秋の夜長に空を見上げ、美しい月を愛でる「十五夜」。2025年の十五夜（中秋の名月）は10月6日（月）です。この記事では、十五夜の日にちが毎年変わる理由や、その意味と由来をわかりやすく解説します。さらに、月見団子といったお供え物に込められた願い、ご家族で楽しむ過ごし方のヒント、日本独自の風習「十三夜」まで、お月見の準備と知識が深まる情報をお届け。心豊かな秋のひとときを過ごしてみませんか。
1. 2025年の十五夜はいつ？答えは10月6日（月）
秋の夜長、澄んだ空気のなかで美しい月を眺める「お月見」。心待ちにされている方も多いのではないでしょうか。日本の秋を象徴する行事である十五夜（じゅうごや）は、「中秋の名月（ちゅうしゅうのめいげつ）」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。
さっそくですが、2025年の十五夜は10月6日（月）です。お月見の計画を立てる際には、ぜひこの日を覚えておいてくださいね。平日ではありますが、月が美しく輝く夜、少しだけ空を見上げて季節の移ろいを感じてみるのはいかがでしょうか。
1.1 過去と未来の十五夜の日付一覧
「来年の十五夜はいつかしら？」「去年はいつだったかしら？」と、気になった時のために、過去と未来の十五夜の日付を一覧にまとめました。ご家族との会話のきっかけや、来年以降の計画を立てる際にお役立てください。
| 年 | 十五夜（中秋の名月）の日付 | 曜日 |
|---|---|---|
| 2023年 | 9月29日 | 金曜日 |
| 2024年 | 9月17日 | 火曜日 |
| 2025年 | 10月6日 | 月曜日 |
| 2026年 | 9月25日 | 金曜日 |
| 2027年 | 9月15日 | 水曜日 |
| 2028年 | 10月3日 | 火曜日 |
| 2029年 | 9月22日 | 土曜日 |
| 2030年 | 9月12日 | 木曜日 |
※日付は国立天文台の情報を参考にしています。
こうして見ると、毎年日付が大きく変わることがわかりますね。十五夜がなぜ毎年違う日になるのか、その不思議な理由については、次の章で詳しくお話しします。
2. 十五夜とは？中秋の名月と呼ばれる意味や由来
秋の夜長、空を見上げると美しい月が輝いていますね。「十五夜」というと、お団子をお供えしてお月見をする日、というイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。この十五夜は「中秋の名月（ちゅうしゅうのめいげつ）」とも呼ばれ、古くから日本で親しまれてきたとても美しい風習です。ここでは、その言葉の意味や素敵な由来を紐解いていきましょう。
2.1 十五夜は旧暦8月15日の夜に見える月のこと
「十五夜」とは、その名の通り旧暦の8月15日の夜に見える月のことを指します。現在私たちが使っているカレンダーは「新暦」ですが、昔は月の満ち欠けを基準にした「旧暦」が使われていました。
旧暦では7月、8月、9月を「秋」としており、その真ん中にあたる8月は「中秋」と呼ばれます。そして、旧暦では毎月15日頃に満月を迎えることから、秋の真ん中の月である8月15日に見られる月を「中秋の名月」と呼び、一年で最も空が澄みわたり月が美しく見える時期として、特別に大切にされてきました。
2.2 中国から伝わった月を鑑賞する風習が由来
日本のお月見の風習は、もともと中国から伝わったものだと言われています。平安時代、遣唐使によって日本に伝わった中国の「中秋節（ちゅうしゅうせつ）」という行事がその起源です。
当時は貴族たちが集まり、池に舟を浮かべて水面に映る月を眺めたり、詩歌を詠んだりしてお月見の宴を楽しんだそうです。なんとも雅で、うっとりするような光景が目に浮かびますね。
その後、江戸時代になると、この風習は庶民の間にも広く浸透していきました。貴族の雅な遊びから、秋の収穫に感謝する「収穫祭」としての意味合いが強くなり、採れたばかりの里芋などをお供えする、日本独自の文化へと発展していったのです。美しい月を愛でる心と、自然の恵みに感謝する気持ちが合わさって、今の十五夜の形になったのですね。
3. 十五夜は満月とは限らない？毎年日付が違う理由
「十五夜といえば、まん丸の満月」と思われている方も多いかもしれませんね。けれど、実は十五夜の日と満月の日がぴったり重なるとは限らないのですよ。また、十五夜の日付が毎年変わるのも、なんだか不思議に思いませんか？
その背景には、私たちが普段使っているカレンダーと、昔ながらの月の暦との間にちょっとした違いがあるのです。ここでは、その理由を少し詳しく見ていきましょう。
3.1 旧暦と新暦のずれが原因
十五夜の日付が毎年変わる一番の理由は、「旧暦」と「新暦」という2つの暦の仕組みの違いにあります。
十五夜はもともと、「旧暦（太陰太陽暦）」の8月15日の夜に見える月のことを指します。この旧暦は、月の満ち欠けを基準にして日付を決める「お月様のカレンダー」のようなものです。新月の日を1日（ついたち）として、次の新月の前日までを1か月と数えます。
一方で、私たちが現在使っているカレンダーは「新暦（太陽暦、グレゴリオ暦）」と呼ばれ、地球が太陽の周りを一周する時間（約365日）を基準にしています。
月の満ち欠けの周期（約29.5日）を12倍しても約354日となり、新暦の1年（365日）と比べると11日ほどの差が生まれてしまいます。この差が年々積み重なっていくため、旧暦の8月15日を新暦に当てはめると、毎年日付が変わってくるというわけなのですね。
さらに、十五夜が必ずしも満月にならないのにも、お月様の動きに関わる理由があります。
月の軌道はきれいな円ではなく少しだけ楕円形をしているため、新月から満月までにかかる日数が毎回きっかり14日というわけではなく、13.9日から15.6日の間で変動します。そのため、旧暦の15日という日付と、天文学的に最も月が満ちる「満月」の瞬間が、1〜2日ほどずれることがあるのです。
実際に、過去と未来の十五夜と満月の日付を見比べてみると、そのずれがよくわかります。
| 年 | 十五夜（中秋の名月）の日付 | 天文学的な満月の日付 |
|---|---|---|
| 2023年 | 9月29日 | 9月29日 |
| 2024年 | 9月17日 | 9月18日 |
| 2025年 | 10月6日 | 10月6日 |
| 2026年 | 9月25日 | 9月25日 |
このように、十五夜と満月が同じ日になる年もあれば、少しずれる年もあるのですね。とはいえ、十五夜の月が満月に近い美しい月であることに変わりはありません。少し欠けていても、その趣を楽しむのが古くからの日本の風流なのかもしれませんね。
より詳しい暦の情報については、国立天文台の暦Wikiなども参考にしてみてください。
4. 十五夜の楽しみ方 おすすめの過ごし方を紹介
秋の夜長、美しい月を眺めながら心豊かな時間を過ごしてみませんか。十五夜は、ただ月を眺めるだけでなく、古くからの風習に触れることで、より一層味わい深いものになります。ここでは、お月見がもっと楽しくなる、おすすめの過ごし方をご紹介します。
4.1 お月見に欠かせないお供え物とその意味
お月見といえば、月が見える場所に縁側や窓辺にお供え物をするのが習わしです。これらのお供え物には、それぞれに大切な意味が込められています。秋の収穫に感謝し、これからの豊作を願う気持ちを月に伝えてみましょう。
4.1.1 月見団子
まん丸なお団子は、十五夜の月に見立てたものです。このお団子を食べることで、健康と幸せを得られると考えられてきました。お供えする数は、十五夜にちなんで15個、または1年の満月の数である12個（閏年は13個）にするなど、地域によって様々です。穀物の収穫に感謝し、物事の結実や人との縁が満ちるようにとの願いが込められています。お月見が終わった後には、家族みんなで美味しくいただきましょう。
4.1.2 ススキ
ススキは、秋の七草のひとつ。稲穂によく似ていることから、お米の豊作を願う意味でお供えされるようになりました。また、ススキの鋭い切り口は魔除けの力があると信じられており、神様が宿る依り代（よりしろ）として、収穫物や家を災いから守ってくれると考えられています。お月見の後、軒先に吊るしておくと一年間病気をしないという言い伝えも残っています。
4.1.3 里芋や季節の野菜 果物
十五夜は、里芋の収穫時期にあたることから「芋名月（いもめいげつ）」とも呼ばれます。そのため、里芋をお供えするのは大切な習わしです。里芋のほかにも、ぶどうや栗、柿といった、その季節に採れた旬の作物をお供えします。これは、たくさんの実りを与えてくれた自然の恵みへの感謝を月に報告するという意味合いがあります。農林水産省のウェブサイトでも、各地の郷土料理としてお月見の習慣が紹介されています。詳しくは「うちの郷土料理 月見団子」のページもご覧ください。
4.2 子供と一緒に楽しむ十五夜のアイデア
お孫さんなど、小さなお子様と一緒に十五夜を過ごすのも素敵な時間です。昔ながらの行事を一緒に体験することで、日本の美しい文化を次の世代に伝えていくことができます。
例えば、白玉粉を使って月見団子を一緒に作るのはいかがでしょうか。粘土遊びのようにこねたり丸めたりする作業は、お子様もきっと夢中になるはずです。形が少し不揃いでも、自分たちで作ったお団子の味は格別でしょう。
また、月を眺めながら「月にはうさぎがいてお餅つきをしているんだよ」とお話ししたり、『竹取物語』のかぐや姫の絵本を読み聞かせたりするのも良いですね。双眼鏡があれば、月の表面をより詳しく観察できて、お子様の好奇心をくすぐるかもしれません。
こうした体験は、お子様の心に美しい原風景として残り、伝統行事を大切に思う気持ちを育むきっかけにもなります。ぜひ、ご家族ならではの十五夜の思い出を作ってみてくださいね。
5. 日本独自の風習 十三夜と十日夜について
秋のお月見といえば十五夜が有名ですが、実は日本には「十三夜（じゅうさんや）」と「十日夜（とおかんや）」という、お月見にまつわる素敵な風習があるのをご存知でしょうか。十五夜の月を鑑賞したなら、ぜひ十三夜の月も愛でてみてくださいね。昔から、十五夜と十三夜のどちらか一方しか見ないことを「片見月（かたみつき）」と呼び、縁起が悪いこととされていました。せっかくなら、両方の美しい月を楽しんで、豊かな実りの秋に感謝を捧げたいものですね。
ここでは、日本ならではの奥ゆかしい風習である「十三夜」と「十日夜」について、詳しくご紹介します。
5.1 十三夜（後の月）はいつ？
十三夜は、旧暦の9月13日の夜に見える月のことを指します。十五夜の約1か月後に巡ってくることから「後の月（のちのつき）」とも呼ばれています。また、お供え物として旬を迎える栗や豆を供えることから「栗名月（くりめいげつ）」「豆名月（まめめいげつ）」という、かわいらしい別名でも親しまれているんですよ。
十五夜が中国から伝わった風習であるのに対し、十三夜は平安時代に日本で始まった独自の風習といわれています。少しだけ欠けた月にも趣を感じ、その風情を愛でるという、日本人ならではの感性が生んだ文化なのかもしれませんね。
過ごし方は十五夜と同じように、月が見える場所にススキを飾り、月見団子（13個または3個）や、旬の栗、柿、豆などをお供えして、美しい月を眺めます。2025年以降の十三夜の日付は、以下の通りです。
| 年 | 十三夜の日付 |
|---|---|
| 2025年 | 11月2日（日） |
| 2026年 | 10月22日（木） |
| 2027年 | 10月12日（火） |
5.2 十日夜（とおかんや）はいつ？
十日夜は、旧暦の10月10日に行われる、収穫を祝う行事です。主に関東から甲信越、東北地方にかけて見られる風習で、田の神様が山へお帰りになる日とされています。この一年の実りに感謝し、来年の豊作を願う、いわば「秋の収穫祭」なのですね。
十日夜の風習は地域によって様々ですが、代表的なものに「わら鉄砲」があります。子供たちが束ねた藁で地面を叩きながら「十日夜、十日夜、てんつくぼーを祝わねば、大根の根っこがちぎれちゃう」などと歌い、土地の神様を励ましたり、作物を荒らすモグラを追い払ったりしたのだそうです。なんとも微笑ましい光景が目に浮かびますね。
お供え物には、餅やぼたもち、おはぎなどを用意します。この日に餅を食べると健康に過ごせるともいわれていますよ。十五夜、十三夜、そしてこの十日夜の3日間とも晴れて月が見えることを「三の月見（さんのつきみ）」と呼び、とても縁起が良いこととされています。
現在では、新暦の11月10日に行う地域が多いようです。参考までに、旧暦の十日夜の日付もご紹介します。（参考：うちの郷土料理 十日夜のぼたもち（農林水産省））
| 年 | 十日夜の日付 |
|---|---|
| 2025年 | 11月29日（土） |
| 2026年 | 11月18日（水） |
| 2027年 | 11月7日（日） |
6. まとめ
2025年の十五夜（中秋の名月）は10月6日（月）です。十五夜は旧暦の8月15日のことで、毎年日付が変わるのは新暦とのずれが理由なのですね。美しい月を愛でるこの風習は、元々は中国から伝わったもの。月見団子やススキをお供えして、秋の夜長に空を見上げてみませんか。日本には十三夜という風習もあり、十五夜とあわせて楽しむのも素敵ですね。忙しい毎日だからこそ、季節の移ろいを感じる穏やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
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