日差しが日に日に力強さを増し、草木の緑がいっそう深く鮮やかになる季節となりました。本格的な夏の訪れを前に、万物がすくすくと育つこの時期を、二十四節気では「小満(しょうまん)」と呼びます。2026年の小満は5月21日です。この記事では、小満がいつからいつまでの期間を指すのかといった日付の詳細から、言葉の由来や意味、この時期の気候に合わせた服装のポイントまで、わかりやすく解説します。さらに、食卓を豊かに彩る旬の野菜や果物、麦秋(ばくしゅう)といった季節の風物詩、咲き誇る花々など、初夏の暮らしを心地よく楽しむためのヒントをたっぷりとお届けします。季節の移ろいを丁寧に感じながら、日々の暮らしに彩りを添えてみませんか。
1. 2026年の小満はいつ?
風にのって新緑の香りがふわりと届く、気持ちのよい季節がやってきましたね。暦の上では、まもなく「小満(しょうまん)」を迎えます。生きものたちが活発に動き出し、草木がぐんぐん育つこの時期。今回は、そんな生命力あふれる季節の始まりである小満について、いつなのか、どのような期間なのかを詳しくご紹介します。
1.1 2026年の小満は5月21日
さっそくですが、2026年の小満は5月21日(水曜日)です。毎年5月21日頃にやってきますが、日付が固定されているわけではありません。
小満をはじめとする二十四節気は、地球と太陽の位置関係によって決まります。地球が太陽の周りを一周する時間はぴったり365日ではないため、少しずつ日付にずれが生じるのです。そのため、年によっては5月20日になることもありますよ。
1.2 小満の期間はいつからいつまでか
「小満」というと、その日一日だけを指すように思われるかもしれませんが、実は小満の日から次の節気「芒種(ぼうしゅ)」の前日までの約15日間の期間全体を指す言葉でもあります。
2026年の場合、5月21日から芒種の前日である6月4日(水曜日)までが小満の期間となります。日差しは日に日に力強さを増し、あらゆるものが太陽の光を浴びて満ちていく、希望に満ちた季節です。
1.3 今後の小満の日付一覧
来年以降の計画を立てる際に、小満の時期がわかると便利ですよね。小満の日は毎年同じではなく、1日前後することがありますので、こちらの一覧で確認しておくと安心です。お出かけの計画などに、ぜひお役立てくださいね。
| 年 | 小満の日付 |
|---|---|
| 2025年 | 5月21日(水) |
| 2026年 | 5月21日(木) |
| 2027年 | 5月21日(金) |
| 2028年 | 5月20日(土) |
| 2029年 | 5月21日(月) |
| 2030年 | 5月21日(火) |
2. 小満とは 意味や由来をわかりやすく解説
「小満(しょうまん)」という言葉、耳にしたことはありますか?だんだんと日差しが力強くなり、木々の緑が目にまぶしい季節。そんな初夏の訪れを告げるのが、二十四節気のひとつ「小満」です。ここでは、小満という言葉に込められた意味や、その由来について、やさしく紐解いていきましょう。
2.1 小満の読み方と基本的な意味
小満は「しょうまん」と読みます。この言葉には、あらゆる生命が満ち満ちていく様子が表現されています。ぽかぽかとした陽気に誘われて、野山の草木はぐんぐん成長し、葉を茂らせます。田んぼに植えられた苗はしっかりと根を張り、生き物たちの活動も日に日に活発になる頃。世界が生命力に満ち溢れていく、そんなきらきらした季節の始まりが「小満」なのです。

また、この時期は秋に収穫される麦の穂が実り始める頃でもあります。その様子を見て、農家の方々が「少し満足する(小さく満たされる)」ことから「小満」と名付けられた、という説もあります。本格的な夏の訪れの前に、自然の恵みにほっと一息つく。そんな穏やかで満ち足りた気持ちも込められているのですね。
2.2 二十四節気における小満の由来
小満は、日本の季節をより細やかに知るための暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。二十四節気とは、太陽の動きを基準に1年を24等分し、それぞれに季節を表す名前を付けたもので、昔の人々が農作業の目安などに活用してきた暮らしの知恵です。

小満は、二十四節気の中で8番目にやってきます。春の終わりを告げる「立夏(りっか)」の次にあたり、本格的な梅雨の季節「芒種(ぼうしゅ)」へと続いていきます。天文学的には、太陽が黄経60度(太陽の通り道における特定の位置)に達した日を小満としています。
下の表で、夏の節気の流れを見てみましょう。
| 季節 | 節気 | 読み方 | 時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 夏 | 立夏 | りっか | 5月5日頃 |
| 小満 | しょうまん | 5月21日頃 | |
| 芒種 | ぼうしゅ | 6月6日頃 |
なぜ「大満」ではなく「小満」なのでしょうか。それは、秋の実りの時期に「大きく満ちる」のに対し、この時期はまだ「小さく満ちる」段階だから、と考えられています。麦の穂は実っても、まだ熟して収穫するには少し早い。すべてのものが満ちる一歩手前の、希望に満ちた季節。それが「小満」という名前に込められた、奥ゆかしい日本の心なのかもしれませんね。
3. 小満の時期の気候と旬の食べ物
草木がぐんぐん成長し、生命力にあふれる小満の季節。日差しも日に日に力強くなり、本格的な夏の訪れをすぐそこに感じる頃ですね。この章では、そんな小満の時期の気候の特徴や、旬を迎える美味しい恵みについてご紹介します。
3.1 初夏を感じる気候と服装のポイント
小満を迎える5月下旬は、爽やかな青空が広がり、一年の中でも特に過ごしやすい季節です。日中は気温がぐんぐん上がり、汗ばむほどの陽気になる日も増えてきます。一方で、日中は汗ばむほどの陽気でも、朝晩はひんやりと感じられることも多いのがこの時期の特徴。一日の中での寒暖差が大きいため、油断は禁物です。
お出かけの際は、風通しの良い綿や麻素材のブラウスやシャツが心地よいでしょう。それに加えて、さっと羽織れるカーディガンや薄手のストールを一枚持っていると、温度調節がしやすく安心です。また、日差しはすでに真夏並みに強い日もありますから、帽子や日傘、日焼け止めなどで紫外線対策もしっかりと行いましょう。心地よい初夏の風を感じながら、快適に過ごす工夫をしたいですね。
3.2 小満の時期に旬を迎える食べ物
「小満」という言葉が表すように、この時期はあらゆる生命が満ちていく季節。それは、私たちの食卓を彩る食べ物も同じです。畑では野菜が豊かに実り、海では魚がおいしくなります。旬のものは栄養価が高く、その時期の体を整えるのにぴったりと言われています。太陽の光をたっぷり浴びて育った、みずみずしい初夏の味覚を存分に味わいましょう。
3.2.1 旬の野菜
この時期の野菜は、鮮やかな緑色が目にまぶしいものばかり。豆類やみずみずしい葉物など、食卓に初夏の彩りを添えてくれます。

| 野菜の名前 | 特徴や楽しみ方 |
|---|---|
| そら豆 | さやから出したての豆を塩ゆでにするだけで、ほくほくとした食感と豊かな風味が楽しめます。豆ごはんにするのもおすすめです。 |
| アスパラガス | 鮮やかな緑とシャキシャキの歯ごたえが魅力。サッと茹でてマヨネーズを添えたり、ベーコンと炒めたりと、調理法も様々です。 |
| 新じゃがいも | 皮が薄く、みずみずしいのが特徴。皮ごと調理できるので、煮っころがしや、蒸してバターを乗せるだけでも絶品です。 |
| 新玉ねぎ | 辛みが少なく、甘くて柔らかいので生で食べるのが一番。薄くスライスして、鰹節とポン酢をかけるだけで立派な一品になります。 |
3.2.2 旬の果物
甘くてジューシーな果物も、初夏の楽しみのひとつ。デザートにはもちろん、朝食に添えるだけでも、一日を元気にスタートできそうです。
| 果物の名前 | 特徴や楽しみ方 |
|---|---|
| びわ | 上品な甘さと香りが特徴の、初夏の訪れを告げる果物。やさしいオレンジ色が目にも美しく、季節感を運んでくれます。 |
| さくらんぼ | 「赤い宝石」とも呼ばれる、かわいらしい見た目と甘酸っぱさが魅力。ハウス栽培のものが旬を迎え、店頭を華やかに彩ります。 |
| 夏みかん | 爽やかな酸味とほのかな苦みが特徴。さっぱりとしているので、食後のデザートや気分をリフレッシュしたい時にぴったりです。 |
3.2.3 旬の魚介類
海の中も、小満の時期は賑やかになります。脂がのってきたり、産卵のために沿岸に近づいてきたりと、美味しい魚介類がたくさん水揚げされます。

| 魚介類の名前 | 特徴や楽しみ方 |
|---|---|
| あじ | 一年中出回りますが、この時期から夏にかけてが最も美味しい旬。塩焼きやフライ、新鮮なものはお刺身やたたきでどうぞ。 |
| かつお | 「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」と詠まれるように、初夏の味覚の代表格。さっぱりとした味わいの初鰹は、薬味をたっぷり添えたたたきがおすすめです。 |
| きす | 上品で淡白な白身魚。ふわふわの食感は、天ぷらにすると格別のおいしさです。塩焼きにしても良いですね。 |
| いさき | 「麦わらイサキ」とも呼ばれ、麦の収穫期であるこの時期に旬を迎えます。クセのない白身で、塩焼きや煮付け、お刺身など、どんな料理にも合います。 |
4. 小満の頃の風習や見頃の植物
日差しが日に日に力強くなり、木々の緑も深まる小満のころ。自然界は生命力に満ちあふれ、私たちの目を楽しませてくれる美しい風景が広がります。この時期ならではの風習や、見頃を迎える植物たちに目を向けて、季節の移ろいを肌で感じてみませんか。
4.1 麦の収穫期「麦秋」
小満の時期に耳にする言葉のひとつに「麦秋(ばくしゅう、むぎあき)」があります。暦の上では初夏なのに「秋」という漢字が使われるのは、麦の穂が実り、畑一面が黄金色に輝く様子が、まるで秋の稲穂のようだからです。この美しい情景は、昔から日本の初夏の風物詩として親しまれてきました。
風にそよぐ黄金色の麦畑は、見ているだけで心が豊かになるような、穏やかで美しい光景です。この時期は、俳句の世界では夏の季語としても詠まれています。お散歩の途中などで麦畑を見かけたら、少し足を止めて、初夏の風と豊かな実りの景色を味わってみるのも素敵ですね。
4.2 この時期に咲く花や植物
小満のころは、次々と美しい花が咲き誇る季節でもあります。雨上がりの庭や公園を彩る花々は、私たちの心に潤いと安らぎを与えてくれます。代表的な花をいくつかご紹介しますね。
| 花の名前 | 見頃の時期 | 特徴や楽しみ方 |
|---|---|---|
| アヤメ・カキツバタ | 5月上旬~6月下旬 | すっと伸びた茎に咲く、紫や白の凛とした花姿が美しい花です。湿地に咲くカキツバタ、乾いた土地に咲くアヤメなど、種類によって育つ場所が異なります。見分けるのも楽しいですね。 |
| シャクヤク(芍薬) | 5月~6月 | 幾重にも重なる花びらが豪華で、甘い香りを放ちます。「立てば芍薬、座れば牡丹」と美女を形容する言葉があるように、その華やかな姿は多くの人を魅了します。 |
| ベニバナ(紅花) | 5月下旬~6月 | アザミに似たトゲのある葉を持ち、鮮やかな黄色から徐々に赤色へと変化する花を咲かせます。古くから染料や口紅の原料として使われてきました。 |
| タケニグサ(竹似草) | 5月~8月 | 道端や空き地でよく見かける、大きく切れ込みの入った葉が特徴の植物です。茎が中空で竹に似ていることからこの名がつきました。夏の訪れを感じさせてくれる野草のひとつです。 |
このほかにも、ツツジやフジの花が見頃の終わりを迎え、アジサイが少しずつ色づき始めるなど、季節のバトンタッチが感じられる時期でもあります。生命力あふれる植物たちの姿は、私たちの心にも元気を与えてくれます。お庭のお手入れや、近所へのお出かけの際に、ぜひ足元の小さな自然にも目を向けてみてくださいね。
5. 小満の七十二候
二十四節気をさらに細かく、約5日ずつの季節に分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼びます。季節の移ろいをより繊細に感じ取ることができる、古くからの暦です。小満の時期には、どのような季節のサインが隠されているのでしょうか。一つひとつ見ていきましょう。
| 候 | 名称(読み方) | 期間の目安(2026年) |
|---|---|---|
| 初候 | 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) | 5月21日~5月25日頃 |
| 次候 | 紅花栄(べにばなさかう) | 5月26日~5月30日頃 |
| 末候 | 麦秋至(むぎのときいたる) | 5月31日~6月4日頃 |
5.1 初候 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
小満の最初の候は「蚕起食桑」です。これは、卵からかえった蚕(かいこ)が、桑(くわ)の葉をさかんに食べ始める頃という意味。昔、日本の多くの農家で養蚕(ようさん)が行われていた時代には、この時期のとても大切な仕事でした。蚕が桑の葉をたくさん食べてすくすくと育っていく様子は、まさに生命力にあふれた初夏の光景です。私たちの暮らしを支えてきた生き物の営みに、思いを馳せるひとときですね。
5.2 次候 紅花栄(べにばなさかう)
次の候は「紅花栄」。その名の通り、紅花(べにばな)の花が咲き誇る頃を指します。紅花は、古くから染料や口紅の原料として重宝されてきました。特に山形県の県花としても知られ、初夏の訪れとともに畑一面を黄色やオレンジ色に染め上げます。一面に広がる紅花畑のあざやかな景色は、初夏の青空によく映え、見る人の心を明るくしてくれます。
5.3 末候 麦秋至(むぎのときいたる)
小満の最後の候は「麦秋至」です。「秋」という文字が入っていますが、これは麦の収穫期を指す言葉。麦にとっては実りの「秋」にあたるため、「麦秋(ばくしゅう、むぎあき)」と呼ばれます。この時期になると、畑の麦は黄金色に色づき、穂を垂らし始めます。黄金色に輝く麦畑が風にそよぐ風景は、どこか懐かしく、心安らぐものがありますね。梅雨入り前の穏やかな日差しを浴びて、豊かな収穫の時を迎えるのです。
6. まとめ
2026年の小満は5月21日です。陽の光が満ち、あらゆる生命がすくすくと育ち始める、希望に満ちた季節の始まりですね。
小満とは、草木が茂り、命が少しずつ満ちていく様子を表す言葉です。秋に蒔いた麦の穂が実る頃でもあり、農家にとっては一安心する時期であることから、この名がついたといわれています。
この時期は、日中は汗ばむほどの陽気も増え、爽やかな初夏の訪れを感じさせてくれます。食卓にはそら豆やアスパラガス、さくらんぼといった旬の味覚が並び、自然の恵みを豊かに感じられることでしょう。また、黄金色に輝く「麦秋」の景色や、紅花が咲き始める様子は、この頃ならではの美しい風物詩です。
日ごとに深まる緑や、季節の移ろいを知らせる七十二候の言葉に耳を澄ませながら、健やかな毎日をお過ごしください。この記事が、あなたの暮らしにそっと彩りを添えるきっかけとなれば幸いです。



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