした味わいが楽しめます。 |
サワラ(鰆) | 春の魚というイメージですが、冬にとれる「寒鰆」は脂がのって絶品。塩焼きや西京焼きがおすすめです。 |
ヤリイカ | 身が柔らかく、上品な甘みがあるのが特徴。お刺身はもちろん、さっと煮付けたり、天ぷらにしたりしても美味しいです。 |
ナマコ | 独特のコリコリとした食感が魅力の冬の珍味。二杯酢や三杯酢で和えた「なまこ酢」が定番の食べ方です。 |
4. 1月に旬を迎える果物
冬の寒さが厳しい1月ですが、この時期ならではの甘くて美味しい果物がたくさん登場します。こたつで温まりながらいただくみかんは格別ですし、ケーキを彩る真っ赤ないちごも魅力的ですよね。旬の果物は、美味しさだけでなく、冬の体調管理に欠かせないビタミンなどの栄養もたっぷり。ここでは、1月に旬を迎える代表的な果物と、その美味しい選び方や楽しみ方をご紹介します。毎日のデザートや間食に、旬の恵みを取り入れてみませんか。
4.1 いちご

冬から春にかけて旬を迎えるいちごは、1月になるとたくさんの品種がお店に並び始めます。クリスマスケーキのイメージが強いかもしれませんが、ハウス栽培が主流の現在では、まさにこれからが美味しさの本番。可愛らしい見た目と甘酸っぱい香りは、心を華やかにしてくれますね。
4.1.1 美味しいいちごの選び方
美味しいいちごを選ぶには、いくつかのポイントがあります。ぜひ、お店でじっくり観察してみてくださいね。
- ヘタが濃い緑色で、ピンと張りがあり、少しそり返っているもの。
- 果実全体が鮮やかな赤色で、ツヤとハリがあること。ヘタの近くまで赤く色づいているものが完熟のしるしです。
- 表面のつぶつぶ(種のように見える部分)がくっきりと立っているもの。
- パックの底まで見て、傷んだり汁が出たりしているものがないか確認しましょう。
4.1.2 いちごの栄養とおすすめの食べ方
いちごは、風邪予防や美肌づくりに欠かせないビタミンCが非常に豊富な果物です。5〜6粒も食べれば、1日に必要なビタミンCをほぼ摂取できると言われるほど。その他にも、妊活中や妊娠中の方に大切な葉酸や、むくみ解消に役立つカリウムも含まれています。
いちごの甘さを最大限に楽しむなら、まずはそのままいただくのが一番です。洗う際は、ビタミンCが水に溶け出しやすいので、ヘタを付けたままさっと洗い、食べる直前にヘタを取りましょう。ヘタ側から食べ始めると、甘みが強い先端を最後に味わえるので、より甘く感じられますよ。
4.2 みかん(温州みかん)

「こたつにみかん」は、日本の冬の風物詩ですね。1月は、貯蔵されて甘みが増した「貯蔵みかん」や、年明けから旬を迎える晩生(おくて)品種の温州みかんが楽しめます。手で簡単に皮がむけて手軽に食べられるのも、長年愛され続ける理由のひとつでしょう。
4.2.1 美味しいみかんの選び方
箱で買うことも多いみかん。美味しいものを見分けるコツを知っておくと、最後まで美味しくいただけますよ。
- 皮の色が濃いオレンジ色で、ハリとツヤがあるもの。
- ヘタの切り口が小さく、軸が細いもの。
- 皮の表面にある油胞(つぶつぶの油点)が細かく、はっきりしているもの。
4.2.2 みかんの栄養とおすすめの食べ方
みかんもビタミンCが豊富な果物ですが、注目したいのがオレンジ色の色素成分である「β-クリプトキサンチン」です。これは体内でビタミンAに変換され、骨の健康維持や免疫力を高める働きが期待されています。また、白い筋や薄皮には、ポリフェノールの一種「ヘスペリジン」が含まれており、血流を改善する効果があると言われています。ぜひ、筋や薄皮も一緒に召し上がってくださいね。
4.3 きんかん

小さな見た目が愛らしいきんかんも、1月から2月にかけて旬の盛りを迎えます。のど飴の原料としてもおなじみで、古くから風邪の予防に良いとされてきました。他の柑橘類と違い、皮ごと食べられるのが最大の特徴です。
4.3.1 美味しいきんかんの選び方
皮ごと食べる果物だからこそ、新鮮で美味しいものを選びたいですね。
- 皮の色が濃いオレンジ色で、全体にツヤとハリがあるもの。
- 傷やシワがなく、ふっくらとしていること。
- 手に取ったときに、大きさに比べて重みを感じるもの。
4.3.2 きんかんの栄養とおすすめの食べ方
きんかんの栄養は、甘くて少しほろ苦い皮の部分にぎゅっと詰まっています。ビタミンCはもちろん、喉や鼻の粘膜を保護するビタミンA、そしてみかん同様、血流をサポートするヘスペリジンも皮に豊富に含まれています。カルシウムも含まれているので、骨の健康が気になる方にも嬉しい果物です。
よく洗って、ぜひ皮ごと生で味わってみてください。甘露煮やはちみつ漬けにするのも定番の楽しみ方。コトコト煮ておけば、お茶うけやヨーグルトのトッピングとして長く楽しめます。
4.4 その他の1月が旬の果物一覧
これまでご紹介した果物のほかにも、1月に美味しくいただける果物はたくさんあります。主なものを表にまとめましたので、果物選びの参考にしてくださいね。
果物の名前 | 特徴・楽しみ方 |
---|---|
りんご(ふじ、王林など) | 秋に収穫され、貯蔵することで甘みが増します。蜜がたっぷり入った「ふじ」は特に人気。生食のほか、アップルパイや焼きりんごにも。 |
ぽんかん | 温州みかんより少し大きく、独特の甘い香りが特徴です。皮がむきやすく、種はありますが袋ごと食べられます。 |
はっさく | さっぱりとした甘みと、ほのかな苦みが魅力の柑橘。プリっとした果肉の食感が楽しめます。サラダのアクセントにもおすすめです。 |
レモン | 国産レモンの旬は冬。輸入物に比べて香りが豊かで、皮まで安心して使えます。はちみつ漬けや、料理・お菓子の風味付けに大活躍します。 |
5. 1月の旬食材を味わう簡単おすすめレシピ
1月が旬の食材は、体を芯から温めてくれたり、厳しい冬を乗り越えるための栄養をたっぷり蓄えていたりと、魅力的なものばかり。ここでは、そんな旬の恵みを存分に味わえる、とっておきの簡単レシピを3つご紹介します。いつもの食卓が、旬の食材でぐっと豊かになりますよ。
5.1 旬の野菜たっぷり豚バラ白菜の重ね鍋
冬の食卓の主役といえば、やっぱりお鍋。旬を迎えて甘みが増した白菜と、旨味たっぷりの豚バラ肉を重ねるだけで、見た目も華やかな一品が完成します。食材から出るおだしがスープに溶け込み、最後の一滴まで美味しくいただけます。家族みんなで囲む、あたたかい時間にぴったりのレシピです。
5.1.1 材料(2〜3人分)
食材 | 分量 |
---|---|
白菜 | 1/4株 |
豚バラ薄切り肉 | 200g |
長ねぎ | 1/2本 |
しめじやえのきなど(お好みで) | 1/2パック |
水 | 400ml |
顆粒和風だし | 小さじ2 |
酒 | 大さじ2 |
塩 | 少々 |
ポン酢やごまだれ | お好みで |
5.1.2 作り方
- 長ねぎは斜め薄切りにします。白菜は葉を一枚ずつはがし、豚バラ肉と交互に4〜5段重ねます。
- 重ねた白菜と豚肉を、鍋の高さに合わせて5cm幅程度に切ります。
- 鍋のフチに沿って、切り口が見えるようにぎっしりと敷き詰めていきます。中央には長ねぎやきのこ類を入れます。
- 水、顆粒和風だし、酒、塩を加えて火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で15〜20分ほど煮込みます。
- 白菜がくたっと柔らかくなり、豚肉に火が通ったら完成です。お好みでポン酢やごまだれ、柚子胡椒などをつけてお召し上がりください。
5.2 冬の味覚 ぶりの照り焼き
脂がのって一番おいしい季節を迎える「寒ぶり」。その濃厚な旨味をシンプルに味わうなら、定番の照り焼きがおすすめです。甘辛いタレが絡んだぶりは、白いごはんとの相性も抜群。フライパンひとつで、ふっくらと香ばしく仕上げるコツさえ押さえれば、お店のような本格的な味わいをご家庭で楽しめますよ。
5.2.1 材料(2人分)
食材 | 分量 |
---|---|
ぶりの切り身 | 2切れ |
塩 | 少々 |
片栗粉 | 大さじ1 |
サラダ油 | 大さじ1 |
(A)醤油 | 大さじ2 |
(A)みりん | 大さじ2 |
(A)酒 | 大さじ2 |
(A)砂糖 | 大さじ1 |
5.2.2 作り方
- ぶりの両面に軽く塩を振り、10分ほど置きます。出てきた水分をキッチンペーパーで優しく拭き取ります。これは魚の臭みを取り、味を染み込みやすくするための大切なひと手間です。
- (A)の調味料を混ぜ合わせておきます。
- ぶりの両面に薄く片栗粉をまぶします。
- フライパンにサラダ油を熱し、ぶりの皮目を下にして入れ、中火で焼きます。焼き色がついたら裏返して、蓋をして弱火で3〜4分蒸し焼きにします。
- 余分な油をキッチンペーパーで拭き取り、混ぜておいた(A)を回し入れます。スプーンでタレをぶりにかけながら、とろみがつくまで煮絡めたら出来上がりです。
農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理」でも、各地のぶりの料理が紹介されています。ご興味のある方は、そちらもご覧になってみてはいかがでしょうか。
富山県 ブリの照り焼き | うちの郷土料理:農林水産省
5.3 旬の魚介と野菜のアクアパッツァ
「アクアパッツァ」と聞くと少し難しそうに感じるかもしれませんが、実は旬の魚介と野菜をフライパンに入れて煮込むだけの、とても手軽なイタリア料理です。今回は、冬に旨味が増す「たら」と「かぶ」を使います。魚介の旨味がたっぷり溶け出したスープは格別で、パンを浸して食べるのもおすすめです。食卓がぱっと華やぐので、おもてなしにも喜ばれますよ。
5.3.1 材料(2人分)
食材 | 分量 |
---|---|
たら(切り身) | 2切れ |
あさり(砂抜き済み) | 150g |
かぶ | 1個 |
ミニトマト | 6〜8個 |
にんにく | 1かけ |
オリーブオイル | 大さじ2 |
白ワイン(または酒) | 50ml |
水 | 100ml |
塩、こしょう | 各少々 |
イタリアンパセリ(あれば) | 適量 |
5.3.2 作り方
- たらは塩、こしょうを振っておきます。かぶは皮をむいて6等分のくし切りに、にんにくは薄切りにします。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で熱し、香りが出てきたらたらを並べ入れ、両面に軽く焼き色をつけます。
- あさり、かぶ、ミニトマトを加え、白ワインを回し入れてアルコールを飛ばします。
- 水を加えて蓋をし、中火で5〜7分、あさりの口が開き、たらに火が通るまで煮込みます。
- 最後に塩、こしょうで味を調え、刻んだイタリアンパセリを散らせば完成です。残ったスープにご飯やパスタを加えて、締めの一品にするのも贅沢な楽しみ方ですね。
6. まとめ
厳しい寒さが続く1月ですが、この季節ならではの美味しい恵みがたくさんありますね。冬の野菜や魚は、寒さに耐えることでぐっと甘みや旨みを増し、栄養をたっぷりと蓄えます。旬の食材がひときわ美味しく感じられるのは、そんな自然の力が理由なのです。みずみずしい大根や白菜、脂ののったぶりなど、旬の恵みを食卓に取り入れて、心も体も温まる豊かなひとときを過ごしてみませんか。季節の味わいが、あなたの毎日にやさしい彩りを添えてくれますように。
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