2026年「芒種」はいつ?意味や由来、風習について解説

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梅雨の気配が近づき、木々の緑がいっそう深まる頃に訪れる「芒種(ぼうしゅ)」。響きは知っていても、いつなのか、どんな季節なのか、詳しくは知らないという方もいらっしゃるかもしれませんね。はじめに、2026年の芒種は6月5日です。毎年日付が変わるのは、地球の公転周期と暦との間に少しずれが生じるためです。この記事では、芒種の正確な日付はもちろん、言葉の詳しい意味や由来、この時期ならではの「梅仕事」といった昔ながらの風習、そして旬の食べ物まで、暮らしに役立つ情報をわかりやすく解説します。季節の移ろいを肌で感じながら、日々の食卓や過ごし方に古くからの知恵を取り入れて、毎日をより豊かに楽しむヒントを見つけてみませんか。

目次

1. 2026年の芒種はいつ?

梅雨入り前の、しっとりとした空気のなかに夏のはじまりを感じる季節、「芒種(ぼうしゅ)」。日差しは力強さを増し、木々の緑はいっそう深く、生命力にあふれる頃ですね。さて、気になる2026年の芒種はいつ訪れるのでしょうか。

結論からお伝えすると、2026年の芒種は6月5日(木曜日)です。二十四節気における芒種は、この日から次の節気である「夏至(げし)」の前日までの約15日間を指すこともあります。暮らしのなかで季節の移ろいを感じる、ひとつの目安になりますね。

1.1 2024年・2025年の芒種の日付

「今年はいつだったかしら?」と感じる方のために、2026年だけでなく、2024年と2025年の芒種の日付もあわせてご紹介します。毎年少しずつ日付が変わるのがわかりますね。

芒種の日付曜日
2024年6月5日水曜日
2025年6月5日木曜日
2026年6月5日金曜日

1.2 芒種の日付が毎年変わる理由

芒種の日付が毎年6月5日や6日頃と、少しずれるのはどうしてなのでしょうか。その理由は、地球が太陽の周りを一周する時間と私たちの暦との間に、わずかなズレがあるためです。

1年は365日ですが、地球の公転周期は正確には約365.2422日。この半端な部分が少しずつ積み重なることで、暦の上での日付が毎年少しずつ動くのです。二十四節気は、こうした天体の動きに合わせて定められています。具体的には、芒種は太陽の黄経(太陽が天球上で通る道)が75度に達した日と天文学的に定義されており、その瞬間の日付によって決まります。

このズレを調整するために、4年に一度「うるう年」が設けられているのですね。暦を眺めながら、宇宙の大きなリズムに思いを馳せるのも、趣があって素敵です。より詳しい情報は、国立天文台のウェブサイトでも解説されています。

2. 芒種とはどんな季節?基本的な意味と由来を解説

暦の上では夏となり、日差しにも力強さが感じられるようになる6月。そろそろ梅雨入りが気になるこの時期に訪れるのが「芒種(ぼうしゅ)」です。紫陽花が雨に濡れて美しく色づき始める頃、と聞くと情景が目に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。言葉の響きは耳にしたことがあっても、その詳しい意味や由来は意外と知らないものかもしれませんね。ここでは、芒種がどのような季節なのか、その基本的な意味からわかりやすく紐解いていきます。

紫陽花の写真

2.1 芒種の読み方と意味

「芒種」は「ぼうしゅ」と読みます。「芒」という漢字は、稲や麦といったイネ科の植物の穂先にある、針のように細くて硬い毛の部分(「のぎ」とも言います)を指します。そして「種」は、文字通り穀物の種や種もみのことです。この二つの漢字が合わさって、「芒(のぎ)のある穀物の種をまく時期」という意味を表しています。昔から、この時期が田植えを始める目安とされてきました。まさに、秋の豊かな実りのための準備を始める、大切な季節なのです。

2.2 二十四節気における芒種の位置づけ

芒種は、太陽の動きをもとに1年を24に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。昔の人々が季節の移ろいを細やかに感じ取り、農作業や日々の暮らしに役立ててきた、暮らしの知恵が詰まった暦ですね。芒種は、二十四節気の中で9番目に当たり、夏の三番目の節気となります。春に芽吹いた命がぐんぐんと成長する「小満(しょうまん)」と、一年で最も昼の時間が長くなる「夏至(げし)」の間に位置し、季節が初夏から本格的な夏へと向かっていく境目の時期にあたります。

前の節気芒種(9番目)次の節気
小満(しょうまん)芒種(ぼうしゅ)夏至(げし)
万物が満ち始める頃
(5月21日頃)
稲や麦の種をまく頃
(6月6日頃)
一年で昼が最も長くなる頃
(6月21日頃)

2.3 芒種の由来は穀物の種まき

芒種の由来は、その名の通り、昔の農作業の暦に深く関わっています。この時期になると、農家の人々は稲の苗を田んぼに植える「田植え」で大忙しになりました。少し前までは「早苗饗(さなぶり)」といって、田植えが無事に終わったことを祝い、神様と田植えを手伝ってくれた人々をもてなす宴が開かれるなど、地域にとっての一大行事だったのです。芒種は、秋の収穫を左右する大切な農作業の節目であり、人々にとっては気の抜けない時期であると同時に、豊かな実りへの期待が膨らむ季節でもありました。現代では農業に直接関わる機会は少なくなりましたが、家庭菜園で夏野菜の苗を植えたり、新しい趣味の「種まき」をしたりするのにも、ぴったりの時期かもしれませんね。

3. 芒種の時期の過ごし方 日本の伝統的な風習

芒種のころは、ちょうど梅雨入りと重なる時期。空は少しずつ湿り気を帯び、緑はいっそう深く色づきます。昔から、この季節の訪れは暮らしの大切な節目とされてきました。ここでは、芒種の時期に受け継がれてきた日本の伝統的な風習や、季節を楽しむ過ごし方をご紹介します。日々の暮らしの中に、季節を感じるひとときを取り入れてみませんか。

3.1 昔ながらの農作業と習わし

「芒」という漢字が稲や麦の穂先を意味するように、芒種は農作業と非常に深いつながりを持つ季節です。特に、私たちの食卓に欠かせないお米作りにおいては、重要な時期とされてきました。

昔の農家にとって、芒種は本格的な田植えを始める目安でした。苗代で育てた稲の苗を水田に植え替える作業は、まさに時間との勝負。家族や地域の人々が総出で協力し合い、あたりには活気が満ちあふれていたことでしょう。この時期に植えられた苗が、やがて秋には黄金色の稲穂へと実るのです。

また、芒種は「入梅(にゅうばい)」の時期とも重なります。昔の暦では、芒種から5日目頃を梅雨入りの目安としていたそうです。農家にとっては恵みの雨である一方、私たちにとっては少しうっとうしく感じる季節かもしれません。そんな時期の節目として、6月1日には「衣替え」を行う習慣も根付いています。冬物から夏物へと衣類を入れ替えることで、心も体もさっぱりと、これからの季節に備える。これもまた、暮らしの知恵ですね。

3.2 芒種の頃に行われる季節の行事

芒種そのものを祝う大きなお祭りはあまりありませんが、この時期ならではの季節の移ろいを感じられる行事や風習が各地に残っています。どれも、自然と共に生きてきた日本人の感性が光るものばかりです。

代表的な行事や風習をいくつか見てみましょう。

行事・風習内容
御田植祭(おたうえさい)各地の神社で豊作を祈願して行われる神事です。特に、大阪の住吉大社で行われる「御田植神事」は、国の重要無形民俗文化財にも指定されており、華やかな衣装をまとった女性たちが田植え歌に合わせて苗を植える様子は、古式ゆかしい伝統を感じさせます。
蛍狩り(ほたるがり)蒸し暑くなり始めるこの時期は、蛍が美しく舞う季節でもあります。昔の人々は、夕涼みがてら川辺へ出かけ、蛍の淡い光が織りなす幻想的な風景を楽しみました。今でも全国各地に蛍の名所があり、心癒されるひとときを過ごすことができます。
入梅のいわし「入梅いわし」という言葉があるように、梅雨の時期にとれる真いわしは脂がのって一年で最もおいしいとされています。この時期に旬のいわしを食べることで、栄養をつけ、梅雨の時期を元気に乗り切ろうという風習です。

3.3 梅仕事の季節

芒種の終わりごろ、七十二候では「梅子黄(うめのみきばむ)」という季節を迎えます。これは、梅の実が青から黄色へと熟していく様子を表した言葉。まさに、一年で一度の「梅仕事」にぴったりの季節の到来です。

梅仕事とは、この時期に収穫される梅を使って、梅干しや梅酒、梅シロップ、梅ジャムなどを作ること。青梅の爽やかな香りや、完熟梅の甘い香りがキッチンに広がる時間は、なんともいえない幸福感に満たされます。梅雨の晴れ間を見つけて、丁寧に下ごしらえをする時間は、心を落ち着かせてくれる豊かなひとときです。

「少し手間がかかりそう…」と感じるかもしれませんが、まずは簡単な梅シロップ作りから始めてみるのも素敵ですね。自分で作った梅シロップを炭酸水で割って飲む一杯は、夏の暑さを忘れさせてくれる格別な味わいです。季節の手仕事は、暮らしに彩りと潤いを与えてくれます。今年こそ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

4. 芒種の七十二候で知る季節の移ろい

二十四節気をさらに細かく、約5日ごとに分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼びます。気候の移り変わりを、鳥や虫、植物の様子で知らせてくれる、昔の人の自然への細やかなまなざしが感じられる暦です。

芒種の時期にも、3つの候があります。それぞれの候が告げる季節のサインをのぞいてみましょう。

名称時期(2026年)意味
初候螳螂生ず(かまきりしょうず)6月5日~6月9日頃カマキリが卵からかえる頃
次候腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)6月10日~6月15日頃腐った草が蛍に生まれ変わる頃
末候梅子黄(うめのみきばむ)6月16日~6月20日頃梅の実が黄色く熟す頃

4.1 初候 螳螂生ず(かまきりしょうず)

芒種の最初の5日間は、カマキリが生まれる季節です。秋に産み付けられた卵鞘(らんしょう)と呼ばれる卵のうから、小さなカマキリの赤ちゃんたちが次々に出てきます。その姿はとても小さく、まるで糸くずのようですが、ちゃんとカマキリの形をしているんですよ。

庭の草むらや公園の植え込みなどで、この小さな命の誕生が見られるかもしれません。これから始まる夏に向けて、生き物たちが活発に動き出すのを感じられる、そんな生命力にあふれた時期です。

4.2 次候 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

「腐った草が蛍になる」とは、なんとも不思議な言葉ですね。昔の人は、湿った草の中から蛍が光を放ちながら現れるのを見て、草が蛍に姿を変えるのだと考えていたそうです。とてもロマンチックな想像力だと思いませんか。

もちろん、実際には草が蛍になるわけではなく、水中で育った蛍の幼虫がこの時期に成虫となり、美しい光を放ち始めます。夕暮れ時、清らかな小川のほとりで舞う蛍の光は、日本の初夏の夜を彩る幻想的な風景。蒸し暑さの中に、ひとときの涼と安らぎを運んでくれます。

4.3 末候 梅子黄(うめのみきばむ)

芒種の最後の5日間は、梅の実が青々と育ち、だんだんと黄色く色づいて熟してくる頃です。梅の木の下を歩くと、甘酸っぱい爽やかな香りがふわりと漂ってきます。

この香りを感じると、「そろそろ梅仕事の季節だな」と思われる方も多いのではないでしょうか。梅酒や梅干し、梅シロップなど、この時期ならではの手仕事は、暮らしに季節の彩りを添えてくれます。梅雨の晴れ間に黄色く輝く梅の実は、次の季節への楽しみを運んでくれる、嬉しい知らせのようですね。

5. 芒種の時期に旬を迎える食べ物

雨の日が続き、少し気分も沈みがちになる芒種のころ。ですが、この時期は自然の恵みがぐんと増え、食卓を豊かに彩ってくれる季節でもあります。初夏の訪れを告げる、みずみずしい旬の味覚をいただくことで、体の中から元気をチャージしてみませんか。ここでは、芒種の時期にぜひ味わいたい、とっておきの食材をご紹介します。

5.1 旬の野菜や果物

芒種の時期の野菜や果物は、太陽の光をたっぷりと浴びて育ち、生命力にあふれています。梅雨のじめじめとした空気を吹き飛ばすような、爽やかな味わいが魅力です。特に、この時期ならではの「梅」を使った手仕事は、季節の移ろいを実感できる楽しい時間になりますね。

代表的な野菜や果物を下の表にまとめてみました。

分類品目特徴と楽しみ方
野菜きゅうり・なす・トマト本格的な夏に向けて、どんどん美味しくなる夏野菜の代表格。水分が豊富で、火照った体を内側からやさしく冷やしてくれます。サラダや浅漬けなど、さっぱりといただくのがおすすめです。
野菜らっきょうこの時期に収穫される新生のらっきょうは、シャキシャキとした歯ざわりがたまりません。甘酢漬けにしておけば、カレーの付け合わせや、刻んでタルタルソースにと大活躍します。
野菜そら豆旬の短い初夏の味。さやから出したばかりの豆を塩ゆですれば、ほくほくとした食感と豊かな風味を楽しめます。鮮度が命なので、手に入れたらすぐに調理するのが美味しさの秘訣です。
果物まさに芒種の主役。梅酒や梅シロップ、梅干しなど、この時期ならではの「梅仕事」を楽しむのに最適です。青梅から完熟梅へと変わっていく様子を眺めるのも、季節の楽しみのひとつですね。
果物びわ上品な甘さと香りが特徴のびわも、このころが旬。傷みやすいデリケートな果物なので、旬の時期にしか味わえない特別な美味しさがあります。やさしく皮をむいて、そのままの味を堪能してください。
果物さくらんぼ「初夏のルビー」とも呼ばれるさくらんぼが、最も美味しくなる季節です。つやつやと輝く赤い実は、見ているだけでも幸せな気持ちになりますね。甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がります。

5.2 旬の魚介類

芒種の時期は、魚たちにとっても栄養をたっぷり蓄える大切な季節。特に梅雨の時期に獲れるいわしは「入梅いわし」と呼ばれ、一年で最も脂がのって美味しいとされています。この時期ならではの旬の魚を味わい、季節の力をいただきましょう。

この時期におすすめの魚介類はこちらです。

魚介名特徴とおすすめの調理法
あじ(鯵)「味がいいから鯵」という説があるほど、旨味の強い魚。塩焼きやフライはもちろん、新鮮なものはお刺身やたたきにしても絶品です。栄養価も高く、じめじめした季節の体調管理にもぴったりです。
いわし(鰯)梅雨の水を飲んで美味しくなると言われる「入梅いわし」が旬を迎えます。脂がのってとろけるような味わいは格別。蒲焼きや生姜煮、つみれ汁など、さまざまな料理で楽しめます。
きす(鱚)透き通るような白身が美しい、上品な味わいの魚です。淡白ながらも旨味があり、ふっくらとした食感は天ぷらに最適。塩焼きや昆布締めもおすすめです。
あゆ(鮎)初夏の清流を思い起こさせる、爽やかな香りが魅力のあゆ。この時期の若あゆは骨も柔らかく、丸ごと塩焼きにしていただくのが一番です。独特のほろ苦さが、なんとも言えない美味しさです。

6. まとめ

今回は、二十四節気のひとつ「芒種」について、その意味や季節の楽しみ方をご紹介しました。2026年の芒種は6月5日です。毎年日付が少しずつ変わるのは、暦が太陽の動きに合わせて調整されているからなのですね。

「芒(のぎ)のある穀物の種をまく」という言葉の通り、昔から農業にとって大切な節目とされてきた芒種。かまきりが生まれ、蛍がやさしい光を放ち、梅の実が色づき始める…そんな自然の細やかな移ろいを感じられる、美しい季節でもあります。

雨の合間に旬の味覚を味わったり、梅仕事に挑戦してみたりするのも、この時期ならではの豊かな時間の過ごし方ではないでしょうか。慌ただしい毎日の中に、季節を感じるひとときを取り入れて、心穏やかな日々を過ごすきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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