いざという時のために、数珠をどこで買えば良いか、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、仏壇仏具店や百貨店、便利なオンラインショップなど、主な購入場所を詳しくご紹介。さらに、宗派による違いや素材の選び方、男女別の特徴、そして大切な持ち方やマナーまで、数珠にまつわる様々な疑問にお答えします。あなたにぴったりの一つを見つけ、心穏やかにその日を迎えるためのお手伝いができれば幸いです。
1. 数珠はどこで買う 主な購入場所を紹介
いざ数珠を用意しようと思っても、どこで手に入るのか迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。大切な数珠は、私たちの暮らしの身近な場所から、専門的な知識を持つお店まで、さまざまなところでお求めいただけます。それぞれの場所でどのような特徴があり、どんな点に気をつけたら良いのか、一緒に見ていきましょう。
購入場所 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
仏壇仏具店・専門店 | 数珠に関する専門知識が豊富です。品質の高いものが多く揃っています。 | 専門の店員さんに相談しながらじっくり選べます。実物を手に取って確かめられます。修理などのアフターサービスも期待できることがあります。 | 他の場所に比べて価格が高めになる傾向があります。お住まいの地域によっては店舗が限られることもあります。 |
デパート・百貨店 | 比較的アクセスしやすい場所にあります。一定の品質が期待できる商品が並びます。 | お買い物のついでに気軽に立ち寄れます。贈答品としても選びやすいでしょう。 | 仏壇仏具店ほどの専門性はない場合があり、品揃えが限られていることもあります。価格はやや高めの傾向です。 |
オンラインショップ(通販サイト) | 種類が非常に豊富です。価格を比較しやすいのが特徴です。 | ご自宅にいながら手軽に選べます。たくさんの選択肢の中から、ご自身のペースで探せます。 | 実物を直接見たり触れたりできません。色味や質感が想像と異なる可能性も考慮しましょう。信頼できるショップを選ぶことが大切です。 |
葬儀社 | 急に数珠が必要になった場合に便利です。 | 葬儀の準備と合わせて手配できます。いざという時に頼りになります。 | 選べる種類が限られていることが多いです。価格が市場価格より割高になる場合もあります。じっくり選ぶ時間がないかもしれません。 |
100円ショップ・雑貨店 | 非常に安価に手に入ります。 | 手軽に入手できる点が魅力です。 | 品質はあまり期待できず、あくまで一時的な間に合わせや、持ち方の練習用と考えるのが良いでしょう。正式な弔事の場には不向きな場合が多いです。 |
それでは、それぞれの購入場所について、もう少し詳しくご紹介いたしますね。
1.1 仏壇仏具店 専門店で数珠を買う
古くから地域に根ざしている仏壇仏具店や、数珠を専門に扱っているお店は、数珠選びで最も安心できる場所のひとつと言えるでしょう。豊富な知識を持つ店員さんが、宗派による違いや素材の意味、お手入れの方法まで、丁寧に教えてくださいます。
実際に手に取って、珠の質感や重み、房のしなやかさなどを確かめられるのは、専門店ならではの大きなメリットです。ご自身の手にしっくりとなじむか、長く愛用できるかといった視点からも選ぶことができます。初めて数珠を購入される方や、品質にこだわりたい方、きちんとした本式数珠をお探しの方には特におすすめです。修理や房の交換など、購入後の相談に応じてくれるお店も多いので、長く大切に使いたい方にとっても心強い存在となります。
少し敷居が高いと感じられるかもしれませんが、一度訪れてみると、数珠の奥深さや日本の伝統文化に触れる良い機会にもなるかもしれませんよ。
1.2 デパート 百貨店で数珠を買う
多くの方にとって馴染み深いデパートや百貨店でも、仏具売り場や特設コーナーなどで数珠を取り扱っていることがあります。アクセスしやすい立地にあることが多く、お買い物のついでに立ち寄れる手軽さが魅力です。
取り扱われている数珠は、ある程度の品質が保たれたものが中心で、見た目にも美しいデザインのものが見つかることもあります。贈答品として数珠をお探しの場合にも、体裁の良いものが選びやすいでしょう。ただし、仏壇仏具の専門店と比べると、店員さんの専門知識や品揃えの豊富さでは一歩譲るかもしれません。一般的な略式数珠を中心に探したい方や、まずはどのようなものがあるか見てみたいという方には良い選択肢のひとつです。
1.3 オンラインショップ 通販サイトで数珠を買う
最近では、インターネット上のオンラインショップで数珠を購入する方も増えています。時間や場所を選ばずに、膨大な種類の数珠の中から自分のペースでじっくり比較検討できるのが最大のメリットです。伝統的なデザインのものから、モダンでおしゃれなもの、さまざまな素材や価格帯の商品が揃っています。
一方で、実物を直接手に取って確認できないため、色味や質感が想像と異なっていたということも起こり得ます。商品の写真や説明文をよく読み、購入者のレビューなども参考にしながら、信頼できるショップを選ぶことが大切です。特に高価な数珠や本式数珠を選ぶ際には、慎重な判断が求められます。
1.3.1 楽天市場やAmazonなどECモールで探す
「楽天市場」や「Amazon」といった大手ECモールでは、数多くの仏壇仏具店や数珠販売店が出店しており、非常に幅広い選択肢の中から数珠を探すことができます。価格帯も幅広く、ポイント還元などのサービスを利用できる場合もあります。たくさんの商品を比較しながら、お得に購入したい方には便利でしょう。ただし、ショップによって品質や対応に差があることも考えられますので、ショップの評価やレビューをしっかり確認することが重要です。
1.3.2 数珠専門店のオンラインショップで購入する
実店舗を持つ老舗の仏壇仏具店や数珠専門店が運営しているオンラインショップも、安心して購入できる選択肢のひとつです。専門店ならではの品質の高い数珠や、こだわりの逸品が見つかることもあります。商品説明も丁寧で、数珠に関する詳しい情報を提供しているサイトも多いでしょう。実店舗での信頼と実績があるお店であれば、オンラインでも安心して購入しやすいですね。
1.4 葬儀社で数珠を買う
急なご不幸があり、お手元に数珠がない場合、葬儀社で用意してもらうことも可能です。葬儀の準備と合わせて手配できるため、時間がない時には助かる存在です。葬儀社によっては、数珠のレンタルを行っている場合もあります。
ただし、葬儀社で用意されている数珠は、種類が限られていることが一般的です。また、価格も仏壇仏具店やオンラインショップなどと比較すると、やや割高になる傾向があるかもしれません。あくまで緊急時の選択肢として考えておくと良いでしょう。もし時間に余裕があれば、事前にご自身で気に入ったものを用意しておくことをおすすめします。
1.5 100円ショップや雑貨店で数珠を買う際の注意点
最近では、100円ショップや一部の雑貨店でも、数珠のようなものを見かけることがあります。非常に安価で手軽に入手できる点は大きな特徴ですが、購入する際にはいくつか知っておきたい注意点があります。
これらの場所で販売されている数珠は、多くの場合、プラスチック製であったり、作りが簡素であったりします。そのため、耐久性や品質の面では、本格的な数珠とは大きく異なります。あくまで間に合わせとして、一時的に使用する場合や、数珠の持ち方の練習用として考えるのが無難でしょう。
正式な弔事の場や、大切な法要などで使用するには、あまりふさわしいとは言えません。故人やご先祖様への敬意を表すためにも、ある程度の品質を備えた数珠を用意することをおすすめします。もし、どのような数珠を選べばよいか迷う場合は、やはり仏壇仏具店などで相談するのが安心です。
2. 後悔しないための数珠の選び方
いざ数珠を選ぼうとしても、種類がたくさんあって迷ってしまいますよね。数珠は、故人を偲び、仏様と心を通わせるための大切な法具です。長く使うものですから、ご自身に合ったものを選びたいもの。ここでは、後悔しないための数珠選びのポイントを、ひとつひとつ丁寧にご紹介いたしますね。
2.1 宗派による違い 本式数珠と略式数珠
数珠には、大きく分けて「本式数珠(ほんしきじゅず)」と「略式数珠(りゃくしきじゅず)」の2種類があるのをご存知でしょうか。どちらを選ぶかは、ご自身の宗派や考え方によって変わってきます。
本式数珠は、それぞれの宗派の教えに沿った正式な形の数珠です。珠の数や配置、房の形などが宗派ごとに細かく定められています。例えば、真言宗、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、曹洞宗、臨済宗、天台宗など、各宗派専用の数珠があります。ご自身の家の宗派がはっきりしている場合は、この本式数珠をお選びになるのが基本とされています。ご自身の宗派の数珠を持つことで、より一層信仰の気持ちが深まることでしょう。
一方、略式数珠は、どの宗派の方でもお使いいただける数珠で、「片手数珠(かたてじゅず)」とも呼ばれます。珠の数は本式数珠の108珠にこだわらず、扱いやすいように半分の54珠や、さらに少ない珠で作られた一重のものが一般的です。最近では、ご自身の宗派が分からない方や、特定の宗派にこだわらずに使いたいという方が増えており、この略式数珠を選ばれる方が多くいらっしゃいます。気軽に持てるのが魅力ですね。
どちらを選べば良いか迷われるかもしれませんが、ご自身の状況に合わせてお選びいただくのが一番です。もしご実家の宗派が分かっていれば、それに合わせるのが一般的ですが、そうでなければ、まずはどの宗派でも使える略式数珠からお持ちになるのも良いでしょう。
2.2 素材で選ぶ 数珠の珠の種類と意味
数珠の珠(たま)には、さまざまな素材が使われており、それぞれに古くからの意味合いや、持ち主を守るとされる力があると言われています。素材によって、見た目の印象や手にした時の感触も変わってきますので、ぜひお好みのものを見つけてくださいね。
代表的な素材には、木の珠と天然石の珠があります。
木の珠は、温かみのある質感が特徴です。使い込むほどに色合いが深まり、手に馴染んでくるのも魅力の一つ。代表的なものには、仏教とゆかりの深い「菩提樹(ぼだいじゅ)」、重厚感のある「黒檀(こくたん)」や「紫檀(したん)」、心安らぐ香りの「白檀(びゃくだん)」、長寿の象徴とされる「屋久杉(やくすぎ)」などがあります。特に菩提樹は、お釈迦様がその下で悟りを開いたとされる木で、数珠の素材として古くから大切にされてきました。星月菩提樹(せいげつぼだいじゅ)や鳳眼菩提樹(ほうがんぼだいじゅ)など、種類も豊富です。
天然石の珠は、その美しい色合いや輝きが魅力です。パワーストーンとして親しまれている石も多く、それぞれに意味が込められています。例えば、「水晶(すいしょう)」は万能の石とされ、浄化の力が高いと言われます。「瑪瑙(めのう)」は健康や長寿、「翡翠(ひすい)」は繁栄や幸運、「虎目石(とらめいし)」は金運や仕事運、「ローズクォーツ」は愛情や優しさを象徴するとされています。ご自身の願いや、心惹かれる色、意味合いで選ぶのも素敵ですね。
他にも、古くから宝飾品として用いられてきた「珊瑚(さんご)」や「真珠(しんじゅ)」、最近ではガラスや合成樹脂で作られたものもあります。ただ、数珠は大切な法具ですので、できればプラスチック製などの安価すぎるものは避け、ある程度質の良いものをお選びになることをおすすめします。
素材選びに迷ったら、こちらの表も参考にしてみてくださいね。
素材の種類 | 主な素材例 | 特徴・意味合いの例 |
---|---|---|
木の珠 | 菩提樹、黒檀、紫檀、白檀、屋久杉 | 温かみがあり、使い込むほどに風合いが増します。菩提樹は功徳が高いとされ、白檀は香りが良いのが特徴です。 |
天然石の珠 | 水晶、瑪瑙、翡翠、虎目石、ローズクォーツ、印度翡翠、オニキス | 美しい色合いや輝きが魅力です。水晶は浄化、瑪瑙は健康、翡翠は幸運、虎目石は金運など、石によって様々な意味合いがあります。 |
その他 | 珊瑚、真珠、ガラス、合成樹脂 | 珊瑚や真珠は華やかな印象です。ガラスや合成樹脂は安価なものが多いですが、大切な場面で使うものですので、素材選びは慎重に。 |
素材によって価格も大きく変わってきますので、ご予算と相談しながら、長く愛用できるお気に入りの一つを見つけてくださいね。
2.3 房の形で選ぶ
数珠についている「房(ふさ)」も、実はさまざまな形や素材があるんですよ。房は、珠をまとめるだけでなく、数珠全体の印象を左右する大切な部分です。略式数珠であれば、房の形は比較的自由に選べますので、お好みのものを選んでみましょう。
代表的な房の形には、次のようなものがあります。
- 頭付房(かしらつきふさ):撚り房(よりふさ)とも呼ばれ、糸を束ねて菊の花のように丸くまとめた形が一般的です。すっきりとした上品な印象で、多くの略式数珠に使われています。
- 梵天房(ぼんてんふさ):球状にまとめられた房で、鞠(まり)のような可愛らしい形が特徴です。絹糸だけでなく、最近では丈夫でお手入れしやすい化繊素材のものも増えています。コンパクトで扱いやすく、人気があります。
- 紐房(ひもふさ):数本の紐を編み込んだり、そのまま垂らしたりした形の房です。主に浄土真宗の本式数珠で用いられますが、略式数珠にも使われることがあります。シンプルで丈夫なのが特徴です。
- 切房(きりふさ):糸の束を切り揃えただけの、最もシンプルな形の房です。
房の素材は、主に「正絹(しょうけん)」と「人絹(じんけん・レーヨン)」があります。正絹は絹100%で、美しい光沢としなやかさがあり、最も格が高いとされています。人絹はレーヨン素材で、正絹に似た光沢がありますが、比較的お求めやすい価格です。房は傷みやすい部分でもあるので、できるだけ丈夫で質の良いものを選ぶと、長くきれいに使えますよ。
本式数珠の場合は、宗派によって房の形や色が決められていることがありますので、購入前に確認しておくと安心です。
2.4 珠の大きさで選ぶ
数珠の珠の大きさも、選ぶときの大切なポイントです。珠の大きさは、主に一番大きな「親珠(おやだま)」、多数連なる「主珠(おもだま)」、そしてアクセントとなる「天珠(てんだま)」のバランスで決まります。一般的に、男性用と女性用では推奨される珠の大きさが異なります。
男性用の数珠は、主珠の直径が10mmから18mm程度のものが多く、一般的には12mm前後のものが標準的とされています。手の大きな方や、しっかりとした持ち心地がお好みの方は、少し大きめの珠を選ぶとしっくりくるでしょう。
女性用の数珠は、主珠の直径が6mmから8mm程度のものが主流で、一般的には7mm前後のものが人気です。手が小さめの方や、上品で華奢な印象がお好みの方は、小さめの珠を選ぶと良いでしょう。あまりに小さいと扱いづらい場合もあるので、バランスが大切です。
一番良いのは、実際に手に持ってみて、ご自身の手の大きさや感覚にしっくりくるものを選ぶことです。もしお店で選ぶ機会があれば、ぜひいくつか手に取って比べてみてください。通販などで購入する場合は、一般的なサイズを目安にしつつ、商品説明をよく確認して選ぶと良いでしょう。珠が大きすぎると重く感じたり、小さすぎると持ちにくかったりすることもあるので、ご自身にとって扱いやすい大きさを選ぶことが大切です。
2.5 価格帯 相場から数珠を選ぶ
数珠の価格は、使われている素材の種類や品質、珠の大きさ、房の素材や作り、そして職人さんの手間などによって、本当に幅広いです。お手頃なものから、ため息が出るような高価なものまで様々です。
一般的な価格帯の目安としては、以下のようになります。
数珠の種類 | 一般的な価格帯の目安 | 特徴 |
---|---|---|
略式数珠 | 数千円~数万円程度 | プラスチック製や安価な木の珠のものは数千円からありますが、一般的に選ばれることが多いのは5,000円~30,000円程度のものです。上質な天然石や希少な木材を使ったものは、さらに高価になります。 |
本式数珠 | 1万円~数十万円程度 | 宗派によって作りが異なり、使われる素材も様々なので価格差が大きいです。格式の高いものや、特別な素材を使ったものは高価になる傾向があります。 |
100円ショップなどの安価な数珠 | 数百円程度 | 緊急時にはやむを得ないかもしれませんが、珠の質や房の耐久性などを考えると、長く使うことや大切な場面での使用にはあまりおすすめできません。 |
初めて数珠を購入される方は、1万円から3万円くらいの予算で探される方が多いようです。あまりに安価なものは、すぐに房がほつれてしまったり、珠の質が悪かったりすることもあるかもしれません。数珠は、故人やご先祖様への敬意を表す大切な道具であり、長く使うものですから、ある程度の品質のものを選ばれることをおすすめします。ご予算と、どのような数珠を持ちたいかというお気持ちのバランスを考えて、納得のいくものを選んでくださいね。
3. 男女別 数珠の違いと選び方のポイント
数珠は、持つ方の性別によって、珠の大きさや全体の雰囲気が少し異なりますのよ。ここでは、男性用、女性用、そしてお子様用の数珠について、それぞれの特徴と選び方のポイントを詳しくご紹介いたしますわね。

3.1 男性用数珠の特徴と選び方
男性用の数珠は、女性用と比べて珠が大きく、全体的にしっかりとした印象のものが一般的です。ご自身の雰囲気や手の大きさに合わせて、しっくりくるものを選びましょう。
主な特徴をまとめてみました。
項目 | 特徴 |
---|---|
珠の大きさ | 一般的に10mm~18mm程度で、特に12mm前後のものが多く見られます。手の大きな方や、存在感のある数珠をお好みの方には大きめの珠が、比較的手の小さな方やさりげなく持ちたい方には少し小さめの珠がおすすめですわ。 |
色合い | 黒や茶色、紺色、深緑色といった、落ち着きのあるシックな色合いが好まれます。虎目石(タイガーアイ)や青虎目石(ホークスアイ)のような天然石の色合いも人気ですのよ。 |
素材 | 黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった木の素材は、使い込むほどに手になじみ、風合いが増しますわ。また、オニキスや虎目石、水晶などの天然石も人気があります。素材によって重さや質感が異なりますので、実際に手に取って確かめてみるのも良いでしょう。 |
房(ふさ)の形 | 紐房(ひもふさ)が一般的です。丈夫で扱いやすく、すっきりとした印象を与えます。宗派によっては、梵天房(ぼんてんふさ)などが用いられることもありますわ。 |
選び方のポイントとしましては、まずご自身の宗派の本式数珠にするか、どの宗派でも使える略式数珠にするかを決めましょう。本式数珠の場合は、宗派によって珠の数や形、房の色などが異なりますので、菩提寺や仏具店で確認なさってくださいね。略式数珠であれば、お好みのデザインや素材で自由にお選びいただけます。
また、年齢を重ねても長く使えるよう、飽きのこないデザインや質の良い素材を選ぶことも大切ですわ。急な弔事にも慌てないよう、気に入ったものを見つけたら早めに用意しておくと安心です。
3.2 女性用数珠の特徴と選び方
女性用の数珠は、男性用に比べて珠が小ぶりで、全体的に優しく上品な印象のものが多くございます。お色や素材も豊富ですので、ご自身の好みや雰囲気に合わせて、心惹かれるものをお選びになるとよろしいでしょう。
主な特徴は以下の通りですわ。
項目 | 特徴 |
---|---|
珠の大きさ | 一般的に6mm~8mm程度で、特に7mm前後のものが主流です。小ぶりで扱いやすく、女性の手にしっくりとなじみますわ。 |
色合い | 水晶の透明感や、ローズクォーツの淡いピンク、藤雲石(とううんせき)の優しい紫色、真珠の柔らかな白色など、明るく上品な色合いが人気です。他にも、珊瑚や瑪瑙(めのう)など、様々な美しい色の天然石がございます。 |
素材 | 水晶やローズクォーツ、アメジスト、ガーネットといった天然石が人気ですわね。それぞれの石には意味が込められていることもありますので、そういった点から選ぶのも素敵です。また、真珠や珊瑚も、上品で落ち着いた雰囲気があり、フォーマルな場にもふさわしい素材です。 |
房(ふさ)の形 | 頭付房(かしらつきふさ)が一般的で、絹でできたものが多く、しなやかで美しい房が特徴です。房の色も、珠の色に合わせて様々なバリエーションがございますのよ。 |
選び方のポイントとしては、やはり男性用と同じく、宗派に合わせた本式数珠か、どの宗派でも使える略式数珠かをお決めになることが第一です。略式数珠でしたら、ご自身の誕生石や、お好きな色、石の持つ意味合いなどから選ぶのも楽しいものですわ。
弔事の際に持つものですから、あまり華美すぎるものは避けた方が無難ですが、品格があり、ご自身が心安らぐものを選ぶことが大切です。長く愛用できるお気に入りの一つを見つけてくださいませ。
3.3 子供用の数珠は必要か
お子様に数珠を持たせるかどうか、悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんわね。結論から申しますと、必ずしも子供用の数珠が必要というわけではありません。特に小さなお子様の場合は、大人がしっかりと故人を偲び、手を合わせる姿を見せることの方が大切でしょう。
しかし、物心がつき、自分で数珠を扱える年齢(小学校低学年くらいから)になりましたら、自分専用の数珠を持たせてあげるのも良い経験になります。法事などで周りの大人が数珠を持っているのを見て、自分も持ちたいと言うお子様もいらっしゃいますし、数珠を持つことで、仏様やご先祖様を敬う気持ち、命の大切さを自然と学ぶきっかけにもなりますのよ。
子供用の数珠を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
- 安全性:万が一落としても割れにくい、プラスチック製や木製などの素材が良いでしょう。
- サイズ:子供の小さな手に合った、珠の小さなものを選んであげてください。
- デザイン:子供が親しみやすい、明るい色のものや、可愛らしいデザインのものもございます。ただし、キャラクターものなど、あまりに遊びの要素が強いものは避けた方が無難ですわね。
- 価格:高価なものである必要はございません。お手頃な価格のもので十分です。
お子様に数珠を持たせる際には、数珠の意味や持ち方、なぜ大切にするのかを優しく教えてあげると、より一層心の教育につながるでしょう。無理強いするのではなく、お子様の気持ちを尊重しながら、自然な形で仏事に参加する心を育んであげてくださいませ。
4. 知っておきたい数珠の持ち方とマナー
数珠は、ただ持っていれば良いというものではありません。いざという時に慌てないよう、正しい持ち方やマナーを覚えておくと安心です。ここでは、数珠の基本的な扱い方から、宗派による違い、注意点などをわかりやすく解説します。
4.1 基本的な数珠の持ち方
数珠の持ち方には、いくつかの基本があります。まず、移動中や座っている時など、合掌しない時の持ち方です。この場合は、房を下にして左手で持つか、左手首にかけておきます。数珠は神聖なものですから、直接畳や床の上に置いたり、ポケットにそのまま入れたりするのは避けましょう。椅子に座っている場合は、膝の上に置くか、数珠袋に入れてバッグの中にしまうと丁寧です。
次に、仏様やご本尊に手を合わせる合掌の際の持ち方です。一般的には、両手の人差し指と親指の間にかけて、そのまま手を合わせます。このとき、房は下に垂れるようにします。また、両手で数珠を包み込むようにして持つ方法もあります。宗派によって正式な持ち方が異なりますので、後述する「宗派ごとの持ち方の違い」も参考にしてくださいね。
4.2 宗派ごとの持ち方の違い 代表的な例
数珠の持ち方は、実は宗派によって細かく定められています。ここでは代表的な宗派の持ち方をご紹介しますが、ご自身の宗派の正式な作法がある場合は、そちらを優先してください。ご不安な場合は、菩提寺のご住職や仏具店の方にお尋ねになるのが一番確実です。
宗派 | 持ち方の特徴(合掌時) |
---|---|
天台宗 | 人差し指と中指の間に数珠をかけ、房を手前に垂らして手を合わせます。 |
真言宗 | 両手の中指に数珠をかけ、そのまま手を合わせます。房は手のひらで包むようにします。 |
浄土宗 | 数珠の輪を両手の親指と人差し指の間にはさみ、房を下に垂らして合掌します。二連の数珠の場合は、二つの輪を揃えて親指にかけ、房を手前側に垂らします。 |
浄土真宗 本願寺派(お西) | 二連の数珠の輪を二重にして左手にかけ、房を下に垂らします。合掌の際は、そのまま両手を合わせます。 |
真宗 大谷派(お東) | 二連の数珠の親珠が上にくるように両手の親指と人差し指の間にはさみ、房を左手側に垂らして合掌します。 |
臨済宗 | 一重の数珠を左手の人差し指と中指の間にかけ、房を下に垂らして合掌します。 |
曹洞宗 | 一重の数珠の輪を左手の人差し指と親指の間にはさみ、房を下に垂らして合掌します。 |
日蓮宗 | 数珠を8の字にねじり、両手の中指にかけます。房は、右手に2本、左手に3本がくるようにして手を合わせます。 |
上記はあくまで一例です。ご自身の家の宗派が分からない場合は、ご親族に確認してみましょう。略式数珠であれば、どの宗派でも基本的な持ち方(左手で持つ、合掌時は両手にかける)で問題ないとされています。
4.3 数珠を使う際のマナーと注意点
数珠は、仏様やご先祖様と心を通わせるための大切な法具です。そのため、扱う際にはいくつかのマナーがあります。
- 数珠を丁寧に扱う:数珠を投げたり、跨いだり、足元に置いたりするのは避けましょう。また、使わない時は、房が絡まないように丁寧に扱い、できれば数珠袋に入れて保管するのが望ましいです。
- 焼香の際の扱い:焼香台に進む際は左手に数珠を持ち、焼香の際は左手にかけたまま右手でお香をつまみます。数珠を焼香台の上に置いたり、右手に持ち替えたりする必要はありません。
- トイレに行く際:トイレに行く際は、数珠を外してバッグやポケットにしまうのが一般的です。ただし、ポケットにそのまま入れるのではなく、ハンカチで包んだり、数珠袋に入れたりするとより丁寧でしょう。
- 数珠の音:数珠の珠同士が擦れ合って音を立てることを「鳴らす」と言い、この音で煩悩を払うという意味合いもありますが、葬儀や法要の場で故意に大きな音を立てるのは控えましょう。静かに、心を込めて扱うことが大切です。
これらのマナーを守り、数珠を大切に扱うことで、故人への敬意や仏様への信仰心をより深く示すことができるでしょう。
4.4 数珠の貸し借りはできるのか
急な弔事で数珠を忘れてしまった場合、「誰かに借りても良いのだろうか」と悩むことがあるかもしれません。しかし、数珠は基本的に持ち主のお守りであり、分身のようなものと考えられています。そのため、原則として数珠の貸し借りは避けるべきとされています。
数珠は念珠(ねんじゅ)とも呼ばれ、念ずる珠、つまり持ち主の念が込められるもの。他人の念がこもったものを借りたり、自分の念がこもったものを貸したりするのは、あまり好ましくありません。また、数珠は「一人一つ持つもの」という考え方が一般的です。
もし忘れてしまった場合は、無理に借りようとせず、心を込めて手を合わせることが何よりも大切です。これを機にご自身の数珠を用意されることをおすすめします。もしご家族が持っていて、それがご自身に合うものであれば、譲り受けるという形は問題ありません。
5. 数珠の購入に関するQ&A
いざ数珠を購入しようと思うと、さまざまな疑問が浮かんできますよね。ここでは、数珠の購入にまつわるよくあるご質問にお答えします。安心して、あなたにぴったりの数珠を選べるよう、お手伝いできれば嬉しいです。
5.1 数珠はいつまでに用意するべきか
数珠は、お葬式や法事など、弔事の際に必要となる大切な仏具です。いつ必要になるか予測が難しいため、事前に用意しておくのがおすすめです。特に、社会人になられたタイミングや、ご結婚されて新しい生活を始められる時など、大人としての嗜みとして準備される方が多いようです。
もちろん、急なご不幸があった際に慌てて用意することもできますが、お店が閉まっていたり、気に入ったものが見つからなかったりすることも考えられます。心に余裕をもって故人を偲ぶためにも、早めに準備しておくと安心ですね。ご自身のものはもちろん、ご家族の分も一緒に検討されるのも良いかもしれません。
5.2 数珠の修理や処分はどうすればよいか
大切な数珠も、長く使っていると修理が必要になったり、役目を終える時がきたりします。そんな時の対処法についてご案内しますね。
5.2.1 数珠の修理について
数珠の中糸が切れてしまったり、房(ふさ)が傷んでしまったりした場合は、修理をすることができます。愛着のある数珠を長く使い続けるためにも、諦めずに相談してみましょう。
修理は、ご購入された仏壇仏具店や数珠の専門店にお願いするのが一般的です。お店によっては、郵送での修理を受け付けているところもありますので、遠方にお住まいの方でも安心ですね。費用は、数珠の珠の種類や状態、修理の内容によって異なりますが、中糸の交換であれば数千円からが目安となることが多いようです。まずは、お店に相談して見積もりを取ることをおすすめします。
5.2.2 数珠の処分について
使わなくなった数珠や、古くなってしまった数珠は、感謝の気持ちを込めて丁寧に手放したいものですね。単なる「物」としてゴミ箱に捨てるのは気が引ける、という方も多いのではないでしょうか。
一般的な処分方法としては、以下のものがあります。
- お寺や神社でお焚き上げをお願いする:菩提寺(ぼだいじ:ご先祖様のお墓があるお寺)があれば、そちらに相談してみましょう。菩提寺がない場合や、遠方である場合は、近隣のお寺や神社でもお焚き上げを受け付けている場合があります。ただし、宗派や寺社の方針によって対応が異なるため、事前に電話などで確認するとスムーズです。お焚き上げには、お布施や供養料が必要な場合があります。
- 仏壇仏具店に相談する:古い数珠の引き取りや供養を行っている仏壇仏具店もあります。購入したお店でなくても対応してくれる場合があるので、問い合わせてみましょう。
- 自分で供養して処分する:ご自身で処分される場合は、まず塩で数珠を清め、白い紙や半紙に包み、感謝の気持ちを込めてから自治体のルールに従って可燃ごみとして出すという方法もあります。しかし、気持ちの面で抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。できる限り、お寺や神社、専門店など、専門家にお願いするのがおすすめです。
どの方法を選ぶにしても、これまでお世話になった数珠への感謝の気持ちを忘れずに、丁寧に扱うことが大切ですね。
5.3 プレゼントとして数珠を贈っても良いか
数珠を贈り物にしても良いのかしら、と迷われる方もいらっしゃるかもしれませんね。特に、お祝い事の品としてはどうなのか、気になる方もいるでしょう。
結論から申しますと、数珠をプレゼントすることは全く問題ありません。むしろ、「寿珠(じゅず)」と書いて長寿や幸福を願う縁起の良い贈り物とされることもあるくらいです。また、数珠は持ち主を厄災から守る「お守り」としての意味合いも持っています。
成人のお祝いやご結婚のお祝い、就職祝いなどの人生の節目に、これから新しい一歩を踏み出す方へのお守りとして贈られることも多いです。また、お子様やお孫様が初めてお葬式に参列する際に、社会的なマナーを教えるという意味合いも込めて贈るのも良いでしょう。
プレゼントとして数珠を選ぶ際は、贈る相手の宗派が分かれば本式数珠を、分からない場合はどの宗派でも使える略式数珠を選ぶと安心です。また、相手の年齢や性別、好みに合わせた色や素材、珠の大きさなどを考慮して選ぶと、より一層喜ばれるでしょう。例えば、若い女性には水晶やローズクォーツなどの明るい色の石を使ったものが、男性には黒檀や虎目石などの落ち着いたものが人気です。
贈る際には、「あなたを守ってくれますように」という気持ちを込めて渡すと、より心のこもった素敵なプレゼントになりますね。
6. まとめ
数珠はどこで買うか、迷うこともおありでしょう。仏壇仏具店や百貨店、楽天市場のようなオンラインショップなど、購入できる場所は意外とたくさんございます。大切なのは、ご自身の宗派を考慮したり、素材の意味合いに想いを馳せたりしながら、長く愛用できる一本をお選びになること。持ち方やマナーも心得ておけば、いざという時も心穏やかでいられますね。この記事が、あなたにふさわしい数珠との出会いを、そっとお手伝いできれば何よりです。