風が心地よく、日差しに初夏の気配を感じる頃となりました。暦の上ではもうすぐ夏が始まりますが、2026年の「立夏(りっか)」がいつかご存知でしょうか。夏の始まりを告げるこの日は、5月5日です。この記事では、二十四節気の一つである立夏の意味や由来、そして日付はどのように決まるのかを分かりやすく解説します。あわせて、この時期ならではの旬の食べ物や昔ながらの風習、手紙や俳句に使える季語など、日々の暮らしを豊かにするヒントもお届けします。季節の移ろいを楽しみながら、心穏やかな毎日を過ごすきっかけを見つけてみませんか。
1. 2026年の立夏はいつ?
風にのって新緑の香りがふわりと届く、気持ちのよい季節がやってきましたね。暦の上では、いよいよ夏の始まりを告げる「立夏(りっか)」が訪れます。お日さまの光がいっそう輝きを増し、草木がぐんぐんと成長するこの時期は、なんだか心まで軽やかになるようです。
さて、気になる2026年の立夏ですが、5月5日の火曜日です。この日は「こどもの日」でもありますから、ご家族でのお祝いとともに、夏の訪れを感じてみるのも素敵ですね。
立夏の日付は毎年固定されているわけではなく、太陽の動きにあわせて決まるため、年によって1日ほど前後することがあるのですよ。そこで、近年の立夏の日付を一覧にまとめてみました。お出かけの計画などを立てる際の参考にしてみてくださいね。

1.1 立夏の日付一覧(2024年~2030年)
| 年 | 日付 | 曜日 |
|---|---|---|
| 2024年 | 5月5日 | 日曜日 |
| 2025年 | 5月5日 | 月曜日 |
| 2026年 | 5月5日 | 火曜日 |
| 2027年 | 5月6日 | 木曜日 |
| 2028年 | 5月5日 | 金曜日 |
| 2029年 | 5月5日 | 土曜日 |
| 2030年 | 5月5日 | 日曜日 |
※日付は、国立天文台の発表する情報を参考にしています。
1.2 ゴールデンウィークと重なる夏の始まり
こうして見てみると、立夏はちょうどゴールデンウィークの期間中か、連休の終わり頃にやってくることが多いですね。大型連休の賑わいの中で、ふと空を見上げると、いつのまにか夏の気配が濃くなっていることに気づかされるかもしれません。
お休みを利用して少し遠出をしたり、お庭の手入れをしたりする際に、暦の上での季節の移ろいに思いを馳せてみるのも、日々の暮らしを豊かにする素敵なひとときではないでしょうか。爽やかな初夏の風を感じながら、新しい季節の到来をゆっくりと味わってみてくださいね。
2. 立夏とはどんな季節?基本的な意味を解説
「立夏(りっか)」という言葉を聞くと、なんだか爽やかな初夏の風が吹いてくるような気がしませんか? カレンダーでこの文字を見かけるけれど、実はどんな日なのかよく知らない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。立夏は、私たちの暮らしに深く根付いてきた、季節の移ろいを知らせてくれる大切な一つの節目です。ここでは、立夏が持つ基本的な意味について、ゆっくりと紐解いていきましょう。
2.1 夏の始まりを告げる二十四節気の一つ
立夏とは、太陽の動きをもとに1年を24に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」の一つです。昔の人々は、時計やカレンダーがなくても季節の移り変わりを正確に知るために、この二十四節気を暮らしの目安にしていました。

春の始まりが「立春」であるように、「立夏」は暦の上で夏が始まる日とされています。「立」という漢字には、「新しい季節が始まる」という意味が込められているのですよ。この日を境に、春から夏へと季節がバトンタッチしていくのです。
もちろん、立夏を迎えてすぐに真夏のような暑さになるわけではありません。ですが、日差しは力強さを増し、吹く風にも夏の気配が感じられるようになります。木々の緑は日に日に深くなり、生命力にあふれる季節の到来を告げてくれる、そんな日なのです。
2.2 立夏の期間はいつからいつまでか
「立夏」という言葉には、実は二つの意味合いがあります。一つは「夏が始まるその日」を指す場合、もう一つは「次の節気までの期間」を指す場合です。少しややこしく感じるかもしれませんが、下の表で見てみると分かりやすいですよ。
| 立夏の意味 | 期間 | 説明 |
|---|---|---|
| 二十四節気としての「立夏」 | 立夏の日(1日だけ) | 暦の上で夏が始まる、その当日を指します。毎年5月5日ごろにあたります。 |
| 季節としての「立夏」 | 立夏の日から約15日間 | 立夏の日から、次の節気である「小満(しょうまん)」の前日までの期間を指します。 |
このように、「立夏」は特定の一日を指すだけでなく、そこから約15日間の初夏の季節全体をあらわす言葉としても使われます。この期間は、日差しが心地よく、一年で最も過ごしやすい季節の一つと言えるかもしれませんね。お散歩に出かけると、日に日に濃くなる緑や、咲き始める夏の花々から、季節の移ろいを肌で感じることができるでしょう。
3. 立夏の由来と日付の決まり方
毎年ゴールデンウィークの頃にやってくる「立夏」。カレンダーでその日を知ると、いよいよ夏が始まるのだなあと、心が躍りますね。ところで、立夏の日付が毎年少しずつ違うのはなぜだろうと、不思議に思ったことはありませんか?その秘密は、はるか昔から伝わる季節の暦に隠されています。ここでは、立夏の由来と、日付が決まる素敵な仕組みについて、一緒に見ていきましょう。
3.1 古代中国から伝わる暦「二十四節気」
私たちの暮らしに馴染み深い「立夏」という言葉は、「二十四節気(にじゅうしせっき)」という暦の一つです。これは、今からずっと昔、古代中国で生まれたもので、農業を営む人々が種まきや収穫の時期を知るための、大切な暮らしの道しるべでした。
二十四節気は、太陽の通り道である「黄道(こうどう)」を基準に1年を24等分し、それぞれの季節の細やかな移ろいに名前をつけたものです。春の始まりを告げる「立春」から始まり、冬の寒さが極まる「大寒」で締めくくられます。昔の人々が自然を注意深く観察し、季節と共に生きてきた知恵が詰まっているのですね。
| 季節 | 節気(読み) | 意味 |
|---|---|---|
| 春 | 立春(りっしゅん) | 春の始まり |
| 春分(しゅんぶん) | 昼と夜の長さがほぼ同じになる日 | |
| 夏 | 立夏(りっか) | 夏の始まり |
| 夏至(げし) | 一年で最も昼の時間が長くなる日 | |
| 秋 | 立秋(りっしゅう) | 秋の始まり |
| 秋分(しゅうぶん) | 昼と夜の長さがほぼ同じになる日 | |
| 冬 | 立冬(りっとう) | 冬の始まり |
| 冬至(とうじ) | 一年で最も昼の時間が短くなる日 |
3.2 太陽の動きで決まる立夏の日付
では、立夏の日付は具体的にどうやって決まるのでしょうか。実は、「太陽黄経が45度になる日」と天文学的に定められています。
「太陽黄経」というと少し難しく聞こえるかもしれませんが、これは春分の日をスタート地点(0度)としたときの、太陽の位置を示す目盛りのようなものです。太陽が空の通り道を進んでいき、ちょうど45度の目盛りに到達した瞬間を含む日が「立夏」になる、というわけです。地球が太陽の周りをまわる時間はきっかり365日ではないため、太陽の位置が45度になる瞬間も毎年少しずつずれていきます。これが、立夏の日付が5月5日や6日など、年によって変わる理由なのです。

この正確な日時は、毎年2月に日本の天文学の中枢である国立天文台が「暦要項(れきようこう)」として発表しています。昔ながらの季節の呼び名が、現代の科学によって正確に定められているのは、なんだか面白いですね。詳しい情報は国立天文台暦計算室のウェブサイトでもご覧いただけますよ。
4. 立夏の季節を楽しむ昔ながらの風習
暦の上で夏が始まる立夏。日差しは力強さを増し、木々の緑はいっそう深く、生命力あふれる季節の到来です。昔の人々は、この時期ならではの旬の味覚を味わったり、季節の行事を行ったりして、夏の訪れを祝いました。ここでは、私たちの暮らしにも取り入れやすい、立夏の季節を楽しむ昔ながらの風習をご紹介します。日々の生活に季節の彩りを添えて、心地よい初夏のひとときを過ごしてみませんか。
4.1 立夏の時期に旬を迎える食べ物
この季節の楽しみといえば、なんといっても旬の食べ物です。太陽の光をたっぷり浴びて育った初夏の味覚は、栄養も満点。旬のものをいただくことは、季節の恵みを体いっぱいに取り込む、昔ながらの暮らしの知恵でもあります。食卓から、季節の移ろいを感じてみましょう。
| 旬の食材 | 特徴 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| 初鰹(はつがつお) | さっぱりとしていて爽やかな味わいの赤身魚。 | 薬味をたっぷり添えた「たたき」や、新鮮な「お刺身」が人気です。 |
| たけのこ | シャキシャキとした歯ごたえと、豊かな風味が魅力。 | 香り高い「炊き込みご飯」や、素材の味を活かした「若竹煮」など。 |
| 豆類(そら豆、えんどう豆など) | 鮮やかな緑色と、ほのかな甘みが初夏らしい味わい。 | さっと塩ゆでにしたり、彩りの良い「豆ごはん」にしたりするのがおすすめです。 |
4.1.1 初夏の味覚の代表格 初鰹

「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」という山口素堂の俳句はあまりにも有名ですね。江戸時代から、初鰹は初夏の訪れを告げる縁起の良い食べ物として、人々に大変喜ばれてきました。この時期の鰹は、秋の「戻り鰹」と比べて脂が少なく、さっぱりとした味わいが特徴です。新玉ねぎやみょうが、にんにくなどの薬味をたっぷり添えて、たたきやお刺身でいただくのが定番。爽やかな初夏の風を感じるような、清々しい味わいが口いっぱいに広がります。
4.1.2 生命力あふれる たけのこ
春の味覚という印象が強い「たけのこ」ですが、立夏の頃まで楽しむことができます。「筍」という漢字が「竹かんむり」に「旬」と書くことからも、まさにその時期が一番おいしいことを示していますね。ぐんぐんと天に向かって伸びる、その力強い生命力をいただくように、シャキシャキとした食感を楽しみましょう。お出汁の香りが広がる炊き込みご飯や煮物、天ぷらなど、さまざまな料理でその風味を堪能できます。
4.1.3 爽やかな味わいの豆類

立夏の頃になると、そら豆やえんどう豆、スナップエンドウといった豆類も旬を迎えます。さやから出したばかりの豆は、宝石のように艶やかで、見ているだけでも心が和みます。さっと塩ゆでするだけで、豆本来の甘みと豊かな香りが引き立ち、お酒のおつまみにもぴったり。また、炊き立てのご飯に混ぜ込む「豆ごはん」は、食卓に初夏の彩りと香りを運んでくれる、この季節ならではのごちそうです。
4.2 この時期に行われる行事やイベント
立夏は、ちょうどゴールデンウィークの終わり頃と重なることが多く、各地でさまざまな行事が行われます。季節の節目を大切にする、昔ながらの習慣に触れてみるのも素敵ですね。
代表的なのが、5月5日の「端午の節句(たんごのせっく)」です。男の子の健やかな成長を願う日で、菖蒲湯(しょうぶゆ)に入ったり、柏餅やちまきを食べたりする風習が今も残っています。菖蒲の強い香りが邪気を払うと信じられていたそうです。
また、農村部では田植えの準備が本格的に始まるのもこの頃。昔から、人々は五穀豊穣を祈りながら、新しい季節の農作業を始めていました。私たちの食を支える大切な営みが、この時期からスタートするのですね。
そして忘れてはならないのが「八十八夜(はちじゅうはちや)」。立春から数えて88日目にあたる日で、立夏の少し前にあたります。「夏も近づく八十八夜」の歌でも親しまれているように、茶摘みの最盛期です。この時期に摘まれた新茶は、香り高く、滋味あふれる格別な味わい。一杯の新茶をゆっくりと味わう時間は、心に安らぎと潤いをもたらしてくれます。
5. 立夏にまつわる言葉と豆知識
夏の始まりを告げる「立夏」。この言葉を知っているだけで、季節の移ろいをより深く感じられるようになります。ここでは、手紙や暮らしの中で使える立夏にまつわる言葉や、ちょっとした豆知識をご紹介します。日々の会話やお手紙に、季節の彩りを添えてみませんか。
5.1 手紙や俳句で使える立夏の季語
「立夏」という言葉そのものが、夏の始まりを表す季語として、俳句や手紙の時候の挨拶に使われます。風薫る新緑が目にまぶしいこの季節には、他にもたくさんの美しい季語があります。季節の言葉を知ることで、何気ない日常の景色もより一層味わい深く感じられるようになりますよ。
立夏の頃に使われる代表的な季語をいくつか見てみましょう。
| 分類 | 季語の例 | 意味や情景 |
|---|---|---|
| 時候 | 初夏(しょか)、薄暑(はくしょ)、夏浅し(なつあさし) | 夏の気配が立ち始めたばかりの、まだ暑さが厳しくない頃合いを表します。 |
| 動物 | 夏燕(なつつばめ)、蛙(かわず)、孑孑(ぼうふら) | 暖かさとともに活動を始める生き物たちの姿は、生命力にあふれています。 |
| 植物 | 新緑(しんりょく)、若葉(わかば)、牡丹(ぼたん)、菖蒲(しょうぶ) | 目に鮮やかな緑や、初夏に咲き誇る美しい花々が季節を彩ります。 |
| 生活 | 鯉のぼり、柏餅(かしわもち)、更衣(ころもがえ) | この時期ならではの行事や習慣も、季節を感じさせてくれる大切な風物詩です。 |
お手紙を書く際には、「立夏の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」のように、時候の挨拶として使うことができます。また、親しい方へのお便りなら、「風薫る季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか」といった柔らかい表現も素敵ですね。
5.2 立夏とこどもの日の関係
立夏の日付は、毎年5月5日か6日頃。ちょうど「こどもの日」と同じ時期にあたりますね。そのため、この二つを同じものだと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は成り立ちが異なります。
「立夏」が太陽の動きに基づいて決まる「二十四節気」の一つであるのに対し、「こどもの日」は「端午の節句」として日付が5月5日に定められた「五節句」の一つです。
立夏は天文学的な季節の区切り、こどもの日は古くからの文化的な行事、と考えると分かりやすいかもしれません。日付が固定されているこどもの日と、年によって日付が動く立夏が、偶然同じ日になる年もあります。ちなみに、この記事のテーマである2026年は、立夏とこどもの日が5月5日で重なる、少し特別な年になります。
鯉のぼりが青空を泳ぎ、菖蒲湯の香りが漂うこどもの日は、まさに初夏の訪れを象徴する風景です。由来は違えど、立夏とこどもの日は、どちらも私たちに生命力あふれる季節の到来を告げてくれる、大切な一日と言えるでしょう。
6. まとめ
2026年の「立夏」は5月5日、こどもの日と同じ日です。この記事では、夏の始まりを告げる立夏の意味や由来、そして季節を楽しむための風習についてご紹介しました。
立夏の日付が毎年少しずつ変わるのは、現在使われている太陽暦とは異なり、太陽の天球上の位置に基づいて定められているからなのですね。日に日に緑が濃くなり、爽やかな風が心地よいこの季節。初鰹やたけのこなど、旬の味覚を食卓に並べて、季節の移ろいを五感で味わってみるのも素敵なひとときです。
古くから伝わる暦に耳を傾けることで、普段何気なく過ぎていく毎日が、より豊かに感じられるかもしれません。暦の上での夏の始まりを、どうぞ晴れやかな気持ちでお迎えくださいね。



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