春の訪れとともに耳にする「イースター」。キリストの復活を祝う、希望に満ちたお祭りです。なぜ毎年日付が変わるの?シンボルである卵やうさぎにはどんな意味があるの?といった素朴な疑問から、海外での過ごし方、日本での楽しみ方まで、この記事を読めばイースターの基本がすべてわかります。その意味を知れば、今年の春がもっと待ち遠しくなるはずですよ。

1. イースターとはキリストの復活を祝うお祭り
春の訪れとともに、街でカラフルなたまごや可愛らしいうさぎの飾りを見かけることが増えましたね。この心躍るイベントが「イースター」です。イースターは、日本語では「復活祭(ふっかつさい)」と呼ばれ、十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが、その3日後に復活したことをお祝いする、キリスト教において最も大切なお祭りなのです。
キリスト教を信仰する方々にとっては、イエス・キリストの誕生を祝うクリスマスと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な日とされています。冬が終わり、草木が芽吹く春に行われることから、キリストの復活だけでなく、自然の生命がよみがえる「春の訪れ」を祝うお祭りとしても、世界中の人々に親しまれています。
1.1 イースターの起源と由来をわかりやすく解説
イースターの起源を理解するには、イエス・キリストの物語を少しだけ知る必要があります。とても劇的なお話なのですよ。
イエス・キリストは、多くの人々に神の教えを説いていましたが、当時の指導者たちに反逆者とみなされ、十字架にかけられて亡くなってしまいます。この出来事が起こった金曜日は「聖金曜日(Good Friday)」として知られています。
しかし、物語はここで終わりません。悲しみに暮れる弟子たちの前に、亡くなったはずのキリストが、3日後の日曜日に姿を現し、復活を遂げたのです。この奇跡的な出来事こそが、イースターの始まりです。絶望が希望へと変わったこの日を記念して、盛大にお祝いするようになりました。
ちなみに、「イースター(Easter)」という名前の由来にはいくつかの説がありますが、ゲルマン神話に登場する春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前からきている、という説がよく知られています。厳しい冬を越えて、生命力あふれる春を運んでくる女神さまのイメージが、キリストの復活と結びついたのかもしれませんね。
イースターまでの道のりは「聖週間」と呼ばれ、キリスト教徒にとって大切な期間とされています。
曜日(通称) | 主な出来事 |
---|---|
聖木曜日 | キリストが弟子たちと最後の食事をとった日(最後の晩餐)。 |
聖金曜日 | キリストが十字架にかけられて亡くなった日。 |
イースター(復活の日曜日) | キリストが復活した日。 |
このように、イースターは単なる春のお祭りというだけでなく、苦難を乗り越えた先にある希望や喜び、そして新しい生命の誕生を象徴する、とても奥深い意味を持つ日なのです。
2. イースターはいつ?2024年以降の日付一覧
「今年のイースターはいつかしら?」と、毎年カレンダーを見て気になる方も多いのではないでしょうか。クリスマスと違ってイースターは毎年日付が変わる「移動祝祭日」なので、少し戸惑ってしまいますよね。でも、その日付の決まり方には、春の訪れを感じさせる素敵な理由があるのですよ。
2.1 イースターの日付が決まる仕組み
イースターの日付は、「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」にお祝いすると決められています。なんだか少し複雑に感じられますが、春の始まりを告げる「春分の日」と、夜空を明るく照らす「満月」が基準になっているなんて、とてもロマンチックだと思いませんか?
イエス・キリストが復活したのが日曜日であったことから、日付を計算した上で日曜日に祝われるようになったといわれています。この計算方法は、私たちが普段使っているグレゴリオ暦に基づいた西方教会のものです。ちなみに、ユリウス暦を基準にする東方教会では日付が異なる場合がありますが、日本では一般的に西方教会の日付でお祝いされています。(参考:国立天文台 暦計算室「暦Wiki 復活祭」)
2.2 【早見表】2024年 2025年 2026年のイースター
毎年ご自身で計算するのは少し大変ですので、今後のイースターの日付を一覧にまとめました。2024年のイースターは3月31日(日)です。ご家族やご友人との計画に、ぜひ役立ててくださいね。
年 | 日付(西方教会) |
---|---|
2024年 | 3月31日(日) |
2025年 | 4月20日(日) |
2026年 | 4月5日(日) |
2027年 | 3月28日(日) |
2028年 | 4月16日(日) |
2029年 | 4月1日(日) |
2030年 | 4月21日(日) |
このように見ると、イースターは3月下旬から4月下旬にかけて訪れることがわかりますね。春本番の心弾む季節に、新しい始まりをお祝いするのにぴったりの時期といえるでしょう。
3. イースターでは何をするの?代表的な祝い方と過ごし方
春の訪れとともにやってくるイースター。キリストの復活をお祝いする大切な日ですが、海外では家族や親しい人たちと集まって、あたたかな時間を過ごす素敵な習慣でもあります。ここでは、イースターの代表的な祝い方や過ごし方をご紹介しますね。
3.1 家族や友人とごちそうを食べる

イースターの日曜日には、家族や親しい友人たちが集まり、ごちそうを囲んでお祝いするのが一般的です。食卓には、春の訪れと生命の誕生を祝う、特別な意味が込められた料理が並びます。
メインディッシュとしてよく登場するのが「ラム肉(子羊)」のローストです。これは、イエス・キリストが「神の子羊」と呼ばれることに由来する、伝統的な一品。そのほか、塩漬けの豚肉を焼いたローストハムも人気があります。
また、生命の始まりを象徴する「卵」を使った料理も欠かせません。彩りもきれいな「デビルドエッグ」という卵の前菜や、ゆで卵を添えたサラダなど、食卓を華やかにしてくれますよ。難しく考えずに、いつもの食卓に卵料理を一品加えるだけでも、ぐっとイースターらしい雰囲気になりますね。
パンやお菓子もイースターならではのものがあります。十字の模様が入った「ホットクロスバンズ」という甘いパンや、うさぎやひよこの形をした可愛らしいチョコレートやケーキも、この時期ならではの楽しみです。
3.2 イースターエッグを使った遊び

カラフルに飾り付けられたイースターエッグは、お祝いのシンボルとして飾るだけでなく、楽しい遊びにも使われます。子どもはもちろん、大人も一緒に楽しめる微笑ましいイベントです。お孫さんと一緒に遊べば、きっと素敵な思い出になりますよ。
3.2.1 エッグハント
イースターの遊びとして最も有名なのが「エッグハント(卵探し)」です。これは、庭や家の中に隠されたイースターエッグを、子どもたちがかごを持って探し回る、宝探しのような遊びです。
本物のゆで卵を使うこともありますが、最近では、お菓子やおもちゃを入れたプラスチック製の卵を隠すのが主流になっています。見つけた卵の数を競ったり、「金の卵」のような特別な卵を見つけたら景品がもらえたりと、ルールはさまざま。子どもたちの歓声が響き渡る、にぎやかで楽しいひとときです。
3.2.2 エッグロール
「エッグロール(卵転がし)」も、古くから伝わる伝統的な遊びです。固ゆでにした卵を、丘やゆるやかな坂の上から転がし、誰の卵が一番遠くまで転がるか、あるいは割れずに転がりきるかを競います。
この遊びには、キリストのお墓の入り口を塞いでいた大きな岩を、天使が転がしてどかした様子を象徴しているという、深い意味が込められているんですよ。アメリカのホワイトハウスで毎年開催される「ホワイトハウス・イースター・エッグ・ロール」は特に有名で、大統領夫妻が主催する一大イベントとして知られています。
3.3 教会の礼拝に参加する

イースターは、キリスト教徒にとって一年で最も重要なお祝いの日です。そのため、多くの人々が教会を訪れ、特別な礼拝やミサに参加します。
当日の教会は、イースターのシンボルである白いユリの花などで美しく飾られ、お祝いムードに包まれます。礼拝では、キリストの復活を祝う特別な祈りが捧げられ、喜びにあふれた賛美歌が歌われます。キリスト教徒でなくても参加できる特別礼拝を行っている教会もありますので、ご興味のある方は、お近くの教会の情報を調べてみるのも良いかもしれませんね。厳かで、心洗われる時間を過ごすことができますよ。
4. イースターのシンボル イースターエッグとイースターバニー
イースターと聞くと、色とりどりの可愛らしい卵や、ぴょこんと跳ねるうさぎの姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。これらは「イースターエッグ」と「イースターバニー」と呼ばれ、春の訪れを感じさせるイースターには欠かせないシンボルです。なぜ卵とうさぎが象徴なのでしょうか。それぞれに込められた、心温まる意味を紐解いていきましょう。
4.1 イースターエッグに込められた意味
イースターエッグは、美しく装飾された卵のこと。もともと卵は、キリスト教が広まる前から、多くの文化で生命の始まりや豊かさの象徴とされてきました。見た目は静かな石のようですが、その中には新しい命が宿っています。
この、殻を破って新しい生命が誕生する様子が、イエス・キリストが死を乗り越え復活した奇跡と重なり、イースターのシンボルとして定着したと言われています。卵は「復活」を象徴する、とても大切なものなのです。
卵に色を塗ったり絵を描いたりするのは、生命の輝きや春の訪れを喜び、お祝いする気持ちを表しています。一つひとつに心を込めて飾り付けられたイースターエッグは、見ているだけで心が華やぎますね。
4.2 イースターバニーはなぜうさぎなの?
イースターのもう一つのシンボル、イースターバニー。聖書にうさぎが登場するわけではないのに、なぜイースターの象徴となったのか不思議に思いませんか?
その理由は、うさぎが持つ性質にあります。うさぎは一度にたくさんの子どもを産むことから、古くから豊かな実りや子孫繁栄の象徴とされてきました。生命力にあふれる春のお祭りに、ぴったりの動物だったのですね。
また、ドイツを発祥とする言い伝えでは、「イースターバニーが良い子のもとへイースターエッグを運んでくる」とされています。うさぎが運んでくれると考えると、卵を探す「エッグハント」も一層楽しく感じられます。春の訪れとともに幸せを届けてくれるイースターバニーは、子どもから大人まで、世界中の人々に愛される存在なのです。
5. 日本でのイースターの楽しみ方
キリスト教のお祭りであるイースターですが、日本では春の訪れを告げる心華やぐイベントとして、少しずつ親しまれるようになってきました。クリスマスやハロウィンのように、ご家族やご友人と気軽に季節の行事として楽しむ方が増えています。大掛かりな準備はしなくても、いつもの暮らしにささやかな彩りを添えるだけで、気分もぱっと明るくなりますよ。ここでは、日本ならではのイースターの楽しみ方をご紹介します。
5.1 テーマパークのイースターイベント
春のお出かけに、イースターをテーマにしたイベントはいかがでしょうか。日本のテーマパークでは、毎年この時期になると、カラフルで楽しいイースターイベントが開催されます。
特に有名なのが、東京ディズニーリゾート®の「ディズニー・イースター」です。パーク内は色とりどりの花やイースターエッグで飾られ、うさぎの耳をつけたキャラクターたちが登場するパレードは、見ているだけで心が弾みます。限定のグッズやフードもたくさん登場するので、春の思い出作りにぴったりですね。
また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも、ユニークで元気いっぱいなイースターイベントが楽しめます。キャラクターたちと一緒に踊ったり、写真を撮ったりと、アクティブに過ごしたい方におすすめです。お孫さんと一緒に訪れれば、きっと素敵な笑顔が見られることでしょう。
イベントの期間や内容は年によって変わりますので、お出かけの前には必ず公式サイトで最新の情報をご確認くださいね。
5.2 イースター限定の食べ物やスイーツ
イースターの季節になると、街のお菓子屋さんやカフェも春色に染まります。卵やひよこ、うさぎをモチーフにした可愛らしいスイーツは、見ているだけでも楽しい気分にさせてくれます。
デパートの洋菓子店では、パステルカラーのマカロンや、イースターエッグの形をしたチョコレート、うさぎが乗ったデコレーションケーキなどが並びます。ホテルのラウンジでは、イースターをテーマにしたアフタヌーンティーが開催されることも。ご友人との優雅なティータイムにもぴったりです。
もっと気軽に楽しみたいなら、お近くのスーパーやコンビニをのぞいてみてください。イースター限定パッケージのお菓子など、手軽に季節感を取り入れられる商品が見つかりますよ。春らしい彩り豊かなスイーツは、大切な方へのちょっとした手土産にしても喜ばれますね。
5.3 家庭で楽しむイースターのアイデア
お家で過ごす時間も、少しの工夫で特別なものになります。ここでは、ご家庭で簡単にできるイースターの楽しみ方をご紹介します。
5.3.1 イースターエッグの簡単な作り方
イースターのシンボルである「イースターエッグ」は、意外と簡単に手作りできます。食卓に飾るだけで、ぱっと華やかな雰囲気になりますよ。
一番簡単なのは、固ゆで卵に模様を描く方法です。クレヨンで好きな絵を描いてから、食紅を溶かしたお湯に浸けると、クレヨンで描いた部分だけが白く残り、きれいな模様が浮かび上がります。玉ねぎの皮や紫キャベツなど、自然の食材で染めるのも、やさしい色合いになって素敵です。
また、最近では100円ショップなどでプラスチック製の卵も手に入ります。これなら絵の具で色を塗ったり、シールを貼ったりするだけで、小さなお子様とも安心して楽しめますね。
5.3.2 部屋の飾り付け
お部屋の中にも、春らしい彩りを加えてみませんか。手作りのイースターエッグをかごに盛ってテーブルに置いたり、糸を通してガーランドのように吊るしたりするだけでも、素敵な飾りになります。
100円ショップには、うさぎの置物やウォールステッカーなど、可愛らしいイースターグッズがたくさん揃っています。ミツマタなどの枝ものに、卵の飾りを吊るして「イースターツリー」にするのも、おしゃれなアイデアです。
ピンクや黄色、水色といったパステルカラーを意識して取り入れるだけで、お部屋全体が明るい春の雰囲気に包まれます。いつもの空間に少し季節の色を足すだけで、毎日の暮らしがもっと楽しくなりますよ。
6. まとめ
イースターは、イエス・キリストの復活をお祝いする、春の訪れを感じさせる大切なお祭りです。生命の誕生を象徴する「イースターエッグ」や、繁栄のシンボルである「イースターバニー」など、一つひとつの飾りに素敵な意味が込められているのですね。最近では日本でも、春を祝うイベントとして気軽に楽しむ方が増えています。今年はご家庭でカラフルな卵を飾ったり、食卓に春らしい一品を加えたりして、心弾む季節の訪れをお祝いしてみませんか。
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