夏の訪れとともに気になる「土用の丑の日」。2025年はいつかしら?そして、どうしてうなぎを食べるのが習慣になったのでしょう?この記事では、そんな土用の丑の日にまつわる疑問にお答えします。2025年の日付はもちろん、その意味や由来、うなぎを食べるのは夏バテを防ぎ元気に過ごすため、といった理由も詳しく解説。うなぎ以外の食べ物や過ごし方もご紹介し、この日をより豊かに楽しむヒントをお届けします。
1. 2025年の土用の丑の日はいつ?
待ち遠しい2025年の「土用の丑の日」。夏の風物詩として、多くの方がうなぎを味わう日を楽しみにされているのではないでしょうか。暦の上でいつになるのか、気になりますよね。さっそく、2025年の土用の丑の日がいつなのか、一緒に確認していきましょう。

1.1 2025年の一の丑と二の丑の日付
2025年の夏の土用の丑の日は、なんと2回ございます。1回目の日を「一の丑(いちのうし)」、そして2回目の日を「二の丑(にのうし)」と呼びます。どちらの日も、うなぎを味わう絶好の機会となりそうですね。具体的な日付は以下の通りです。
2025年 夏の土用の丑の日 | 日付 | 曜日 |
---|---|---|
一の丑 | 7月24日 | 木曜日 |
二の丑 | 8月5日 | 火曜日 |
このように、2025年は7月24日(木)と8月5日(火)の2日間が、夏の土用の丑の日にあたります。年に複数回あるのはなぜかしら?と疑問に思われるかもしれませんね。その詳しい理由については、後の章で丁寧にご説明いたしますので、どうぞお楽しみに。
ちなみに、「土用」という期間は、立春、立夏、立秋、立冬の直前の約18日間を指し、実は夏だけでなく春、秋、冬と年に4回あるものなのです。一般的に「土用の丑の日」として親しまれているのは、この夏の土用期間中の丑の日を指すことが多いのですよ。
2. そもそも土用の丑の日とはどんな日?
「土用の丑の日」と聞くと、多くの方が「うなぎを食べる日!」と思い浮かべるかもしれませんね。もちろんそれも大切な習慣の一つですが、実はこの日にはもっと奥深い意味が込められているのですよ。日本の豊かな四季の移り変わりと、古くからの暮らしの知恵が詰まった「土用の丑の日」について、まずはその基本から見ていきましょう。

2.1 「土用」期間の意味と由来
「土用(どよう)」という言葉、なんだか特別な響きがありますね。これは、日本の暦の中で、季節の変わり目を示す大切な期間のことなのです。
私たちの暮らしに深く関わる季節は、立春(りっしゅん)、立夏(りっか)、立秋(りっしゅう)、立冬(りっとう)という4つの節目で区切られています。「土用」とは、これらの立春、立夏、立秋、立冬の直前の約18日間を指します。つまり、土用は年に4回あるのですね。
この考え方のルーツは、古代中国から伝わった「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」にあります。この説では、自然界のあらゆるものは木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)という5つの要素で成り立っていると考えられています。春には「木」、夏には「火」、秋には「金」、冬には「水」の気を割り当て、そして各季節の終わりに残った「土」の気を割り当てたのが「土用」なのです。
昔の人々は、この土用の期間を「土の気が盛んになる時期」と考え、土を司る神様である「土公神(どくじん・どこうしん)」が支配する期間としました。そのため、土を動かす作業、例えば畑仕事や家の増改築、井戸掘りなどは控えるべきとされていました。季節の変わり目は体調を崩しやすい時期でもあるため、無理をせず、静かに過ごし、次の季節に備える養生の期間という意味合いもあったのですよ。より詳しい土用の定義については、国立天文台暦計算室の暦Wikiも参考になります。
2.2 「丑の日」とは何か
次に「丑の日(うしのひ)」についてご説明しますね。昔の日本では、日付や方角、時刻などを「十二支(じゅうにし)」で数える習慣がありました。十二支とは、皆さまお馴染みの「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)…」のことです。
この十二支を1日ごとに割り当てていくと、「丑の日」は12日周期で巡ってくることになります。ですから、「土用の丑の日」とは、先ほどご説明した「土用」の期間中にやってくる「丑の日」を指すのですね。
2.3 土用の丑の日が年に複数回あるのはなぜ?
「土用の丑の日って、夏にしかないのかしら?」と思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。
先ほどお話ししたように、「土用」の期間は約18日間あります。そして「丑の日」は12日ごとに巡ってきますね。この組み合わせによって、一つの土用期間中に「丑の日」が1回だけの場合と、2回巡ってくる場合があるのです。
もし土用期間中に丑の日が2回ある場合は、最初の丑の日を「一の丑(いちのうし)」、2回目の丑の日を「二の丑(にのうし)」と呼びます。特に夏の土用は、暑さで体力が消耗しやすいため、栄養価の高いうなぎを食べる習慣と結びつき、他の季節の土用の丑の日よりも広く知られるようになったのですね。
3. 土用の丑の日にうなぎを食べる意味と気になる由来
夏の風物詩ともいえる土用の丑の日のうなぎ。どうしてこの日にうなぎを食べる習慣が根付いたのでしょうか。その背景には、興味深いお話や、昔ながらの知恵が隠されているようです。ここでは、うなぎを食べる意味や、その由来について、紐解いていきましょう。

3.1 うなぎを食べる習慣はいつから?平賀源内説を解説
土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が広まったのは、江戸時代中期から後期にかけてと言われています。そのきっかけを作ったとされるのが、マルチな才能で知られる平賀源内(ひらがげんない)です。
当時、うなぎは冬が旬とされ、夏場は脂が落ちて味が落ちると思われていたためか、あまり売れ行きが良くなかったそうです。困ったうなぎ屋の主人が、博識でアイデアマンとして有名だった平賀源内に相談を持ちかけました。そこで源内は、「本日土用丑の日」と書いた貼り紙を店先に掲げることを提案します。「丑の日に『う』のつくものを食べると夏負けしない」という民間伝承があったことから、これが大当たり。お店は大繁盛し、他のうなぎ屋もこぞって真似するようになり、やがて夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が定着した、というお話です。
この平賀源内説は、最も広く知られている由来ですが、あくまで諸説の一つとされています。しかし、ユニークな発想と宣伝効果で、一つの食文化が生まれたと考えると、とても面白いエピソードですよね。もしかしたら、あなたの近所のうなぎ屋さんの暖簾にも、そんな歴史が隠されているのかもしれません。
3.2 夏バテ防止?うなぎの栄養と土用の丑の日の関係
「土用の丑の日にうなぎを食べると夏バテしない」とよく言われますが、これは単なる言い伝えだけではないようです。うなぎには、私たちの体にとって嬉しい栄養素がたっぷり含まれているのです。
特に注目したいのは、以下の栄養素です。
- ビタミンA:目の健康維持や皮膚・粘膜を丈夫にし、免疫力を高める働きが期待できます。夏風邪の予防にもつながりますね。
- ビタミンB群(B1、B2など):糖質や脂質の代謝を助け、エネルギーを生み出すのに不可欠です。疲労回復をサポートしてくれるので、暑さでバテ気味の体にぴったりです。
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする働きがあります。
- ビタミンE:強い抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐ効果が期待されます。「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
- DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸):青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸で、血液をサラサラにする効果や、記憶力の維持にも役立つと言われています。
- カルシウムや鉄分などのミネラル:骨や歯の健康、貧血予防など、体の調子を整えるのに大切な成分です。
これらの栄養素がバランス良く含まれているうなぎは、まさに夏を元気に乗り切るためのスタミナ食と言えるでしょう。昔の人々は、経験的にうなぎの滋養強壮効果を知っていて、夏の暑い時期に食べることで体力を維持しようとしたのかもしれませんね。現代の栄養学から見ても、土用の丑の日にうなぎを食べるのは、とても理にかなった習慣なのです。
3.3 「う」のつく食べ物で縁起が良いとされる風習
土用の丑の日には、うなぎ以外にも「う」のつく食べ物を食べると縁起が良い、という風習があるのをご存知でしたか?これは「丑の日」の「う」にちなんで、病気や災厄から逃れられるようにという願いが込められていると言われています。
具体的には、次のような食べ物が挙げられます。
「う」のつく食べ物 | 主な特徴や期待されること |
---|---|
梅干し(うめぼし) | クエン酸が豊富で疲労回復を助け、食欲増進や殺菌作用も期待できます。夏バテ気味の体に嬉しいですね。 |
うどん | 消化が良く、温かくしても冷たくしても美味しく食べられるので、食欲がない時にもおすすめです。 |
瓜(うり)類(きゅうり、すいか、冬瓜など) | 体の熱を冷まし、水分補給にも役立ちます。夏野菜の代表格ですね。 |
牛肉(うしにく) | 良質なたんぱく質や鉄分が豊富で、スタミナアップに繋がります。 |
うの花(おから) | 食物繊維が豊富で、お腹の調子を整えるのに役立ちます。 |
これらの食べ物も、うなぎと同様に夏を乗り切るための知恵として、古くから親しまれてきたのかもしれません。土用の丑の日には、うなぎだけでなく、こうした「う」のつく食べ物も食卓に取り入れて、楽しみながら夏の健康を願うのも素敵ですね。ご家族やご友人と、どんな「う」のつく食べ物があるか話し合ってみるのも楽しいひとときになりそうです。
4. 土用の丑の日に食べたい うなぎ以外の食べ物
土用の丑の日といえば、うなぎを思い浮かべる方が多いことでしょう。ですが、うなぎ以外にも、この時期に食べると良いとされるものがたくさんあるのをご存知でしたか? うなぎは少し贅沢かな…と感じる時や、いつもと違う楽しみ方をしたい時にもぴったりな、美味しくて体に優しい食べ物をご紹介しますね。
4.1 「う」のつく食べ物 梅干しやうどん
昔から、土用の丑の日には「う」のつく食べ物を食べると夏負けしないという言い伝えがあります。これは、うなぎを食べる習慣が広まる前からあったとも言われていますよ。暑い夏を元気に乗り切るための、先人の知恵が詰まった食習慣なのですね。代表的な「う」のつく食べ物を見ていきましょう。
食べ物 | 特徴とおすすめポイント |
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梅干し(うめぼし) | クエン酸が豊富で、疲労回復や食欲増進に役立ちます。お弁当の傷み防止にも使われるように、殺菌効果も期待できるので、夏場には特に嬉しい食材ですね。ご飯と一緒に、あるいは和え物などに少し加えるだけでも、さっぱりといただけます。 |
うどん | 消化が良く、胃腸が疲れやすい夏にも優しい食べ物です。温かいうどんはもちろん、冷たいうどんに薬味をたっぷり添えれば、食欲がない時でもつるりと食べられます。卵とじうどんにすれば、栄養価もアップしますよ。 |
瓜(うり)類 | きゅうり、すいか、冬瓜(とうがん)、苦瓜(にがうり/ゴーヤ)など、瓜科の野菜や果物も「う」のつく食べ物です。体の熱を冷まし、水分補給にもなるので、夏バテ予防にぴったり。きゅうりの酢の物や、冬瓜の煮物など、調理法も様々です。 |
牛肉(うしにく) | 牛肉も「うし」として「う」がつくとされています。良質なたんぱく質や鉄分が豊富で、スタミナをつけたい時におすすめです。夏野菜と一緒に炒め物にしたり、さっぱりと冷しゃぶにしたりするのも良いですね。 |
これらの他にも、「う」のつく食べ物は探してみると色々あります。例えば、馬肉(うまにく)や、どじょう(泥鰌)などもそうですね。ご自身の体調や好みに合わせて、美味しく取り入れてみてはいかがでしょうか。
4.2 土用餅や土用しじみなど地域ごとの食文化
土用の丑の日には、「う」のつく食べ物以外にも、古くから日本各地で親しまれてきた特別な食べ物があります。それぞれの地域に根付いた食文化に触れてみるのも、この時期ならではの楽しみ方ですね。
4.2.1 土用餅(どようもち)
土用餅とは、主に土用の入りの日に食べるあんころ餅のことです。お餅は力餅、小豆は厄除けの色とされることから、土用餅を食べることで暑い夏を無病息災で乗り切れると信じられてきました。江戸時代には、宮中で暑気払いのために味噌汁に餅を入れて食べていたものが庶民に広まり、あんころ餅の形になったという説もあります。関西地方を中心に、今でも和菓子屋さんで見かけることができますよ。優しい甘さのあんこがお餅を包み込み、ほっとする美味しさです。
4.2.2 土用しじみ
「土用しじみは腹薬」ということわざがあるほど、しじみは栄養価が高いことで知られています。特に夏の土用の時期に獲れるしじみは、産卵期を控えて栄養をたっぷり蓄えているため、滋養強壮に良いとされています。しじみには、肝臓の働きを助けるオルニチンやタウリン、貧血予防に役立つ鉄分やビタミンB12などが豊富に含まれています。お味噌汁や佃煮などでいただくと、その栄養をまるごと摂ることができますね。夏バテ気味の体に、じんわりと染み渡る美味しさです。
これらの他にも、地域によっては土用の日に特別なものを食べる風習が残っているかもしれません。ご自身の故郷や、お住まいの地域の食文化を調べてみるのも楽しいですね。土用の丑の日は、うなぎだけでなく、こうした伝統的な食べ物にも目を向けて、美味しく健やかに夏を過ごしましょう。
5. 土用の丑の日の伝統的な過ごし方と現代の楽しみ方
土用の丑の日といえば、うなぎを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はうなぎを食べる以外にも、古くから伝わる過ごし方や、現代ならではの楽しみ方があるのですよ。ここでは、そんな土用の丑の日の伝統と、今に活きる過ごし方のヒントをご紹介します。日々の暮らしに彩りを添える、素敵な一日になりますように。
5.1 昔ながらの土用の丑の日の風習 土用干しや丑湯
日本の四季の移り変わりを大切にしてきた昔の人々は、土用の期間をどのように過ごしていたのでしょうか。代表的な風習をいくつか見ていきましょう。こうした習わしには、暑い夏を健やかに乗り切るための知恵が詰まっています。
5.1.1 土用干しとは?大切な衣類や書物を守る知恵
梅雨が明け、日差しが強くなるこの時期に行われるのが「土用干し(どようぼし)」です。昔は、衣類や布団、そして大切な書物などを虫干しして、湿気を取り除き、カビや虫から守っていました。特に、田んぼの稲に虫がつくのを防ぐために、この時期に干したことから「土用干し」と呼ばれるようになったという説もあります。現代の私たちも、クローゼットの風通しを良くしたり、押し入れの奥にしまい込んでいるものを一度出して空気に当てたりする良い機会かもしれませんね。お気に入りの夏物のお洋服を点検したり、読み終えた本を整理したりするのもいいでしょう。
5.1.2 丑湯(うしゆ)で夏の疲れを癒す
土用の丑の日に、薬草などを入れたお風呂に入る「丑湯(うしゆ)」という風習もありました。夏の暑さで疲れた体を癒し、無病息災を願うもので、桃の葉やよもぎ、どくだみといった薬効のある植物がよく使われたそうです。桃の葉にはあせもや湿疹を和らげる効果が期待できるといわれていますし、よもぎやどくだみも血行促進や保温効果があるとされています。現代でも、入浴剤やハーブバスソルトなどで手軽に楽しめますね。いつものお風呂に少し工夫を凝らして、ゆったりとリラックスする時間を持つのも素敵です。心身ともにリフレッシュして、暑い夏を乗り切りましょう。
5.1.3 その他の地域の風習 きゅうり加持
地域によっては、ユニークな風習も残っています。例えば、きゅうりに病気や災いを封じ込めて土に埋めたり、川に流したりする「きゅうり加持(きゅうりかじ)」という行事を行うお寺もあります。これは、きゅうりが体の熱を取ると信じられていたことや、弘法大師空海がきゅうりに疫病を封じたという言い伝えに由来するといわれています。こうした地域の風習に触れてみるのも、土用の丑の日をより深く知るきっかけになるかもしれません。旅先で偶然出会うこともあるかもしれませんね。
5.2 現代における土用の丑の日の過ごし方
伝統的な風習も大切にしつつ、現代のライフスタイルに合わせて土用の丑の日を楽しむ方法もたくさんあります。肩ひじ張らず、自分らしく過ごすヒントを見つけてみましょう。大切なのは、季節の移り変わりを感じ、心豊かに過ごすことです。
5.2.1 夏の風物詩として楽しむ
土用の丑の日は、夏の訪れを感じさせる風物詩の一つとして、気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。必ずしもうなぎを食べなければならないわけではありません。例えば、旬の夏野菜をたっぷり使ったお料理を味わったり、涼しげな和菓子を選んでみたりするのも良いでしょう。家族や友人と一緒に、夏の思い出作りのきっかけにするのも素敵ですね。季節を感じる食卓は、心も体も満たしてくれます。
5.2.2 夏の健康を意識した過ごし方
厳しい暑さが続くこの時期は、体調を崩しやすいものです。土用の丑の日を、改めて夏の健康管理を見直す機会にするのも良いでしょう。バランスの取れた食事を心がけ、こまめな水分補給を忘れずに。十分な睡眠と適度な休息も大切です。無理をせず、自分の体と向き合い、いたわる時間を持つことを意識してみてください。お散歩の時間を涼しい時間帯に変えたり、軽いストレッチを取り入れたりするのもおすすめです。
5.2.3 土用の丑の日にちなんだイベントや商品を楽しむ
デパートやスーパーでは、うなぎの特設コーナーが設けられ、活気づきますが、それ以外にも土用の丑の日にちなんだ商品やイベントが見られることがあります。例えば、和菓子屋さんでは「土用餅」が販売されたり、地域によっては小さなお祭りが開かれたりすることも。アンテナを張って、身近なところで楽しめることを見つけてみるのも、季節の行事を満喫するコツかもしれません。ウィンドウショッピングをしながら、季節のディスプレイを楽しむのもいいですね。
6. 土用の丑の日のうなぎ 美味しい選び方と食べ方
土用の丑の日といえば、やはりうなぎを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。せっかくの機会ですから、美味しいうなぎを選んで、ご家庭でも、そして専門店でも存分に味わいたいものですね。この章では、うなぎ選びのコツから、ご家庭での美味しい温め方、さらには専門店でいただく格別なうなぎの魅力まで、詳しくご紹介いたします。
6.1 美味しいうなぎの見分け方と選び方のコツ
スーパーマーケットなどで手軽に購入できるうなぎの蒲焼。パック詰めのものを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえると、より美味しいものに出会える可能性が高まります。
まず、うなぎの産地を確認してみましょう。国産のうなぎは、主に愛知県、静岡県、鹿児島県、宮崎県などが有名で、一般的に身が柔らかく、脂の乗りも上品なものが多いと言われています。外国産(主に中国産や台湾産)のものも、近年は養殖技術が向上し品質の良いものが増えていますが、国産に比べると価格がお手頃な場合が多いです。ご自身の目で見て、納得のいくものを選びましょう。
次に、うなぎの身の厚みと皮目の焼き加減、そしてタレの色つやをチェックします。身がふっくらとしていて厚みがあり、皮目にきれいな焼き色がついているものがおすすめです。タレは、濃すぎず薄すぎず、均一にかかっているものが良いでしょう。真空パックの場合は、パック内にドリップ(汁)がたくさん出ていないかも確認したいポイントです。
また、うなぎの加工方法には、主に「関東風」と「関西風」の二種類があります。関東風は背開きにして一度蒸してから焼き上げるため、身がふっくらと柔らかいのが特徴です。一方、関西風は腹開きにして蒸さずに地焼きするため、皮がパリッとして香ばしい食感が楽しめます。パックの表示で確認できる場合もありますので、お好みに合わせて選んでみてくださいね。
専門店でうなぎを選ぶ際は、お店の方におすすめを尋ねてみるのも良いでしょう。焼き方(炭火焼きか、ガス火かなど)や、お店ごとのタレのこだわりも、味わいを左右する大切なポイントです。その日の気分やお好みに合わせて、じっくりと選んでみてはいかがでしょうか。
6.2 家庭で楽しむうなぎの蒲焼 温め方と簡単レシピ
スーパーなどで購入したうなぎの蒲焼も、ひと手間加えるだけで、まるで焼きたてのような風味がよみがえり、格段に美味しくなります。ご家庭でできる、おすすめの温め方をご紹介します。
温め方 | 特徴 | 手順のポイント |
---|---|---|
フライパン | 皮はパリッと、身はふっくら仕上がりやすい | うなぎの蒲焼の表面についているタレを、キッチンペーパーなどで軽く拭き取るか、さっと水で洗い流します(そのままでも構いません)。皮目を下にしてフライパンに置き、日本酒(または水)を少量振りかけ、蓋をして弱火で2~3分ほど蒸し焼きにします。仕上げに添付のタレをかけ、少し煮詰めると香ばしさが増します。 |
電子レンジ | 手軽でスピーディー | うなぎを耐熱皿に乗せ、日本酒(または水)を少量振りかけてから、ふんわりとラップをし、様子を見ながら数十秒ずつ加熱します。加熱しすぎると身が硬くなることがあるので注意が必要です。温めた後に、オーブントースターで1~2分ほど軽く炙ると、表面が香ばしく仕上がります。 |
オーブントースター | 香ばしく仕上がる | アルミホイルにうなぎを乗せ、日本酒(または水)を少量振りかけて軽く包み込み、数分間加熱します。焦げ付きやすいので、こまめに様子を見て加熱時間を調整してください。仕上げにタレを塗り、再度軽く焼くと、より一層美味しくなります。 |
温めたうなぎは、定番のうな丼やうな重はもちろん、少しアレンジを加えるだけで、また違った美味しさを楽しむことができます。いくつか簡単なレシピをご紹介しましょう。
6.2.1 ひつまぶし風
温めたうなぎの蒲焼を1cm幅程度に細かく刻み、温かいご飯の上にたっぷりとのせます。まずはそのまま味わい、次に薬味(刻み海苔、わさび、小口ネギなど)を添えて、最後は熱々のお出汁をかけてお茶漬けのようにしていただきます。一度で三通りの味が楽しめる、名古屋名物のひつまぶしの雰囲気を、ご家庭でも手軽に再現できますよ。
6.2.2 うざく(鰻ときゅうりの酢の物)
きゅうりを薄切りにして塩もみし、水気を絞ります。小さめに切ったうなぎの蒲焼と合わせ、三杯酢(酢、醤油、みりんを各大さじ1程度で混ぜ合わせたもの)で和えます。うなぎの濃厚な味わいと、きゅうりのさっぱりとした食感が絶妙なハーモニーを生み出し、暑い日にもぴったりの爽やかな一品です。食欲がない時でも、箸が進むことでしょう。
6.2.3 う巻き卵
細かく刻んだうなぎの蒲焼を、だし巻き卵を作る際に一緒に巻き込みます。うなぎの旨味が卵に染み込み、ふんわりとした優しい味わいが楽しめます。見た目も華やかで、お弁当のおかずやお酒のおつまみにも喜ばれます。
6.3 専門店で味わう格別な土用の丑の日のうなぎ
土用の丑の日には、やはり専門店のうなぎを味わいたい、という方も多いことでしょう。専門店ならではの魅力は、なんといっても熟練した職人の技にあります。注文を受けてから一尾ずつ丁寧に焼き上げられるうなぎは、皮はパリッと香ばしく、身は箸で切れるほどふっくらと柔らか。お店ごとに長年受け継がれてきた秘伝のタレも、その味わいを一層引き立てます。
多くのお店では、備長炭などを用いて炭火でじっくりと焼き上げており、その芳醇な香りは食欲をそそり、まさに格別の味わいをもたらしてくれます。落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりとうなぎを堪能する時間は、日頃の疲れを忘れさせてくれる、まさに至福のひとときと言えるでしょう。
土用の丑の日は、多くのうなぎ専門店が大変な賑わいを見せます。特に人気のあるお店では、事前の予約が必須となることも少なくありません。お目当てのお店がある場合は、できるだけ早めに予約状況を確認し、席を確保しておくことをおすすめします。テイクアウトを利用する場合も、事前に注文しておくと、当日の受け取りがスムーズに進みますよ。
7. 参考情報 過去と未来の土用の丑の日一覧
毎年いつが土用の丑の日になるのか、カレンダーを眺めながら心待ちにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、過ぎたばかりの2024年と、少し先の未来である2026年の夏の土用の丑の日を一覧でご紹介いたします。お買い物の計画や、ご家族でのお食事の予定を立てる際の参考に、ぜひお役立てくださいね。
7.1 2024年の土用の丑の日
まずは、記憶にも新しい2024年の夏の土用の丑の日を振り返ってみましょう。2024年は、夏に土用の丑の日が2回巡ってきました。「一の丑(いちのうし)」と「二の丑(にのうし)」があった年ですね。
2024年 夏の土用 | 日付 | 曜日 |
---|---|---|
一の丑 | 2024年7月24日 | 水曜日 |
二の丑 | 2024年8月5日 | 月曜日 |
このように、2024年は7月の下旬と8月の初旬に、うなぎを味わう楽しみが2度もあったのですね。皆さまは、どちらの日にお召し上がりになりましたか?
7.2 2026年の土用の丑の日
続いて、少し先の2026年の夏の土用の丑の日も見てみましょう。来年、再来年の計画を立てるのに、きっとお役に立つことでしょう。
2026年 夏の土用 | 日付 | 曜日 |
---|---|---|
一の丑 | 2026年7月28日 | 火曜日 |
2026年の夏の土用の丑の日は、7月28日の火曜日、この一回となる予定です。この日に向けて、今から美味しいうなぎのお店を探したり、お取り寄せの情報を集めたりするのも楽しい準備期間になりそうですね。
土用の丑の日は、その年によって日付が変わるのが特徴です。これは、二十四節気という季節の移り変わりを示す暦に基づいて決められているため、毎年必ず同じ日になるとは限らないのです。ご紹介した日付以外にも、実は春・秋・冬の各季節にも土用の期間と丑の日がありますが、一般的に「土用の丑の日」としてうなぎを食べる習慣が広く親しまれているのは、やはり夏の土用の丑の日ですね。より詳しい情報や、他の年の土用の丑の日をお知りになりたい場合は、国立天文台などが発表する暦の情報をご確認いただくのがおすすめです。
8. まとめ
2025年の「土用の丑の日」はいつなのか、そして、なぜこの日にうなぎを食べるようになったのか、その背景には平賀源内という人物が関わっていたという説や、夏バテを防ぐための先人の知恵があったのですね。うなぎ以外にも「う」のつく食べ物や、土用餅、土用しじみといった地域ごとの食文化も興味深いものです。昔ながらの風習に思いを馳せ、美味しいうなぎを選んで、この日ならではの楽しみ方を見つけられると素敵ですね。この記事が、皆様の土用の丑の日をより豊かにする一助となれば幸いです。
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