ハロウィンとは?いつから定着?起源や由来を解説

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秋の訪れとともに街を彩るハロウィン。お子さんやお孫さんと楽しむ方も多いのではないでしょうか。この記事では、ハロウィンがなぜ仮装をするのか、いつから日本に定着したのか、その起源や由来を解説します。実はハロウィンのルーツは古代ケルト人の収穫祭で、仮装や「トリック・オア・トリート」は悪霊から身を守るための風習でした。由来を知れば、ハロウィンがより一層味わい深いものになります。

目次

1. ハロウィンとは?そもそもどんなイベント?

秋が深まり、街のあちこちでオレンジ色のかぼちゃや可愛らしいお化けの飾り付けが目につくようになると、なんだか心が弾みます。すっかり日本の秋の風物詩となった「ハロウィン」ですが、そもそもどのようなイベントなのでしょうか。

ハロウィンは、起源をたどると、古代ヨーロッパに住んでいたケルト人という民族の、秋の収穫を感謝し、亡くなった人の魂を慰め、そして悪い霊を追い払うための大切なお祭りに行き着きます。もともとは宗教的な意味合いの強い行事だったのです。

しかし、現代の私たちが楽しんでいるハロウィンは、そうした宗教的な意味合いは薄れ、子どもから大人まで、誰もが自由に楽しめるにぎやかなイベントとして親しまれています。特に日本では、家族や友人と仮装をしたり、パーティーを開いたりと、独自の文化として発展しているのが面白いところです。

項目内容
日付毎年10月31日
主な楽しみ方仮装、パーティー、お菓子交換(トリック・オア・トリート)、かぼちゃの飾り付け(ジャック・オー・ランタン)など
象徴的な色オレンジ色(収穫・太陽)、黒(夜・闇)
象徴的なものかぼちゃ、お化け、魔女、黒猫、コウモリなど

ハロウィンはただ仮装して騒ぐだけのお祭りではなく、秋の収穫への感謝や、目に見えない存在への想いが込められた、奥深い背景を持っています。次の章からは、なぜ仮装をするのか、なぜ「トリック・オア・トリート」と言うのかなど、ハロウィンにまつわる風習の由来を一つひとつ、ゆっくりと紐解いていきましょう。

2. ハロウィンの起源と由来 古代ケルト人のお祭りがルーツ

ハロウィンは、その起源をたどると、2000年以上も昔の古代ヨーロッパにたどり着きます。にぎやかな現代のイメージとは少し違う歴史を覗いてみましょう。

2.1 古代ケルトの「サウィン祭」が起源

ハロウィンのルーツは、古代ケルト人が行っていた「サウィン祭(Samhain)」というお祭りにあるといわれています。ケルトの暦では、10月31日は一年の終わりの日。この日の夜には、この世とあの世の境目がなくなり、ご先祖様の霊が家族に会うために戻ってくると信じられていました。

しかし、戻ってくるのは良い霊だけではなく、悪霊や魔女も一緒にやってきて、作物に悪さをしたり、子どもをさらったりすると恐れられていたのです。そのため、人々はかがり火を焚いて神聖な空間を作り、悪霊たちが驚いて逃げていくように、自らも不気味な仮面をかぶったり、魔除けの仮装をしたりして身を守ったのだそうです。これが、ハロウィンで仮装をする習慣の始まりとされています。

また、サウィン祭は秋の収穫を祝い、厳しい冬に備えるための大切なお祭りでもありました。遠い昔の人々の暮らしや自然への祈りに思いを馳せると、ハロウィンがまた違った景色に見えてきますね。

2.2 キリスト教との融合と「ハロウィン」という名前の由来

やがてヨーロッパではキリスト教が広まっていきます。古代ケルトのお祭りであったサウィン祭も、その影響を受けて少しずつ形を変えていきました。

ローマカトリック教会は、ケルトの文化をキリスト教に取り込むため、11月1日を「諸聖人の日(All Saints’ Day)」というすべての聖人を記念する祝日に定めました。この「諸聖人の日」は、英語で「All Hallows’ Day」とも呼ばれます。

そして、その前夜である10月31日は「All Hallows’ Eve(諸聖人の日の前夜)」と呼ばれ、これが訛って、現在の「Halloween(ハロウィン)」という名前になったのです。もともとあったサウィン祭の風習と、キリスト教の祝日が融合して、今のハロウィンの原型が作られていったのですね。

この歴史の流れを少し整理してみましょう。

日付ケルトの暦・お祭りキリスト教の祝日
10月31日サウィン祭(一年の終わり、死者の霊が訪れる日)諸聖人の日の前夜(All Hallows’ Eve)→ ハロウィンの語源
11月1日新年のはじまり諸聖人の日(All Hallows’ Day)
11月2日死者の日(All Souls’ Day)

このように、異なる文化が長い年月をかけて溶け合い、新しいお祭りとして受け継がれてきたと考えると、とても興味深いものですね。

3. ハロウィンの象徴的な風習とその意味

ハロウィンと聞くと、かわいらしいお化けの仮装や、オレンジ色のかぼちゃ、そして「トリック・オア・トリート!」という元気な声が思い浮かびますね。実は、これらの楽しげな風習の一つひとつに、古くからの言い伝えや深い意味が込められているのですよ。ここでは、ハロウィンを象徴する3つの風習の由来を、そっと紐解いていきましょう。知っていると、今年のハロウィンがもっと味わい深くなるかもしれません。

3.1 なぜ仮装するの?悪霊から身を守るため

ハロウィンの夜に、子どもから大人までがお化けや魔女、モンスターなどに仮装して街を歩く姿は、今や秋の風物詩となりました。この仮装の習慣は、もともとハロウィンの起源である古代ケルトのお祭り「サウィン祭」に由来しています。

サウィン祭が行われる10月31日は、この世とあの世の境い目がなくなり、ご先祖様の霊と一緒に、悪霊や魔女もこの世にやってくると信じられていました。そのため、人々は悪霊たちの目をくらませ、人間だと気づかれないようにするための魔除けの意味を込めて、恐ろしい怪物や悪魔の格好をしたのです。「私たちもあなたたちの仲間ですよ」とアピールすることで、悪さをされたり、あの世に連れて行かれたりしないように身を守っていたのですね。現代の楽しい仮装は、そんな切実な願いから始まった、暮らしの知恵だったのです。

3.2 「トリック・オア・トリート」の意味とお菓子の関係

子どもたちが仮装して近所の家を訪ね、「トリック・オア・トリート!(Trick or Treat!)」と声をかける微笑ましい光景。これは、「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」という、かわいらしい脅し文句です。この言葉のやり取りにも、いくつかの由来があるとされています。

その一つが、中世ヨーロッパで行われていた「ソウリング(souling)」というキリスト教の儀式です。ハロウィンの翌日である11月1日の「諸聖人の日」に、子どもたちが仮面をつけ、裕福な家を訪ねては死者の魂のために祈りを捧げ、その見返りとして「ソウルケーキ(魂のケーキ)」と呼ばれるお菓子をもらって歩いたそうです。この風習が、現代の「トリック・オア・トリート」の原型になったといわれています。

子どもたちに声をかけられたら、「ハッピー・ハロウィン!」と返しながらお菓子を渡すのが習わしです。お孫さんやお近所のお子さんとの交流のきっかけにもなりそうですね。

役割セリフ意味や役割
子どもたちトリック・オア・トリート!「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」と声をかける。
家の人ハッピー・ハロウィン!「楽しいハロウィンを!」と返しながら、お菓子を渡す。

3.3 かぼちゃのお化け「ジャック・オー・ランタン」の由来

ハロウィンのシンボルとして欠かせないのが、目と鼻、口をくり抜いたかぼちゃの提灯「ジャック・オー・ランタン(Jack-o’-Lantern)」です。この少し不気味で愛嬌のあるランタンには、アイルランドに伝わる古い民話が隠されています。

昔々、ジャックという名のずる賢い男がいました。彼は生前、悪魔さえも騙して「自分の魂を取らない」と約束させます。しかし、悪いことばかりしていたジャックは、死後、天国へ行くことを許されません。困って地獄の門を叩きますが、悪魔との約束があるため、地獄へ行くこともできませんでした。

行くあてがなくなり、暗い道を永遠にさまようことになったジャック。悪魔は彼を哀れに思い、地獄の炎のかけらを一つ分け与えてくれました。ジャックはその火を、道端に落ちていたカブをくり抜いて作ったランタンに入れ、今もなお、この世とあの世の間をさまよい続けているのだとか。この物語から、ジャックの持つランタンが悪霊を追い払うための魔除けとして飾られるようになりました。

ちなみに、もともとはカブで作られていましたが、この物語がアイルランドからの移民とともにアメリカへ伝わった際、当時アメリカでたくさん収穫されていた、加工しやすいかぼちゃが使われるようになり、世界中に広まったといわれています。国によって使う野菜が違うなんて、面白いですね。

4. 日本のハロウィンはいつから定着した?

今ではすっかり秋の風物詩としておなじみのハロウィンですが、「昔はこんなに賑やかじゃなかったのに」と感じる方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、日本でハロウィンが広く親しまれるようになったのは、実はここ20〜30年ほどのことなのです。海外のお祭りだったハロウィンが、どのようにして日本の文化に溶け込んできたのか、その歩みを一緒にたどってみましょう。

4.1 1990年代のテーマパークが火付け役

日本のハロウィン文化の広まりに、大きなきっかけを与えたのがテーマパークの存在です。それまで日本ではあまり馴染みのなかったハロウィンを、誰もが参加して楽しめるイベントとして紹介してくれました。特に、2つの大きなテーマパークが果たした役割は、とても大きいものでした。

4.1.1 東京ディズニーランドのハロウィンイベント

日本のハロウィンを語る上で欠かせないのが、東京ディズニーランドのイベントです。1997年に「ディズニー・ハッピー・ハロウィーン」が始まった当初は、まだ小規模なものでした。しかし、2000年になると、かぼちゃやおばけをモチーフにした楽しいパレードが始まり、大きな注目を集めます。

そして、何よりも大きな転機となったのが、期間中の特定日に大人の「全身仮装」が許可されたことでした。ディズニーキャラクターになりきってパークを歩ける特別な体験は、多くのファンを魅了し、「ハロウィンは仮装を楽しむイベント」というイメージを日本中に広める大きな力となったのです。

4.1.2 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のホラーナイト

東京ディズニーランドが「明るく楽しいハロウィン」を広めた一方で、もう一つの楽しみ方を提案したのが、2001年に開業したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)です。USJのハロウィンは、パーク内にゾンビがさまよい歩く「ハロウィーン・ホラー・ナイト」に代表されるように、スリルと恐怖がテーマです。

ディズニーとは異なる「本格的なホラー」という切り口は、特に若者たちの心を掴みました。このイベントをきっかけに、ゾンビメイクのような少し怖い仮装もハロウィンの楽しみ方の一つとして定着し、日本のハロウィン文化にさらなる奥行きを与えました。

4.2 2010年代以降のSNS普及と市場規模の拡大

テーマパークで育まれた「仮装を楽しむ文化」は、2010年代に入ると、スマートフォンの普及とともに、爆発的に広がっていきます。その大きな原動力となったのが、Twitter(現X)やInstagramといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。

趣向を凝らした仮装姿を写真に撮り、SNSに投稿することで、たくさんの人に見てもらえるようになりました。「いいね!」をもらえる楽しさや、友人たちとの思い出を共有する文化が、「インスタ映え」という言葉とともにハロウィンの人気を後押しし、渋谷の街に大勢の若者が集まるような社会現象にもつながっていきました。

この盛り上がりは、経済的な規模にもはっきりと表れています。日本記念日協会の調査によると、日本のハロウィン市場は年々拡大していきました。

市場規模(推計)主な出来事
2011年約560億円東日本大震災からの復興ムードの中、イベントへの関心が高まる。
2014年約1,100億円初めてバレンタインデーの市場規模を上回る。
2019年約1,155億円コロナ禍以前のピークを迎える。

このように、テーマパークでの楽しい体験がきっかけとなり、SNSを通じてその輪が大きく広がったことで、ハロウィンは日本の秋を彩る一大イベントとして、すっかり定着したのです。(出典:一般社団法人 日本記念日協会

5. 世界と日本のハロウィンの楽しみ方の違い

ハロウィンは今や世界中で親しまれているイベントですが、その楽しみ方は国や文化によって少しずつ異なっているのですよ。特に、ハロウィンの本場ともいえるアメリカなどの海外と、日本とでは楽しみ方に大きな違いが見られます。それぞれの素敵なハロウィンの過ごし方をのぞいてみましょう。

5.1 海外では子どもが主役の収穫祭

アメリカやヨーロッパなど、古くからハロウィンの文化が根付いている国々では、ハロウィンの主役はなんといっても子どもたちです。夕暮れ時になると、思い思いの仮装をした子どもたちが近所の家々を訪ね、「トリック・オア・トリート!(お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!)」と元気に声をかけます。家々の大人たちは「ハッピーハロウィン!」と笑顔で応え、たくさんのお菓子をバスケットに入れてあげるのです。これは、地域全体で子どもたちの成長を見守る、心温まる交流の機会にもなっています。

また、家庭ではカボチャをくり抜いてジャック・オー・ランタンを作ったり、庭をクモの巣やお化けで飾り付けたりと、家族みんなで準備を楽しみます。学校や地域で開かれるパーティーでは、水に浮かべたりんごを口だけで取る「アップルボビング」といった、収穫祭にちなんだ素朴なゲームを楽しむことも。大人たちは子どもたちの付き添いをしたり、友人たちと落ち着いたホームパーティーを開いたりしますが、あくまでも子どもたちが中心の、家族と地域のイベントという側面が強いのが特徴です。

5.2 日本では若者中心の仮装イベントとして独自の発展

一方、日本のハロウィンは、海外とは少し違った形で発展してきました。日本では「トリック・オア・トリート」の習慣は一部の地域や家庭にとどまっており、主役は子どもたちだけでなく、若者や大人たちです。特に、本格的な「仮装」や「コスプレ」そのものを楽しむ文化が色濃いのが大きな特徴といえるでしょう。

毎年10月下旬になると、東京の渋谷や池袋といった繁華街に、アニメのキャラクターや映画の登場人物、独創的なお化けなどに扮した人々が集まり、街全体が巨大な仮装パーティー会場のような賑わいを見せます。これは宗教的な意味合いはほとんどなく、友人同士で非日常を味わい、写真撮影などを楽しむ現代的なお祭りとして定着しました。

もちろん、近年ではテーマパークのパレードや、お子さん向けの可愛らしいイベントも増えてきましたが、日本のハロウィンは「収穫祭」というよりも、誰もが主役になれる「仮装を楽しむエンターテイメント」として、独自の文化を築いているのです。

項目海外(主にアメリカ)日本
主役子どもたち若者・大人(子どもも楽しむ)
主な活動トリック・オア・トリート、ホームパーティー街中での仮装・コスプレ、友人とのパーティー、イベント参加
場所自宅や近所、地域コミュニティ繁華街(渋谷など)、テーマパーク、商業施設
イベントの性質家族や地域で楽しむ収穫祭、子どもたちのための行事友人や仲間と楽しむ仮装イベント、商業的な催し

6. まとめ

秋の訪れとともに街を彩るハロウィン。その起源は古代ケルト人の収穫祭にあり、仮装やかぼちゃのランタンには、悪霊を追い払うという古くからの願いが込められていました。日本では、東京ディズニーランドなどのイベントをきっかけに広まり、今では世代を超えて楽しめる行事として定着しています。その由来を知ると、また違った楽しみ方が見つかりそうですね。今年の秋は、ハロウィンの物語に思いを馳せてみませんか。

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この記事を書いた人

ハレノヒ編集部は、「わたしらしく、身軽に暮らす」をテーマに、日々の暮らしを前向きに楽しむためのヒントをお届けしています。
美容や健康、趣味、暮らしの工夫など、50代以降の女性を中心に、誰もが自分らしく輝けるような情報をやさしい目線で発信しています。
ちょっと気になる話題や、ふと心に残る言葉も添えて、皆さまの毎日が少し晴れやかになりますように。

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